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魔法の授業 前編

最近、この作品の名前に違和感が。もしかしたら名前変えるかもしれません。

あ、誤字脱字の可能性大です。

修正完了!


《キーンコーン》


「……んにゃ?」


「はい、今日はここまでです。ちゃんと予習復習はしておくように」


鐘の音が鳴り響き、授業を行っていた教師は生徒達にそう言って教室を出て行った。さっきの鐘は授業終了の合図だった様だ。


「授業終わったぁー」


大きく身体を伸ばして欠伸を一つすると、パキポキと身体の節々から音が鳴った。久しぶりに感じる授業終了の開放感は言葉に出来ないモノがある。


ぐてーとダラけながら今の心境にマッチする言葉を探していると、横の席から呆れた様な声が聞こえてくる。


「よく言うよ。途中からガッツリ眠ってた癖に」


ジト目を向けてくるのは傾国の美女と呼んでも過言じゃ無い程の猫耳美少女、もとい猫耳美少年のアルトだ。


「普通編入して最初の授業で爆睡するかな?特にこの学園で」


アルトは逆に関心すると言いたげな表情で肩を竦めた。クイーン曰く、神経が世界樹並に図太い俺でもこれはちょっと気まずい。


尚ジト目でじーと見つめられる中、俺は頬をぽりぽりと掻きながらさっきまでの授業の感想を正直に伝えた。……先に言っておくが、目がザブンザブン泳いでる自覚はある。


「いやー……眠くて」


「はぁ……」


肩を竦めてため息一つ。救いようが無いと言われているみたいで大変居心地が悪い。


けど言い訳はさせて欲しい。さっきの授業は歴史だった訳なんだが、そもそも俺は異世界人である。それも最近召喚されたばっかだ。故郷である地球や長い事暮らしていたクラックの歴史なら兎も角、この世界の場合は歴史どころ童話すら知る由も無い訳で。


つまり何が言いたいのかというと、『んなん分かるかアホんだらぁっ!!』……と言う事だ。


実際、雄一や翔吾も眠ってはいなかったが退屈そうにはしていた。


「そんなんじゃ先が思いやられるよ?」


……とは言え、この事をアルトに説明する訳にもいかず、彼?のジト目を甘んじて受け止めるしか俺には選択肢は無いのだった。







場所は変わって屋外の訓練場。


爆睡をかました歴史の後は実技の授業だったみたいで、クラスメート達に連れられて俺達編入組も移動したのだ。


尚、実技の授業は他クラスと合同なのが殆どらしく人数が多い。その日の授業カリキュラムや訓練場の使用許可などの都合上、毎回合同となるクラスは異なるみたいだが。


今回は俺達のクラスである十組、平民と貴族の人数が半々とされる五組、そしてクラリスのいる一組と合同らしい。……中々に愉快な組み合わせだとコメントしておく。


「それでは今から魔法実技の授業を始めます」


そんな愉快なクラス達を教えるのは魔法実技担当の教師達だ。


グラマラスな体型に紺色のローブを着ている大人なお姉さん、トト先生。


如何にも魔女ですって格好をしたアームス○ロング少佐、ゴルゴ先生。


そして、苦労人っぽくて幸薄そうな我らの担任、エクレ先生だ。


……一人だけ変なのが居る気がするけどスルーしておこう。


「今日は編入生がいるので簡単なおさらいから始めるわよん。皆んな退屈かもしれないけど、復習だと思って静かに聞いててね♡」


ゴルゴ先生の独特な声が耳朶を打つ。ア○ゴさん、もしくは松平片○虎を想像して欲しい。……何故だろうか。杉田○和の顔が頭をよぎった。


チラリと雄一と翔吾に視線を向ければ、二人も同様にこちらを伺っていた。


「(なあ、アレはツッコんじゃ駄目な奴か?)」


「(知らん。だがああもあからさまだとツッコんだら負けな気がしないでも無い)」


「(確かに。……いや、だからこそ敢えてツッコミを入れるというのも……)」


「(いや、何で二人は偶に芸人根性を発揮するのさ。わざわざ地雷を踏みに行く必要なんて無いから)」


やれやれとため息のジェスチャーをする翔吾だが、どうせ何を言っても無駄だと悟っているのか口調はあまり強くない。取り敢えず、自分は止めたという事実は作っておくといった感じだ。


ふと離れた位置にいるアルトを見れば、彼はこっちを見てしきりに口を動かしていた。何か伝えようとしているらしい。


無駄技能として覚えていた読唇術を使ってみた所、


ふ・れ・る・な!!


どうやらゴルゴ先生の事を言ってるみたいだった。


ああも念押しするのなら、あのゴリマッチョの地雷は相当のモノなのかもしれない。


(……ならば、俺は敢えて踏みに行こう)


ここで引いたら男が廃る。そう思った俺は不退転の決意(芸人根性とも言う)を胸に、目の前に聳え立つ暗黒物質の塊へと挑み掛かるが、


「ゴル


「ヒバリ君だっけ?集中して無いならアタシが耳元で囁いてあげようかしら?」


「全身全霊で静聴させて頂きますっ!!」


なす術も無く打ち砕かれた。


「バカ」


「アホ」


「間抜け」


顔を青くしている所に追い打ちのコメントが入った。上から翔吾、雄一、アルトの順だ。


先程のやり取りを見ていたのは三人だけでは無く、各々が色々な感情の籠った視線を向けてくる。大まかに分けて種類は三つ。面白そうに見ている者で、大体が十組の生徒である。生暖かい目で見ている者は五組の生徒が多く、嘲笑や侮蔑の目を向けてくる者は大体が一組だ。


見事なまでに貴族と平民の反応が違う。流石に全員とは言わないが、貴族の生徒の殆どが見下した様な視線を向けてくる。大方、現状でそこそこの実力と地位を持つが為に貴族の生徒達は増長しているのだろう。


ルーデウス王達が貴族の子弟はバカばかりと言っていたが、ぱっと見の印象では成る程と納得せざる得ない。


「(やっぱり貴族は苦手だ)」


「(……確かに。アレと長い事関わってたら嫌いになるかもな)」


仕方無いとばかりに同意する雄一の反応には苦笑するしかない。力を持っていてもやはり自分達は根っからの小市民の様で、権威を武器とする権力者には心情的に苦手意識があるみたいだ。


そんな風に考えていると、エクレ先生が手を叩いて皆んなの注目を集める。


「それでは皆さんに質問です。魔法とはマナを体内で変換して世界に干渉する技術です。その際、魔法に属性が発生するのは何故でしょうか?」


「それは体内で変換出来る魔力の質が決まっているからです」


「その通りです。魔法の核となる魔力に属性が付いている為に魔法自体にも属性が発生します。例外はマナを変換しないでそのまま使用する無属性魔法ですね。代表を挙げるとすれば身体強化ですが、この辺りはスキルとの折り合いもあるので今回は触れません。……ここまでで質問はありますか?」


今の質問はこの学園の生徒達にとっては常識と言えるモノの様で、殆どの生徒が当然とばかりに首を振っていた。


エクレ先生は生徒達の反応を確認した後、説明を再開する。


「次は詠唱についてです。魔法を発動する際に使われるのが詠唱であり、魔法を安定して使用出来る効果があります。なので、基本的に魔法はきちんと詠唱する事を推奨されてますね」


簡単に言うと、特殊な状況じゃない限り、わざわざ無駄な技能をひけらかさないで堅実にいけと言う事だ。


「例外としては戦闘時でしょう。詠唱の場合は使用するのに時間が掛かるので、戦闘などの一瞬の判断が必要とされる場面では使い所が難しいです。その為、戦闘職に就く魔法使いは詠唱を短くする詠唱省略、魔法名のみで魔法を発動させる詠唱破棄、魔法名すら唱えずに発動させる無詠唱のいずれかを習得する事が必須となってきます」


魔法の発動の短縮化。これの戦闘時での有用性は敢えて説明するまでも無い。


刹那の行動が生死を分ける戦闘において、魔法と言う技術は致命的に遅過ぎる。


無詠唱、最低でも詠唱破棄を使えない限り、一人ぼっちの魔法使いなどただの的だ。そして、紙装甲が多い魔法使いは一撃でも貰えば致命傷。戦闘時の役割が後衛での移動砲台となるのは当然と言えば当然だ。


「なので、魔法使いは基本的に仲間と行動します。仲間が守って時間を稼ぎ、魔法使いが高火力を叩き込む。これが最も安全であり、最も効果的なフォーメーションなんです。……極稀にソロで活動している魔法使いも居るには居ますが、それはただの馬鹿か相当な実力者なので真似しない様に」


何故だろうか?エクレ先生が馬鹿と言った途端、翔吾と雄一、何でかアルトが俺を見た。……いや、確かにソロで活動する事もあるけれども。それは後者の理由であって馬鹿って訳じゃないんだけど……。


頬をヒクつかせる俺には気づかないで、エクレ先生は話を続ける。


「だから、皆さんも信頼出来る仲間を見つけてくださいね。それは自分の生存率を上げる事になりますし、何より楽しいですからね。これは魔法使いだけじゃなく、様々な事で言える事ですよ」


良い感じで話が纏まった所で、ゴルゴ先生が横から話を締め括る。


「さて、簡単なおさらいも終わった所で、皆んなにはこれから三つのグループに分かれて貰うわ。魔法を使えると思う人はトト先生、魔法はあくまで補助として使うつもりでいる人は私、あまり魔法が得意じゃないって人はエクレ先生の所に行ってね」


パチリとウィンクをする肉ダルオカマ。……一瞬だが背中の神経がミミズになった気がした。


言葉に出来ない不快感が


「アァん?」


いや、何でも無いです。


ぞろぞろと皆んながグループへと分かれるべく移動する中、気を取り直して二人に向き合う。


「さて、俺達どこ行くよ?」


「うーん、僕と雄一はゴルゴ先生の所だと思うけど……」


「アレに教わるのは遠慮したい所だな……」


うん、その気持ちは良く分かる。


俺が大いに納得している横で、更に翔吾が不安要素を挙げていく。


「それに、僕達の魔法って雲雀から教わった奴だから皆んなと違うと思うんだよねぇ」


「確かに注目されそうだな。雲雀から教わったやり方って邪道っぽいし」


翔吾の言葉に雄一が同意する。俺もその点に関しては同意するが、流石にこの物言いにはムッときた。


「邪道とは失礼だな」


「素人相手にイメージだけで魔法を発動させようとした奴が何言うか。魔法について碌な説明も無しにワイバーンの群れに放り込んだ事、忘れたとは言わせんぞ」


あー、それ言われると痛いかも。


「テヘペロ」


ービキリ。


「……アルテミ」


ちょっ!?


「すっませんしたっー!!」


周りの生徒達が何事かと注目するが、魔弓を向けられそうになっている俺には周りを気にする余裕は無い。


余談だが、俺の持ち物であった『魔弓アルテミス』は今では雄一の物となっていた。何故雄一があの弓を持ってるかだが、あの弓は自らの意思を持つ所謂インテリジェンスアイテムと言う物であり、アルテミス自身が雄一を所持者と認めたらしい。


普段はアルテミス自身の能力の一つである異空間の中で眠っているが、雄一がその名を呼べば一瞬で彼の手元へと現れる素敵仕様となっている。


つまり、だ。今後は雄一のツッコミに必中貫通の魔弓が加わった事になる。……あれ?俺詰んでね?


あまり気づきたくない事実に冷や汗をダラダラと流していると、流石にアルテミスは見咎めたのか翔吾が仲裁に入ってくる。


「こーら。皆んなの前でそんな物騒な物ださないの。それに今は授業中。後にしなさい」


……ねえ、翔吾さん。それは人目が無い場所でなら撃って良いって事になってませんか?後回しにしてるだけで根本的解決はしてくれないんですか?


「ほら、さっさと動くよ。ここで立ってても目立つだけだし、皆んなの迷惑にもなるんだから」


スルーしないでぇぇーーーー!!

授業中って眠いよね。

そしてヒバリの魔窟の中が作者の私でも凄い気になる。世界を切り裂く剣とか無造作に入ってそうで怖い。

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