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見張り

えーと、この辺りで旧タイを撤回しようと思います。


誤字脱字の可能性大です。

「ちぇー。何で俺がこんな事」


「自業自得だと思うわよ」


「同感」


「うるせー」


パチパチと弾ける焚き火を囲み、俺と鞘と杯のメンバーは談笑していた。


話の内容は、もっぱらさっきの反省会の件だ。


「そんなにマズイ事したかねー? 唐辛子ぐらいで………ポリポリ……何を慌ててるやら」


俺が呆れながらそう呟くと、キャロライナ・リーパーを直に喰らったザックとベンが反論してきた。


「何言ってんだ! アレ本当にヤバかったんだぞ!?」


「あんな兵器が唐辛子とかふざけてるだろ絶対!」


「とは言ってもねぇ……ポリポリ………アレ一応は唐辛子だし、兵器なんて言ってるけど、実際はめっちゃ辛いってだけだし」


まあ、その辛さが常人には命取りな訳なんだが。


「んな事言うんだったら、お前も実際に喰らってみろや!」


「そうだそうだ! そんな訳分からんツマミ食ってないで、あの唐辛子擬き食ってみろ!」


ザックとベンがそう主張する。


「お、良いなそれ!」


「偶にはお前もイタイ目見やがれ!」


他の奴らもそれに便乗し始め、ヤンヤヤンヤと騒ぎたてる。まあ、それでも寝ているであろうメンバーに気を使っているので、普通に静かな訳だが。


と言うか、コイツら何言ってんだ?


「さっきから食ってるじゃないか」


「「「「………は?」」」」


「いや、だから今食ってるのがキャロライナ・リーパー」


袋の中から赤い実を取り出して見せると、全員がポカンと口を開けて停止した。


「………そい」


開いた口目掛けてキャロライナ・リーパーを投げる。


「「「「どわぁっ!?!」」」」


モン◯ン並みの緊急回避が行われました。


「何しやがるヒバリ!?」


「いや、全員口開けてたから、食べたいのかと」


「んな訳有るか死ぬわ!」


えー、割と美味いのに。


「ポリポリ……案外いけるべ?」


「無理無理無理!」


全力で首を横に降る一同に、俺は肩を竦める。


そんな中、杯のメンバーの一人が落ちたキャロライナ・リーパーの拾う。近くで見つめた後、涙目で他のメンバーに頷いた。


「…………多分、マジもん。と言うか、ここからでも涙出る。持ってる手もちょっと痛い」


目を凝らして見つめると、そいつの手が僅かに赤くなっていた。


これは調理する際に防護服が不可欠なキャロライナ・リーパーが凄いのか、それともそんな代物を持って少し手が赤くなるだけの冒険者が凄いのか。微妙に判断が困るな。


「いや、一番凄えのはそれを何事も無く食ってるお前だよ……」


「「「「うんうん」」」」


そんなもんかね? いや、俺も暴食の大罪刻印がなきゃ遠慮したいけどさ。


「食べると意外に美味いんだよね……ポリポリ……特にピリリとした刺激が」


辛いのってハマると病みつきになるからさ。


「食う? 美味えべ?」


「だからいらんって!」


そりゃ残念。


「んぐ………たく、何で見張りなんて面倒な事」


キャロライナ・リーパーを食べ終わり、溜め息を零す。


「そりゃ、お前が真面目にしてなかったからだろ」


「そうそう。あんな唐辛子擬きじゃなくて、普通に助けてりゃこんな事にはなって無えよ」


そうそうと他のメンバーも頷いた。既に冒険者ギルドの連中には、俺の実力の一端が知れ渡っているので、俺が補習を真面目に取り組んでいない事はバレてるっぽい。


「つーか、お前さっきよく平然と嘘吐いたよな。アレ、他の生徒さん達は兎も角、メルトは絶対疑ってたぞ」


ザックの言うアレとは、灰猫先輩に昼間の行動が最善手だったかを問われた事だろう。


「いやいや、あの時はアレしか出来なかったって」


「嘘だな。お前の魔法ならあの坊主が怪我する前に全てのグレイウルフを仕留められたし、あの距離なら普通に走っても間に合っただろ」


駄目元で誤魔化してみたが、やはりこのメンバーには通用しなかった。まあ、別にコイツらには隠す必要も無いから良いんだけどさ。


「はぁ……ったく、アイツらには言うなよ。灰猫先輩とタイソン先生は薄々勘付いてそうだけどさ」


いや、ミカヅキも結構怪しいか?


「つーかよう、何であんな事したんだ? 普通に助けてやりゃ良かったじゃねーか」


「言ったろうが。グレゴリウスの仕置きだ。それに、俺が真面目に動いちゃ補習にならんだろ」


俺がそう言えば、全員が納得とばかりに頷いた。


「あー、確かに実力が違い過ぎるわな」


「危なくなっても絶対大丈夫なんて甘い事考え始めたら、補習の意味が無えもんなぁ」


「だからあの時誤魔化したのね」


ちゃんと理解してくれたようなので、全員に内緒にしておくように言い含める。


「アイツらには広めんじゃねーぞ。マジでヤバくなったら助けるけど、それ以外じゃ基本的に動く気無えから」


「いや、隠すも何も、もう三人ぐらいは勘付いてるだろ」


「具体的な事話すなって事だ。こう言うのは薄々と、ってのが一番良い」


そっちの方がもしもの時に動き易い。普段は頼って良いのか分からなくて、ヤバい時には矢面に立っても何も言われない。そんな立ち位置が理想だ。


「そんなもんかねぇ? 既にSランクを倒したってバレてんだろ?」


「まあな。けど、それも祭りの延長線上みたいに話したし、普段の態度も有って半信半疑だろ。そうだなぁ……予想されてもAランクぐらいじゃないか?」


それぐらいなら許容範囲だろう。Aランクぐらいなら、成れる奴は成れるのだから。


と言うか、そう言う風に勘違いするように行動した。まあ、思い付いたのはギルド辺りだけど。


「かーっ! ったく、お前も食えねえ奴だなぁ」


「行き当たりバッタリかと思いきや、ちゃんと考えてる事は考えてんのね」


「普段の態度は、実力を隠すフェイクって訳か。油断ならねえなオイ」


いや、関心してるとこ悪いけど、行き当たりバッタリなのも否定しない。


俺が内心で頬を掻いているのを知らず、ザックが任せろと胸を叩く。


「つまり、ヒバリは俺たち側って訳だ。なら、フォローは任せろ」


「ああ、一緒に生徒さん達を見守ろうじゃないか」


「ん、そりゃどうも」


何がどう分かったのかは知らんが、フォローしてくれるなら有り難い。


「じゃあ、俺は向こうで寝てるから、さっそくフォロー頼むわ。日が昇ったら起こしてくれ」


「待てい!」


っち。


「それとこれとは話が別だ! 見張りの仕事はしっかりやれ!」


「いーやーだー! ダルい面倒眠い退屈やりたくないー!」


「そ、そこまでかい………」


鞘のメンバーにドン引きされているが、関係無い。嫌なモノは嫌なのだ。


「大体、見張りなんてしなくても、何か近いてくれば分かるだろ」


「んな訳あるか!」


「未熟者。俺なら100メートルはいけるぞ」


「それはお前や一部の人外だけだアホ!」


「うん、だから俺は寝てても大丈夫」


「良いからやれ!!」


えー。






で、夜中。時間にして十一時ぐらい。光源が焚き火と夜空の星ぐらいしかないので、周囲はそこそこに暗いです。


そんな中、焚き火によって映し出される二つの影。一人は体格の良い男性、もう一人は


「………なぁ、何度見ても思うんだけど、どうなってんだその服? と言うか何で熊?」


そう、熊である。正確にはパンダである。現在の俺は『パンダさん一式』の着ぐるみ形態なのだ。


着ぐるみ形態の俺とザック。それが今夜の見張りの組み分けだ。


「これ、モコモコで凄い着心地良いんだわ」


「………いや、確かにモコモコだけど。何で熊? 魔物が横にいるみたいで落ち着かないんだが……」


「失礼だなザック」


誰が魔物だオイ。パンダ可愛いじゃねえか。至近距離だとそんなでも無いけど。


「着ぐるみって言ったら、熊とネズミとリスと犬とアヒルだろ」


「いや、全く分からん」


まあ、異世界で夢の国のネタは知らんか。


「まあ、実際便利なんだよコレ。着心地良いし、常に適温だし、無駄に防御力高いし。後は姿隠すのに便利」


全身着ぐるみだから中の人は見えないんだよな。


「………いや、そこまで特徴的だと、逆に特定し易くね?」


「さあ?」


「さあ?ってお前な………」


呆れるザックだが、スルーする方向で。


焚き火に時折小枝を放り込んでいると、なんとなく溜息が漏れた。


「はぁ、何で俺が見張りなんて」


「まだ言ってんのか? もう諦めろよ。往生際が悪いぞ」


「愚痴ぐらい言わせろ。俺は夜八時に寝るんだよ」


「嘘吐け。お前はどっちかと言うと夜更かしするタイプだ。例え本当だとしても、そんな奴は冒険者なんてやんねえよ」


そらそうだ。


「それに、お前なら三日三晩不眠不休なんて離れ業も出来そうだし」


「へえ、良く分かったな」


「出来んのかよ………」


それどころか、やろうとすれば年単位でいけるぞ。


「てか、それなら見張りぐらいしてくれても良いだろが。生徒さん達の目もあるから毎晩って訳じゃないにしろ、普通の頻度なら問題無えだろ?」


「問題は無いけど単に面倒。単に起きてるだけって暇過ぎる」


近くで皆が寝てるから、騒ぐことも出来ないし。………あ、そうだ。魔窟に暇潰しに最適なのが。


「お前な……。見張りが暇なのは当然だろ。そこまで強いんだから、経験無いなんて訳も無えだろ?」


ステータスが高いのだから、日を跨ぐレベル上げも経験有るだろうと言いたいらしい。


「まあな。とは言え、相当にご無沙汰なんだよ。お陰で暇の潰し方も忘れちった」


魔導師にクラスアップしてからは、夜の見張りなんた立てる必要無くなったからな。


「そりゃ、贅沢な事だなぁ……って、さっきからお前何やってんだ?」


俺がアイテムバック(魔窟)を漁っているのを見て、ザックは台詞の途中で首を捻る。


「お、あったあった」


魔窟の中から目当ての物、ゴムボールサイズのカラフルな十二面体を発見し、ザックに見えるように取り出した。


「………オイ、何だそのゴツい立体パズルは」


「ペ◯ミンクス」


ルービックキューブの究極系の一つ。まあ、最近は更にその上が発売されてるらしいけど。


「てか、立体パズルなんて概念あんのな」


一目で見抜かれるとは思わなかったわ。


「ああ? そりゃそうだろ。立体パズルやボードゲームは有名な旅のお供だぞ。昔の勇者が考案してくれたお陰で、退屈だった移動時間が解消されたんがら」


「勇者色々やってんのな」


ルービックキューブまで作ったんかい。


「つーか、お前それ出来んの?」


「見してやろうか?」


ザックにペタ◯ンクスを渡し、適当にシャッフルさせる。


「良く見とけよ?」


一度ザックにシャッフルされたペ◯ミンクスを掲げて見せてから、


カシャカシャカシャカシャカシャカシャッッッ!!!


「ほい完成」


「はあぁぁぁ!?」


コンプリートまでに掛かった時間、約十秒。


あんぐりと口を開けるザックに、俺はニシシと笑ってみせる。


「最近はタイムアタックに挑戦中だ」


因みに自己ベストは七秒八。まあ、これも素の状態でだが。


「………お前、本当に色々と化け物じみてるな……」


「いや、上には上がいるんだよなぁ……」


「マジか……」


因みにそれは雄一だ。アイツはペタミンを四秒六で揃えやがった。俺でも意味が分からない。翔吾はやる前から諦めた模様。


「と言う訳で、俺はコレに熱中するんで後ヨロ」


「……あんまりのめり込むなよ? 最近は本気で物騒なんだ」


「ふうん」


「ふうんてお前な……」


ペタミンから一切目を離さないで返事をしたら、頭を抱えられてしまった。何故?


「いや、どうせ魔人やら魔王やらだろ? だったら今代の勇者様たちが何とかしてくれるって」


その話は聞き飽きたとばかりにペタミンをカシャカシャやっていると、ザックは違うと首を振った。


「それがそう簡単な話じゃなくなってきたらしい。どうも魔人と一部の人間が結託しだしたとか」


「………詳しく」


興味深い内容だったので、ペタミンから顔を上げて続きを聞く。


「いや、まだ噂の段階なんだがな。一部の盗賊が変な道具を使い始めたとかで、そんな噂が立ち始めたんだ」


「変な道具?」


「ああ。魔物を従えたり、召喚したりする道具らしい。他にも盗賊が持てるような物じゃないのが幾つか」


召喚に服従ねえ……。


「それと魔人がどう関係あんだ? 確かに盗賊には過ぎた代物だろうけど、それで魔人と人間の結託を疑うのは違うだろ」


その程度の道具なんて、数は多くないしろ、探そうとすれば探せる筈だ。まあ、盗賊が手に入れるのだとしたら、そこそこの規模の組織がバックにいるんだろうけどさ。


「それがその道具、変な奴らから渡されたらしいんだわ。試作品って言われたらしいぞ」


「………」


いや、何だよその具体的な噂は。


「それデマだろ。噂の割には具体的過ぎだ。情報源は何処だ?」


「冒険者ギルド・マクレーン支部の冒険者だな。そこで捕まった盗賊がそう言ったらしい。その道具は現在調査中だってよ」


「おいおい……」


マクレーンって、リザイア王国の王都じゃねえか。フィアとか大丈夫だろうな?


「ん? 何だその反応? マクレーンに知り合いでもいんのか?」


「……まあ、そんな感じだ」


流石に王女と知り合いだとは言えん。


「ふうん……もしかしてコレか?」


俺の歯切れの悪さを怪しんだザックは、ニヤニヤ笑って小指を立てた。おい、何でそのジェスチャー知ってんだ。


「違えよ。馬鹿な事言ってっとキャロライナ・リーパー食わせんぞ」


「おお、怖い怖い」


肩を竦めて戯けるザック。イラッときた。


「ッチ………で、それって情報としての精度はどんぐらいな訳?」


いちいち相手にしていては話が進まないので、とっとと続きを促す事に。


「うーん……盗賊関係はほぼ確実と見て良いだろうな。ホームにしてる奴からの情報だし。それ以外は噂の域を出ないだろう」


「随分とあやふやだなオイ」


「だから、最初に噂だって言ったろ。魔人と人間の結託だって、試作品なんて言われるロストテクノロジーが出てきたからなんだし」


「なるへそ」


失われた知識で出来た試作品。そんな代物を作るには、その失われた知識と、それを道具として再現させる技術力が必要だ。そこから邪推が始まって、長い時を生きた魔人と、再現出来る程の技術力を持つ組織が結託したと話が飛躍した訳か。


「まあ、盗賊の件が本当なら、相応の組織がバックにいるのは確かだろうな。下手したら国の上層部も絡んでそうだ。魔人は知らんが」


まあ、物騒ってのには変わりない訳なんだが。


「兎も角、そんな不思議道具を持った盗賊やらが現れて、謎の組織の暗躍が噂されるようになって、魔人達が活発に活動しているのが今だ。物騒過ぎて涙が出るよ」


「だろうな」


冒険者なんて危険と隣り合わせの職業の場合、マジで笑い事じゃない訳だ。


「実際な、お前が一緒だって分かった時、俺ら内心で喝采を上げたんだぜ? 事実上はSランク以上の実力持ってる奴が仲間にいるんだからな」


「オイ、俺生徒なんだが」


「さっきお前は俺たち側だって言ったろうが。フォローしてやるんだから、こっちの事もフォローしろや」


えー。


「あのなぁ……。お前は自覚して無えかもだけど、俺たち王都の冒険者からすれば、お前ら三人は期待の星なんだ。だから早く上がってきてくれ。そうすれば一緒に依頼も受けられるし、緊急依頼の時とかに安全性がぐっと高まる」


分かっててランク上げてないんだけどな。


「嫌だよ。高ランクって義務とかあんじゃん」


「オイ……まさかそれが嫌でランク上げてねえのか?」


信じられないという顔をするザックに、俺は溜め息混じりに説明する。


「あのなぁ、俺も雄一も翔吾も立場上は上級貴族なんだぞ。あんまり乗り気じゃねえけど、将来的には色々と仕事押し付けられたりするかもしれないんだ。そこに高ランクの義務とか付いてこられても困るんだよ」


「何だ? お前、もしかして家継ぐのか?」


「かもな」


何だかんだでルーデウスは良い国だし、爺さん達にも世話になっているのだ。当主になれと言われても、吝かでは無いと言うか。魔導師としての立場は絶対に分けさせるけどな。


「意外だな。お前はお貴族様とか嫌いそうなのに」


「好きでは無いぞ。けど、当主になるのが報いになると言うのなら、なってやっても良いってだけだ」


まあ俺と雄一は兎も角、翔吾にはライトがいるから当主にはならんと思うが。


「だからよ、立場的にはどっちにしろ有事の際には動くんだ。それで勘弁してくれや」


魔人とかに襲撃された場合、まあ確実に俺たちにお鉢が回ってくるだろうし。低ランクだろうと、あんまり変わらないんだ。


「分っかんねえなぁ。だったら高ランクになるのもあんまり変わんねえじゃねえか」


「だからだ。今でも大して変わらないんだから、いちいち変える必要も無いだろ。だったら、俺のペースでゆっくり上がっていくさ」


「お前の場合、文字通り自分のペースなんだよなぁ……」


まあな。ギルド長直々に、上がりたくなったら言えって言われてるし。Aランクまでだったら、その場で即上げてくれるらしいし。


「まあ、危なそうだったら言えや。暇してたら、くっ付いてってやるからよ。他の奴らにもそう言っておけ」


付き添いぐらいなら、格安で引き受けてやっても良い。


「………はぁ、了解。今はそれで良しとするわ。なんか用心棒みたいだが、今はそれでも有難い」


「んじゃ、帰ったら伝達ヨロ。俺もこの補習の間に、詳しい条件とか考えとくわ」


それで自分の実力を勘違いされても困るからな。その辺りの匙加減とかは見極めないといけないか。


「それじゃあ、思い付いたら教えてくれ。俺は取り敢えず、ラズやベンたちに伝えとく」


「はいよ」


うん、やっとひと段落ついたな。


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


話題が終わり、無言の時間が続く。ぶっちゃけ他に話す内容が無い。


カシャカシャカシャカシャ。


取り敢えず、俺はペタミンに没頭する事に。


カシャカシャカシャカシャ。


崩しては揃え、崩しては揃え。


カシャカシャカシャカシャ。


時たまドット絵を作って遊びながら、崩しては揃えのエンドレス。


カシャカシャカシャピーカシャカシャ。


崩しては揃え、崩しては


(ん? ピー?)


何やら妙な音が混ざっていた事に気付き、一旦ペタミンを止める。


(……………ああ、これ護身アクセのアラームだ。音からして結界か?)


音の原因に見当が付いたので、持ち主の様子を見に行くことする。


「ん? 何だトイレか?」


「ああ、似たようなもんだ」


「は? じゃあ何しにーー」


【鏡花水月】


ザックの言葉を遮るように、認識を操作する魔法を掛ける。これにより、ザックには俺がずっと一緒に見張りをしているように錯覚させる。なお、この魔法は砕けはしない。


「お次は【絶対領域】と」


周囲一帯に広範囲の結界を張り、範囲内に魔物や盗賊が入ってこれないようにする。


これにて準備完了。


「さて、それじゃあ行きますか」


噂をすれば影とは本当に良く言ったモノだと思いながら、俺は護身アクセの持ち主の元へと転移した。

次回、遂にあの人登場。


やっと出せると内心一息ついてます。

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