表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/123

友達一人〜出来たかな〜♫

まったり風味な感じです。新キャラ登場します。

誤字脱字の可能性大

はい、と言う事でお決まりの質問ターイム。


「ねえ、三人は何処からきたの?同郷なんでしょう?」


「陛下からの推薦って本当?」


「学園長のお墨付きって凄いなおい」


さて、もう気付いている方もいると思うが、俺達は編入生や転校生にとってお馴染みとも言える状況にある。まあ、分かりやすく言う所の質問攻めだわな。


編入生や転校生に興味を持つと言うのは、異世界であっても変わらない様だ。この学園の性質上、編入生や転校生が珍しいという事もあるだろうが。


とは言え、こうも集られるとどう捌けば良いのかと困るのも事実。大量の好奇の視線の前にして、流石の翔吾や雄一も困り顔だ。


「うーむ、まさかこれを体験する事になるとは」


「それもこんな場所でねえ」


口から漏れるはそんな言葉。創作物の中でお馴染みの光景を自分が体験するというのはなんとも珍妙な気分になる。……お前は異世界トリップしてんだろってツッコミはしないで欲しい。


取り敢えず、ルーデウス王から用意された設定を意識しながら質問に答えていく事にする。


「俺達の故郷はずっと東の村だ。そこで偶々騎士団のお偉いさんに出会ってな。その後は色々あって此処に放り込まれたんだ」


「へー。じゃあ編入試験ってどんなのだった?もしかして試験免除とか?」


「えっとね、試験は王城騎士との一騎打ちだったよ。勝ち負けは関係なかったけどね」


「マジで!?どうだった、騎士の人強かったか?」


「流石に王城勤めだけあって相当強かったな。俺なんて直ぐに剣落としたし」


いら、自ら放り投げてたけどな。


まあツッコミ所は多々あるが、それでも怪しまれる事なく向けられる質問を捌いていく。


「ねえじゃあ」


《キーンコーン》


幾つかの質問に答えてたら鐘の音が響いた。感じからしてチャイムみたいな物だろう。


「ちぇ、いい所だったのに」


残念そうな顔をしながら渋々と自分の席に戻っていくクラスメイト達。そんな彼等に苦笑しながら、俺達も自分の席となる場所へと向かっていく。


俺が一番後ろの列の窓際。翔吾は教室のど真ん中に当たる席。雄一が前から二番目の列の廊下側の席。何気に俺が一番当たりな席な気がする。


細やかな幸運に良い気分で席に腰掛け様としたら、


「やった!編入生君が隣だ」


「ほへ?」


隣の席からそんな声が聞こえてきた。


声のした方に視線を向けると、そこには猫耳が有った。


「………」


ぐにぐに。


「……へ?」


さわさわ。……むぎゅ。


「ちょっ!?いきなり何!?」


「……はっ!俺は一体なにを!?」


疑問と抗議が混ざった声によって意識が戻された。気がつけば手が猫耳の上に。……どうやら無意識の内に猫耳を触ってたみたいだ。


「まさか身体が勝手に動くとは……。恐るべし、猫耳の魔力」


「あの、正気に戻ったのなら撫でるの止め……」


なでなで。……ちょん。


「ふみ〜……」


ころころ。


「はふぅ〜……」


ぽんぽん。


「にゅ〜……」


ぱたんぱたん。


「……ん?」


シャーシャー……ガコン!ゴロゴロ。


「え、あのちょ……」


ヒューン………カァン!


ピタ、ゴラ、スイ○チ。


「いや何その効果音!?」


「お約束?」


「知らないよ!!」


うん、やっぱりこのクラスの人ってノリ良いなぁ。


……と、そろそろ挨拶するか。


「お隣みたいだからヨロシクね。さっきも言ったけど、ヒバリだよ」


「なぜ何事も無かったかの様に……。いや、うん。多分こんな人なんだ」


うわー。勝手に納得してるけどスゲー失礼。自業自得だけどさ。


猫耳の人物は気を取り直す様に溜息を吐いた後、手を出して握手を求めてきた。


「僕はアルト。アルト・フィオーレ。ヨロシクね、ヒバリ君」


「こちらこそ。アルト、で良いのかな?」


「うん」


にこりと笑うアルトと、ピクピクと動く猫耳。それを眺めていると、ついまた手が勝手に……。


なでりなでり。


「……あの、なんでまた耳触ってるの?」


「んー、なんとなく?」


「いや、なんとなくって……」


呆れた様な困った様な表情のアルトに、俺はゆっくりと頭を振った。


「……無理だったんだ。ダメだって分かってるのに、この衝動を抑える事が出来ないんだ……!俺の中の欲望が身体中を駆け回り、理性という檻を突き破ってしまうんだ……!!」


「………つまり?」


「獣人が珍しくて。好奇心に勝てませんでした」


「あのねぇ……」


こめかみを抑えるアルトだったが、俺はその反応に否と言いたい。そりゃ、獣人なんてこの世界では当たり前の存在なんだろう。けど、地球の、俺達の世界では、獣人は、ケモミミは崇高な存在だ。彼等の中に秘められし萌えは、ケモナーじゃなくてもクルものがある。そんな、そんな普通だったら絶対に会う事の出来ない存在が、創作物の中でしか生きられない存在が、俺の目の前にいるのだ。我慢なんて出来る訳が無いだろう。


特に俺の場合、一度その創作物の中でしかありえない出来事、異世界トリップに遭遇している。なのに、なのにその世界には地球と同じく人間しか居なかった!この時の絶望は言葉に出来ない。それ故にこそ、俺の今の心境は常人のそれより遥かに勝る。


と、そんな感じの事をアルトに力説すると


「……へー」


とっても生暖かい目で見られました。うん、それはもうヌルい感じで。


「君が変人なのは分かったけど、いきなり耳を触るのは止めた方が良いよ?さっきは純粋な興味みたいだったから僕は見逃したけど、相手によっては普通にお縄になるから。特に女性の場合はね」


子供に言い聞かせる様にアルトは諭すが、流石にそれは弁えているつもりだ。獣人とかに限らず、いきなりボディタッチするのは大概の種族でもアウトになるのは当たり前なのだから。……いや、ついさっきそれをやらかしたんだけどさ。


「流石に誰彼構わず触るつもりは無いって。さっき触ったのだって無意識だったし」


「無意識の方が怖いんだけどなぁ……」


「大丈夫。俺が触るのはアルトだけにするつもりだから」


「……は?」


俺の台詞にアルトはポカンと間抜けな表情をする。ついでに俺との距離が少しだけ離れたのを報告しておく。


「……あのさ、それは一体どう言う意味なのかな?」


「いやそんなに警戒するなよ。アルトの想像してる様な事では無いと断言するから」


耳を忙しなく動かして尻尾を逆立てる猫、いや違った。警戒するアルトをどうどうと落ち着かせる。


「普通に考えてさ、女性相手に耳とかを触らせてくれとかセクハラだろ?」


「そりゃあね」


「だからと言って、ゴツイ男のケモミミなんて誰トクだって話じゃん」


「また微妙に頷き辛い事を……」


余りの物言いに苦笑いを浮かべるアルトだが、それでも否定はしなかった。


いや、だってそうだろう?ケモミミ付いてんのがイケメンとかだったら見てられる分まだ許せるけどさ、相手がフツメン、又はそれ以下の場合はおぞましいなんて物じゃない。獣人という種族が実現してるこの世界では褒められた事じゃ無いけど、それでもサブカルチャーに染まった身としては妥協は出来ない。


勿論、この考えはあくまで鑑賞などの方面での事であって、人付き合いなどでは外見で判断する気は無い。それはこの場で断言しておく。


さて、話を戻そう。女性は常識的に無理。かと言ってただの男は論外。


「その点、アルトだったら線も細いから問題無いかな、と」


アルトの容姿はお世話無しで綺麗だ。軽いウェーブのかかった茶髪に、くりくりと大きなつり目がちな鳶色の瞳。身体つきは細く華奢な印象を与えるが、詳しく観察すれば程良く引き締まったスラリとした四肢。極め付けに焦げ茶色の猫耳と尻尾。


俺の目の前にいるのは、すれ違えば全員が振り返るであろう美貌を持つ学ランに身を包んだ獣人なのだ。


俺の弁明を聞いてほっと息を吐くアルト。どうやら誤解は解けたみたいだ。


「……そうか、良かったよ。いや、良くは無いけどさ。もしヒバリがおホモ達系の人だったら、エクレ先生に直談判してでも席替えしてもらうつもりだったし」


「まあ、その容姿だと狙われそうだよな」


「そうなんだよねぇ」


実際、俺も最初見た時は自分の目が変になったかと疑ったからな。凄い美人さんが男子の制服着てんだもん。驚くなって言う方が無理だ。翔吾で幾らか耐性は付いてるつもりだったけど、男の娘を地で行く人間なんて翔吾以外見た事無かったからなあ。


「まさか翔吾の同類が隣になるとは」


「翔吾君ってあの可愛い見た目の子だよね?……うーん……褒められてるんだろうけど素直に喜べない……」


どうやらアルトは自分の容姿を気にしているらしい。……フツメンな俺からすれば、アルト程綺麗だったら気になんてならないのに。


「なあアルト。今度で良いからワンピースとか着てくれね?服は俺が用意するからさ」


「……君はアレだね。初めて会ったのを感じさせないぐらい気安いね……」


「ん?馴れ馴れしいのは嫌だったか?」


「付き合い易い人は嫌いじゃないよ。流石にここまでざっくばらんな人は初めてだけど」


「適当って事かい」


俺が簡潔に纏めると苦笑が返ってきた。それでも否定しない辺り、割と良い性格をしているみたいだ。……性格が良いかは微妙だけどね。


「っと、そろそろ本鈴が鳴るよ。あ、教科書とかって持ってる?」


「いや、そう言えばまだ貰って無かったな」


「それじゃあ一緒に見ようか」


「頼むわ」


そんな事を話した直後、授業開始のチャイムが鳴って先生が入ってきたので、椅子を近づけてアルトの教科書を一緒に覗き込む。


教科書の内容を見た所、どうやら最初の授業は歴史らしい。


先生が黒板に色々と書き込み、それを生徒が熱心に板書していく。それはアルトも同じだった。俺は教科書から一生懸命板書するアルトに視線を移して、これからの学園生活について考える。


良い友人が出来て幸先の良いスタートを切れた。これから色々と波乱万丈な事になるだろうが、それでも楽しくやっていけそうだ。




追伸。アルトは甘くて良い香りがした。

キャラが被った。どうもキャラクターを考えるのが苦手な私。そしてケモミミは至高だと思う人は手を挙げろ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ