浪費者-スペンダー
情報の海に生じた世界。幻想の世界において、人々は際限なく力を、その「極端」を求める。
持てる全ての能力、戦略、戦術、あらゆる「力」を駆使し、最強のゲーマーの座をかけて戦士たちが、集う。
あるところに傲慢な少女がいた。
彼女の父は世界富豪番付で上から数えたほうが早いほどの金持ちだ。「無線送電技術」の特許取得・開発者の愛娘だ。彼の父が与えた技術への貢献は計り知れない。
技術革命とも呼ばれている。
世界中の電化製品からコード、ケーブルが消えた。携帯電話は充電の必要が無くなった。
電気自動車は給電の必要が無くなった。パイプラインさえ整っていれば、電力はケーブルなしで供給され続ける。
ナイツオブワンダーランドのシステムにも一役かっていると言われている。
さらに言えば彼女の父はコズミックフロントの出資者でもある。
彼女の父は技術者としては優秀だったが、親としてはまるで駄目だった。
彼女の父は娘を甘やかして育てた。
おかげで彼女はとても我がままな少女に育った。
金さえあれば全て手に入る。これは彼女にとって不変の真理であると、彼女本気で信じて疑わない。
彼女はこれまで、何一つ不自由をしたことがない。
勉強も運動も恋人も金があれば大抵なんとでもなる。
一流の家庭教師を雇い、一流の学術を学ぶ。
生体改造による脳のメモリー増幅で記憶力も向上している。
もっと言えば、テストの答案を買い取ればいい話でもある。
運動も同様。
一流トレーナーが着いているし、脳の反応速度を上げる生体改造もしてある。
後は記録者を買収すれば世界新記録だってだせる。
男共は黙っていれば皆勝手に言いよってくる。掃いて捨てるほどだ。これに関してはなんの努力もいらない。
そんな彼女は移り気が激しい。これまでに様々なことにチャレンジしてきたがそのどれもが上手くは、いかなかった。
何故なら彼女は努力ができないからだ。なにをやっても続かない。
そんな彼女の今一番のお気に入りといえばナイツオブワンダーランドだった。
必ずや金の力で王座を勝ち取って見せる。そう息巻いていた。
ナイツオブワンダーランドはというと、比較的、システム面でも課金ユーザーに甘いことで有名だ。
何せ、作っている会社がコズミックフロント社。拝金主義、資本主義の申し子のような会社だからだ。
作成段階で膨大な額を投資しているからには、それを回収しなけらばならない。
つまり彼女にとって有利な舞台は整っている。
今回のKOGは案外つまらない結果に終わるかもしれない。




