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第247話 おっさん、裏切られる

 夜戦は俺達の絶対有利で進んだ。


「そら、死んどけ」


 俺の持っている聖杭からビームが飛ぶ。

 だって俺達の聖杭は自動攻撃システムが備わっている。

 AIが搭載してあるような物だからだ。


 意思を持った兵器がこれほど凶悪とは。

 レイスは半透明の体の時は体の維持に集中力を食われるらしく、ビームによる攻撃はできない。

 聖杭状態にならないといけない訳で、運び手が必要になるという事だ。


 死んで行く仲間を見てパニックになった兵士が聖杭を乱射する。

 不味い。

 俺達は木の陰に隠れた。


 アニータは片手を俺は腹を打ち抜かれた。

 エリクサーをアニータに飲ませる。


「てへへ、どじっちゃった」

「アニータ、もっと集中しなさい」


 ジャスミンは無事のようだ。

 セドリックとリネットの姿が見えない。


「よくもセドリックを」


 リネットが聖杭を撃ち返し、乱射していた兵士を仕留めた。


「死なないで」


 リネットはセドリックを揺さぶる。

 俺は駆け寄ってセドリックにエリクサーを飲ませてやった。


「もう大丈夫だ」

「セドリックが私をかばってくれたの」

「そうか。よし、リネットとセドリックはここに残れ。退路を確保するんだ」


「はい」


 それからは激戦だった。

 何回も俺達は撃たれた。

 エリクサーが無ければ犠牲者が出ているところだ。


 なんとか、聖杭を回収して村に帰る事ができた。


 聖杭から新しいレイスが百人ほど生まれる。

 これで、いよいよ皇帝に王手を掛ける事が出来そうだ。


 早馬に乗った伝令が村に駆け込んで来た。


「皇帝が軍事行動を起こすぞ。目標は市場だ。レジスタンスのスパイをやっている兵士が知らせてくれた」

「助けに行かないと」


「ムニさん、あなたはレジスタンスの裏切り者として名前が上がっている」

「証拠は?」


「シュトロムさんがそう言ってるんだよ」

「なにっ?」


「絶対にありえないわ」


 ジャスミンが否定してくれた。


「ジャスミン、アニータの両名も裏切り者のリストに書いてある」


 嵌められた。

 しかし、怒りは沸いてこない。

 シュトロムが裏切った、その事実を受け止めた。


「大人しく、レジスタンスの避難場所まで出頭してくれ」

「いやだ。俺は市場のみんなを助けるぞ」

「私も手伝うわ」

「私も」


 ジャスミンとアニータは手伝ってくれるらしい。


「私達、レイス全員も手伝うわ」

「残念だ」


 伝令が斬りかかってきた。

 俺は伝令の首をねじ切った。


 スクーターを飛ばして、皇都に戻る。

 門は堅く閉じられていた。

 レイスの一人が聖杭になり門を破壊する。

 市場に近づくと兵士たちが市場を取り囲んでいた。


 あれは。

 はりつけ台が設置されて、ジェマとムハナが括り付けられていた。


 俺は一人ではりつけ台の近くに駆け寄った。


「来ましたね」

「シュトロム、裏切ったな」


「あなたの秘密を探るのに時間が掛かって、今まで後手に回りましたが。ここからはそうもいきません」

「どういうつもりだ」


「あなたにレジスタンスを皆殺しにしてもらいましょう。できますよね、アンデッドですから」


 言う事を聞いたら今度は俺に死ねと言って終わりだろう。

 今も何十本もの聖杭が俺を狙っている。

 こうなったらジェマとムハナはジャスミンとアニータに任せよう。

 俺はレジスタンスを殺すふりをして、取り囲んでいる兵士をなんとかしたい。


「分かったレジスタンスを殺そう」

「おかしな真似をすれば分かってますね」


 軍がレジスタンスを殺さない理由だが。

 たぶん、市場の人間が皇都の民に愛されているからだろう。

 虐殺は外聞が悪い。

 俺が殺したのなら、モンスターが発生して殺されたとなる。

 軍はそのモンスターを駆除したという筋書きなんだろうな。


 俺はバリケードを作って立てこもっているレジスタンスの所に行った。

 屋台を分解して組み立てるとバリケードになるのか。

 良く出来た仕掛けだが、聖杭の前では役に立たない。


「みんな兵士をなんとかする為に協力してくれ。俺が突破口を開く。レイス達のそばまで行けば聖杭が使えるから、戦力的に互角になる」

「お前は裏切り者だって聞いたぞ。協力なんて出来ない」

「突破口を開くなら、お前ひとりでやれ」


 アンデッドの精神の為に怒りも沸いてこない。

 この場にいる敵味方の双方を殺したい。


 はりつけ台が増えてジャスミンとアニータが括り付けられた。

 万事休すだ。

 頼み綱はレイス達だが、魔力を吸い出して殺そうとしても、聖杭にやられるのが落ちだ。


 殺すだけ殺して、いっそ死ぬか。

 残された人間の意識が待ったを掛ける。

 何か手が残されているはずだ。


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