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魔法の授業……これが本当の後編だ。多分

試験勉強の為に更新が遅れてしまいました。ごめんなさい。


勉強の合間合間に書いてるので文章が粗いかもです。


終わるのが三月なんで、それまで更新が遅れ気味になると思います。

現在正座中。


「確かに私は自由に魔法を撃てと言いました。それは認めましょう。……ですが、ただの的当てであの威力の魔法を使うのは関心しません!」


「いや、一応周りに配慮……いえ、何でもありません」


現在説教中。


説教の理由は、使った魔法の威力が高過ぎたからである。……ついでに言うと、雄一と翔吾もゴルゴ先生にしょっ引かれている。


「この授業は魔法実技の授業です。なので、強力な魔法を使う事自体は問題無いです。むしろ歓迎します。私が注意しているのは、強力な魔法を周りの事を考えないで使った事です」


エクレ先生の言葉を聞いて、俺はつい首を傾げた。一応、自分なりに配慮はしたつもりなのだが。


しかし、俺が首を傾げたのを見たエクレ先生は大きな溜息を吐いた。……何だろうか。この『普通分かるでしょ……』みたいな反応は。取り敢えずイラっとくる。


「いいですか?ここにいる生徒は魔法が得意じゃない子達が多いんです。それはつまり、魔法の暴走などの『もしも』の事故に対応出来ないって事です。ヒバリ君は、その時に責任を取れますか?」


「あー……」


なるほど理解した。絶対にあり得ない事だが、エクレ先生は『もしも』が起こった時の事を言っているのだ。


つまり、認識の違いである。


例えばさっきの魔法。俺自身はあまり納得がいかないが、先程の即席魔法【タワー・エクスプロード】はこの世界の上級魔法に匹敵するらしい。魔法の区分けで言えば上級は上から三番目。上級を問題無く行使出来れば一流と名乗って良いそうな。


ついでに説明すると、魔法の区分けは初級から始まり、下級、中級、上級、最上級、神格級となっている。


しかし、俺からすればあの程度の魔法など児戯にも等しい。やろうとすれば時間差をつけて打ち上げ花火よろしくな何百連発も可能だし、数千にも及ぶ数を同時に発動する事も余裕だ。つまり、失敗なんて絶対にあり得ない。


しかし、エクレ先生からすれば違ったらしい。俺の実力を知らないエクレ先生から見た場合、俺からすればネタ魔法の【タワー・エクスプロード】でも強力な魔法と認識され、放った俺は周りの事を考えない馬鹿者と認識された訳である。


(やり過ぎちゃったかなぁ……)


ぶっちゃけ俺が悪い。周りからすれば、子供が沢山いる真昼間の公園で特大の打ち上げ花火をぶっ放した様なものだ。


衝撃や熱の殆どを上へと飛ばす様に調節していたとはいえ、【タワー・エクスプロード】は俺が即席で作った新魔法である。派手さを重視したが為にインパクトだけは無駄に高いあの魔法に、そんな細かな気遣いがあるなんて初見で気づくのは多分無理だろう。


「はぁ……。まあ、ヒバリ君が優秀なのは分かったから、次からは気をつける様に」


最後に軽く注意を受け、俺への説教は終了した。


「さてと。それじゃあヒバリ君も向こうで魔法の練習を……必要ある?」


「ぶっちゃけ実技はそれ程。独学なんで座学はいりますけど」


「だよねぇ……」


先程の魔法の説明及び実演が終わった後、今は各自で魔法の練習中を行っている。担当している先生達がそれぞれ眺め、何かあったらアドバイスする形となっている。まあ、簡単に言う自習である。


先に言っておくが、俺たちへの説教の為に自習となった訳では無い。断じて無い。


「と言うか、今からでもトト先生の方に行った方が良いんじゃない?向こうは魔法が得意な生徒が集まってるから、上級魔法の練習も出来るわよ」


「いや、別に上級魔法を練習したい訳じゃないんで」


つーか、あの程度の魔法なんて練習する意味が無い。


「……じゃあ何するの?」


「本当だったら二人にアドバイスでも、て思ってったんですけどね……」


視線を翔吾たちの方に向ければ、未だに二人は説教をくらっていた。


「まだ掛かりそうだしなぁ……」


「二人の場合は手を出しちゃってるからね。それも専門じゃない私から見ても相当な威力で」


「あー……」


もう分かると思うが、二人が説教されているのは俺へのお仕置きが原因である。


「あの魔力撃、普通の人が受けたら大怪我するわよ多分。……何でヒバリ君がピンピンしてるのかが全く解らないわ」


「いや、慣れで」


「慣れって……」


俺の返答に絶句するエクレ先生。だが、俺からすれば何てこと無い事だ。


確かに二人の一撃は危険である。エクレ先生の分析通り、あの魔力撃は岩を砕き肉を潰す。常人ならば四肢がもげる威力の攻撃など、お仕置きやツッコミで放って良い訳が無い。


だが、それも常人ならばの話。


俺には【大罪刻印】を始めとした数々の強化が施されている。その殆どがその場のノリと気分によって施したモノであるが、効果に関しては絶大の一言に尽きる。


理不尽な腕力、認識不能な俊敏性、脅威的な回復力、悪魔的な学習能力など、挙げていけばきりが無い。ぶっちゃけ、施された強化だけでも国を潰せる。


そして当然の事であるが、その効果は防御力にも反映されている訳で。


常人ならば致死の一撃だろうと、俺からすれば痛痒にも感じない。さっきのコンボも小突かれた程度だ。耐久値四十万オーバーは伊達じゃないのだ。


そんな馬鹿げた防御力である以上、それを突破するのにはそれ相応の以上が必要な訳で。


普段の様なツッコミならいざ知らず、お仕置きである以上はダメージを与えないと話にならない。そう考えれば、二人の攻撃の威力が高くなるのも無理からぬ事……だと思う。


まあ、今回はそれが裏目に出たのだけれども。


「ゴルゴ先生は強化系統のエキスパートだからねぇ」


二人を説教しているゴルゴ先生だが、彼は魔力を込めて威力を上昇させる魔力撃や、物体に属性を付与したりするエンチャント魔法の権威らしい。


これは後で聞いた話だが、彼の戦闘スタイルは魔力撃とエンチャントを駆使した肉弾戦だそうだ。天職も拳闘士とかそっち方面だとか。……ゴリゴリの前衛職が何故に魔女の格好をしてるのだろう……。


……まあ兎も角だ。魔力撃のエキスパートであるゴルゴ先生にとって、他人の魔力撃の威力を測る事など造作もない事であった。それによって二人は見事にしょっ引かれた訳である。


「まあ、長いのも当然じゃないかしら。ヒバリ君が何故か全くの無傷だし、気にしてる様子も無いから処分なんて事は無いだろうけどね」


あー、威力だけ見るなら殺人未遂みたいなもんだしな。そら長くなるか。


「しょうがない。適当に魔法で遊んでますわ」


「……教師相手に堂々と遊び宣言なんていい度胸ね?」


俺のセリフに笑みを浮かべてそう尋ねてくるエクレ先生。ついでに青筋も浮かんでいた。


あ、ヤバい。


「あー、いやその。俺からすれば魔法は面白い玩具という訳でして……うん、ばいちゃ!」


三十六計逃げるに如かず!


「あ、コラ待ちなさい!って足速!?」


ハッハッハ!敏捷値六十万オーバーを舐めるな!……流石に全力疾走はしないけども。


それでも既に百メートル以上は離れている。この間約二秒。初期の亀爺さん抜いたで。


「もう……上級魔法は撃たない様にしなさいよー」


「アイアイサー」


エクレ先生は諦めた様な溜息を吐いた後、最後にそう注意だけして見逃してくれた。


「ふぅ……。いやー、危なかった」


この短時間で二度の説教は流石に勘弁願いたかった。お陰でガンダである。


「さて、それじゃあーー」


「お兄様?」


「ふへ?」


不意打ちで後ろから声を掛けられた事により、ついそんな間抜けな声が出てしまった。


というか、お兄様って……。


「やっぱりクラリスか」


「はい、クラリスです」


とても素敵な笑顔で返事をするクラリスさん。……うん、何かノリ良くなってない?


……ええ、分かってますよ。どうせ俺の影響だよコンチクショー。


それは兎も角。


「あの、どうしてお兄様が此処に?確かクライム先生の所に居た筈では?」


「うん、逃げてる内に来ちゃったみたい。……後お兄様は止めようなクラリス」


どうやら逃げてる内にトト先生の方まで来てしまった様だ。まあ、如何に広い訓練場とはいえ、流石に秒速五十メートルで走ってたらそうなるわな。


「そういう訳だから戻るわ。じゃなクラリス」


「あ、待ってくださいお兄様!」


再びエクレ先生の所まで移動しようとしたらクラリスに呼び止められた。


「うん、どしたの?……後お兄様は止めようなクラリス」


「あの、もしお兄様が宜しいのでしたら、私に魔法を教えてくれませんか……?」


おおう。そんな上目遣いで頼まれたら断れないだろ……。


「いや、別に良いけど……。後お兄様は止めようなクラリス」


「本当ですか!?ありがとうございますお兄様!」


「あれ割りと人の話聞かないね君!?」


何故そこまでお兄様って呼び方に拘るの!?


「だってお兄様はお兄様ですもの」


「何で出会って数日でブラコン発揮してんの!?」


何か予想してたのと大分違った関係になってんだけど!?


「……お兄様と呼ばれるのは嫌ですか?」


「いや、別に嫌って訳じゃないけどね」


クラリスの悲しそうな顔を見て咄嗟にそう答えてしまった。


すると、クラリスはころりと表情を変えて、


「なら良いじゃないですか」


笑顔でそう言ったのだった。


……うん。あの爺さんの孫なだけあって、この娘いい性格してるわ。


「いやでも、周りの反応が気になるんだけど」


立場上、俺は田舎から来た子供という事になっている。幾らそれが仮の身分とはいえ、表向きでそう発表されている以上、この世界での俺の身分は平民だ。


そして封建社会においての身分というものは絶対である。つまり大貴族である公爵家の娘のクラリスが、平民である俺の事を兄と呼ぶという事は各方面から批判を買う恐れがあるのである。


そんな俺の考えを見透かしてか、クラリスは笑って首を振った。


「そんなに心配しなくて大丈夫ですよ。我が家がお兄様の後見人である事は知ってる人は知ってます。私がヒバリさんをお兄様と呼んでいるのも、周りからすれば優秀な子供を囲い込もうとしてるだけに見える筈です」


「いやいやいや。流石にそれはないって。こんな何処にでもいそうな子供、囲う価値なんて絶対無いだろ」


事情を知ってる者なら兎も角、知らない者からすれば俺はちょっと優秀なだけのただの子供だ。貴族が態々囲おうとするとは思えない。


だが、クラリスはそれを否定した。


「そうでも無いですよ。優秀な人材というのはどんな時でも需要があります。魔王復活が噂されてる今は特に。お兄様は十分に規格外ですし、むしろ勧誘とか色々と殺到しそうですよ?」


「まっさかー。そりゃ規格外って自覚はあるけど、一応実力は隠してるんだぞ。実力知ってるのなんて陛下やシャルロット王女とか一部の人だけだし」


何度も言うが、俺なんて何も知らない奴からすればただの子供。勧誘なんて来る訳が無い。


しかし、クラリスは気の毒そうに否と言ってきた。


「……お兄様は気づいてない様子ですけど、既に実力は大勢の人たちにバレてると思います」


………え?


「え、マジで?」


「マジです」


即答だった。そして見事に断言された。


……俺なんかしたか?全くもって覚えが無いんだけど。


そんな考えが表情に出ていたのか、クラリスが小さな子供に諭す様に教えてくれた。


「さっき自分で見せてたじゃないですか」


「……へ?見せてた?」


「さっきの魔法ですよ」



……


………あ。


「お兄様の設定では独学で魔法を覚えた事になってますが、独学で上級魔法なんてまず使えません。お兄様みたいに若い場合は尚更です」


「そういやそうだった……」


当たり前に使っていた所為で忘れていたが、魔法とは習得するのが難しい技術なのだ。大成するには才能と努力が必須であり、特に努力に関しては相当なモノが必要である。これが一流と呼ばれる魔法使いに老人が多い主たる理由だ。


そして先程の出来事によって、その一流の域に俺はいると認識された。上級魔法を扱うには余りに若く、しかも独学でそれを成したとされる俺は、周りからすれば確かに天才に見えるだろう。常識がブレイクしていないなら尚更だ。


「魔法の才能は遺伝すると言われてますし、放っとかれる所かむしろ引っ張りだこかと」


「うわぁ……」


極めれば一発で戦況をひっくり返すのが魔法だ。魔導師なんて存在がいないこの世界でもそれは変わらないし、むしろ規格外がいない分一流の魔法使いは貴重だろう。特に物騒なこのご時世、戦力が喉から手が出る程に欲しい筈だ。


更に、魔法の才能は確かに遺伝する。


これは親族によって魂が類似することが多かったり、魔力の波長が同質の物になり易いからなのだが、兎も角魔法の才能は遺伝する。


つまりどういう事かと言うと、優秀な魔法使いは特権階級からすれば金の卵を産む鶏なのだ。


優秀な魔法使いを身内に取り込むという事は、新たな手札が手に入るという事であり、今後の家の発展の可能性を広げる事である。


権力者からすればこれ程に魅力的なモノは無い。蟻が砂糖に群がる様に、貴族が勧誘しようと殺到するのも当然の事。自明の理だ。


まあ、


「果てしなく面倒臭え……」


群がられる身としては堪ったものでは無いのだが。


自業自得なので潔く諦めるが、それでも超絶に面倒臭い。


経験談で言わせてもらえば、権力者と狂信者に群がられるのが一番堪えるのだ。


毎回毎回際限なく群がられ、思想や権力の素晴らしさを延々と語られたら俺の気持ちも分かると思う。


周囲が天災の俺でさえ、余りの鬱陶しさに人類と敵対してる魔王の居城へと逃げ込んでそのまま住み着いたぐらいだからな。あれのウザさは折り紙つきだよ。……え、魔王はどうしたって?最初は偉そうにしてたけど、最終的にすっごく仲良くなったよ。だって俺のお願いなんでも聞いてくれたんだもん。


と、それは兎も角。


「マジどうしようかな……?」


これからの苦労を想像すると、テンションのメーターを振り切るレベルで気が滅入ってくる。


しかし、色々な意味で頭痛がしてきた所でクラリスが顔を寄せてきた。


「安心して下さいお兄様。お兄様の考えてる様な事にはなりませんから」


「へ?」


「あんな祖父の血筋ですが、それでも我が家は公爵、王家に次ぐ地位の一つを陛下から与えられているのです。我が家が貴方と親密な関係を築いてしまえば、他の貴族はそうそう手出しが出来ません」


ああ、成る程。身分と地位がものを言う封建社会の性質を利用するのか。


そして、さらりと孫娘にあんな呼ばわりされてる爺さんが不憫でならない。


まあ、それは兎も角。


これを自分で考えたのか、それとも誰かに指示されたのかは知らんが、ちゃんと理解して実行出来てる辺りは流石だ。あの狸爺いの直系であり、貴族としての教育を受けたクラリスにとっては容易いのかもしれないが。


「だからこそ、私も人前でお兄様と呼んでいるのです。周囲に親密さをアピールして、他の家がお兄様に手出し出来ない様に。……私だって恥ずかしいんですからね」


「う……」


羞恥で僅かに頬を染めるクラリスに、俺は不覚にもドキッとしてしまった。


多分だが、俺はここまでしてくれた彼女にこの先頭が上がらなくなるだろう。


だから、


「これで分かって貰えたと思います。……それじゃあ、魔法を教えてください。優秀なお兄様」


まずはこのお願いにしっかりと応え様と思ったのだった。

蛇足。


権力者が鬱陶しくて魔王城へとエスケープしましたが、それは理由の半分でしかありません。

もう半分は、クラックではヒバリを祀った宗教があり、その信者から逃げる為だったりします。


蛇足の蛇足。


師天の全員が宗教的に崇められたりしている。

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