表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/89

 6月20日 ワタクシとヒゲの配属面談(2.1k)

は【人材活用上手】だったのだ」


 【貢物みつぎもの】と一緒に到着した人員を小屋の前の広場に横一列に整列させて、ロイがまた変な事を言い出した。


 私は私専用の大きめの椅子に座って、到着した4人の男を見る。

 ユグドラシル王国軍の制服を着た二人、スーツを着た一人、作業服を着た一人。

 軍の制服の二人の嗅いは覚えがある。


「君達は、これからの部下として活躍してもらう。まずは、自己紹介をしてもらおうか」


「ロイ。その前に私から挨拶があるわ」


 ザシュ ズバ ベキ グシャ

  ドカーン ベシーン

   シュゴォォォォォォ


「うわぁぁぁぁぁ! ジーン!」

「アォォォチ! イブよ、いきなり何をするのだ!」


 軍服姿の1人をズタボロの丸焼けにしてやった。

 ロイは広いオデコに冷や汗を浮かべてる。

 残り3人は丸焼けを見て真っ青だ。


「軍服姿のそこの貴方あなた。彼がこうなった理由を説明してみなさい」

「わ、私達は何も……」


貴方あなた達がここにあった村に初めて来た時、私、あの井戸の中に居たの。現場を見てはいないけど、臭いは覚えてるわ」

「!!」


「自己紹介と、前ここに来た時、何をしたか教えて頂戴」


「自分は、ユグドラシル王国軍のデニム軍曹であります……。えー、以前この地に来た時にー、【獣人】の根絶作戦として、村を始末する任務をですね……」


 真っ青になって震えながら白状した。

 それを見てロイも冷や汗をダラダラ流してる。


「大事な集会の準備をしていた村を吹っ飛ばして、救助隊のフリして村に入って、無抵抗な村人を惨殺してたわね」

「ハイ……」


「しかも、そこの黒焦げは、上官の命令に逆らって、亡骸に何度も銃撃してたわね。これは、上官が責任を問われる事案よね?」

「……私の指導不行き届きです。申し訳ありません」


 シュゴォォォォォォ 「ギャァァァァァァァァァ!」


 ドサッ


 丸焼け2体目完成。

 次行ってみよう。

 残り二人は会ったこと無いから、どんな人か楽しみだ。


「次、スーツ姿の貴方あなた。自己紹介と、志望動機を教えて頂戴」


「あー。私は、カミヤリィと申します。首都で議員をしておりましたが、政治家という立場の限界を悟りまして。新しい時代を作る仕事の一環として、この地の復興に携わる仕事に志願しました」


「ヤー……。良い動機だ。議員をしていたというなら、この国の内情にも詳しいだろう。その経験を活かして、と共に、この地から世界を立て直そうではないか」


「えーと、ロイ様でしたっけ、この可愛らしいお嬢さんは、娘さんですか?」


 ドカーン  ヒュルルルルル  ドボーン


「……ため池に落ちたか……。イブよ。何故吹っ飛ばしたのだ。彼もこの地で何か狼藉をしていたのか?」

「私を子供扱いするからよ」


は、成人の娘が居てもおかしくない歳だぞ。娘と聞かれても子供扱いとは限らんのじゃないか?」

「何を言われたかは、受け取り側が決める事よ」

「イブは厳しいな……」


 最後の一人。作業服姿の男。

 なんか、ガチガチに緊張してるけど、どうかな?


「最後の貴方あなた。自己紹介と特技と志望動機を教えて頂戴」


「僕はロクリッジです! 魔法は使えませんが、魔法応用技術の開発が特技です! 魔力応用兵器開発の罪で投獄されていましたが、先程のカミヤリィ議員に連れ出されてココに来ました!」


「魔力応用技術か、それは興味深いな。の研究の手伝いをお願いしたい」

「ハイ! 僕で良ければ喜んで!」


「魔法は使えないと言っていたが、魔法が使える研究の助手のようなものは居たのか?」

「居ました。一時期一緒に研究していたヨライセンと」


 ドカーン  ヒュルルルルル バサバサバサバサ バキバキ


「……林の方に落ちたか……。イブよ。今度は何が気に入らなかったのだ」

「聞いたら世界が終わるわ」

「そうか……」


「なんか、だれもいなくなっちゃったわね」

「人材の扱いが少し荒いのではないか? 部下は大事にするものだぞ」


「人材育成は最初が肝心なの。逆らったらいけないってことを一番最初に教えるのが大事だって、昔ダニラって人に教わったわ」

「またダニラか。若い娘にことごどく間違ったことを教えおって……」


「じゃぁ【人材活用上手】のロイは、どうやって部下を束ねてたの?」

「ヤー……、見せしめのために人前で叱責したり、時には粛清とか、してたな」


「間違ってないじゃないの。ロイは人に何かを言う前に、自分の行動を思い返した方がいいと思うわ。ロイ自身は間違ったことは何もしてないんだから」

「そ、そうか……。イブがそう言うなら、そうなんだろう。これから気を付けるとしよう」


「この丸焼け二人を治療するから手伝って頂戴」

「治療って、これで生きとるのか! 治せるのか!」


「当然でしょ。死なせてしまったら人材育成にならないもの。身体は動かなくても意識が残る程度に手加減してるわ。ちゃんと話は聞いていたはずよ」

「イブは、優しいな」

●オマケ解説●

 熊の習性。

 敵とみなした相手は臭いで覚えている。

 命を救ってくれた恩人を覚えているなんて逸話もあるけど、それはつまり、恨みのある相手を記憶しておく能力も持っているということで……。


 【貢物みつぎもの】と一緒に送り込まれた人員。

 デニム曹長、ジーン二等兵、カミヤリィ議員、ロクリッジ技師長。

 到着初日に手厳しい教育を受けてしまった。


 元・総統閣下も部下には厳しい自覚はあったけど、いろいろ超越した物を目の当たりにしてスルーを覚悟した模様。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
エヴァ嬢、死なない程度に丸焦げにしてたとは!!(笑) 村を襲った相手なので、ヤっちゃったのかと思いました。そこにはちゃんと理性が働いてたんですね。 その辺り、実はヨライセン君との関係で芽生えたものなの…
[気になる点] あれだけのことをされていてもイブ嬢(エヴァ嬢)がヨライセンに仕返しをしかけようとせず、「会いたくない」で済ませているのは、その性格のせいか、好きの反対が無関心だからか、「会ったら何をす…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ