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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十九章 島国
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1235 集結

「……と、いうことなのです、あなたにはいずれ打ち明けて、仲間に引き込もうという作戦でもあったのですが、このような結果になってしまった以上、今ここで味方になって貰いますよ」


「そんなっ、どうしてそのようなことが……このマゾ狩り収監施設に……潜入なんてっ……はっ! ということはこのハゲはっ?」


「えぇ、ご主人様、もうハゲのおっさんクリーチャーのフリは続けなくて良いと思いますよ、というかそろそろ喋って下さい」


「……あぁ、この場においてだけなら良いだろうな、そういうことでよろしく、俺はハゲでもデブでもおっさんでもない、いずれこの神界を統べることになる大勇者様なんだよ」


「その姿はっ!? まさかクリーチャーでさえなかったとは……いえ、もうちょっと疲れてしまいました、今日だけで色々なことがあって、そして私の立場もすっかり変わってしまって……」


「大丈夫ですか? ほら、ここに座って下さい、このままだと倒れてしまいますよ」


「そうも参りません、そのうちに……ほら、来たようなのでハゲのフリに戻って下さい、別のハゲ……というかハゲに正体を見られますよ」


「おっと、危ない危ない……何しに来たんだあいつは?」



 遂に俺の正体を明かし、天使を完全な仲間に取り込んでいく作戦に出たのであるが、ターゲットが打ち明けられた内容につきショックを受けているうちに、廊下の向こうからハゲのおっさんクリーチャーがやって来てしまった。


 慌てて変装した姿、つまりそのハゲと同じようなハゲの状態に戻り、おっさん特有の悪臭も身に纏った俺であったが、どうやらやって来たハゲはこちらに用事があるわけではないらしい。


 ハゲが目指していたのは隣の、看破の女神と新たにドM収容者となった天使の独房であって、その中でも特に、天使の方を目的としているようだ。


 独房の前でピタッと止まったハゲが持っているのは手枷のようなもので、それが自分用であることを認識しているらしい天使は、すぐに両手を前に出して拘束され、そして牢の扉が開けられると、ハゲに連れられて廊下を歩いて行ってしまった。


 何かやるべきことがあるのか、そうも聞こうとした様子である看破の女神であったが、天使は連れ去られる際、30分程度で戻るというようなことを口にしていたため、余計なことを喋ったりはしない方が良いと判断したようである。


 ハゲに連れられた天使は廊下の角を曲がって見えなくなり、俺とルビア、看破の女神だけの、昨夜と同じ状態が戻って来た。


 だが現状は昨夜の、ここに来て初めての夜とは異なり、新たな仲間としてあの天使が加わりそうな勢いなのだ……



「良かったですねご主人様、あの天使の方、私達を手伝ってくれそうですよ」


「だな、ここの情報も、それからマゾ狩り団体の他の構成員の情報も持っていることだろうし、戻って来たら早速色々と聞き出してみようか」


「その前に……私の『担当者』は一体誰になってしまうのでしょうか? 彼女が私と同じラインに堕ちてきたということは、もしかすると当たらしいハゲのクリーチャーがこれから……というような悲惨な事態にはなりませんよね?」


「その可能性がないとは言えないが、少なくともあの天使はそうならないように取り計らうだろうよ、今も尾s楽連れて行かれた先で、主君である神が不利益を被らないように何らかの手立てを……みたいな感じだと思うぜ」


「そうだと良いのですが、まぁ、彼女が戻って来るまではまだわかりませんね、出来ればその……ハゲのフリだけしている勇者とやらのあなたが、私と彼女の監視もしている体になって欲しいのですが……」


「うむ、その方が余計な気を使わなくて良いからな、というか、新しく担当者みたいなハゲがここに常駐するようになったらそれこそヤバいぞ、排除しない限りこういう秘密の話が出来なくなるからな」


「ご主人様も24時間体制でハゲのフリを続けるのは無理ですものね、そんなことをしていたらストレスでホンモノのハゲになってしまいます」


「だな、じゃあもしハゲが、普通のクリーチャーがここへやって来て留まるノリで動き出したら、事故を装って排除するなどの手段で対応しよう、また次が来たらそれも排除だ、皆殺しにしてやるぜっ」


『うぇ~いっ!』



 などというところまで話を進めた後、これからすぐに戻って来るのであろうあの天使に対して、この先どういった態度で臨むべきなのかということを話し合っておく。


 まずはここまで、散々主君に迷惑を掛けたことに関する罰を与えなくてはならないのだが……もうドM堕ちしているため、それはそれで喜ばせるだけのような気がしなくもない。


 とはいえまぁ、罰としてお尻ペンペンぐらいはやっておかないとケジメが付かないということもあり、戻り次第正座させて反省の言葉を口にさせ、同じドMである看破の女神から直接のお仕置きを受けさせることと決定した。


 その後はもう、完全にこちらの味方キャラとして施設内、マゾ狩り団体内の情報を引き出すことになるのだが、それに関してもせっかくなので、拷問などしながら質問をしていくこととしよう。


 もちろんそれも喜ばせるだけになるのだが、やはり『ハゲのおっさんクリーチャーが収容されている者を責めている』という体裁を保つには必要なことなのだ。


 決して俺が個人的に、強気であったあの天使がドM堕ちしたのを良いことに、これまでの失礼な言動に関してもまとめて復讐し、そして服従させたいと思っているわけではない……と主張しておく。


 と、そこまで決定したところで廊下から足音が聞こえ、ようやく天使が戻って来たように思えるのだが……表情はこれまでと同じお堅い感じながらも、どことなく機嫌が良いように見えたので、何かことが上手く運んだ部分があるに違いない。


 その天使を連れたハゲは、看破の女神と同じ独房にそれを戻すと、その場に留まることはなくすぐに立ち去ってしまった。


 つまりそのハゲがここに常駐する新たな『担当者』というわけではなく、今のところそういった何かがここへやって来ることはないように見えるのだが……とにかく戻った天使から情報を聞き出し、また罰も与えていくこととしよう……



「……さて、色々と、もちろん今あったことに関しても聞きたいところですが……まずはそこに、床に正座して下さい」


「畏まりました、これまでのことは完全に私が悪いので、どうか厳しく罰して下さいませ神様」


「良いでしょう、それで、今はどこへ連れて行かれて、何の話をしていたのですか?」


「今はこのマゾ狩り団体の幹部である神様の所へ、どうしていきなりドM堕ちして収監されたのかなどについて根掘り葉掘り聞かれていました」


「むっ、マゾ狩り団体の幹部だと? どんな奴なんだ?」


「それはもう美しい女神……だと思われます、実は声以外聞いたことがなくて、他の幹部の方もきっとそうだと思いますが……」


「音声のみってことはどこかに身を隠しているってことだな、結界のことといい、相当に警戒心が高い奴等が団体の頭を張っている感じだな……で、そこで何か俺達に関して聞かれたのか?」


「はい、突如現れて凄まじい『M』の力を供給している神様と、それを捕まえてここに連れ込んだ優秀なハゲが存在しているということで、その隣に居た私達についても聞かれました……まぁ、そのハゲにお仕置き対決で敗北し、それが原因でドM堕ちしたことを正直に話しました」


「それで、その音声のみの神は何だって?」


「はい、そのハゲを私やこちらの神様、それからもうこのフロアにおいて好きなだけ、可能なだけのドMを担当させなさいと、そういう話でした」


「……つまりだ、それによって俺はかなり自由度が高まったというか……このフロアの中なら他のハゲを排除してしまうこともある程度は可能ってことか」


「チャンスですよご主人様、私達の世界の女神様を助けるチャンスですよこれはっ」


「間違いねぇ、こうなったらそこら中の女神に……というよりもここに掻き集めるべきだな、ちょっと狭くなるとは思うが、1ヵ所にまとまっていた方が色々とやり易いだろうよ」


「そういうことでしたらここ、開きますので、それっ!」


「うぉっ!? この独房同士を接続することが出来るのか……」



 立ち上がった天使がルビアの独房と看破の女神の独房を仕切っていた鉄格子のようであって、しかし神界の特殊な金属で作られた壁をガッと掴んで持ち上げる。


 まるでシャッターでも開けるかのように、そのままガガーッと天井に消えて行ったその鉄格子のようなものがなくなり、ふたつの独房は繋がって倍の広さになったのであった。


 もちろんこのふたつだけではない、戻って来たらで良いとは思うが、ロボテック女神にも事情を説明してさらなる接続を試みよう。


 そして俺達の世界の女神を反対側、今は空きになっている場所へ移動させて、そこも接続してしまえばかなりの広さを誇る『部屋』となるはずだ。


 その広くなった場所の真ん中に集まって、もちろんあまり怪しまれないようには気を付けるが、そこでなら作戦会議やその他諸々、ナイショにしなくてはならない相談なども堂々と出来るはず。


 さらに、それ以外の収容者も場合によっては集めて来て、仲間に引き込んだうえでこの施設自体の壊滅を目指して行動を始めることも、そこそこ容易になったに違いない……



「よしっ、じゃあ早速俺達の世界の女神を……っと、その前にそこの天使! お前は看破の女神にお仕置きして貰えっ、これまでのことを反省して、一旦リセットして新たな生活を始めるんだ、良いなっ?」


「へへーっ、では神様、どうかこの新しく雌豚になったゴミを罰して下さいませっ」


「そうですね、ではお尻ペンペン100回の刑とします、これから私達を管理してくれるこちらの大勇者様から、その無様な姿が良く見えるようにこちらへ来て下さい」


「畏まりました……ではお願い致します……ひっ、ひゃぁぁぁっ! きっくぅぅぅっ!」


「フンッ、まだまだドMとしては初心者のようだな、しかしこれからこの俺様が調教してやることになるわけだから、この施設が終わって、マゾ狩り団体のトップ連中の死体が外にでも吊るされる頃には、立派でどこに出しても恥ずかしすぎて目も当てられない雌豚に仕立て上げてやるぜ」


「ひぃぃぃっ! お願いしますぅぅぅっ!」


「さてと、じゃあルビア、俺は俺達の世界の女神を連れに行って来るから、この看破の女神とその天使にはちゃんと『教育』をしておいてくれ、ドMであって、しかも俺専用の雌豚としてのな」


「わかりました、ではえっと、とにかくベッドを真ん中に集めましょう、話はそれからです」


『うぇ~いっ』



 こうしてルビアだけでなく看破の女神、その天使をも手に入れた俺は、次のターゲット……ではなく、元々救助する予定であった俺達の世界の女神の下へと向かう。


 最初に確認してあった通り、その場所から移動などさせられることもなかったようで、女神は相変わらず担当者と思しきハゲのおっさんクリーチャーに鞭で打たれていた。


 必死になって抗議し、そのようなことは望んでいないと主張している女神なのだが、これをクリーチャーであるハゲの耳に入れたところでどうということはない。


 ただただ単調に、何の意思もなく神々を責めるというだけのことしか出来ない、そして雌豚に投げ掛けるべき一般的な言葉しか発することの出来ないハゲなど、所詮はその程度の存在であるのだ。


 それに関しては女神もわかっているはずなのに、やはり相当程度にイヤなのであろう、無駄とわかっている抗議をやめることなど不可能ということに違いない。


 で、そんな女神にもこの大勇者様たる俺様の救いの手が差し伸べられるときがきたわけであって、無言のまま、ハゲのフリをしたままその独房に近付くと、女神を責め立てていたホンモノのハゲはピタッと動きを止めた。


 そして黙ったまま、無表情のまま独房から出て来て、そこの鍵を俺に手渡すと同時にどこかへ……いや、窓に向かって歩き出したではないか。


 何をするつもりなのかと注視していると、どこからともなく取り出した別の鍵を使用して窓を開け、そこから真っ逆さまにダイブして……地面に叩き付けられ、グッチャグチャに潰れてダメになってしまったのである。


 しばらくすると窓は自動で閉じて鍵ももう一度掛かったようで、ハゲが飛び降りを図ってダメになったことに関しては、もうあったのかなかったのかさえわからない状況になっているのだ。


 要らなくなった、もう何も出来ることはないと判断したハゲのおっさんクリーチャーは、常日頃からこのようにして自らを『処分』しているのであろうが……これはあまりにも気色悪いことではないか……



「……落ちてしまったなあのハゲ……で、お前は大丈夫なのか女神?」


「えぇどうにか、しかし勇者よ、どうしてそのような格好で昨日から……」


「シッ、ちょっと大きな声を出すな、ここでは俺はあのハゲのおっさんクリーチャーと同じ存在であると偽って、激クサの体臭まで再現して誤魔化しているんだ、ここではまだ正体バレするわけにはいかないからな」


「それは申し訳ありません、ではこの中で少し事情を……え? その必要はないというのですか?」


「うむ、このまま俺達、というか潜入している俺とルビアが居て、ここで獲得した協力者も居る場所へ来て貰うから、怪しまれないように……そうだな、この首輪を嵌めて付いて来い、手も縛るぞ」


「わかりました……あうっ、女神であるこの私が勇者からこんな……何という屈辱なのでしょう、はぁっ、はぁっ……」


「お前そんなんだからマゾ狩りに狙われるんだぞマジで……まぁ良い、とっとと来い」


「はっ、はいぃぃぃっ」



 というわけで女神の救出……とまではいかないのであるが、とにかくハゲのおっさんクリーチャーから責められ続けるという、大変にかわいそうな状況からは脱出させることに成功した。


 そのまま廊下を進んで元の場所へ、接続した牢屋の反対側へと女神を放り込んだ後に、先程天使がしたのと同じようにその鉄格子のようなものを除去、こうしてさらに広い空間が完成したのである。


 女神にもベッドを持って来させ、これでさらにさらにナイショ話がし易くなったところで、看破の女神とその天使に女神のことを紹介し、また、俺が勇者として今の世界に来させられたのがコイツのせいであるということを、恨みを込めた表情で説明しておいた。


 そしてしばらく、作業に駆り出されていたロボテック女神が、ハゲに連行されるかたちで戻って来たため、そのハゲにも無言の圧力を掛けてやる。


 するとまたしてもハゲは同じハゲであるはずの俺に鍵を渡して、すぐに自分で開いた窓から飛び降りてその役目を終えてしまった。


 ロボテック女神には事情を説明しなくてはならないが、少なくともここに存在している他の神々や天使、アホなルビアとは違って、理解力というか洞察力がある者だから、特に長々と詳細を話す必要はないであろうといったところ。


 実際に、俺が鉄格子のようなものを持ち上げて部屋を接続したところ、何も言わなくてもベッドをこちら側に移動させ、中心に集まって会話をする感じのシステムに参加してくる。


 そして自分と俺達の世界の女神を見比べて、さらにルビアと看破の女神を見て、少しばかりお願いがあると言いながら控え目に手を挙げたのであった……



「え~っとですね、私達、ちょっとついさっきまでその……リアルハゲのクリーチャーにベタベタ触られていて……かなり汚れているのでこのままベッドトークに参加することは出来ません」


「あぁ、私もそうですね、少なくとも酸とアルカリのお風呂に交互に浸かって消毒をしないとなりません」


「それ、中和されて何にも意味がなくなるんじゃ……とにかくアレだな、汚いのは確かだし、一旦シャワーでも浴びてくれ、ちょうど風呂というかシャワールームも沢山あるからな」


「わかりました、じゃあちょっと私達はシャワーを」


「うむ、それからだ、ロボテック女神は明日もほら、その、何というか作業? に駆り出されるってことで良いんだよな?」


「私にはわかりませんが、もうここに来てから毎日であるのは確かです」


「きっとそういうことになっていると思いますよ、少なくとも私のところに入っていた情報では、捕まえた女神がかなりの有識者で、捕縛の際に代償として同志(雑魚)を1体失ったものの、それだけの価値はあったなどという話で……」


「ということだ、これまではずっと普通のハゲが監視していたんだろうが、明日以降は俺がその場に居てって感じだな、とにかくシャワーを早く浴びて来てくれ、引き止めて悪かったな」


「あ、はい、えぇ……」



「ちなみにご主人様、そうなった場合なんですけど……昼間の間は私達、ここで放置プレイにされてしまうということなんでしょうか? 暇すぎて腐ってしまいますよさすがに」


「日中ぐらいで腐ってんじゃねぇよ夏場じゃあるまいし……しかしそれはそれで問題でもあるような気がしなくもないな……よしわかった、明日以降、ここに居るメンツは全員ロボテック女神の補佐、という流れでその何だ? 結界維持装置? がある場所へ連れて行くこととしよう」


「そこで……手伝いなどをするということですかね?」


「手伝いというよりもアレだ、ルビアなんかは素でそうだと思うが、鈍臭いから失敗して、手伝うどころか破壊を……みたいな感じでやらかしていって欲しいと思っている、それで結界が弱体化したりするなら最高だ」


「なるほどメチャクチャですね、とても上手くいくとは思えないです……」



 などと最後にツッコミを受けてしまったのだが、とにかくこれからやるべきことは決まった。

 明日以降はそんな感じで、また適宜に仲間を増やすような行動を取っていっても良いかも知れない……

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