学生会の愉快な仲間たち その3
少し時間が掛かってしまいました。
進行が遅いとのツッコミが入りましたが、それには私も同感です。
もっとスムーズにいきたいんだけど、何故か横道に逸れちゃうですよねぇ……。
ちゃんと注意して頑張ります。
誤字脱字の可能性大です。
そんな訳で、やってきました闘技場。
「ふふん。どうだい? この闘技場はボクら役員専用の施設でね。素晴らしいだろ?」
自慢気なバ会長。凄くムカつくけど、闘技場が結構な物だと言う事には同意する。
「確かに広いな。十人に満たない役員の為にあるとは思えん」
闘技場の広さは小学校の校庭程。役員の数からすれば、はっきり言って広すぎる。
これと似たような規模の専用施設が他にもあるのだから、学生会がどれだけ優遇されてるのいるのかが分かろう物だ。
「まあ、激務の所為で専用施設は殆ど使ってないのが現状なんだが……」
「駄目やないかい」
それじゃあ宝の持ち腐れだろ。
「そういう訳で、この模擬戦は腐らせていた施設の活用と、役員の気分転換を兼ねている」
バ会長の言った通り、観客席には部屋にいたメンバーが座っていた。
「仕事は?」
「構わない。そろそろ皆限界が近かったし、気分転換でもしないと作業効率が落ちる」
「けど一人足りなくね?」
死に体だった人がいないんだけど。
「ルラ君か……彼女は休ませてやって欲しい」
「……寝かせてやれって事ね」
詳しく訊いたところ、今日で徹夜三日目だそうだ。栄養剤か何かを差し入れしてあげようと心に誓う。
「さて、そんじゃあ始めますか。気分転換なんだろうけど、そこまで時間掛けられないんだろ?」
「ハッハッハ! 確かにそうだな! 戦いにおいて言葉は不要! 全ては血風の中で語り合おうじゃないか!」
「何か訊いた事あるぞその台詞」
オカマか? オカマなのか?
「それではサラ君! 審判を頼むぞ!」
バ会長に名指しされ、サラさんは溜息を吐きながらも前に出てきた。
「全く……。これより、ヒバリ君対バ会長の模擬戦を始めます。片方が気絶、降参、審判である私が戦闘不能と判断した時点で終了します。過剰な攻撃は処罰の対象となりますので、双方留意しておくように」
模擬戦のルールを確認し、サラさんは手を上げ、
「それでは、始め!」
その言葉と共に振り下ろした。
それと同時に、バ会長がバックステップで距離を取る。
「ふっ、ではお手並み拝見といこうじゃないかっ!」
言葉と共に放たれたのは、無詠唱での【ウィンド・カッター】。
「へえ」
無詠唱。学生でこれを使ってくるとは、少し意外だった。しかも数が多い。
「一、二……合計六つか。やるね」
飛んでくる風刃を全て避けながら、バ会長の技量の高さに感心する。
そしてそれは、バ会長の方も同じだったようだ。
「ほう……今のを簡単に避けるか。流石はBランク冒険者」
「それはこっちの台詞だよ。腐ってもAランクか」
今の攻撃。単純な攻撃だが、使われたのは無詠唱に同時発動。更に、相手がどう避けるかまで織り込まれた時間差攻撃。
どれか一つを取ってしても、一流と呼ぶに相応しい。
「ふっ、まだまだこれからだ!」
そう言いながら、更に十発。下級魔法だが、威力だけなら人の首を落とせるだろう。まあ、俺の場合は当たったところで無傷だろうけど。
「とは言え、当たってやる義理も無いか」
刃の突風と形容しても良い連続攻撃。それを俺は、ヒラリヒラリと紙一重で躱していく。
格の違いを叩き込むなら、態と被弾しても良い。だが、それだと直ぐに終わってしまう。気分転換の側面がある以上、早く終わらせ過ぎるのもヨロシクない。
「中々巧く躱すじゃないか! ならこれはどうだい!」
放たれたのは広範囲に渡る衝撃波。効果からして中級の【ウィンド・ショック】だろう。確かにこれなら避けるのは至難だ。
「けど甘い」
ガンッと地面を足で叩くと、目の前の地面が隆起し壁となる。
衝撃波は壁へと当たり、そのまあ壁を崩す事無く霧散した。
「甘いのはそっちじゃないのかい?」
声は直ぐ後ろから聞こえてきた。土壁によって俺の視界が阻まれた瞬間、魔法による強化を使って背後へと回り込んできたのだ。
「そうでも無いねっ」
振り向きざまに、迫り来る銀の鋒を手で払う。その流れで当身を放つが、素早いステップで避けられた。
そのまま会長は距離を取り、手で短剣を弄びながら息を吐く。
「ふぅ、今のであわよくば仕留める、最低でも一撃は入れるつもりだったけど、捌かれるどころか反撃までされるとは思わなかった。メルト君がべた褒めする訳だよ」
「そっちこそ。学園最強なんて呼び名は伊達じゃないみたいだな。機動力と言い、短剣捌きと言い、後衛職の腕じゃない」
先ほど近接戦も一流と言ってたが、なるほど自分で言うだけはある。近接戦だけでも、十分上位冒険者クラスだ。
「それを言うなら、危なげなく全て防いだキミもだろう? ああも容易く防がれては、学園最強として立つ瀬が無いのだけど」
「それはまあ、相手が悪かったと思って諦めな。これでも直ぐに勝たないように、ちゃんと手加減してんだぜ?」
「それは恐ろしいな。だが、そうは言っても捌くだけでは勝てないぞ? その手加減とやら、今直ぐ止める事をお勧めする」
自信満々な笑みを浮かべながら、バ会長は舐めた事をぬかす。
自身があるのは結構だが、こっちからすると溜息しか出ない。
「………はぁ。ったく、人の好意を何で無碍にするのかね?」
溜息と共に出てきた言葉は、呆れが八割、理解不能が二割。
曲がりなりにも学生会の会長という立場上、一般生徒に瞬殺されてはマズイのでは思い、折角最初の内だけ互角を演じてあげているというのに。
何故自分から不利な状況に持っていこうとするのか。
「ふっ。如何に模擬戦と言えど、これが尋常の戦いである事には変わらない。ならば決められた範囲で全力を尽くすのは当然の事さ!」
「………だから俺も全力を出せと?」
良いの? 全力出したら直ぐ負けちゃうよ? というか下手したら死んじゃうよ?
「そんなに心配しなくて大丈夫だ! 安心したまえ! ボクが胸を貸そうじゃないか!」
「……何で胸を貸されないといけないんだよ」
むしろ貸してる側だぞ俺。
「ふっ、ボクは学生会会長だからね。生徒の悩みを解決するのも仕事の内だ!」
…………わっつ?
「………は? 悩み? 俺に?」
「そうだ。お互いにウォーミングアップの段階だったとはいえ、先ほどのまでの戦闘でキミが並々ならぬ実力者である事は疑いようもない。同世代の中でも頭二つは飛び抜けているだろう。それ故に、キミは悩みを抱えているのだろ?」
「………続けて」
「キミの悩み、それは孤独だ!」
「………」
「「「「………」」」」」
時が止まった。
………うん、この人は一体何を言っているのだろう?
ちょっと俺じゃ理解出来ないので、俺よりも彼の事を理解しているであろう人たちに訊く事にする。
「えーと、さっき会った私ではバ会長殿の言ってる事が一切理解出来ないのですが、私よりも遥かに付き合いの長い役員の方々に伺います。あの馬鹿は何を言っているの?」
助けて学生会。
「申し訳ないけど、私はバ会長の事を理解出来ないの。というかしたくないの」
「ヒバリ君は動物の考えを理解出来るの?」
「バ会長と同じ思考回路をしてる訳ないじゃない」
「その人の考えてる事が直ぐ分かったら、俺たちは苦労していない」
全滅ですか。そうですか。
「なら質問を変えます。あの馬鹿は頭に蛆でも湧いてるの?」
答えて学生会。
「ええ」
「恐らく」
「多分」
「と言うか、何も入ってないんじゃね?」
なるほど分かった。つまり理解しようとするだけ無駄って事ね。
という訳で、本人に訊いてみた。
「何故俺が孤独を抱えてるなんて妄言を吐いたのか、詳しく説明しろ」
「そんなに強がらないで良い。自分が孤独を抱えていると認めたくないのだろう? だが安心したまえ。ボクも同じ経験がある」
したり顔で何トンチンカンな事言ってんだコイツ。
「いいから早よ」
「周囲と隔絶した実力を持った者は、常に孤独を抱えている物なのだ。他人を傷つけないように気を配る必要があり、しかし周りの人間には妬まれ、実力が違う所為で距離を置かれる。まるで自分が異物になってしまったかのような感覚。同じ強者にしか分からない感覚故に、共感出来る物は少ない」
もしかして、漫画とかで偶に出てくる強者故の孤独ってやつの事を言ってんのかな? なるほどなるほど。うんうん了解ゴメン全く分からない。
「取り敢えず、バ会長殿は俺がそんな糞くだらないセンチメンタリズムに浸る人間に見えんの?」
「恥ずかしがる事は無い! 同世代では弱過ぎて、全力を出せなかったのだろう? 傷付けてしまいそうで怖かったのだろう? だからこそ、色々と理由を並べて、ボクの攻撃を受けるに徹していたのだろう?」
「全部違う」
「安心したまえ! ボク相手にそんな遠慮は要らない! 学園最強と呼ばれるこのボクが、キミの全力を受け止めてみせよう!」
……ダメだコイツ話し聞かねえ。
「………もう良いや。気分転換とか付き合うの止めたわ」
「ヒバリ君ストーーップ!!」
指をコキリと鳴らした途端、灰猫先輩が叫びだしたが聞こえない。
「最後に訊くけど、本当に良いんだな?」
「会長逃げてーーー!!」
「勿論構わーー」
「なら良かった」
台詞は最後まで続かなかった。というか、続けさせなかった。
「いっぺん吹っ飛べ」
何か言い切る前に、一瞬で距離を詰めて腹に拳を叩き込み、そのまま観客席まで殴り飛ばす。
ーーズドン。
遅れてやってきたインパクトの音。
「あら、本当に強いのね」
「「「…………」」」
観客席にめり込んだバ会長を見て、役員の殆どが硬直。サラさんだけは気にしてない。
「勝者、ヒバリ君」
「ヴィクトリー」
「「「会長っーーー!?」」」
淡々と勝敗を告げるサラさん。大して嬉しくなさそうな俺。そしてダッシュでめり込んだバ会長の救出に向かうアクアマリンや灰猫先輩+α。何この差。
「それじゃあさっさと撤収するわよ。仕事もまだあるし。ヒバリ君も一緒に来てね」
「ういっす」
「サラさんちょっと冷静過ぎですよ!?」
「バ会長がどうなろうが興味無いもの」
ドライ過ぎない?
「ヒバリ君! 私、怪我させないでって言ったよね!? 会長、完全に伸びてんだけど!!」
「だって後悔しないって言ったから」
ちゃんと警告はしたよ?
「なあコレ死んでないよな!? 客席に50センチぐらいめり込んでんだけど死んでないよな!?」
「手加減はした」
大丈夫。これでも手加減のスキルはMAXだ。その辺りは抜かりない。
「ほら皆、早く戻るわよ。そんなの置いてきなさい」
「駄目に決まってるからね!? このまま放置は流石に無理だからね!?」
「………だ、……だい、じょう……ぶ、だ。あん、し……ん、してく、れ…たま……ガフッ」
「わぁーー!? メルトさん会長が血ぃ吐いた!」
「遊んでないで早く来なさい貴方たち」
「だから何でそんなドライなのサラ!? ちょっ、アクアちゃんとマッド君、会長早く引き抜いて保健室!」
「早くしてくださいねー」
「原因が何言ってんのこの馬鹿ーー!!」
何も聞かなかった事にして撤収した。
「………やっと、見つけた」
そして戻って来ました学生会室。
「計算終わりましたよー」
「早っ!? ちょっ、え!?」
「良いから。灰猫先輩、次の書類ください。それとアクアマリン、ココとココ、誤字と計算間違い」
「アクアマリン言うなっ! って、マジで!?」
「おいこの書類も頼めるか!?」
「はいなー」
学生会室を、慌ただしく役員たちが動き回る。
闘技場から戻って来た俺は、保健室送りとなったバ会長に代わって、学生会の手伝いをしている。
怪我させた責任を取って貰うという、灰猫先輩との約束を履行してる訳だ。
まあ、仕事の内容は雑用が殆どで、誰にでも出来る仕事だけを任されているのだが。
「ヒバリ君、この予算案のチェックお願い!」
訂正。簡単な仕事だけ任せられていた。
「おいヒバリ! 薬品関係の備品の目録何処置いたか分かるか!?」
「さっき破棄書類の山に紛れてたの抜いといた。そこの棚の上だ」
「マジか!? あっぶね助かった!」
「この魔法連盟の予算、どうにも計算合わないんだけど! ねえ何処か間違ってる!?」
「えっと……あ、ココから下全部ズレてるな」
「ふにゃぁぁぁ!?」
「サクラギ! 過去五年までの武闘大会に関する会議の議事録纏めて!」
「自分でしろ」
「私の対応だけ酷くない!?」
「嘘。暇だったから纏めておいた。一応、過去七年分まで。これが屋台、これがエキシビジョン、そんでこっちが工程表」
「仕事早っ!? でも助かった!」
何故だろう? 最初はだだの雑用だった筈なのに、ほんの数分で総括みたいな立場になってんだけど。
「貴方、バ会長よりも会長らしいわよ?」
「不本意ながら同意しますわ……」
おっかしいなぁ? 最初は本当に雑用しかやってなかったのに。
「あのやり取りが余計だったわね」
「ですよねー」
全くだ。
因みに、サラさんの言うあのやり取りとは、
『灰猫先輩。その書類、それじゃあ計算合いませんよ?』
『え? ……あ、本当だ。ありがとヒバリ君。けど、そこから良く分かったわね? 全然見えないでしょ?』
『目が良いんで。それに、そのぐらいの量ならチラ見で暗算イケます』
『へー。じゃあちょっと問題出して良い?』
『良いですけど、仕事もしないと駄目ですよ?』
『分かってるわよ。それじゃあーー』
こんな感じでゲームをやっていたら、俺の計算能力の高さに灰猫先輩が目を付け、
『……ヒバリ君、ものは試しでこの書類やってみて』
『………俺は構いませんけど、学生会的に大丈夫なんすか? これ費用関係の書類ですけど』
『駄目に決まってんでしょ!? 何やってんですかメルトさん!』
『流石にそれは認められないわよメルト』
『良いから良いから! 責任は私が取るし』
と、反対する二人を押し切り、俺に書類をやらせ、
『終わった』
『早っ!?』
『嘘言うな! まだ二分も経ってないわよ!?』
『……けど、確かに終わってる。それにちゃんと釣り合いも取れてる』
『ヒバリ君! 次はコレ!』
『はぁ……』
とまあ、こんな経緯で会計の書類を幾つか回され、それを処理してる内に他の役員も俺の処理能力の高さにあやかり始めたのだった。
アクアとサラさんだけは、役員以外に仕事をやらせるなんてと渋っていたが、それも最初だけ。凄い勢いで減っていく処理の山の誘惑には、真面目な二人も勝てなかった。
「溜まりに溜まった書類がみるみる減ってくのを見るとねー」
「処理し終えた量だけで、普通なら二日か三日は潰れますよ多分。それでやっと三分の一とか………」
下手なブラック企業より余程酷いぞ。七人で回す量じゃない。
「ヒバリ君がいて助かったわー。私たちだけじゃ、今日も徹夜する事になっただろうし」
「驚きの処理能力ね」
「驚きで済まして良いんですか……? ノールックですよ? 普通に顔見て話し合ってますけど、ソイツ書類を全然見て無いんですよ!? しかも両手で二つの書類を同時にやってるし!」
そんなに驚く事かね?同時並行で作業するなんて、ちょっと練習すれば出来るのに。
「いや出来ないから。キミ、ちょっと自分の能力自覚した方が良いよ?」
「灰猫先輩なら出来るでしょ? 二刀流なんだし」
「二刀流は一切関係無いわよ。はい、後これもお願い」
いや、左右の手を別々に動かせるんだからイケると思うんだけど。
てか、
「今更で悪いんすけど、俺頼まれ過ぎじゃない? 正規の役員じゃないのに、仕事し過ぎじゃない?」
「……本当に今更ね。別に良いじゃないの。キミは全然余裕そうだし、私たちは助かるし」
「役員じゃない奴が、ここまで仕事をやっちゃって大丈夫なのかと訊いてんだけど。今まで処理した書類の内容、全部憶えちゃったんだけど」
「キミ、本当にスペック高いね……」
褒めるな褒めるな。
「で、どうなの?」
改めて訊くと、灰猫先輩は目をザバンザバン泳がせ、
「………まあ、大丈夫かと訊かれれば……アウト、かな?」
やっぱりアウトか。
「一応、重要書類の類は回してないけど、普通の書類でも十分アウトね」
サラさんが軽く補足してくれた。
裏付けも取れたので、事の発端にジト目を送ってみる。
「……しょうがないじゃない! ヒバリ君が優秀過ぎるのが悪いのよ!」
この灰猫、責任転嫁しやがった。
抗議の意味も込めて、更に無言でジト目を送り続けると、灰猫は目を逸らしながら一歩下がる。
「………」
「………」
「はいはい、二人ともそこまで」
俺たちの無言の応酬に、サラさんがやれやれと言った感じで間に入ってきた。
「メルト。ヒバリ君は手伝ってくれたのよ? 貴方が言い出した事なんだから、冗談でも人の所為にしないの」
「……ゴメンなさい」
正論を言われ、シュンとする灰猫先輩。
その姿にサラさんは苦笑を浮かべながら、こうも続けた。
「まあ、貴方だけじゃなくて、仕事を回したアクアたちや、黙認した私も同罪ではあるのよね。処罰を受けるなら全員一緒だから、安心なさい」
「「「ちょっ!?」」」
心配無いと言いたげなサラさんに、他のメンバーが目を剥いた。
「いやいやいや! それ安心出来る要素無いですから!?」
「そうでも無いわ。確かにこのままだと全員不祥事って事になるけど、それを回避する方法はある」
その一言に、灰猫先輩はハッとする。
「そっか! ヒバリ君が学生会に今入ってくれれば!」
「そういう事。これなら万事解決するわ」
なるほど。入るという前提で仕事を回した事にすれば、研修などの言い訳は立つ。実際、外部の人間が誰が仕事を熟したのかを知る術は無いのだし、後は如何とでもなる訳だ。
手段としては最善に近いだろう。が、この手には一つ問題がある。
「……でも、ヒバリ君が首を振ってくれないのよね…」
既に言ってあるが、俺はタダで学生会に入る気は無い。俺がメリットを感じない限り、この手は成功しないのだ。
その事が嫌という程に分かっている灰猫先輩は、俺に向かって頭を下げる。
「……ヒバリ君。キミに仕事を手伝わせた挙句、こんな事を言うのは勝手だと思うけど、私たちを助けると思って、どうか学生会に入ってください!」
「嫌」
「即答!?」
情に訴えかけても駄目です。
「……本当に駄目?」
「駄目」
「皆も頭を下げるから」
「そもそも自業自得」
「……うっ、そんなぁ……」
「役員になったら、行事のレクリエーションは全て一任するわ」
「良いよ」
「良いの!?」
という訳で、ヒバリ、学生会入り。
理由は次回。
次辺りで話しが動き始め……ると良いなぁ。




