補習についてのアレやコレ
新キャラが大量に出てきますので悪しからず。
誤字脱字の可能性大です。
灰猫先輩と別れ、俺は学習室へと到着した。
「ちわーっす」
「遅いぞヒバリ・サクラギ・アール」
中に入ると、教師と思われる男性から注意を受けた。既に他の生徒は全員来ているようで、どうやら俺が最後らしい。
そして思った。ミドルネーム入ると名前長えな。
「長いっすねその名前」
「お前の名前だろう!?」
「まあ、そうなんですけど。取り敢えず、サクラギまでで結構ですよ」
アールなんて呼ばれても反応出来る自信が無い。
俺がそう伝えると、男性教師は困ったような顔をする。
「いや、しかしな……。流石に公爵家の性を省く訳には…」
えー。
「……はぁ、分かった。取り敢えず、旧姓のサクラギで呼ばせて貰おう」
「うーす」
勝手に旧姓扱いされているが、今回はここで妥協しておこう。
「それじゃあサクラギ、空いてる席に着きなさい。そしたら説明を始める」
そう言われたので、一番後ろの窓際の席へと座った。
「……何故そんな離れた場所に…」
男性教師が呆れているが、そこは目を瞑って欲しい。教室でもこの席なのだ。
「座り慣れてるので」
「……もう良い…」
既に疲れてる男性教師。何故?
「……おほん。あー、全員揃ったみたいなので、今から補習の説明を行う」
「はい!」
男性教師が説明を始めようとしたが、それを遮るように一人の生徒が手を挙げた。
「……何だ? グレゴリウス・レスタール」
「質問があります!」
グレゴリウスと呼ばれた生徒は、そう言って立ち上がった。
「俺は補習を受けるような点数を取ってないです! 補習なんて納得出来ません!」
「その事についても説明するから、今は静かにしておくように」
「しかし!」
「静かにしろと言われてるだろ、犬っころ」
尚も食い下がろうとするグレゴリウスだったが、それを制止する声が掛かった。因みに犬っころはグレゴリウスの事である。彼は犬系、いや狼系の獣人なのだ。
「誰が犬っころだ!!」
「お前だお前。キャンキャン喚いてばっかで、人の話を聞きもしない。子犬でもまだ落ち着きが有るぞ」
そう言ってグレゴリウスを制止、もとい挑発するのは、真っ黒な髪をポニーテールにした少女。
「お前!」
「何だ? 図星を指されて怒ったか?」
フッと少女は鼻で嗤い、グレゴリウスは怒りで身体を震わせる。
正に一触即発の空気。
「ぶっ飛ばす!」
「やってみろ」
「あっ、コラッ!」
男性教師が止めようとするがもう遅い。
グレゴリウスが飛び掛かる。だが、少女は慌てずに、静かにグレゴリウスの身体に手を添えた。
(んにゃ? 合気か何かか?)
そして、グレゴリウスはクルリと宙を舞う。
「うぉっ!?」
今のは完全に予想外だったらしく、グレゴリウスは受け身も取れずに机へと突っ込んで行った。
「フッ、他愛も無い。実力の差が分かったなら大人しくしておけ、犬っころ」
グレゴリウスに見下すような視線を向けた後、少女は静かに席に着いた。
なんと言うか、カッコイイ。アレだな、この人男よりも女にモテるタイプだ。
そんな事を考えていると、グレゴリウスが立ち上がった。その目は怒りで燃えており、今にも少女へと突撃しそうだった。
「…グッ、この!」
訂正。突撃した。
とは言え、流石にこれは見過ごす訳にもいかない。と言うか話が進まない。
「はいそこまで」
なので、少し頭を冷やして貰おう。魔法で水球を発生させ、グレゴリウスの頭にぶつける。因みに水温は0.1℃ 。水が凍るか凍らないかのギリギリの温度である。
「うぉわ!? 冷テェ!?」
当然の事ながら、水球をぶつけられたグレゴリウスは濡れ鼠だ。しかも完全な冷水なので、怒りとは違う意味で震えていた。
「頭は冷めたか?」
「お前何すんだよ!? 冷めたどころか凍えたわ!」
「そら良かった」
「良くねえよ!」
グレゴリウスが抗議してきたが、俺は全てスルーした。
「おい、無視すんな!」
「さて、男性教師さん。早く説明くれくれ」
「おい!」
「やかましわ」
「わぷ!?」
キャンキャンとマジで五月蝿かったので、もう一度水球をぶつけて黙らせた。
「お前、本当いい加減にーー」
「黙れ。話が進まん。次はその口凍らせるぞ」
詰め寄ろうとしてきたグレゴリウスを、軽く睨んで黙らせる。
「良し。静かになったし、男性教師さん早よ早よ」
「……色々と言いたい事が有るが、今は話を進めておこう。後、俺はタイソンだ。男性教師なんて呼ぶな」
「ゲイ選手?」
「誰だよそれは!? タイソン・マーシャルだ!」
「うっす、タイソン先生」
「……もう良い…」
何故か疲れているタイソン先生。解せぬ。
「あー、それじゃあ説明を再開する。もう既に分かってるだろうが、此処に居る全員には補習を受けて貰う。因みにこの補習だが、テストの良し悪しは関係無い。なので、グレゴリウス・レスタールのような質問は受け付けない」
タイソン先生がそう宣言すると、僅かに教室がざわめいた。まあ、タイソン先生を除くと、俺を含めて四人しか居ないのだけれど。
「えっと、結果の良し悪しが関係無いって、一体どう言う事ですか?」
おずおずと質問したのは、この学習室に居る最後の一人、十三才ぐらいの小柄な女の子だった。印象的に言うなら、花音さんの同類だと思う。
「良い質問だな、レベッカ・シャトー」
「へ? あ、ありがとうございます」
急に褒められて、ポカンとするレベッカと呼ばれた女の子。
「さて、今質問に出たが、この補習は少し特殊だ。この補習はテストの良し悪しに関係無く、教員が問題有りと判断した生徒に受けさせる物だ」
「問題有りですか?」
「ああ。問題点は今から教える」
そう言って、タイソン先生は紙を取り出した。アレが資料なのだろう。
「まずはキミだ。レベッカ・シャトー」
「は、はい!」
「キミは魔法実技、戦闘実技ともに、緊張で本来の実力を全く発揮出来なかったようだな。担任であるゴルゴ先生も驚いていたぞ」
あの肉ダルオカマが担任なのか。ご愁傷様です。
「……うぅ、どうも苦手なんです、ああ言う場面って……」
「キミは本来ならとても優秀なのだから、もう少し度胸を付ける事だな。その為にも、この補習は受けて貰う」
「は、はい」
レベッカちゃんが頷いたのを確認した後、タイソン先生は次に移った。
「二人目、グレゴリウス・レスタール」
「はい!」
名前を呼ばれ、大声で返事をするグレゴリウス。なんか、軍人みたいだな。それか忠犬。
「お前は実技テストの時、戦闘に熱くなり過ぎ、防御を一切しなかったそうだな。攻撃は全て身体で受け、終始攻撃一辺倒だったと聞いてる。また、担当教師の制止の声すら届いてなかったとか」
……は? え、つまりこの犬、全部の攻撃を喰らったって事か? 馬鹿じゃねえの?
タイソン先生も同じ気持ちらしく、呼んでる内に眉間を抑えていた。
「……お前は馬鹿か?」
「しかし、攻撃は最大の防御と言います! それに俺の種族である黒狼族は、強靭な肉体を持つ戦士の一族です! 攻撃など全て弾いてみせます!」
「「死ぬぞお前」」
奇しくも俺とタイソン先生がハモった。それ程までに、コイツは馬鹿だ。因みに黒髪ポニーテールの少女はと言うと、完全に馬鹿犬を見る目で見ていた。
「取り敢えず、お前のその馬鹿な考えはこの補習で捨てろ。分かったな?」
「……いえ、しかし」
「返事は?」
「は、はい!」
タイソン先生は溜め息を一つ吐いた後、次の生徒へと移った。
「次、ハクヤ・ミカヅキ」
ほう、久々に和名っぽいのを聞いたな。とすると、彼女は例の東国の人かな?
「キミは戦闘実技のテスト最中、攻撃を受け流すばかりで自分からは一切攻撃をしなかったそうだな」
「私は盾役を目指している。ならば攻撃など不用だろう?」
「………」
すっごい割り切り方してんなオイ……。まあ、ミカヅキさんなら出来そうではあるがな。さっきの技を見る限り、衝撃やらは受け流すスタイルになると思うから、あまり体格も関係無い筈だ。
「いや、だからと言ってな……。と言うか、キミみたいな細い娘が盾なんて……」
「フッ、別に問題は無いさ。力が全てと言う訳では無いからな」
「……次だ」
言っても無駄だと悟ったのか、タイソン先生はスルーする事にしたらしい。
「サクラギ、お前は取り敢えず加減を知れ」
「あり? 俺だけ何か短くないですか?」
他の皆は二行以上は有ったよね?
「お前の場合は一言で十分だろう。やり過ぎるな」
「えー。何かもっと欲しいっすわー」
「お前な……」
タイソン先生が呆れて頭を抑えている。何で?
「……まあ良い。お前の行動は流す事にする」
「ぶーぶー」
「…ッ……」
あ、青筋が浮かんだ。
「そ、それで補習の内容だが、キミ達全員で馬車の護衛を受けて貰う」
タイソン先生が怒りに震えながら告げた内容は、あまりに意外なモノだった。
「護衛って、冒険者が良くやるアレっすか?」
「そうだ」
いや、そうだってアンタ……。何故に?
「キミ達を担当した先生達で話し合った結果だ。キミ達全員の欠点を克服する為には実戦、特に常に緊張感を保つ必要のある護衛が良いと判断した」
「なるほど」
まあ、言いたい事は分かる。
まずはレベッカちゃん。彼女の課題は精神的に強くなる事だが、単純に実戦ならば度胸が付く。
次にミカヅキさん。彼女の課題は、やけに男らしい割り切り方だ。護衛と言う常に緊張感が必要とされる状況下で、高い集中力を用いる攻撃の受け流しを連発出来るか。また、攻撃が不用なんて甘い考えを持ち続ける事が出来るのか。
次に俺。俺の場合は、加減が出来ないと思われている。なのでら実際に獲物を相手にする事で、正確な加減の目安を知る。目的としてはその辺りか。完璧に不用なんだがな。
最後の馬鹿犬に関しては言わずもがな。現実の厳しさを知れ。
「あ、あの、流石に危険では?」
趣旨を説明されている途中で、レベッカちゃんから疑問の声が上がる。
まあ、当然の疑問だろう。俺は兎も角、他の三人は学生だ。学生だけで護衛ってのは、普通に危険な行為だ。
「そこに関しては安心して欲しい。まずメンバーだが、キミ達の他に本科の冒険者科の先輩を一人と、俺が引率する事になっている。また、本職の冒険者の方々にも来て貰う」
因みに護衛対象である馬車だが、学園と専属契約をしている商会の物だとか。冒険者に払う護衛料などの諸経費を、学園が肩代わりする代わりに協力してくれているようだ。
「このように、補習の際の危険度はなるべく低くなっている。だが、だからと言って気を抜かない事だ。幾ら危険が少ないとは言え、行うのは実戦だ。油断すると最悪死ぬぞ」
そう言って、タイソン先生は俺達に警告した。
「は、はい!」
「分かりました!」
「無論だ」
「り」
「………後ろが何か変だったが、まあ良い」
タイソン先生は頭を振って、何事も無かったかのように話を再開した。
「それでは、これからキミ達を引率する先輩を連れてくる。その間に、軽く親睦でも深めておいてくれ。数日間は一緒に行動するのだからな。…………あの問題児はまだ来ないのか……!」
タイソン先生はそう言いながら、学習室を出て行った。最後の呟きは聞かないでおこう。
(にしても、問題児ねえ……)
一体どんな人物なのだろうか? 俺が首を傾げていると、横から声が聞こえてきた。
「……さっきから何なのだお前は?」
「ほへ?」
視線を横へと向ければ、そこにはミカヅキさん立っていた。態々移動してきたのか。
「えっと、何用?」
「……最初は名前の響きからして同郷かと思ったが、こんなちゃらんぽらんな奴が同郷だとはとても思えん」
「わーお、いきなり無礼ですねこの人」
初対面の人からちゃらんぽらんって呼ばれたわ。流石に出会って早々こんな暴言を喰らったのは初め………てでも無いか。むしろ普通な気がする。
「もう一度聞く。お前は何処の出だ? もし同じ東国の出身ならば、そのふざけた態度は止めろ。東国の人間が皆お前のような奴だと思われたくない」
うーん、さっきから思ってたけどキッツイねこの人。
「一応は東の出だけどさ、何か問題有るの?」
あ、東国と言わない部分がポイントね。嘘は言ってないのよ。
それは兎も角、俺の返事に眉根を寄せるミカヅキさん。
「何だと?」
「あのねえ、ミカヅキさん。キミが何を言おうが、これが俺なの。人間なんていっぱい居るんだ。誰も俺の事を見て、東国の人間が皆俺みたいだなんて考えないよ」
みんな違ってみんな良い。素敵な言葉じゃないか。
俺がそう言えば、ふむと考え込むミカヅキさん。
「ふむ……確かに一理あるな。お前のような馬鹿者、他にも居るとは考えんか」
「失礼しちゃうわー」
俺も同感だけどさ。
「なら言い方を変えよう。私はお前のような奴が嫌いだ」
あれー?
「そりゃ、何とも直球な事で……」
タイソン先生が親睦を深めろって言ったばっかだぞ。
「私は変に誤魔化すのは好きじゃなくてな。だからストレートに言わせて貰った」
「もうちょっと、歯に何かを着せる努力をしようよ」
人間関係とか困るよ?
「フッ、私だって相手を考えるさ。お前とそこの犬っころなら、遠慮など必要無いと思っただけだ」
「何だとテメエ!?」
あーあ、また飛び火したよもう……。
「お前なっ、さっきから聞いていれば偉そうだぞ!」
「別に私は偉くなんか無い。ただ事実を述べているだけだ。立場としてなら、コイツの方が遥かに偉い」
ミカヅキさんは俺を指差す。
「コイツが……?」
「一応は公爵家で貴族です。えらいんだぞー。ひかえおろー」
「んなアホな……」
まあ、似合わないのは重々承知よ。
「そう言う訳だ。私は別に公爵子息に意見を言える程偉くは無い。だが、敬う、気を使う対象は、私自身が決めるようにしている。お前達は眼鏡に叶わなかった。それだけだ」
あら厳しい。
「それは一体どういう意味だ!」
「言葉通りだ。因みにだが、順位としてはグレゴリウス、お前が一番低い」
「何だと!? 俺がこの馬鹿よりも下って事か!?」
何気にお前も酷いのな。
「コイツは自分が馬鹿だと自覚がある。いや、むしろワザとやっている節すらあるな。それと無自覚な犬っころ、どっちが上かは考えるまでも無かろう?」
「上等だ! んな事言うなら、俺が上だと直接身体に教え込んでやる!」
「……先ほどの出来事も忘れているようだな。しょうがない。少し手前だが、もう一度這い蹲らせてやろう」
「………」
取り敢えず、勝手に熱くなってる二人は放っておこう。
「おーい、レベッカちゃんや」
傍観していたレベッカちゃんを呼び寄せる。
「ふえ!? わ、私ですか?」
「そそ。あの二人は放っといて、まずは俺達で自己紹介をしようや」
「…いや、でも、自己紹介なら止めた方が」
「俺が行くと、火に油を注ぐ結果になると思うよ?」
「………」
なんとなく想像出来たらしく、沈黙するレベッカちゃん。
「それとも、レベッカちゃんが止める?」
因みに現在、グレゴリウスが間接を極められて這い蹲っている。
「……遠慮しておきます…」
「賢明だと思うよ」
多分だけど、あの中にこの娘が割って入るのは無理だろう。
「それじゃあ俺から。予科三年十組、ヒバリ・サクラギ・アールだ。年齢は十五。一応は貴族だけど、平民と同じ感覚で接してくれ。堅苦しいのは苦手なんだ」
「私はレベッカ・シャトーです。予科三年四組で、十四才です」
と言う事は、十才か十一才で入学したのか。凄いな。
「凄いんだね」
「いえ! 私なんか全然ですよ。十才で入学出来る人なんて結構いますし、私は一度だけ留年しちゃったので、むしろ落ちこぼれな方です」
留年などが当たり前と認識されているこの学園であるが、実を言うと予科の間はそんなに多くは無い。いや、留年する奴も居るには居るのだが、本科が飛び抜けて多いのだ。
「それに私なんかより、ヒバリさんの方が凄いと思います!」
「そんな事無いけどね」
そんな風に簡単な会話を交わして居ると、ミカヅキさんがこっちにやって来た。
「ふむ。人が犬っころを相手にしている間に、何をちゃっかりと進めている」
「ん? 終わったの?」
「犬っころならそこで伸びてる」
向けられた指の先には、ボロ雑巾のようにされたグレゴリウスが。
「あらら」
「あわわわ……!」
何というか、憐れだ。
「攻撃はしないんじゃなかったのか?」
「盾役の際には不用と考えているだけだ。普通に戦う時は攻撃ぐらいする」
「なら何でテストの時にやんなかったんだ?」
そうすれば補習を受ける事も無かったろうに。
「久々の手練れとの試合だったからな。感を取り戻す為の練習台としただけだ」
「ひゅー」
やっぱり無駄にカッコイイなこの人。
「流石は達人クラス。元高ランク冒険者でも練習台か」
「……ほう、どういう意味だ?」
興味深そうに聞いてくるので、俺は気付いた部分を挙げていく。
「そのまんまだよ。立ち姿は真っ直ぐだし、歩く際に身体の軸がブレてない。実力が高いだけじゃこうはならん。何か武術をやってるだろ。それも相手の動きを利用する柔の武術。スキルレベルで言うのなら、6か7は固いだろうな」
俺が一頻り挙げ終わると、ミカヅキさんは目を丸くしていた。
「驚いたな。これは評価を上げるべきか」
「そりゃどうも。まあ、あの駄犬を軽くあしらったんだ。そこそこに出来るのは分かってたさ」
「謙遜は良いさ。今の先輩の言葉からは、武に対する造形の深さが見て取れる。ならば、同じ武人として、相応の礼儀は取るべきだ。先ほどは済まなかったな」
そう言って頭を下げるミカヅキさん。
………って、ちょっと待て。
「なあ、今先輩って言わなかったか?」
「ああ、そう言えば詳しい自己紹介はまだか。予科二年二組、ハクヤ・ミカヅキ。年齢は十三だ」
「は?」
「え?」
俺とレベッカちゃんが、揃って間抜けな声を上げた。
え? 十三才? この娘が?
「えっと、ミカヅキさんって後輩なの?」
「まあ、大人びているとは良く言われる。身長は高い方だし、この口調だからな。それと呼び捨てで構わない。私の方が学年も年齢も下だしな」
はいな。
「てか、原因が分かってるなら直せよ」
「そうは言うな。これも家の教えなのだ」
「教えですか?」
「ああ。私の家は武家と言って、こっちでは男爵辺りの家柄なのだ。その教えとして、このような口調になってしまったのさ」
「………」
取り敢えず、東国を造った勇者出てこい。武家とか作んなよ。暴走し過ぎだ。
「ん? と言う事は留学生か?」
「そうなるな」
ふむ、だからこの学園に居るのか。
「取り敢えず、よろしく頼むよ。先輩方」
ミカヅキが手を差し出してきたので、俺とレベッカさんも同じようにした。
「こちらこそ」
「よろしくお願いしますね」
うむ。何だかんだで纏まった……か?
「それで、後はあの駄犬か」
「えっと、グレゴリウスさんでしたよね?」
「名前はグレゴリウス・レスタール。予科三年六組だそうだ」
「何で知ってんの?」
「さっき勝手に名乗ってた。その間に潰したが」
「オイオイ」
「試合でも無いのだ。構わんだろう。それに、犬っころの事など興味ない。私からすれば、どっちにしろ犬っころなのだから」
「あらら」
取り敢えず、憐れだな子犬に南無。
キャラが、キャラが多いっ! 何か訳分かんなくなってきた作者です。
最近、設定やらキャラやらで過去の話を見直す事が多くなってきた。




