補習での初戦闘
誤字脱字の可能性大です。
俺たちに絡んでいた男たちが、周囲の冒険者たちにリンチに処される。そんな謎な現象が、つい先程目の前で起きた。
当然だが、俺を除く全員の頭に疑問符が浮かんでいる。
「一体何が……?」
呆然と呟かれた言葉。その疑問の答えは、背後から聞こえてきた。
「そりゃ、あの馬鹿たちがこのギルドの悪魔に喧嘩売ったからさ」
「え?」
声のした方に顔を向ければ、そこには九人の男女がいた。
「えっと、貴方たちは?」
「俺たちは、キミたちと一緒に旅する冒険者だよ」
「そうなんですか?」
冒険者たちの言葉を聞いて、灰猫先輩はタイソン先生に確認を取った。
「ああ。彼らはBランクパーティ【不壊の鞘】と、Cランクパーティ【木彫りの杯】という冒険者パーティだ。今回の旅に同伴してもらう」
「【不壊の鞘】のリーダー、ザックだ。ヨロシク頼む」
「【木彫りの杯】のリーダーのベンだ。よろしく」
「あ、こちらこそよろしくお願いします。メルトです。一応、彼らのまとめ役みたいな立ち位置です」
リーダー同士で自己紹介。すると、灰猫先輩の事を見て、ザックが懐かしそうに目を細めた。
「まさか【白雷】が同伴者だとはな。随分と久しぶりに見た」
「えっと、最近は学園の方が忙しくて。冒険者科でも依頼は受けれるので」
なんとなく親しげな二人。いや、反応的にはザックだけが知ってる感じか。
「何だ? 灰猫先輩の事知ってんのかザック」
「そりゃ勿論。メルトはこのギルドの期待の若手だからな。最近は顔を出さなかったが、前は凄い人気だったんだぞ」
灰猫先輩は期待の新星だった訳か。因みに【白雷】というのは、先輩がCランクに上がった際の二つ名らしい。由来は先輩が白髪で、雷系統の強化魔法を使うからだとか。
「つーか、お前と【白雷】が一緒だとか頼もし過ぎんだろ。俺たちなんて必要無いんじゃないのか?」
「Fランクに何求めてんだよ」
「だったらさっさと昇格しろ。ギルド長も零してたぞ」
鞘と杯のメンバーからも、そうだそうだと野次が飛ぶ。やかましわ。
「その様子だと、先輩も彼らと知り合いなのか?」
俺と冒険者たちのやり取りを見ていたミカヅキが、不思議そうに聞いてきた。
「おうよ。ヒバリはこのギルドで知らない奴はいないって程に有名だ。既に二つ名も付いてるからな」
ザックの言葉を聞いて、冒険者ギルドに所属しているミカヅキたちは目を丸くした。
「ええっ!? 二つ名ってそんな簡単に付くんすか!?」
「いんや。二つ名が付くのはBランク以上からだ。それか、将来有望なCランク。コイツは例外中の例外だよ。まあ、同じような奴が後二人いるが」
当然の事ながら、その二人とは翔吾と雄一だ。
「じゃあ、どうしてヒバリが?」
「どうしても何も、コイツと後の二人は、この王都のギルドにいる冒険者の殆どを叩きのめしたんだよ。それこそ、Fランクの新人から、このギルドの最高ランクのSランクすらも」
「「「「はぁっ!?」」」」
学園メンバーの全員が驚愕の声を上げる。だがちょっと待って欲しい。その説明だと、俺たちが無差別に暴れたみたいじゃないか。
「一応言っておくが、アレは全員同意済みだからな。希望者としか戦ってないぞ」
「ふざけんな。アレは完全にお前が煽ったんだろうが!」
「乗せられる奴が悪いだろ。しかも後半は三対多じゃねえか」
「それもお前が全員で来いって煽ったんだろが!」
だって埒が明かなかったんだもん。
「良いじゃねえか。その後は宴会になったんだからよ」
「それは奢った奴の台詞だ! お前たちはタダ飯食らっただけじゃねえか!」
「勝者の権利」
俺が断言すると、ザックは頭を抱えてしまう。
それに代わるように、ベンが言葉を続ける。
「……とまあ、こんな経緯が有って、ヒバリには【狂騒の悪魔】なんて二つ名が付いたんだよ」
「それでさっき、悪魔に手を出したからなんて言ったんですね」
得心がいったように頷く灰猫先輩。
「それにしても、悪魔とは随分物騒な二つ名だな」
「コイツ、騒ぎの時にはエゲツない事も平気でやるからな。それが原因だ。後は熊の亜種みたいな格好を頻繁にしてくるからな。亜種の熊と悪魔が掛かってんだよ」
寒いダジャレだよな。
因みにだが、雄一の二つ名は【拘束の邪視】。
翔吾は【冷酷な微笑】である。
雄一の由来は、睨まれて動けなくなった奴が続出したから。翔吾の由来は、笑顔のままで攻撃してたから。尚、二人にトラウマを抱えている冒険者も結構いる。
「お前の事がトラウマの奴も結構いるからな」
「知ってる」
またもやザックが頭を抱える。同じように俺たちに振り回されてるタイソン先生が、ザックたちに同情の視線を向けていた。
「やっぱり、ヒバリ君は色々とやってるんだねー」
「嬉しそうですね」
「見てて楽しいんだもん」
さいで。
ニコニコと笑う灰猫先輩を眺めていると、一人の冒険者が近寄ってきた。
「ヒバリの兄貴、あいつらは向こうで寝かしときやした。後でじっくりと言い聞かせておきます」
「そらご苦労。けど、ほどほどにな」
「分かってますよ。馬鹿な事をしないように言い含めておくだけですので。それじゃあ。雄一兄貴と、翔吾の兄さんにもよろしくお願いします」
「おう」
そう言って、冒険者は離れていった。
冒険者を見送っいると、灰猫先輩にトントンと肩を叩かれる。
「……ねえ、今の人って確か【暗雲の影】の一人よね? すっごいゴロツキだった記憶が有るんだけど」
記憶に有るというよりは、多分実際に絡まれたんだろうな。あいつらも、ちょっと前まではさっきの男たちと似たような感じだったし。
「あー、あいつらはヒバリたちに絡んでボコボコにされたんだよ。それで心を入れ替えたらしい。素行不良でDランク止まりだったあいつらも、今じゃ昇格試験を控える身だ」
「そうなんですか」
「ああ、ヒバリたちが暴れた事の数少ない恩恵の一つだ。王都の冒険者たちの素行が大分良くなった。無駄なカリスマが有るからな、ヒバリたちは」
「あー、それ分かります。ヒバリ君って、変わった人を惹きつける何かが有るんですよね」
「どういう意味だ灰猫コラ」
誰が変人ホイホイだ。つーか、それだとアンタも変人だからな。
俺が呆れていると、ザックが手を叩いて注目を集める。
「さて、そろそろ依頼主の元に向かおう。まだ話し足りないかもしれんが、それは出発してからだ」
「はいよー」
全員異論は無いようなので、冒険者ギルドを後にする事に。
そして馬車。
依頼主であるクリプトンさんとの顔合わせもつつがなく終了し、目的地であるコルネ村へと出発した。
隊列は既にタイソン先生が話し合いで決めており、荷馬車二台の前方を俺たち、真ん中が【不壊の鞘】、後方が【木彫りの杯】となっていた。これは経験豊富な【不壊の鞘】を真ん中に置く事で、何時でもフォロー出来るようにした隊列だ。後ろは後ろで奇襲などに警戒する必要が有るので、最も経験不足の俺たちは必然的に前となった。
尚、歩き組と乗車組は交代制となっている。今はタイソン先生、グレゴリウス、ミカヅキが歩いて周囲を警戒中だ。
「気散らすなよ、馬鹿犬〜」
「だったら喋り掛けるな!」
グレゴリウスを揶揄いながら、馬車の旅を満喫する。
「いや、旅って訳じゃないからね?」
灰猫先輩がツッコンでくるが、スルーの方向で。俺からすれば旅と変わらんしな。
創作物で有りがちの、主人公が馬車の揺れに苦しめられるなんて事も無い。過去の異世界人の奮闘のお陰で、かなり高性能なスプリングが開発されてるからだ。まあ、スプリングが無くても浮くから問題無いんだけど。
「ちょっとは緊張感持たなきゃ駄目だよ」
「まあまあ、頼もしくて良いじゃないですか」
灰猫先輩が俺の事を注意してくるが、それを遮る声がした。
今回の依頼主、クリプトンさん。常にニコニコ笑っているナイスミドルである。
「ここまでリラックス出来るって事は、揺るぎない自信が有るという事です。いざという時に緊張で動けないよりは、ずっと良いと思いますよ」
「いやまあ、そうですけど」
クリプトンさん曰く、過去に何度も学園の生徒に護衛されているのだが、最初の方は緊張で役に立たないらしい。
「それに、彼はFランクながらに王都の冒険者ギルドのトップなのでしょう? これもまた貫禄と言えましょう」
「トップになった記憶は無いんですけどねー」
何か色々と言われているが、あの時のは結局余興の域を出ないしな。まあ、ガチでやっても瞬殺なんだけどさ。
俺の思考を読み取ったのか、クリプトンさんは嬉しそうに頷く。
「いやはや、有望な新人が現れるのは良いものです。特に、今は何かと物騒な世の中ですしね」
「あー、魔人やら魔王やらですよねー」
魔王には既に二回遭遇してるんだよなー。やっぱり、魔人辺りが活発になってきているんだろう。関係無いけどな。
「そうですね。勇者召喚も既に三国は完了し、残りは【トリシューラ帝国】のみ。かの国も近々召喚の儀を行うとの話ですので、これで今代の勇者は全て揃うでしょう」
「へー、そうなんですか」
流石は商人。情報が早いな。
「にしても、こんな連続で勇者召喚とか大変でしょうねえ」
主にお披露目パーティーに呼ばれる貴族たちが。
「ハハ、違いないですな。我が国の場合だと、四週間程前に【ギリアン王国】、一週間前に【リザイア王国】、そして近日中には【トリシューラ帝国】ですからな。外交官もてんやわんやでしょう」
特にリザイアとトリシューラは、地図的には真反対だからな。行ったり来たりしまくって、外交担当の貴族とか過労死すんじゃねえの?
「しかも、リザイア王国のフィリア第三王女が我が国へと参る途中に、魔人に襲撃されたという事件も有りましたからね。道中にも気を払う必要が出てきましたので、商人としても頭が痛いですよ」
「魔人に襲われたらひとたまりも無いですもんね」
「ええ、本当に」
実際はそこまで強くないけどな。
「とは言え、普通の行商の時にはそこまで優秀な冒険者を雇えないんですよ。高ランク冒険者は、依頼料がとても高いですから」
だからこそ、学園の補習などに協力してる訳だ。足手まといが付いてくる代わりに、同行する冒険者の料金は学園が負担する事になっているから。しかも、灰猫先輩や俺みたいに、プロの冒険者に比肩する実力の生徒もいるのだ。安全にかつ、通常よりも安くなるとなれば、商人からすれば嬉しい限りだろう。
「補習とは聞いてましたが、今回の生徒さんは優秀そうで何よりです。賑やかな行商になりそうで、とても楽しみですよ」
クリプトンさんはニコニコと笑う。過去に何人もの生徒と関わっている彼からすれば、学生の成長は嬉しい事なのだろう。
そんな風にほのぼのとした時間を過ごしていると、それを切り裂く無粋な声が。
「前方に敵発見! グレイウルフで数は七!」
どうやらお客さんらしい。
「おや、どうやら君たちの出番のようですね。緊張せずに、落ち着いて頑張ってください」
クリプトンさんに見送られて、俺たちは馬車から降りる。
外では七匹の狼と、歩き組が睨み合っていた。その後ろでは、鞘のメンバーが不足の事態に対処出来るように控えている。
「グレイウルフってEランクでしたっけ?」
歩き組と合流しながら、狼たちの強さを尋ねる。
「うん。けど、それは単体の場合だね。このぐらいの群れだったらDランクかな?」
「ああ、イヌ科って基本群れますもんね」
狩りでは連携を基本としてるからな、イヌ科って。
けどそうなると、グレゴリウスとレベッカちゃんには格上って事になるな。実力的にはミカヅキは問題無い筈だ。
「取り敢えず、私は前衛のフォローに回るから。キミはレベッカちゃんをお願い。実力的には問題無いと思うけど、それでも油断せずにしっかり守るのよ」
「当然」
まあ、あの狼たちが前衛を掻い潜る事が出来るのかと言われたら、ほぼ不可能だと思うけど。ミカヅキと灰猫先輩が優秀過ぎる。
だが、それで安心出来るかと言われれば別だ。いや、俺じゃなくてレベッカちゃんがね。
「あ、あの、大丈夫なのでしょうか?」
案の定と言うべきか、レベッカちゃんは震えていた。
「大丈夫大丈夫。あの前衛は優秀だから。灰猫先輩は言わずもがなだけど、ミカヅキも十分に強い。あの狼は群れだとDランクぐらいはあるらしいけど、単体なら所詮はEランク。その程度の魔物なんて、どっちか一人でも全滅させられる筈だ」
まあ、多少は時間が掛かるだろうけど。
「………あの、グレゴリウスさんは?」
俺の言葉に引っかかりを覚えたのか、レベッカちゃんが恐る恐る聞いてきた。
ふむ、あの馬鹿犬か……。
「まあ、死にはしないんじゃない?」
「それ怪我するって事ですよね!?」
だって、グレゴリウスって馬鹿じゃん。それも後先どころか、周りすら見ないタイプの馬鹿じゃん。そんな奴が戦闘なんてしたら、
「うおおおおお!!!」
「あ、こら勝手に出ちゃダメ!」
ほら、一人勝手に飛び出した。
「ね? アレで無傷は無いっしょ」
「………」
「言葉も無し、と」
唖然とするレベッカちゃん。取り敢えず、納得はして貰ったと見て良いだろう。
「早く戻るんだグレゴリウス!」
タイソン先生の制止も聞かず、グレゴリウスは群れの中央に辿り着いた。人、それを包囲と言う。
「セヤァァァ!」
尚、本人は気付いてないようで、近くのグレイウルフ目掛けてバスータードソードで切り裂いた。
「あの馬鹿………」
これは当然の事だが、包囲されてる状況で一匹の敵に集中すれば、一体どうなるだろう?
答え。背後から襲われます。
「グレゴリウスさん危ない!」
レベッカちゃんの注意が飛ぶが、残念ながらもう遅い。
一体のグレイウルフが、グレゴリウスのガラ空きの背中にタックルをかます。
「ぐうっ!?」
背後からの衝撃に、堪らずたたらを踏むグレゴリウス。吹き飛ばなかったのは、獣人特有の屈強な肉体のお陰だろう。
まあ尤も、吹き飛ぼうがなかろうが、今の状況が致命的な事には変わりない訳で。
隙を見せたグレゴリウスに、周囲のグレイウルフが殺到する。
「ッチィ!」
「っ、間に合わない!?」
灰猫先輩とミカヅキが駆け付けようとするが、二体のグレイウルフが立ち塞がる。二人の実力なら一瞬で片付くだろうが、その間にグレゴリウスの肉体は貪られるだろう。
補習開始早々にして、生徒一人が死亡。
「いや駄目だろ」
不吉なテロップが頭の中に流れたが、流石にこれは駄目だろ。
そう言う訳で、グレゴリウスを助ける事に。
「っと、あった」
鞄に手を突っ込む降りをして魔窟を開き、中から目当ての物を取り出す。
それを片手に、おおきく振りかぶって、
「どっせいっ!」
グレゴリウスに向けて投げつける。
超越的な筋力値によって投擲された物体は、狼たちがグレゴリウスを咥えた直後に直撃し、中の粉末を撒き散らした。
「「「「ギャヴゥゥゥゥ!???!!」」」」
「ギャアァァァァ!?!!?」
粉末が直撃した狼たち(グレゴリウス含む)は、絶叫を上げながらのたうち回った。
更に、
「ちょ、ヒバリ君何なげっ、フニャぁぁぁ!?」
「くぬっ、顔が、肌が熱い! な、何なんだ一体!?」
前衛の為に比較的近くにいた灰猫先輩とミカヅキも、粉末の余波を喰らったらしく悶絶している。
「あ、ヤバ」
二人を標的とした訳ではないので、手を引いて素早く遠ざけ治療する。
「ああ、もう……酷い目に遭った………」
「すんません。風向き考えるべきでしたわ」
「先輩……流石にアレは洒落にならんぞ」
「悪い悪い。今度埋め合わせするから」
涙目で睨んでくる二人に頭を下げる。
「………で、ヒバリ君は一体何投げたのかしら?」
溜息を吐きながら聞いてくる灰猫先輩。どうやら許してくれたらしい。
安心してホッと息を吐いていると、ガツンとミカヅキに殴られる。
「………安心してる暇があれば、質問に答えろ先輩。私たちには、答えを知る権利が有る」
「イエッサー」
ミカヅキの剣幕に押され、変な返事をしてしまった。まだ少しご立腹らしい。
「もう一度聞くわよヒバリ君。キミは一体何を投げたの? 一応聞くけど、毒って訳じゃないわよね? 流石のキミでも、仲間目掛けて毒なんか………投げてないよね?」
台詞の途中でグレゴリウスの方を向いた灰猫先輩は、とても不安そうな顔で聞いてきた。泡を吹いて痙している狼たち(グレゴリウス含む)を見て、俺の信頼が揺らいだようだ。
とは言え、流石の俺でもそんな事はしない。……まあ、毒なんかよりも遥かにタチの悪い物質なのだが。
「毒じゃないですよ。俺が投げたのは唐辛子です」
「「………は?」」
流石に予想外の答えだったのか、灰猫先輩とミカヅキは揃ってポカンと口を開けた。
「………え? 嘘でしょう? あの惨状が……唐辛子?」
「ええ。まあ、唐辛子と言って良いのか悩む品種ですけどね……」
キャロライナ・リーパー。
それが俺の投げた物体の名前だ。正確には、砕いて粉末にした物だが。
地球で最も辛い唐辛子と言われており、その刺激は凶器としても通用する。と言うか兵器だ。辛さを測る値であるスコヴィル値は300万オーバー。これは暴徒鎮圧用催涙スプレーの遥か上をいく値であり、刺激物質であるカプサイシンの塊と言って良い代物だ。………何でこんなのを持ってるのかと言えば、地球に帰還した際に面白半分で手に入れた。最初は悪戯に使おうかと思ってたけど、ガチで洒落にならなかったので放置していた。
この世界の住人にも分かるように説明したところ、灰猫先輩に笑顔で胸倉を掴まれた。……怖い。
「……何でそれをチョイスしたの? 魔法は?」
「……いや、ちょっとグレゴリウスにお灸を据えようかと思いまして……どうやら効きすぎたみたいですね……」
全身を痙攣させ、口から泡を吹いて気絶。これはちょっと予想外。狼系の獣人であるグレゴリウスには、刺激が強過ぎたらしい。
「………取り敢えず、ちょっと回収してきますわ」
放置してたら死ぬかもしれない。
「最速で」
「イエッサー」
凍えるような声音で命令され、俺は後始末に奮闘する事に。
尚、俺はその場で、グレゴリウスは気絶から目覚めた後に、灰猫先輩からこってり絞られました。
ヒバリがちゃんと戦わない……。最強タグ付いてるのに……。
なお、作中で挙げた代物はガチでヤバいらしいので、悪ふざけに使うならご注意ください。
もう少しで、放置系チョロインであるフィアが登場します。




