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王城襲撃

どうも、この作品の名前を変えるかどうかで悩んでるみづどりです。


久々にランキングを見てみたら、何時の間にか日間三百位以内に再びランクインしていた事に驚いてます。


取り敢えず、読者の皆様にお礼を申し上げたいです。


読んでくれてありがとうございます。


誤字脱字の可能性大です。


「答えろハンス。何故梨花さんを狙った? そもそも何故此処に居る?」


答えなければ潰す。そう威圧を加えてやるが、ハンスはピクリともしなかった。


「………」


返事が無い。ただの屍のようだ。ぶち殺すぞオイ。


「お主は確かワーグルの息子だな。先程の攻撃の理由を話せ。でなければ爵位の剥奪では済まんぞ」


ルーデウス王がハンスに命じる。その声に秘められた重圧は、紛れもなく王者の威。普段の人好きする性格は鳴りを潜め、一国の長たる風格を持ってハンスと向き合っていた。


「……き……は…………」


「……何と言った?」


何やらハンスの様子が変だ。あんな選民思想の塊が、王を相手に返事を返さない訳が無い。


「馬鹿だと思ったが、お前ついに狂ったか? この期に及んで黙りとか何考えてんだ?」


「………」


改めて俺がハンスを挑発してみたが、結果は変わらずで返事が無い。


俺達はこの時点で確信した。格下と思い込んでる相手に煽られて、ハンスが反応しない筈が無い。明らかにマトモな状況じゃ無えなコイツ。まあ、火球ぶっ放してる時点でマトモも糞も無いが。


「……キキ、キシャシャシャッ! シシシニェェェェッッッ!!」


予想通りと言うべきか、ハンスは狂気を感じさせる声を上げながら、もの凄い速さで京介へと突撃した。


「京介っ!!」


「避けて!!」


その速度は決して京介達が反応出来る物では無く、ハンスは京介目掛け、何時の間にか握っていた禍々しい剣を振り下ろした。


梨花さん達が悲鳴を上げる。団長も、セリアさんも、爺さん達も、皆が揃って最悪の光景を想像した。


だが、


「させないよ」


その凶刃は翔吾によって阻まれた。


「キキャ?」


「……何て?」


鍔迫り合いをする翔吾とハンスだが、何故だかハンスが人語を喋ろうとしない。何方かと言えば鳴き声に近い。


疑問に思って良く観察してみれば、ハンスの持つ剣も剣と呼べる物では無かった。歪な形をした鎌が、ハンスの片腕から突き出ていたのだ。


「……蟲か…?」


理解不能な鳴き声と言い、腕を突き破っている鎌と言い、まるで蟲のようなイメージを彷彿とさせる。


「キ、キシャマは……キキャキャキャキャ!」


「うわっ気持ち悪っ!? ちょっ、離れろ 【嵐の剣】!」


翔吾も似たようなイメージを抱いたらしく、嫌悪感を露わにして、全力の魔剣術を発動させた。


風の魔剣術【嵐の剣】。大型台風に匹敵する風圧を剣のサイズにまで圧縮し、そのエネルギーを攻撃と同時に敵目掛けて解放するという物だ。また、風はある程度の指向性を持ち、斬撃と融合する事によって大量の鎌鼬を発生させる。


そんな高威力の技を、翔吾は不快感から全力で発動させた。それを真正面から喰らったハンスは、暴風によって吹き飛ばされたハンスは、弾丸の如きスピード城壁へとめり込んだ。更に、そこに無数の鎌鼬が殺到し、追撃とばかりにハンスの全身を切り刻む。


「「「「………」」」」


「おー、結構飛んだな」


「あーあ、壁に埋まってるよ」


その結果は予想と違わず、吹き飛ばされたハンスは壁に完全に埋没し、鎌鼬によって周辺の城壁が広範囲に渡ってズタズタになっていた。


「ふむ……アレを受けても壊れない城壁と関心するべきか、学生の一撃によって半壊する程に脆いと呆れるべきか……」


「どっちだろうな」


なんか判断に困る。


「まあ良いや。それで翔吾さんや、大丈夫かい?」


「ああ…うん。大丈夫。ただ果てしなくキモかっただけだから。怪我とかはしてない。凄く不快だけど」


翔吾は盛大に顔を歪ませながら、身体には問題無いと言い切った。代わりに精神が堪えたみたいだけど。


まあ、側から見ても不気味だったし、近くで見りゃそんな反応にもなるか。


「……いや、本当。もう何がキモいってさ。なまじ顔が整ってるから、狂った表情とかが余計に不快に思えて。目は完全に逝ってるし、あの鎌みたいなの形ヤバいし、飛び出してる部分とか本当グロいし。あと鳴き声みたいなのも凄い耳障りだった」


「……ドンマイ」


改めて詳細を聞かされると、本当にそんな言葉しか浮かばなかった。誰だよ、咬ませ犬キャラが利用されるってお約束考えた奴。


「こう言うのって、実際に体験すると『な、お前は!?』みたいにはなんないんだな」


「まあ、グロ改造とか精神破壊は有りがちな展開だが、普通に考えればな」


「本当にキモい」


見事に意見が一致しました。この展開考えた奴出てこい。


「……ちょっと、何でこんな微妙な空気なのよ。直前まで凄いシリアスだったじゃない」


地味にショックを受けた翔吾を、雄一と一緒に慰めていると、思考停止から復活した梨花さんが文句を言ってきた。


「アンタ達、シリアスやると死んじゃう病でも患ってる訳?」


「俺達は海賊の狙撃手じゃ無いんだが」


「鼻も長くないよ?」


「俺が使うのはパチンコじゃなく弓だぞ」


「そこに限ってマジレスすんな!!」


梨花さんはムキーッて感じで地団駄を踏んだ。ヒステリックね。


「え、えっと、梨花。少し落ち着いて」


その様子を見て、他のフリーズしてた面々も動き出した。詩織さんなんて梨花さんを宥めてる。


「えーと、なあ雲雀」


「何かね京介君」


「さっきの人?って知り合いなのか?」


「学園に通う貴族の坊々だ。普通にクソ野郎だな」


「……大丈夫なのか? 貴族相手にあんな攻撃して。というか生きてるかアレ?」


「関係無いだろ。ルーデウス王の目の前で梨花さん狙ったんだ。どっちにしろ処刑だろ」


確か、勇者の身分は国賓に相当してた筈だ。王の前で賓客を襲撃するなど、余程の理由が無い限りは処刑は確実。貴族の立場なんて盾にもならん。


「まあ、あの様子だと絶対に何かやられてるだろうけどな。変な改造されてそうだし。生死だって多分ーー」


ドガァァァンッッ!!


丁度セリフとカブる形で、城壁の一部が爆発した。タイミング良いな。


「キシャシャシャ!!」


そして土煙が晴れると、予想通りハンスが立っていた。


「やっぱり生きてたか」


「おいおい……!」


ハンスの姿を見た京介が、焦燥の篭った声を漏らす。そりゃそうだ。ハンスの身体は、決して立っていられるような状況じゃない。


片腕は千切れ、片足が潰れ、首があらぬ方向に捻れている。それでも気にせずに立っているハンスは、ただひたすらに不気味だ。


「キキャキャキャ……ギャ、グヒャキャビャギュッッッッ!!!」


「ヒッ!?」


「おおう。これまたグロい」


後ろの女性陣が声にならない悲鳴を上げた。俺達もドン引きしている。ハンスの傷口から、妙なテカリのある触手やら何やらが飛び出してきたのだ。それらは破損した部位へと巻きつき、新たに身体の一部となる。


結果、ハンスは半蟲半人と呼べそうな姿となった。


「……キモいなぁ……」


「なんか、どっかの漫画の実験体の末路みたい……」


「近づく事すら遠慮したいな」


同感。


「取り敢えず埋めるべ」


視界に入れるのも不快だったので、先程出した柱を崩して砂に変え、ハンスに向けて叩きつけた。


「キシャ!?」


色々と調べる必要もあるかもしれないので、取り敢えずは死なないように埋めておく。これでも当分は出てこないだろ。


「砂漠◯送」


「……余裕あるな三人共」


五代目風◯様のマネをしていると、顔を青くした京介がツッコミを入れてきた。


「まあ、狙いは明らかに京介達だし」


「僕達は多分二の次だろうし」


「最悪は高みの見物決め込む事もーー」


「「「絶対に駄目!!!」」」


関わらないと言う選択肢があると言おうとしたら、梨花さん達が全力で止めてきた。


「アンタ達、あんなキモい奴の相手を女の子にやらせるつもり!? 私絶対に嫌だからね!!」


「私も無理。アレの相手なんて御免よ!」


「ガクガクブルブル」


三人とも必死な顔で拒絶している。ここまでかいな。花音さんに至ってはバイブ機能みたいになってるし。


「そんなんでこの先大丈夫なの? アンデット系も結構キモいよ?」


魔物の姿なんて千差万別みたいな物だし、見た目がキモいからって怖気ずくのは駄目だと思う。


「蟲系の魔物だって居るんだし、怯んでちゃ駄目だって」


「蟲とかアンデットは倒した事あるわよ!」


「じゃあ大丈夫じゃん」


「魔物とは別種の嫌悪感を感じるから遠慮するわ。全力で」


「いや、同じだって多分」


ちょっと違和感あるけど。特に顔と身体のアンバランスさが目立つけど。どっちも同じ異形だって。それにほら、あの姿って何か見た事ある気しない?


「いやいやいや、アレと魔物は全然違うわよ! 見たでしょあの見た目! 顔イケメンなのに身体の半分くらい虫よ!? ギャップでキモさが天元突破してんのよ! 犬◯叉のボスなんて現実で見たい訳無いでしょうが!」


「ぽん」


「手ェ叩くな口で言うな!」


ツッコミ入りましたー。


にしてもそうだわ。確かにアレ奈◯だわ。良く分かったね梨花さん。


「ねえねえ、さっきから気になってたんだけどさ。梨花さんって微妙にオタク入ってない?」


マジレスとか天元突破とか、ちょくちょくそっち系の単語入ってたから気になってたんだよね。


「なっ、別に良いじゃないそれぐらい! ってか、今はそれどころじゃ無いでしょうが!」


「まあね」


正論です。冗談吹っかけたのは俺達だけどさ。


「まあ、高みの見物ってのは冗談だから落ち着いて。見た目もそうだけど、強さ的にも今の梨花さん達じゃ敵わないだろうし。……おい、だからってあからさまにホッとするな」


梨花さんと詩織さんは、戦う必要が無いと聞いた途端、ホッと息を吐いてリラックスした。いや、せめてもう少しは緊張感持ってろ。


逆に花音さんだけは、未だにガクブルと震えていた。


「いや、花音さん? 二人にはああ言ったけど、安心ぐらいはして良いからね? だからその顔止めてマジで」


顔に絶望が浮かんでるよ? 凄い罪悪感があるから止めて本当。


「あー、花音って基本怖がりだから。戦うのだってまだ抵抗あるのに、あんなキモいの見せられたらね」


梨花さんが苦笑しながら説明してくれた。つまり、心が折れた訳ね。どうりで戦う必要無いって言っても震えてる訳だよ。


「だ、だって、だって」


「いや、そんな怯えなくて大丈夫だから。ほら、二人を見てみ。さっきまでの動揺が嘘みたいにリラックスしてるから」


「そりゃあね。私達は戦わなくて済むみたいだし」


「雲雀君達が倒してくれるんでしょ?」


「おいコラ勇者」


丸投げしないで欲しいんですけど。これ君達の仕事だからね?


「はぁ……まあ良いや。兎も角、花音さんも二人を見習って……欲しい訳じゃないけど、少しは安心して。ね?」


小さな子供に教えるように、ちゃんと安心して貰えるように語りかける。


「大丈夫」


「あ、あの……」


「花音さんには指一本触れさせない」


しっかりと瞳を見つめ、不安を取り除けるように笑いかける。すると、花音さんも安心しだしたのか、次第に震えが小さくなっていった。


「ーーキシーーー」


何やら不快な音が聞こえたが、取り敢えずスルーだスルー。


「あ、あの! 雲雀さん、今何か聞こえませんでした?」


だが残念な事に、花音さんにも聞こえてしまっていたみたいだ。お陰でまた花音さんが震えだした。


「あー、うん。どうやらーー」


ドオォォォンッ!!


花音さん説明しようとしたところで、またもやセリフと爆音がカブった。タイミング悪いな。


「キシャ、キシャマキシャマキシャマッ!」


「おおう、まさかの完全回復」


砂から這い出てきたハンスは、なんと傷が見当たらなかった。


「キシャマキシャマキシャマ、ユルシャンユルシユルシャ……シネェェェ!!」


「ひっ!?」


「おいおい」


ハンスは全身を膨張させ、俺達目掛け突撃してくる。筋力の全てを使った加速により、速度は先程の突撃よりも数段速い。京介達じゃ視認する事さえ難しいだろう。


だからこそ、折角の関心を返して欲しい物だ。


「馬鹿の一つ覚えかっての」


ハンスの突撃を躱し、土手っ腹にカウンターで蹴りを叩き込む。


結果、ハンスはもう一度、翔吾の時よりも更に深く城壁へとめり込んだ。


ハンスが埋没しているのかをちゃんと確認した後、花音さんへと向き直る。


「ほら、大丈夫だったでしょ花音さん」


「…え、あ」


「安心して。俺がちゃんと守るからさ」


「………はい……」


出来る限りの優しい笑みで笑いかけたところ、花音さんは消え入りそうな声で返事をした。


「……スケコマシ」


「……口説き魔」


「人聞き悪いなコラ」


横からとても不本意な言葉が聞こえたので、原因である二人に向けて抗議の視線を送る。


しかし、逆に梨花さんと詩織さんに睨まれた。しかもジト目で。


「……何かね」


「こんな時に花音を口説かないでくれる? 弱ってるところにつけ込むなんて最低よ」


「雲雀君の顔で見境なしは如何かと思うわ」


「言いたい放題だなオイ」


こっちだって好きでやったんじゃないんだけど。折れた心を手取り早く治しただけで、あんな砂糖みたいなセリフ吐くのは凄く不本意だったんだが。てか、詩織さん、さらりと毒混ぜたよな?


「せめて翔吾君か雄一君なら……」


「もうアンタ混ぜる気すら無いよね? セリフ全てが毒だよね」


どうせフツメンですよこの野郎。


「んな事言ったってしょうがないでしょ。セリアさんの言った通り、最高戦力は俺だ。奈◯を相手に、確実にアンタら守れるのは俺だけなの」


「じゃあ、他の二人は何してんのよ?」


「アレの標的はアンタら勇者みたいだけど、他へ行かないとも限らないからね。爺さん達の護衛と、周囲への警戒をやって貰ってる」


「警戒って……?」


あまりピンときてない様子の梨花さんに、俺は少し呆れてしまう。本当にこれから大丈夫かねこの人。


「敵が一体だけとは限らないって事よ」


説明ついでに説教しようとしたら、横から詩織さんが梨花さんに説明した。


「あっ……そっか」


「全く……これぐらいは思いつけるようにしなさいよね」


「……う、ゴメン…」


どっちにしろ説教はされたようだった。


「付け加えると、こういう時って黒幕も近くに居る場合が多いのよ。特にこんな手の込んだ仕掛け使う奴だと、自分の目で直接眺めてたりするし」


「そう言う物なの?」


首を傾げる梨花さんに、俺は軽くお約束について説明する事にした。


「ええ。少なからず、私の場合は正解ですね」


が、それは上空から聞こえた声によって中止となった。


「誰だっ!?」


唐突に空から降ってきた声に、京介達が弾かれたように顔を上げる。


空には、黒い影が居た。


「どうも初めまして。私はインセラート。『魔王』と呼ばれる者で御座います。短い付き合いになると思いますが、どうかよろしくお願いします」


絶望の化身が其処に居た。

この様子だと、後5回ぐらい続きそうな事実に愕然としている私がいます。

横道脇道逸れ過ぎだと自分でも思う。けど後悔はしていない。


あ、花音さんはヒロインでは有りません。多分。



それと全く関係無い事ですが、日間ランキングのポイントの計算が未だに理解出来てません。だから、何でランクインしてたのかも理解出来てません。



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