40 帝国人残党の始末とそれぞれの色
「ヒャッハー! ここは帝国様の検問所だ! 貴様等王国人だな、国を滅ぼされた弱者はここで有り金と女と命を置いて行け!」
「へっへっへ! どうだ王国人、35万の大群が王都とやらを蹂躙した感想は?」
「情けない奴等だぜ、お前ら俺達帝国人があまりにも強いから仲間にして貰いに来たんだろ?」
はるばるやって来たというのに、帝都の前ではわけのわからん連中が検問ごっこをしていた。
先行して俺達の到着を伝えに行ったと思しき王国の兵士は、不意打ちされ、乗っていた馬ととも横たわっている。
「おいジェシカ、何だこの気持ち悪い連中は? 帝国の平民のようだが?」
「おそらく帝都から逃げてきた連中でしょう、完全に盗賊化しています」
やはりその類か……
そしてこの連中の言葉からいくつかわかったことがある。
まずは帝国が戦に勝利し、王国、というか王都はあの大軍団に蹂躙されたと思っているということ。
次に、やはり自分達が圧倒的に強く、王国民を支配する立場にあると思っているということ。
最後に今から自分達が死ぬのを知らないでいるということだ。
「誰かこのクソ共を殺りたい者は居るか?」
「イヤよ勇者様、変な汁が飛んできそうだわ!」
「王女が手を下すような事ではありません、遠慮しておきます」
「主殿、私もイヤだぞ! 見てくれ真ん中の奴の顔、生卵のドゥルドゥルの部分より気持ち悪い!」
仕方が無い、後ろの馬車の子に頼もう、というかリリィに消毒してもらおう。
「リリィ、済まないがここの汚物を消毒してくれ!」
「ハイ、でもどのぐらいの火力で焼きますか?」
「そうだな、なるべく苦しんで死ぬように遠火の強火でじっくりやってくれ」
リリィがドラゴンに変身すると、つい今まで粋がっていた帝国人達は慌てて逃げ出す、漏らしまくりである。
だがもう遅い、足元からブレスを浴び、徐々に炎に包まれていく。
絶叫し、助けを求めるものの、こんな連中を誰が助けてやるというのだろうか?
検問ごっこの帝国人は、ジワジワと焼かれながら無様に死んでいった。
「精霊様、申し訳ないが城まで飛んで俺達が来たことを伝えてきてくれないか?」
「あと貴様らの職務怠慢が原因で王国の兵士が1人死んだ、ということも一緒に伝えてくれ」
しばらくすると、城から来たと思しき偉そうな服を身にまとった貴族が慌てて馬で駆けつけた。
「大変失礼致しました、門兵が5名でお迎えに上がる予定だったのですが、どうやら来るまで待てばよいと勝手に判断したようです」
「その5人が出て来ていればこの変な奴らも片付けて、王国兵に死人は出なかったわけだな?」
「ええ、間違いございません……」
「ならそいつらを呼べ!」
また大慌てで城門の方に戻っていく貴族のおっさん、一応ジェシカに聞いておく。
「あいつはジェシカの知り合いか?」
「知ってはいるが話をしたことはない、大変な無能であるとの噂だがな」
「じゃあ良いか、マリエル、剣はどこにしまった? お前がやれ」
戻ってきた先程の貴族と、それからやらかした5人の兵士の計6人を座らせ、マリエルが滅多切りにした。
まだ全員生きているもののマリエルは止めを刺さない、自国の兵士を無駄死にさせたのである、苦しんで死なせるのが妥当だ。
「精霊様、もう1回行って来てくれ、さっきのは殺してしまったと伝えてくれると助かる」
「面倒ねぇ~」
次に来た馬鹿も何かムカついたので殺し、その次でようやくまともそうなのが現れた。
ジェシカがヘコヘコしているところを見ると知り合いのようだ。
「主殿、この方はキャリルの父君だ、案内をしてくれることになったらしい」
「申し訳ない勇者殿、どうやら救いようの無いゴミを2匹も送ってしまったようだ、謝罪しよう」
「そのことを責めるつもりはない、皆長旅で疲れている、このまま滞在先へ案内して頂きたい」
ようやく歓待が受けられる、このときを待っていたのだ。
キャリルの父君だかチッチキチーだか何だか知らんが、とにかくソイツに付いて行った。
彼はこの間助けた中に居たはずだが、全員幽鬼のような姿だったので今は面影がない。
※※※
「見てお姉ちゃん! ここがジェシカちゃんのご実家ね、私達の実家の100倍は豪華よ!」
「凄いわミラ、あんなにもモノに溢れているなんて! しかも鍵がかかるのよ!」
「セラ殿、ミラ殿、そこはゴミ置き場なのだが……」
そういえばこの2人は以前地下牢を見て素敵なお部屋とか言っていたな。
どれだけ強くなろうとも、金持ちになろうとも、人間の本質は変わらないようだ。
ジェシカの両親に挨拶し、その後に案内された宿泊棟はまたしても4人部屋3つ、面倒なのでこの旅は全行程で馬車メンバーでの行動とした。
ついでに、第一王子との怪談が3日後と決まったこともそこで告げられた、つまり、ここから2日間は食っちゃ寝生活である。
「ねぇ勇者様、どうせ暇だし帝国人の残党狩りでもしておかない?」
「ダルい、パス」
「主殿、ここでクズ共を狩っておけば帝国観光もそれだけ早く実現するのだぞ!」
「ジェシカの意見には少し心が動いた、だがまだ足りない、もう一声!」
「おっぱいを触らせてやろうではないか!」
「よし、今から皆で行って腹ごなしをしよう」
屋敷から出て平民街へ向かう、だんだんと高級感が無くなっていく風景、壁の落書きが増え始めた。
崩れた壁、痩せた犬、モヒカンのごろつき、時はまさに世紀末といった様相を呈している。
モヒカンのごろつきは全部殺した。
「おいおい、元々の平民が戻って来ているんじゃないのか?」
「彼らには別のもっと洗練された区画に住んでもらっている、ここはまだ掃除が済んでいない地区だ」
なるほど薄汚いわけだ、あの帝国人以外の人間がここに住みたいと思うことはないであろう。
「皆足元に注意しろ! もしウ○チを踏んだら足が腐敗する前に靴を捨てろ!」
慎重にスラム街を歩き、出会った帝国人をその都度始末していく、先程から全く同じ奴を5人ぐらい倒している気がするんだが気のせいだろうか?
にしても効率が悪い、何か策を練らないとここはいつまで経っても片付かないぞ。
「よし、罠を張ろう、精霊様に協力してもらいたいことがある」
「力を貸してあげるから後でルビアちゃんを貨しなさい」
「わかった良いだろう、で、そのルビアそっくりの水人形を作って欲しいんだが?」
精霊様にそう願うと、すぐに水製等身大ルビア人形(全裸)を作成してくれた。
ルビアをその横に呼び、隅々まで見比べてみる、まずはおっぱいの質感からである。
「うむ、大きさも柔らかさも完璧であるぞ、ルビア、次は後ろを向け」
お尻の感触もいつものルビアである、顔もそっくりだし、この人形を採用することとしよう。
水製ルビア人形をロープで縛り、ちょっと開けたところに立っていた逆L字型の支柱のような物に吊るしておく。
帝国人がこの罠に集まってくると良いんだが……
本物のルビアを椅子にし、設置した罠がよく見える位置からしばらく監視する。
「ご主人様、いつも私はあんな風に吊るされているのでしょうか?」
「ああ、概ねそうだな、もう少し嬉しそうな顔をしているがな」
「なるほど、違和感の正体はそれでしたか……っと、誰か来たようです」
最初の一匹を皮切りに続々と集まりだす帝国人、老略男女問わず、皆欲望に満ちた顔をしている。
ある者はエッチなことを考えながら、ある者は高く売れそうだと考えながら罠にかかっているのであろう。
元居た世界で、夏の雑木林にバナナ入りのストッキングを一晩ぶら下げたときのことを思い出した。
カナブンばっかりだったな……
「よし、100匹程は集まったようだな、どこに隠れていたのか知らんが」
「リリィ、一気に焼き払え!」
リリィのブレスで帝国人共は灰となった、水製ルビア人形が蒸発してしまったのはもったいないが、また作って貰えば良いであろう。
しかしあのリアルな水人形は使えそうだな、上手くすればおっぱい影分身で大量のおっぱいを……
複数人から同時に殴られた。
ちなみに今は建物の屋上に居るのだが、重さに耐え切れないようだ、ドラゴン化したリリィの足が地面にめり込んでいる。
建物の主な素材は『おから』のようである。
「ここはもう危険だから移動しよう、というか明日やる場所を決めて戻ろう、腹減ったしな」
翌日同じことをやる場所と、罠だけ仕掛けておく場所を選定し、ジェシカの家に戻った。
罠だけの場所に対してメテオストライクを発動しておいたので、上手くすれば後程その効果を確認できるであろう。
そんなことよりも今は豪華な夕食の方が気になる……
※※※
「ルビア、ロープの短めのやつを2本持って来てくれ」
「あの、お食事中にそれでどんなことをして頂けるのですか?」
「それは後で精霊様にして貰え、とにかく持って来るんだ」
渡されたロープを使い、カレンとリリィを椅子に固定する。
「良いか2人共、そのロープが切れてしまったらその者はそれ以降料理を食べることが出来ないルールだ、わかったな!」
「わかりました、でもご主人様、手が届かない料理はどうしたら良いですか?」
「恨めしそうに眺めておけば良い、係りの人が気が付けば皿に取り分けてくれるからな」
こうして、マナー違反に手足が生えたような存在である2人を押さえ込むことに成功した。
あとはお馬鹿なセラやマーサが不規則な発言をしないよう釘を刺しておけば完璧であろう。
席順は好きにしてくれとのことであったので、俺がカレン、マリエルがリリィ、そして精霊様がセラとマーサを押さえ込むことになった。
こんな所で勇者パーティーが舐められてしまうのは避けたい、細心の注意を払ったポジショニングである。
ジェシカと、それからその両親と兄が入ってきて食事が始まった。
ジェシカとジェシカママはイマイチ判別がつかない、ジェシカパパとジェシカブラザーはあご髭の有無でわかる。
俺はジェシカパパと他愛のない話をしながら料理を堪能した。
「では次の皇帝を明後日選任するということだな、内定者は出ているのか?」
「もう決まっているぞ、あと国の組織は既に立て直す準備ができている、どうしようもない無能も居るが、そのうち2人は先程勇者殿が片付けてくれたようだな」
「ああ、他にも居たら任せて欲しい、その方が内部で片付けるよりもゴタゴタになりにくいだろう」
異世界勇者は異世界暗殺者に成り下がった。
「それと、ジェシカに関してはこのまま借りておいて構わないか?」
「もちろんだ、勇者殿、ジェシカは…(お伝え出来ない内容です)…とかそういったプレイが好きだぞ、部屋に隠してあったエッチな本から判明した」
「父上っ! 何ということを暴露するのですかこんな席で!」
「何を言うか? どうせそのうちバレるだろうに」
残念じゃが既に全部知っておるのじゃよ……
料理も美味いが酒が回ってきた、酔って饒舌になると余計なことを約束してしまい、後悔しかねない。
今日はこの辺りで食事会を切上げ、部屋に戻ることとしよう。
※※※
風呂上り、俺の泊まっている部屋に全員を集めて明日の帝国人狩りについて協議する。
「明日は私とサリナにメインをやらせて欲しいと思っていますわ」
「お前達でどうするつもりなんだ?」
「まずは私の魔法で帝国人を惑わせて集めます、集まったら姉さまの攻撃魔法で一気にお方付けです!」
「うむ、面白そうだな、それなら準備もいらないし、効果的だろう」
「そうよ! 私達正義の姉妹が悪の帝国人を滅ぼすのですわ!」
ユリナとサリナが変なポーズを決めているのだが、突っ込みどころ満載だ。
「貴様らのどこが正義なんだ? とんでもない悪事を働いたばかりであろう、そもそも悪魔じゃないか!」
「あれは若気の至りというやつですわ、ほんの出来心です、魔が差したのです、魔族だけに」
「若気の至りだの魔が差しただので一国がここまでの事態に陥ってたまるか!」
「いだいいだいっ! 尻尾の先をグリグリしないで下さいまし!」
「ひぎぃぃっ! ご主人様、これはお仕置きの前払いですよ! 1つ悪い事をして良いということになりますからね!」
とにかく、翌日の討伐はこの姉妹に任せることにした、色々な攻撃魔法も見ることが出来そうだしな。
ただし、上手くいってもご褒美はやらない、調子に乗った罰として働かせるのである。
そういうことで作戦会議を終了し、何日かぶりの尻尾タイムをとる。
「なあマーサ、尻尾も良いがそのパンツは何だ? 寝巻きのズボンから凄いのがはみ出しているぞ」
「ああこれ? 精霊様指定のパンツよ、持って来たのは没収されちゃったわ」
「今日はマリエルもこれを?」
「ええ今日は私もそれです、マーサちゃんと2人でここのところ毎日、新しいパンツの実験に参加しているんですよ」
「おっと、そのパンツが気になるようね! それを採用しようかと思っていたところなのよ」
貸出し中のルビアで遊んでいた精霊様がこちらに飛んでくる。
ここ数日の風呂は男女別であった、おそらくそこで2人にパンツを渡していたのであろう。
「というか精霊様、採用って何に採用するつもりなんだ?」
「決まってるじゃない、それを勇者パーティーの指定パンツにするのよ、明日からは全員それを履いて冒険よ!」
俺は履かねぇぞ!
さすがに布面積に問題があるため、飛び上がって攻撃することの多いカレンと、ガチお子様のリリィは免除された。
寝巻きを脱いだマーサが下着モデルよろしくクルクル回ってパンツを紹介する。
俺だけは揺れるおっぱいの方を眺めていたが、他のメンバーは既にカラーの選定に入っている。
完全に受け入れられたようだ……
「ついでにそのパンツの柄や色をメンバーの規定カラーにしましょう!」
マリエルの提案に誰もが賛同した、モチーフとなるものの確率は良いことだと思うが、パンツかよ……
カレンとリリィも見えても良い可愛いパンツで色を決めることとなったようだ。
決まったのは……
メンバー固有カラー/柄
セラ:白
ミラ:ピンク
カレン:黄色
ルビア:黒
リリィ:赤
マーサ:緑
マリエル:紫
精霊様:水色
ユリナ:ハート柄
サリナ:水玉柄
ジェシカ:イチゴ柄
ちなみにセラとルビアに関しては俺の趣味で強要した、どちらも喜んでくれたようで何よりである。
あと、王女であるマリエルは高級感のある紫、水の精霊様は当然に水色となった、この辺りは固定である。
「じゃあ後で全員分を用意して各部屋を回るわ、一旦解散しましょう」
各々、部屋へと戻っていった。
※※※
「しかし今日のスープはなかなかのものだったな」
「光栄だ、この辺りでは肉や野菜から出たエキスで味付けをするからな、塩だけのものとは深みが違う」
「うん、ミラがしっかり見ていたようだから今後は屋敷での料理でもああいったものが期待できそうだ」
そんな話をしていると、ノックもなしに精霊様が入ってきた。
「じゃあコレ、全員分のパンツね! お休みぃ~っ!」
水の精霊が風のように去っていった、水なのか風なのかはっきりして欲しい。
パンツは3枚ある白、白、イチゴ柄だ……
何かおかしくないか?
「私はお風呂で履いて来たので、後は3人の分ですね」
「いや、俺は履かないぞ」
「勇者様は私とお揃いね、ペアルックなんて精霊様も気が効くわね」
「俺は履かないと言っているだろう!」
「大きい白が主殿で、それから小さい白がセラ殿の分か」
「・・・・・・・・・・」
「おいっ! やめろ貴様等、脱がすんじゃない! 勇者に狼藉を働くとは何事か!?」
俺に変なパンツを履かせようと襲い掛かる3人。
だが所詮は魔法使い・槍が上手いだけ・剣が上手いだけである。
力関係のステータスは俺の方が圧倒的に上だ、しかも素手である、問題なく勝利を収めることが出来たのであった……
「やぁお三方! 可愛らしいパンツを履いておいでですな? いやはや無色透明とは畏れ入る」
3人はパンツを取り上げたうえで縛ってある、手が使えないので寝巻きの裾を引っ張って下げることも出来ない。
「クッ! 殺せ!」
「右に同じよ」
「左に同じです」
「おいおい、勇者を愚弄した重罪人が殺されるだけで済むとでも思ったか?」
ルビアに借りてきた鞭を床に叩き付けると、3人は全てを諦めたような表情をとった。
さて、まずは……
~~~しばらくお待ちください~~~
「もうダメ、へろへろよ」
「そろそろパンツを返してください」
「縄を解いてくれ」
さて、そろそろ寝ないと明日に響く、デカいベッドがあるから4人まとめて入れるな。
「おい、反省したか? 寝る場所を決めるからじゃんけんしろ、もうしないと言うのならば縄は解いてやる」
公正なじゃんけんの結果、右からセラ、俺、ジェシカ、マリエルの順で寝ることとなった。
明かりを一つだけ残し、他を消す、セラと話をしているうちに眠ってしまったようだ……
ふと目を覚ます、どうやら寝おちしたときと同じ横向きだ。
だが目の前で眠っていたはずのセラが居ない、その代わり背後に気配があった……
しまったっ! このままじゃ殺られるっ!
飛び起き、寝ていたはずの俺が急に動いたことに驚いていた3人の賊を制圧する。
全ての明かりを点けて賊どもの顔を確認すると、予想通りの奴等だ。
「で、お前ら何か言い訳はあるか?」
「ありません、参りました」
「右に同じです」
「左に同じだ」
あれから15分程しか経っていないようだ、すぐに寝てしまったということか、迂闊であった。
「今日はもう遅いから処刑は明日にしてやる、何があっても縄は解かないからな、そのまま寝るが良い」
尺取虫のように這いつくばって自分のポジションに向かう3人の尻をそれぞれ引っ叩き、再び明かりを消した。
「ねぇ勇者様? まだ起きてる?」
「どうしたセラ、エッチな本を読み聞かせして欲しいのか?」
「それもなかなか良さそうね……でも違うわ、ねぇ、ユリナちゃんの火魔法の事を知ってる?」
「火魔法はまだ見せて貰っていないから知らないな」
「私もゾンビと戦ったときに一度だけ見せてもらったきり、だけどアレは普通じゃないわ」
「そんなに凄いのか?」
「明日見られるでしょ、それまでのお楽しみよ!」
普通じゃない火魔法か、明日は是非それを見せて貰いたい、そして勇者っぽい技だったら教えて貰いたい。
あとジェシカにおっぱい触らせて貰うの忘れてた……




