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自己紹介 in 予科三年十組

ネタ成分多めな回になりました。

誤字脱字の可能性大です。

ガヤガヤと騒がしい廊下。扉についてる窓からは広く、教壇から扇状に広がって机が置いてあった。後ろにいくに連れて段差があるアレだ。大学とかの講義で使われる場所みたいといえば分かりやすいか。教室の中にいる生徒達の年代もバラバラで、二十歳は過ぎてそうなお兄さんから、小学生の高学年ぐらいの女の子までいる。


「あれ?こんなに人数多いんだ」


同じ様に教室の中を覗いていた翔吾がそんな声を上げた。予想以上の人数に驚いたらしい。


「翔吾、ここは有名な学園なんだ。一クラス辺りの人数が多いのは当たり前だろ」


冷静に翔吾の疑問に答えたのは雄一だ。雄一の方は予想外って訳でもなかったみたいで、特に驚いてたりする様子は無い。


「いや、そうだけどさ。学園長は毎年三百人前後が入学してるって言ってたでしょ?それでクラスが十組あるんだから、普通は三十人ぐらいだと思ってさ」


翔吾が疑問の理由を挙げ、俺はそう言えばと納得した。窓から見える生徒の人数は少なくとも三十人以上はいる。これが一クラスの平均だとすれば、入学者の人数と合わない事になる。


しかし、雄一はその事に疑問を抱いている様子は無い。人数が合わない理由を察しているらしく、逆に何故気付かないという視線を向けてくる。察しの悪い俺と翔吾は、顔を見合わせて首を捻る。………何故だろう?同じ仕草をしている筈なのに、雄一の俺への視線だけが冷たい。


「……そうか、美少女補正か」


「そういう事だ」


「二人共、今この場で串刺しにしてあげようか?」


「「遠慮します……」」


翔吾の笑顔に俺と雄一は揃って頭を下げていた。はたから見れば俺達は震えているに違いない。………知ってるか?温厚な奴は怒るとメチャクチャ怖いんだぜ……。


とは言え、こんなやり取りは何時もの事だ。直ぐに雄一が話を戻す。


「人数が多いのは当然だろ。この学園は留年するのが当たり前みたいになってんだぞ?」


「「あー」」


思わず納得。そう言えばこの学園、馬鹿みたいに留年する奴等が多いのだ。いや、生徒が馬鹿って訳じゃなくて、学園が生徒に求めるハードルが異常に高いのだ。その所為で留年する人間が後を絶たず、必然的に一学年の人数が入学者数より多くなるって事らしい。


「補足しますと、学年が上がるにつれて一クラス辺りの人数は増えていきます」


俺達の会話を聞いていたらしく、エクレ先生が振り返って説明してくれた。


「はい、ここが君達のクラスよ」


そんな会話を交えながら歩くこと数分。俺達が在籍する事になる予科三年の十組へと到着した。………遠いよ。デカイとは思ってたけどこの学園、移動の時とか下手したら十分以上掛かったりすんじゃねーの?


「それじゃあ、私が呼んだら入ってきて下さいね。あ、自己紹介は考えておかないと駄目ですよ?」


茶目っ気のある笑顔で俺達にそう告げたエクレ先生は、一人で扉を開けて教室へと入って行った。


彼女の姿が見えなくなってから一言。


「なんだろう、この途轍もないファンタジー感……」


「同感だな」


「ある意味異世界っぽいかな……」


どうやら同じ事を三人共思っていたみたいだ。


それもその筈。この学園、なんか色々とテンプレな感じがするのだ。さっき説明した教室もそうだが、服装も学園指定の制服が用意されている。男子は学ランで、女子はブレザーっぽい奴。服装にはあまり詳しく無いので上手く説明出来ないが、マンガとかで出てきそうな制服って事で納得してほしい。他にも、机や椅子といった細かな備品もそうだ。簡易な感じの物から、重厚な雰囲気を持つ物まで色々とある。


他にも挙げれば切りが無いだろうから纏めるけど、つまり


「よく有る学園モノに出てきそう」


うん、この一言に尽きる。いや、色々な意味で間違っては無いんだけど。


「感じ的には、ゼ○魔やと○モノに近いか?」


「うん、間違っては無いけどヤメようか」


「そうだぞ雲雀。……所で疑問なんだが、何で学園長はアルバス○ダンブルドアなのに、校舎とかはブレイ○ダンス系の造りなんだ?」


「雄一まで!?駄目だよ雄一!!雲雀の同類になっちゃダメだ!!」


「おいおい、その言い草は無いだろ。いや、確かに巫山戯過ぎたのは認めるけどさ。そろそろ自重しないと作sy」


「「おいそれは本当に自重しろ!!!」」


「ぐふぅっ!?」


俺のセリフを遮って二人にマジ蹴りを叩き込まれた。……くそ、これが神の見えざる手のちかra



閑話休題



さて、メタ系のあれこれが飛び交った訳だけど


「それは雲雀だけだアホ」


「おい、人のモノローグにツッコミ入れんじゃねーよ」


おホン。……さてと、話題を戻そうか。


「いや、け「それじゃあ三人共、入ってきて下さい」……」


俺が話し始めた所で、エクレ先生の声が響いた。


「お、呼ばれたみたいだな」


「そうだね。……ほら、雲雀も行くよ」


「……ああ……」


神様、最近ボクの扱いが酷い気がします。ボクは何かしたのでしょうか!?………そう言えば結構な数の神をボコってたわ。


そんな感じでショックを受けてる俺を置いて、二人は教室へと入って行った。俺も慌てて後を追う。


扉を潜ると、幾つもの好機の視線が俺達に突き刺さる。よせやい、照れるじゃねーの。


「そろそろ真面目になりなよ?」


「うっす!」


惚れ惚れする(凍える様な)笑顔で翔吾が注意してきたので、大人しく従う事にする。


教壇ではエクレ先生がパンパンと手を叩き、皆の注目を集めていた。


「はい、注目。彼等三人がこのルーデウス魔法学園へと編入してきた人達です。皆、新しい仲間と仲良くしましょうね」


そう言って前口上を述べた後、先生は俺達へと視線を向ける。それに釣られて、クラス中の視線が俺達へと移動した。


位置的には一番先生に近い場所にいる雄一から自己紹介になると思う。


……そう思ってたんだけど、


「(ふい)」


雄一が横を向いた。するとクラスの視線は雄一の隣の翔吾へと向く。


「(ふい)」


翔吾が横を向いた。するとクラスの視線は俺へと向く。


「(ふい)」


俺は横を向いた。するとクラスの視線は俺の隣の空気へと向く。


「「「………」」」


沈黙。クラス中が黙り込む中、俺は虚空へと手を伸ばして肩?をポンと叩く。


「それじゃあ君から自己紹介頼むわ」


「「「「誰もいねえだろうがっ!!!」」」」


クラス中から総ツッコミを受けた。うん、ノリが良さそうで何よりだ。


さて、どうやら俺から自己紹介をやる事になったみたいだ。


「ヒバリ・サクラギです。色々あってこの学園に編入する事になりました。年齢は十五歳。スリーサイズは」


「「「いや聞いてない聞いてない!!」」」


「ありゃ残念。それで得意なのは魔法。好きな十刃エスパーダはアーロニーロ○アルルエリだよ」


「「「「いや何だよそれ!?」」」」


「「スイッチじゃねーか!!」」


こいつら本当にノリ良いな。


凄え色々な視線を感じるけど無視だ無視。お次は翔吾。


「ショウゴ・タチカワです。年齢はヒバリと同じ十五歳。得意なものは料理や裁縫です。ヨロシクお願いします」


ぺこりとお辞儀をする翔吾。その姿は天使の様に愛らしい。


「はいコイツ見て美少女キタコレって思った奴は手を挙げろー!!」


「「「はーい!!!」」」


クラスの殆どの男子と一部の女子が手を挙げる。……何故に女子まで……。


まあ、ツッコミたい所もあるけど、俺は満足気に頷いた。


「うむ。正直で宜しい」


「宜しくないよこの馬鹿タレが!!」


「あーーッ!?」


結果、翔吾に蹴り飛ばされた。うん、鳩尾に回し蹴りがジャストミートだわ。しかも魔力はバッチリ込められてた。いやー、良い蹴りだわ。魔闘術Lv7は伊達じゃないね。


けど翔吾よ、これでお前が女の子に見えるのは仕方無い事なんだって判明したな。


ジト目を向けてくる翔吾はさて置き。最後は雄一だね。


「ユウイチ・スズミヤだ。得意な物は弓で、年齢は十五歳。翔吾とそこの馬鹿とは同郷だ。誠に遺憾だが、馬鹿が暴走した時のストッパーをやっている」


「あらもう嫌だわ雄一さんったら。そんなに冷たい事言わない……いえすいません巫山戯過ぎましたそろそろ自重します真面目にしますだからそんな絶対零度の視線は止めて下さいいやマジで」


「とまあ、こんな感じだな。これから色々と、特にこの馬鹿が迷惑を掛けると思うから先に謝罪しておく。馬鹿が鬱陶しかったら遠慮無く攻撃してくれて構わない。むしろ殺す気でやれ。俺も協力する」


うわーお。公衆の面前で堂々と殺害許可が降りちゃったよ。……それにしてもアレだね。クールな雄一がそんな冗談言うなんて意外だったな。惜しむらくは、ちょっと表情が真顔だったから冗談に聞こえなかった事かな。冗談、だよね?


ほら、見てみ?クラスの結構な人が顔を引きつらせてるよ?……一部の目が輝いてる人達について触れないでおこう。何か怖い。


「自己紹介は以上です。エクレ先生、続けて下さい」


三人の自己紹介が終わり、雄一がエクレ先生へと話し掛ける。話し掛けられた本人は俺達の方を向いて唖然としていた。


「えっと……。あの、こういう事聞くのはアレなんだけど、もしかしてユウイチ君とヒバリ君って仲悪いの?」


少しビクビクしながら聞いてくるエクレ先生に、俺と雄一は苦笑で返す。少しほっこりしたのは内緒だ。


「安心して下さいエクレ先生。俺と雄一、翔吾もですけど、親友同士ですよ。さっきのも別に暴言とかじゃないですから」


「ええ。単に、この馬鹿はダメージを与えないと調子にのるから言ってるだけです。さっきのだって、コイツは無駄に頑丈で頭と身体が繋がって原型が留めてあれば死ぬ事は無いぐらいにしぶといから、殺す気で攻撃しないと仕留める事が出来ないってアドバイスしただけですし」


あれー?


「なあ雄一さんや、俺は今、昆虫か何かと同じ扱いを受けた様な気がするんだが」


「安心しろ。誰も昆虫みたいな扱いはしてないから。昆虫に失礼だ」


「……おい、そろそろ俺泣くぞ…」


「おっと、流石に言葉が悪かったか。安心しろ。ゴキブリと同じ扱いしただけだ」


「うわーーんっっ!!個人的にはそっちの方が嫌だよおーー!!」


あれ、何でだろう?視界がボヤけるな。それに変だな。室内なのに雨が降り始めたみたいだ。俺の服が濡れ始めたよ……。


「先生、そろそろ先に進みましょう」


「え?で、でも泣いて」


「良いんです。別にマジ泣きって訳じゃないし。それより、早く進めないとどんどんコントが続いていきますよ」


ガーン。翔吾にコント扱いされた。こんなにこっちは真剣なのに。……いや、コントかこれ。


どうすれば良いかオロオロしてたエクレ先生だが、俺が何事も無く復活すると頬を引きつらせながらも話を進めだした。


「おホン。……皆さん、こう見えてヒバリ君達はルーデウス陛下から才能を見込まれてこの学園へとやってきました」


この一言にはクラス中がざわめいた。やはり、一国の王のお墨付きというのは大変な事みたいだ。


「彼等の実力は学園長が太鼓判を押す程です。なので、分からない事があったら教えを請うのも良いかもしれません。共に切磋琢磨するライバルとなるのも良いでしょう。私は皆さんが彼等と良い関係を築ける事を願っています」


「「「「はい、エクレ先生」」」」


声を揃えて返事をする彼等を見て、何だかんだで良いクラスだなと、俺はそう思ったのだった。

こんな賑やかなクラスだったら楽しいだろうなー。

そして哀れ主人公。扱いがどんどん雑に。

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