1224 覚醒トランスフォーム
「オラァァァッ! このボケェェェッ! そんなんで恥ずかしくないのか貴様ぁぁぁっ!」
「ひぃぃぃっ! ひぃぃぃぃぃっ! ひぎぃぃぃぃぃぃっ! どうかお許しをぉぉぉぉぉぉぉっ!」
「ちょっと勇者様、さすがに激しすぎないかしら? ゴーレムが過負荷でおかしくなっちゃて……踊り出したわよっ!」
「おっと、ちょっとやりすぎたな、すまないジェシカ、一旦休憩とする」
「ひぃっ、ひぃっ、ひぃっ、か……畏まりました、引き続きよろしくお願い申し上げますご主人様……」
「ダメだ、こっちもどうにかなってしまったようだ、気を付けないと敵とのバトルどころじゃなくなるな」
「まぁ、ジェシカちゃんは何か強いからすぐに元に戻るでしょうけど、ゴーレムは作戦の要で一点モノなのよ、大事にしないとならないわ」
「すまんすまん、以後気を付けるぞ……というかさ、一旦寝ておかないとヤバくないかさすがに?」
作戦の見直しをしたうえで、ゴーレムへのエネルギー充填を始めた俺達であったが、二番手のジェシカがヤバすぎて、どうやらゴーレムそのものが耐え切れない負荷に晒されてしまったようだ。
踊るのは充填を止めるとすぐにやめたのであるが、このまま再開すればまた同じことになり、そのうちに何らかの回路が焼けて暴走、さらには爆発を起こして……今溜まっているエネルギーでは何か起こるかさえわからないな。
生贄を捧げただけの通常のゴーレムでも、この神界人間の町ひとつ丸ごとを吹き飛ばすぐらいのエネルギーはあったはずだし、それの何倍も蓄積された今の状態は非常に危険だ。
きっとこの町どころではなく、かなり広範囲を破壊し尽くしたうえで、破壊を免れた地域にも何らかの影響が、おそらくは拡散した『M』によって人々がドM堕ちしてしまうなどの被害が出てしまうことであろう。
ということで一時充填を休止し、ジェシカは尻が真っ赤になったまま正座させてお仕置きの継続を宣告した後、既に順番待ちをしていたルビアにはストップを掛けておく。
自分だけお仕置きを受けられないことに、オアズケされてしまったことに対して抗議する超絶ドMのルビアであるが、この状態でルビアのMをゴーレムに伝えるのはかなり危険なはずだ。
ジェシカも相当なドMであって、測定装置が爆発してしまう程度のM数値は有しているのだが、神さえも取り込んだルビアのそれは桁違いのものなのだから……
「ということだ、ルビアはちょっと『待て』だからな、寝て起きて、俺達は回復してゴーレムは冷却されてからだ、じゃないと神界が滅びかねないぞこんなもん」
「残念です、せっかくハード極まりないお尻ペンペンを受けられると思ったのに……ですが、これについては明日の朝、利息まで付してキッチリして貰いますからそのつもりでお願いします」
「ルビアお前、それお仕置きされる側の態度じゃねぇぞ……」
「普段から強気でいきたいと思っているので、このぐらいは勘弁して下さいませ」
「・・・・・・・・・・」
というようなくだらないやり取りをしている間に、仲間達はなぜか儀式場の隣に設置されている、というかロボテック女神が亜空間を接続したのであろう風呂へと向かっていた。
無駄話をしていて取り残された俺とルビアもそれに続くようにして向かい、とにかく明日の夜頃やって来るという敵、マゾ狩りハンター神とやらの襲来に備えるべく疲れを癒す。
戻って来るとどういうわけか人数分の布団が敷かれていて、適当に場所を取ってそれへと潜り込む……残雪DXの分はないのだが、それはエリナと同じで構わないということなのであろう。
そのまま眠り、しばらく目を瞑っていると時間が経過したようで、同じように眠っていた仲間達が続々と目を覚まし始めた。
いつの間にか俺の布団の隣まで移動していたルビアはまだダラダラと惰眠を貪っているのだが、どうやら外の世界はもうとっくの昔に朝になっている様子。
それは魔どのような障壁をもって接続された外の空間が地味に明るいことからも明らかで、むしろ明るさ的には昼の様相を呈している。
まだ眠っていたいところであるが、仕方ないので起床してルビアも叩き起こして、ふと儀式場の中心に佇んでいるゴーレムの姿を見ると、その隣には残雪DXを装備したエリナが立っていた……
「おい、何やってんだエリナ? ゴーレムに落書きすんじゃねぇぞ、ガキじゃねぇんだから」
「あ、おはようございます勇者さん、というか、別にそんなことしませんって勇者さんじゃありませんし、これはですね、今回の戦闘で私達がもっとお役に立てればと思って……」
「もしかしてゴーレムに残雪DXを使わせるつもりなのか? 魔界の武器を神界で? 無理だろ諦めろそんなもん」
「いいえ、直接の装備や使用は不可能かも知れませんが……よいしょっと、こんな感じで私ごと装備して貰えばどうかなと……どうです?」
「ゴーレムの腕に腹這いになったスナイパーみたいな姿勢の悪魔……は馬鹿にしか見えないぞ」
「まぁ、それは仕方ないですが、ここに私を縛り付けて、何らかの刺激で『発射』するような機能を構築することが出来れば、それは最高じゃありませんか?」
「なるほど、エリナの頭を小突いたらそれが残雪DXに伝達されて攻撃を……悪くない考えだな、良く考えればエリナもそういうのを弄るのは得意なわけだし、ロボテック女神と相談して色々と決めてくれ」
「わかりました、ではその方向でやっていきたいと思いますので……ロボテック女神さんも起きたようですし」
エリナは新たな作戦を考案したようだが、その前に上手く皆の『M』をゴーレムに伝え、危険のないようなエネルギーの充填をしていく必要がある。
むしろ新たな攻撃よりもそちらに注力して欲しいところなのであるが……まぁ、それはそれでこちらが頑張れば良いであろう。
最悪の場合にはまた精霊様を呼び出して、M連中のMの発散を手伝わせることで、より効率良くチャージを済ませ、また精霊様の力で爆発などを抑えることも可能であるはずだ。
ということで続々と起床し、朝……いや昼風呂に行ったり食事の手配をしたりと様々な仲間達を眺めつつ、俺は優雅なひとときを過ごした。
……と思ったのだが、その前にルビア様から何かお話があるようだ、布団の上に座ったままの俺の前に正座して、無駄にヘコヘコと頭を下げているのが面白い。
「ご主人様、昨日配布されたゴーレムチャージ用の手枷は装備しました、お仕置きして下さい」
「まぁちょっと待てって……というかさ、何かゴーレム、このままでもちょっとほら、アレじゃないのかパッと見……」
「……恐ろしいですね、さすが神を、私の友であるドM雌豚尻の神を取り込んでしまった存在、ゴーレムと接続しただけで、その溢れ出すMの力がエネルギーとなって……普通に凄い勢いでチャージされています」
「だってよ、これで尻でも引っ叩いたらどうなるってんだ? ちょっと軽くぺしっと」
「あうっ、もっとお願いしますっ!」
「こっ、これはっ⁉ なんというエネルギー、なんという良質でかつ濃密なMなのでしょうかっ! たったそれだけのムーブで充填バーが1本以上もっ!」
「おう、良かったなルビア、何かわからんけど凄いってよ」
「フッ、この私にとっては造作もないことです、さぁ、もっとハードに責めて下さいっ!」
「あっ、待って待って、ちょっと危ないんで待って下さいっ、それ以上やると何が起こってしまうか……」
「大丈夫だろ、オラ反省しろこの雌豚がぁぁぁっ!」
「ぶっひぃぃぃっ! ぶひっ……あら? あの……ホントにちょっと待って下さい」
「何だよ? もしかしてもうギブアップとか、そういうことを言うんじゃねぇよな? まだまだこの尻が呼んでいるぜっ、この……何なんだこのゴーレムの動きは……」
「トランスフォーム……を始めているような気がしませんかこれ? どういうことなのでしょう、私にさえサッパリわからなくて」
ふざけてはいたものの、そこそこ加減して遊んでいたように思えるのだが、それでも何やらおかしくなってしまったゴーレム。
その石人形のような見た目がガシャガシャと音を立てながら徐々に変化して、どういうわけか内側から現われた合金的な光り輝くボディーの、ロボロボしいロボへとトランスフォームし始めたのだ。
もちろんこんな機能を搭載した覚えは、ロボテック女神にもなければこのゴーレムに関する記録にもないとのこと。
説明書にも書いていないし、何やら裏コマンドで発動する隠しモードが、ここにきて初めて明るみに出たような、そんな感じの現象なのではないか。
というかどこの世界でも、たとえこの神界であったとしても、『戦闘用ロボ』というものの見た目は変わらないのだな。
以前俺達が俺達の世界で『物体』と戦った際に創造した変型合体ロボが独特なのであって、通常は建物を掻き集めて組み合わせたものをロボとはせず、この30m程度の高さの金属製のものをロボとしているらしい。
で、見ているうちに変型は終わり、もはやゴーレムは単にゴーレムと呼ぶべきではない形状、それこそ主人公が搭乗していてもおかしくない姿に……いつの間にかCHING-CHINGが復活しているではないか。
そしてそのCHING-CHINGがニュニュニュッと伸びて、さらにその先端が開いて何か操縦席のようなものが現れたのだが、そこには既に前任者らしき影があった……
「おいっ! パイロットが出てきたみたいだぞっ! ゴーレムを組み上げたときにはそんなの乗せてないだろうにっ?」
「いえ良く見て下さい、これパイロットじゃなくて人型であって人でない何かです、こんなモノをパイロットとして……あ、コレたぶんパイロットじゃないですね」
「どういうことだ? いつの間にか取り込まれてしまった何かだってのか?」
「そうでもありません、これはそもそも人として動くために作られたものではなくて、むしろその人であるということが無駄なものとして抽出され、ゴーレムによって『排泄』された、そしてそれが具現化されたものであるということです」
「……良くわからんのだが、つまりはこの人間ってのがゴーレムにとって一番不必要なモノであって、それを形にしてションベンとして排泄して……どうなるんだそれで?」
「創り、造り使う人間を超えた、創造主の命令を介さずに本当に自分の意思だけで動くこと可能なゴーレム……いえAI搭載ロボの完成ということです、そしてこれは……」
「あっ、いやぁぁぁっ! 離してっ! いきなり何すんのこの変なっ! さっきまでゴーレムだった何かっ! ちょっとパンツ取らないでっ、ひぃぃぃっ!」
「……これはこうやって暴走して、いきなり無関係なマーサを襲い出すようなシロモノなのか……ヤバくねぇか?」
「どうでしょうか、ひとまず事態の推移を……あ、奪ったパンツ食べちゃいましたね、とんでもない変態AIのようです」
「たぶん学習したのが皆から抽出された『M』に乗っていた情報だからだろうな……」
変形してカッコイイ感じのロボになったと思いきや、次は人間らしき姿の何かを勝手に排泄物としてパージ、さらには自律行動でマーサを襲い、そのパンツを奪って食べてしまったゴーレム。
しかもパンツを奪われたマーサに対して、その巨大な手で掴んだまま嘲笑うかのようにスカート捲りを繰り返すなどやりたい方題である。
しばらくして諦め、大人しくなってしまった、もうどうにでもしてくれという感じになってしまったマーサからは興味を失い、今度は……なるべく被害に遭わないよう、隅の方に隠れていたユリナを狙った。
逃げるユリナ、だがこんな場所で、しかも大切なゴーレム……であった何かを相手に大暴れするようなことも出来ず、結局マーサ同様にガシッと掴まれて持ち上げられる。
ちなみにマーサはパンツを失ったままの状態でポイッと捨てられ、マリエルにキャッチされたうえで新しいパンツを支給されたので問題はない。
で、新たに捕まったユリナに関してなのだが、パンツは奪われないまでも尻尾を持ち上げられて、何やらその付け根を観察されている様子。
本人もそのことに気付き、顔を真っ赤にして恥ずかしがっているのだが、同時にもう大人しくされるがままになるしかないということにも気付いているらしい……
「く……屈辱ですの、お尻を引っ叩かれたりその他お仕置きされるならまだしも、こんなにまじまじと尻尾の付け根を……あうっ、触らないで欲しいですわっ、はうっ……」
「ユリナ、すまないがしばらく我慢してやってくれ、ゴーレムの今の行動の意図を探りたい」
「わかりましたの、ちょっと触られて気持ち良くなってきて……そうじゃないですわっ! とにかく我慢しますのよ」
「おう、まぁそのうちに解放されるだろうからそれを待つんだ」
「というかどうしちゃったのかしらね? どうしてこんなことしているのか、まるで見えてこないんだけど」
「そうだなぁ……もしかすると子どものように様々なことに興味を持って……みたいな感じなんじゃないのか?」
「子どものように興味を持って、最初にすることがマーサちゃん捕まえてパンツ奪って食べることなの? さすがにヤバいわよその子どもは」
「確かに、だがそうやってこの世界の、神界の情報をさらに取り込んでいるのだとしたらそういうことなんじゃないのか……っと、ユリナもポイ捨てされたな、次はセラ、お前の番みたいだぞ」
「あちょっとっ! ひぃぃぃっ!」
「むっ、私の方も見ているようだが……あっ、そんな抓んでっ」
今度はセラを掴んだと思えば、ほぼ同時に少し離れた場所に居たジェシカを抓み、ヒョイッと持ち上げてしまった。
そしてセラの方もジェシカの方も、並べるようにして地面に置いて、どうやらその触り心地を確かめているらしいのだ。
具体的には並んで立たせた2人のおっぱいを交互に撫でるなどして、どうしてそのサイズ感に大きな隔たりがあるのか、同じ種族なのにどうしてこうも違うのであろうかということを知るべく、確認をしているのであろう。
そして2人の真ん中に、またしてもヒョイッと抓んだマリエルを並べて……どうやらサイズ順にしているようだな、なかなか学習が進んできたではないか。
また、3人をそのまま並べたままにして、今度は先程パンツを剥ぎ取ったマーサと、ゴーレムがこのようなことになる元となったルビアを自分の前に運び、うつ伏せに並べて比較しているようだ……ちなみにマーサの新しいパンツはまた剥ぎ取られている。
遊びというかゴーレムのエネルギー充填で尻を引っ叩かれて少し赤くなっているルビアと、パンツを剥ぎ取られただけなので真っ白な状態のマーサ、その違いに関して検討しているに違いない。
その後もいくつかの『調査探求』を経て、ゴーレムはようやく仲間達を掴んでは調べるという行動を停止した。
しばらくフリーズしていた、いや情報を処理していたらしいゴーレムが再び動き出した際には、もはやかなり発展した知能を有していたのである……
『……人間、神、それらについて理解した、これまでの情報、そしてここで得た実物の調査結果によって、人間、神の特徴とその行動パターンを把握した』
「……え~っと、あの、あなたはもう直接の命令とかなくても、自分で考えて行動して、私達の役に立ってくれるということでよろしいのですか?」
『……神、ロボテック女神なる神、そうである、人間、神を理解したため、これよりその直接的な指令を受けず、使用者である人間、神の意に沿う行動をする』
「じゃあさ、具体的に何かやってくれよ……たとえばコイツだ、俺達の世界の女神なんだが、コレが喜ぶことをしてやってくれ」
「勇者よ、自分の世界の神をコイツとかコレとか言うのはちょっと……」
『……良い、コレ、即ちこの神を喜ばせる』
「ほら変な言葉を覚えてしまって……えっ? ちょっとどうして持ち上げるのですかっ? そういう調査はさっきもう終わったと、パンツを剥ぎ取るのもっ!」
『……人間、神、いずれにも言えることは暴行を受けて喜ぶということ、この神に同じ、こうする』
「ひぎぃぃぃっ! いきなりこんなロボにお尻を叩かれるなど、あってはならっ、ひぎぃぃぃっ! やめなさいっ、やめて下さいっ!」
『……拒否する、しかしこの反応は喜んでいるとみなされる、引き続きコレを喜ばせる』
「そっ、そんなぁぁぁっ!」
「……かなり歪んだ性格のAIになってしまったな、学習失敗だろもうこれ」
その後もメチャクチャな行為を繰り返すゴーレム、というかロボであったが、そんなことをされて喜ぶようなドM連中が、神々やインゲンのっスタンダードであると思い込んでしまっているのが実に悲しい。
本当はこのようなケースなど稀であって、通常の神々や人間がここまでされれば、確実にブチギレして訴訟に発展するような案件である。
やはり狭い世界の情報のみで学習を進めさせるとこのようになってしまうのかと、もっと外の世界で、一般的な情報を得ればこのようなことにはならなかったと、そう後悔してももう遅い。
このゴーレムロボはこの路線で性格というか考え方というかが確定してしまったのだから、もう諦めて『こういうものである』という扱いをするしかないのだ……
「こまったゴーレムね、こんなのじゃ私達は良くても表には出せないわよ、特に他の神様とかにこんなことしたとしたら……あっ」
「どうしたセラ? 何かに気付いたのか?」
「だってさ、他の神様にもこういうことしちゃうってことは……」
「……おぉなるほど、そういうことか」
「逆にチャンスかも知れないわよこれ」
「うむ、ならばこのまま『学習』を続けさせよう」
事情を知らない、そしてドMでもない外部者、もちろん神を含むそれに対してもこのような振る舞いを見せてしまうであろうゴーレムであるが、それが敵に向かったらどうなるのかというところでもある……




