WIZARDWARE魔法戦記「ソフトウェア魔法VS.影の王」 (完)
作者さま:くら智一
キーワード:ファンタジー SF 魔法 プログラミング バトル 研究
あらすじ
上空に浮かぶ「影の王」の輪郭――敵の大きさは直径50メートル。目覚めるまでの期限はあと12年。武器は「魔法研究所」が開発を続ける魔法弾のみ。主人公は独創的な発想で魔法を拡張し、強力な運用を可能にしていくが……?
感想
なかなかに独特の雰囲気がある作品。ソフトウェア(C言語プログラミング)の仕組みを適用しているらしいですが、知識がなくても純粋に魔法の進化として楽しめます。
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魔法弾を変数と考えてください。配列の場合は、魔法弾を集めた一塊に相当します。単純に『変数』を用いた場合、ひとつひとつが単発で存在しているため関連性を持たせることができません。従来の魔法弾放出の仕組みです。しかし、『配列』は内部に魔法弾が順序正しく並んでいます。右腕に魔法弾を蓄積することによって作り出した魔法弾の『配列』に対し、手のひらから外へ放出するという命令を一度に与えることができます。
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10個の魔法弾を連結させた炎の光条は、1部隊から2本ずつ10部隊から一斉に放たれて計20本を数えた。
火をつけた弓矢などおもちゃに見えるほどの破壊力、貫通力のこもった赤い矢じりが何本も大草原をつらぬいた。地面と水平に直進する帯の数々は真っ赤な絨毯を思わせ、過ぎ去った後に残る残像は北方の世界に存在するというオーロラを連想させた。
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魔法の進化、そして運用法の進化。新しいアディアが出てくるたびワクワクドキドキですね!
独特な魔法運用法のおかげで戦闘シーンは個性的。バラバラに戦う・個性を活かすという方向性ではなく、いかに良いシステムを作って大人数を効率的に運用するのか。
戦場の描写は迫力も満点です。大人数による戦いになるため割と派手に人が死ぬ。明るい圧勝は無く、1つ1つの戦いで犠牲が出て重苦しい。
人間関係の描写も丁寧。何というか、「主人公から相手のキャラはどんな風に見えているか」って部分がリアリティある感じ? 主人公の感情が上手く書けているため周りのキャラにも存在感と厚みが出ています。
終わり方は賛否両論のようだけど、SFとして見れば広がりと余韻のあるすごく良い締めだと感じました。実にSF的。
アイディアの面白さ・文章力・ストーリー展開、どの要素もレベルが高い作品でしょう。
状態:完結
文字数:175,049文字
個人的高評価ポイント
◇ アイディアが良い!
作品URL
小説家になろう https://book1.adouzi.eu.org/n3486ec/
カクヨム https://kakuyomu.jp/works/1177354054885487128




