1207 最後のパーツ
「おぉっ、このお肉とかの引換券、全部冒険者ギルドの中にお店があるみたいですっ、フードコートってやつですよっ!」
「良かったな、じゃあ俺達はあの連中を捜し出すための手続きとか何とかを……と、その必要さえなかったようだな、あそこを見てみろ」
「マッチョ4人パーティーが居るわね、凄い存在感だし……それと一緒に変な奴も居るみたいだけど、アレは何かしら?」
「神界にまともな奴が居たためしがないんだが……アレはなかなかだな、きっと変態仲間なんだろうよ、全員ズボンの前が破けているし」
「そういえばあの食べているの、私達があげたオヤコドンなんじゃないかしら? それで変態仲間達のその、何というかそれを蘇生させて……みたいな?」
「気持ちの悪い連中だな……で、女共はここには居ないのか、ひとまず奴等との話をすべきだな……よぉお前等、元気してんじゃねぇか」
『あっ、あなた方はっ!』
俺達がダンジョンの最深部を目指していたということを知っていて、それではまだ当分戻って来ることがないであろうと予想していたらしいマッチョ4人パーティー。
こんなにも早く帰還したことに驚き呆れ、目を丸くして筋肉をピクピクさせながら驚いているのだが、その気持ち悪さときたらもう殺してしまいたいぐらいだ。
で、ちょうど俺達が討伐し、そして与えてやったオヤコドンの死体の一部……というかあの場で全部喰らっていたようにも思えたのだが、とにかくそれの一部を持ち帰り、ギルド内に設置されたフードコートでさらに仲間に分け与えているところであったらしい。
変態仲間達の中にはまだ股間が光り輝き、それが蘇生したばかりであるような雰囲気の者も見受けられるのだが、変態が伝染すると困るので目を合わせないでおこう。
同じ変態でも、単に筋肉が発達しすぎて気持ち悪いというだけのこのマッチョ4人組のパーティーはマシな方なのだ。
そのすぐ向かいに座っている奴はガリガリの貧相なボディーで大剣を持ち、野郎なのにエッチなビキニアーマーを装備している。
そして更に隣に目をやると、というか見たくはないのだが目立ってしまってどうしても視界に入る野郎。
腋毛も脛毛もツルツルの状態で、股間の部分だけは剛毛でキッチリ隠している……というか全裸の男だ。
そんな連中ばかりのテーブルはかなり目立っており、フードコートはかなり込み合っている……のではなくCHING-CHINGを失って死亡した馬鹿共の死体が安置されていたりするのだが、周りのテーブルには誰も座っていない。
そんな変態共に対し、かなり親し気に話し掛けている俺が変態の仲間に見られてしまうのではないかということもあって、話の方はなるべく簡潔に、事務的に済ませた方が良いようだ……
「でさ、お前等変態共を助けてやった俺様……てか仁平だな、神々に対する感謝と、恩に報いるための行動を取るときがきたのは理解しているな?」
「もちろんだとも、このモヒカンマッチョ以下マッチョパーティー、さらにオヤコドンの親子丼を分け与えた変態の仲間達、全員ぜひ神々の役に立ちたいと話していたところだ……たとえそれが他の神々の利益に反する、重罪として裁かれる行為であったとしてもな」
「そこまでわかっているのであれば良い、それで、一緒にダンジョンから脱出したエッチな女戦士と貧乳女魔法使いはどうしたんだ?」
「あぁ、彼女達ならアレだ、失ってしまった装備と、それから今回のダンジョンアタックで稼ぐはずだった金銭がどうのこうのと言っていてな、このギルドの奥でバイトをしているらしい」
「というと……フードコートの厨房の中か?」
「そっちじゃない、あのバケモノにトレジャーをやられて、我々のように助けてくれる、オヤコドンの死骸を分けてくれるような変態の仲間も居なくて、残念ながら孤独に寂しく死亡してしまった非変態連中の死体洗いとかそういう業務だ、時給がとんでもなく高いらしい」
「ちょっと待ていつから俺が変態仲間になったんだ? てかギルドの奥……あっちのカウンターの向こうか……死体が運び込まれているから間違いないな」
「死体っていうか、あの人まだちょっと生きてませんか?」
「まぁ、そのうち死ぬから先に処理しておくんだろうよ、死にそうな奴なんてその扱いで十分ってことだ」
「とにかく私達も行ってみましょ、そっちならこんな変態と一緒には思われないでしょうし、助けた女の子からちゃんとしたお礼もされるはずだわ」
ということで一旦薄汚い変態の変態による変態のブツ蘇生記念パーティー会場を離れ、エッチな女戦士と貧乳女魔法使いが働いているというギルドの奥を目指す。
もちろん受付のお姉さんに制止されるのだが、こちらが神々を伴い、しかもダンジョン管理者であったデブでハゲの神をブチ殺した強者であるという事実を告げると、青い顔をして快く道を開けてくれた。
何やらどこかに通報しているようだが、どうせたいしたやつは出現しないであろうといったところ。
むしろ俺達の所に上位者を派遣してくれれば、それと『交渉』をすることによって色々と話が前に進みそうだ。
で、奥にあった階段を降りて地下へ、どんどん死体が運び込まれている、本来は食肉を解体するために設けられたのであろう石造りの地下室へと移動すると……頭に手ぬぐいを巻いたエッチな女戦士が、ビキニアーマーを上だけ装備したまま働いていた。
下は相変わらず布で隠して……いや外に出てから購入したのか、その装備は少し大きめのバスタオルに変わっている様子。
もちろんそれでも尻が半分はみ出しているのだが……あまり気にする様子もなく、そして周りの作業従事者もそんなことに構っていられる風でなく、気にされることなく仕事を続けていた……
「お~いっ、大丈夫だったかお前等……というか女魔法使いは?」
「あなた方はっ、あぁ、彼女ならちょっとこういうパワー系の仕事には向いていなくて、ひとつ向こうの部屋で事務処理を」
「そうなのね、それで、この仕事はいつ終わるのかしら?」
「可能であれば私達、私のような神々を擁するホモだらけの仁平一派の手伝いに従事して欲しいのですが?」
「これは女神様、直々にこんな薄汚い、雑魚神界人間の死体ばかりの場所へおいでになって、ですが今回の件での死者はおよそ500、その犯人、というかあんな危険なバケモノをダンジョン入り口付近に移動させた悪のゴミも見つけて討伐しなくてはなりませんし、かなりの時間を要することかと」
「その悪のゴミなら……まぁ、ちょっと知ってはいるがお前等に教える義理はないな、神々の秘密のうちであるから、余計な詮索はしない方が良い」
「それよりもこっちの仕事、明日までには終わって私達に合流して欲しいところですわね、ちょっと色々と手伝って欲しいこととかがありますの、具体的には……まぁ、それは後で伝えますことよ」
「へへーっ、畏まりました、えっと、神々の従者で……何かちょっと悪魔っぽい方……というか会ったときから思っていたのですが、この方とそれからそちらの……どう見ても悪魔ですよねこのビジュアル……」
「エッチな女戦士よ、女神であるこの私が直々に命じます、余計な詮索はしないように、それから神界人間の死んだものなどどうでも良いので、適当に身元を特定したり洗ったりということをして、適当に焼いて遺族のような適当な者に渡しなさい……例えばこの死体、名前はきっと『たかし』ですね、35歳の独身で、もちろん無縁仏です、誰も引き取りに来ないのでその辺のドブにでも流しておきなさい」
「なんとっ、そんなことまでわかってしまうとは……さすが女神様です、余計な詮索はしませんし、仰せのままに処理致しますっ」
「よろしい、では私達は超高級ホテルに戻りますので、そこの住所を教えて差し上げます、今夜までに来るように」
「へへーっ! 女魔法使いにも伝えておきますっ!」
腰に巻いたバスタオルがバサッと捲れるほどの勢いで土下座したエッチな女戦士は、そこからは本当に言われた通り、かなり適当に死体の処理を続けていた。
そして俺達が地下から出た際に、ギルドの建物の裏に流れているドブの方から『たかしーっ!』だの、『どうしてこんなひどい仕打ちをっ』だの、『何でたかしが死んでドブに……』だのという悲嘆にくれた叫びが聞こえてくる。
どうやらあの女神が適当に決めた死体は無縁仏などではなく、この町の住人でかつ普通に親族が居たということだ……『たかし』という名前が合致していたのは地味に凄いことだが。
で、そのまま宿に戻ろうと思った俺達だが、その前にひとつやっておきたい、というか依頼しておきたいことがあった……あの変態共にだ。
あんなビジュアルのキモいバケモノ共だというのに、この町で平然と暮らしていて、しかもギルド併設のフードコートで食事をするぐらい認められている変態共。
つまり奴等は有能で、この町で冒険者をしている神界人間の中でもそこそこ出来が良い方だということ。
そうなると奴等にやらせるべきは、先程入手したゴーレムの動力炉の組み立てではなかろうか。
それと、まだフードコートで遊んでいるカレン、リリィ、それから付き添いだとか何だとか言って自分もサラダボウルを注文しているマーサの3人を忘れて帰るところであった……
「おい変態共、ここでの俺達の用事は済んだんだが……ひとつ、お前等だからと思ってお願いしたいことがある」
「ほう、ちなみにマッチョ4人パーティーである我々以外は……」
「ガリガリビキニアーマーの我は武器防具職人である、主に金属を取り扱う、しかもこの格好でだ」
「長袖着ろよな危なっかしい、で、そっちの股間モジャモジャは?」
「私はこの町でホビーショップを営んでおります、ちなみに最初は全身ツルツルだったのですが、子どもも来店するんだからせめて股間は隠せと忠告を受けましてな、このような暑苦しい格好になてtしまったのです、あぁ股間が蒸れて痒い」
「お前はこっち寄んなよ絶対……だがホビーショップ経営か、1分の1スケールのゴーレムなんかはどうだ? 50メートルぐらいのやつとか」
「そのぐらい、私の店では毎日のように出ていますね、かなりの金持ちとか、天使様や神々が庭に置く彫像の代わりにお買い求めになっております」
「なるほど使えるな、他は……」
他の変態共も馬車の客車を作る職人、左官職人、なぜか俺が前に居た世界のどこかの国で発行された旋盤のライセンスを持っている変態など、使えそうな連中ばかりであった。
先程のホビー屋に色々と触らせたくはないため、奴を現場監督として、この町の、俺達が宿泊している宿の前でゴーレムの動力炉を組ませておくこととしよう。
そして完成後、それを転移させて拠点の町で作成している本体と合体させて……あとは最後のパーツ、ゴーレムのCHING-CHINGをどうにかするだけだ。
ここからはその話をして、さらに色々と急かしてしまったもののまだ用途が決まっていないエッチな女戦士と貧乳女魔法使いに何をして貰うかなどを決定するため、俺達は宿へ帰ることとした。
フードコートで大量の土産、というか本日の夕食……いやまだ昼食の時間か、それを確保してから、適当に走っていた金持ち神界人間の馬車を奪って帰路に就く。
戻った宿では連泊の予約をしていなかったため、俺達の部屋にはもう次の客の予約が入ってしまっているとのことであった。
だが仁平の恐怖を知っている、知らされてしまったスタッフやオーナーは、すぐにその客をキャンセルさせる手続きを取ってくれたので問題ない。
一旦女神の部屋へと全員で移動し、適当に抓めそうなものを抓みながら、先程ゲットして来た様々な書類等を机の上にバサッと広げる……
「コレがメインの文書ですね、ゴーレムの……その、アレなモノについての記載があります」
「ちなみに女神、アレなモノというのはどんなもののことなんだ?」
「それはその、えっと……」
「使えねぇ奴め、おいドM雌豚尻の神、言ってみろ」
「はいっ、CHING-CHINGになりますっ!」
「よろしい、ケツをブッ叩いてやるからこっちへ来い」
「はいっ、この変態のゴミに対して厳しい懲罰をっ! ひっ、ひぎぃぃぃっ! きっくぅぅぅっ!」
「また活躍したら同じことをしてやる……で、女神、それこそこの文書には何が書いてあるんだ?」
「そうですね、基本的には安置場所であるダンジョンがどこそこにあって、それから……コレに関しては組み立ての必要がないとのことです」
「というと?」
「えぇ、コレは既に組み上げられた状態で、それのみを動作させてドリルのように地面を掘り進んで……あるときどこかへ消えてしまったと、そしてその穴の調査に向かった神々が、なぜか魔界で邪悪なる組織に殺されて……などということがあったようです」
「……もしかしてそれ、ゴーレムのCHING-CHINGを単体で稼働させて地面を掘ってダンジョンを創造しようとしたら、誤って俺達の世界の魔界まで貫通してしまったということか?」
「そうとしか思えない状況です、よってコレはその、もはや魔界に存在しているものであると……どうします諦めます?」
「誰が諦めるかよっ、この間もちょっとほら、井戸みたいなのから魔界へ攻め込んだんだ、今回も突撃してどうにかしようぜ」
「は、はぁ……」
余り気乗りしない様子の女神であるが、それ以外の全員はもうやる気満々で、出立の準備を始めている気の早い仁平も居る。
たとえ魔界にそれが行ってしまったのだとしても、こちらには魔界に関しての知識もツテもあるわけだから、最悪の事態に陥っても助けは来るに決まっているのだ。
堕天使さんと堕天使ちゃんとでは少し戦闘力不足になるかも知れないが、疫病をレジストする魔界の女神や、あと何と言っても死神が、もはや俺達の配下として使われている状況にあるのだから。
というかもう1匹何か……そういえば最初から絡んでいた悪魔大好きの魔界の神が居たな。
だが奴の力ではもう何もすることが出来ない、この後絡まれても面倒なので、機を見てグループから削除してしまおう。
今の魔界における情報源と、俺達の言うことを聞く……進んで聞くのかどうかはわからないが、鞭やその他の恐怖によって聞かせることが可能な最大のキャラは死神だ。
とにかく神界のどこかにあるというゴーレムのCHING-CHING……によって掘り進められた穴を伝って魔界へと移動し、そこで目的物をゲットしてサッサと戻る。
さらにその持ち帰ったそれをゴーレムの本体と、そろそろ建造が始まっている動力炉と合体させて、完成品のゴーレムを……何に使うのかもう忘れてしまったな。
まぁ、とにかく今はあと数日の間にそれをゲットするのが先決事項であるから、今日の夜ぐらいにはこの地を発って、次のダンジョンであるその穴へと向かうこととしよう……
「え~っと、じゃあ夕食後に出発して、可能であればその魔界へと続く穴? の前で1泊するってことで良いわね……結局このホテル、無駄にしちゃったわね」
「そんなの構わないさ、俺達のために無償で協力出来たことを、むしろ後々仁平の世の中になったこの神界で誇ることになるだろうよ」
「そうだと良いんですけど……それで、もうひとつの議題ですが、あのエッチな女戦士さんと貧乳女魔法使いさんには何をして貰いましょうか?」
「それだよな、本来であれば時間に余裕が出来たところでエッチな踊りと酌でも提供して貰おうと思っていたんだが……そんなに暇じゃないよね今?」
「当たり前だぞ主殿、エッチな踊りであれば私やルビア殿が提供するので我慢しろ、それで……やはりあの2人には連絡係が適切な役目なのではないかと思うのだが……どうだ?」
「確かに、冒険者みたいだからどこの町に居ても不自然じゃないし、私達が指定した場所に滞在して貰って、そこで情報収集……もちろん危険のない一般的な面に限るけど、それからこっちへの伝達をして貰うのが一番ね」
「うむ、じゃあ今夜夕食を共にしつつその話をしておくこととしよう、それから……あとはまぁ、なるようになるか今のところ」
「そうね、とにかくアレよ、その穴とやらへの移動と、その先のことは見てみないとわからないし、今考えても仕方がないわ」
「じゃあ会議はこれにて終了だ、何か気が付いたことがあったら……どうした仁平?」
「ちょっとトイレ行って来るわよぉ~っ」
「……行っトイレ」
「ちなみに『ジャンボ』の方なのよぉ~っ、臭っさいのかまして来るわねぇ~っ」
「ジャンボって何だよ……」
とまぁ、そんな感じで会議も終わり、明らかに隣の、仁平が使用している部屋から漂ってきたとんでもない臭いから逃れるようにして女神の部屋を去った。
ここは完全に汚染され、二度と使用することが叶わなくなってしまったため、食事は辛うじてその汚染を免れている、もちろん数日後には激クサの地獄になってしまうのであろうホテル1階の食堂を使用することとしよう。
急速に悪臭の被害が広がり、廊下には避難を始めている神の姿がチラホラ見受けられたが……既にこと切れている神々もあるようだ、これは大変な事件、いやテロである。
で、大騒ぎの中上階が完全に閉鎖されたホテルの前に、夕食のためにやって来たエッチな女戦士と貧乳女魔法使いに事情を説明し、1階の食堂にて話をする。
2人共神々の手伝いはキッチリやってくれるということなので、これでようやく目立たない、神界人間の協力者であって見た目が可愛い者をゲットすることに成功したのである。
あとはその穴とやらから魔界へ移動して……どうせそこでは魔界の主敵、ホネスケルトン神一派との戦いになるのであろう。
というか奴等とこちら、神界の主敵であるババァ神は繋がっていて……ということはまた後程考えるべきか……




