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パーティーがあるそうです

所用で出掛けるので更新が一時停止します。

十二月中頃には復活予定です。

学園についての説明を聞き、屋敷に戻ってきた所で爺さんと鉢合わせた。そしたら丁度話があるとか言われ、俺はそのまま爺さんの執務室に引きずられて行った。


「パーティー?」


「うむ。正確に言うと、二人の快気祝いと当主の再就任じゃな」


「ああ、なーる」


ライデンさんとシータさんは木化病という奇病を患っていた。その所為で家督を爺さんに返上していたが、快復した事によって当主に再就任する事になり、それらを報告する為のパーティーを開くとの事。


「………で、それと俺は何の関係が?」


「一応は聞いておこうと思ってな。お主を出席させる事も可能だが、どうする?」


「全力で遠慮する!」


食い気味に、力強く、即答で爺さんに返事を返す。貴族のパーティーなんて、誰があんな七面倒臭いものに出席するか。あの手のイベントはクラックで散々やったから飽き飽きしてんだよ。


爺さんも俺の返事は予想してたみたいで、特に驚く事もせずに納得していた。


「まあ、そう言うと思っておったよ」


「だったら聞かんでくれ」


「明日は騒がしくなるからの。一応は知らせとこうと思っただけじゃ」


やはり公爵の位だけあって、参加者はかなりの数になるらしい。勇者のお披露目の事もあり、辺境の貴族達も今は王都にいるのも一因だろう。実際、それに合わせて急遽行う事が決定したみたいだ。


「そういえば、ライデンさん達が治ったのはどうやって説明するんだ?あの病気、一応は不治の病だろ?」


何か治せない的な事言ってたし。周りにはどうやって説明するんだ?


「一応じゃなくて正真正銘の不治の病じゃ。木龍の鱗なんて普通は手に入らんからの」


後で聞いた話だが、木化病というのは土属性の魔力の過剰摂取が原因だそうだ。ざっくりと説明するとこうだ。本来魔力というものは属性というものは存在しない。だが、二人が言った地域には高位の精霊だかがいる所為で、属性が存在しない筈の魔力に土という属性がついているらしい。この属性付きの魔力を過剰に摂取してしまった時、身体は異常を感じてしまい、自己防衛機能によって自らを土と相性の良い木に変えてしまうとか。これを治す為には土属性の魔力を吸収する効果を持つ木龍の鱗が必要なのだが、龍の鱗などそう簡単に手に入る物では無い。かつては、木龍がその地域一帯を守護していた為に鱗は比較的楽に手に入った。しかし、時が経って木龍は行方知らずとなり、鱗は手に入らなくなった。その為に、木化病は不治の病となったのだ。………とは言え、こんな危険な病であるが発症するのは極めて稀だ。今回の場合は完全に運が悪かったと言える。


「まあお主の疑問は最もじゃが、それぐらいはどうとでも誤魔化せる。妥当な所だと、流れの商人から大金で買った、とかかの」


「でも、快復したにしては早すぎるとか思われないのか?」


確かに、商人とかで薬の出所は誤魔化せるだろうが、二人の病が治ってから三日も経っていない。療養期間とかの事を突っ込まれたらどうするのだろうか。


「そこも大丈夫じゃ。ダーブルとセリアに回復魔法を施してもらった事にするからの。それに、息子夫婦は元冒険者じゃ。二人の頑丈さは貴族の中でも知れ渡っとる」


「あー、うん。なんかそんな感じしてたけど納得」


実を言うとそんな気はしてたんだよね。だってあの二人、立ち振る舞いが戦闘職のそれだもん。足運びとか完全に熟練者だよあれ。頑丈というのも、あながち嘘じゃないと思う。


「だからそう心配するな。誤魔化しは効く」


「あっそ、じゃあ明日の夜は部屋に篭ってるよ。偶に忍び込むからよろしく」


「………待て待て待て、忍び込むって何じゃ」


「パーティーにはご馳走が出んだろ?だったら食べなきゃ損だろう」


この世界のご馳走なんて食べた事ないからな。どんな料理か楽しみだ。


「いやいやいや、どうやって忍び込むつもりじゃヒバリ。仮にもパーティーというのは王侯貴族の集まる場じゃぞ?そんな場の警備がぬるい訳がなかろう」


「透明化、透過、小型化、幻覚、その他諸々の魔法を持つ俺に警備なんて通用すると?」


はっきり言って、俺の前に警備なんて有って無い様なものだ。今言った魔法の他にも、気配を消失させる魔法、変身の魔法、認識をズラす魔法など、俺の使える魔法の中で身を隠したりするタイプはかなりのバリエーションを誇る。魔法の効果も高く、師天でも九人には通用するレベルだ。………あ、別に覗きとか変な事に使う為にこの類の魔法を作った訳じゃないからね?イタズラに使う為だったり、不定期で開催される師天サバゲー大会(俺発祥)を勝ち抜く為だからね?


師天サバゲー大会っていうのは、特殊な弾を放つ魔銃を使ったサバゲーであり、俺達魔導師の娯楽の一つだったりする。ルールとしては、探査系と撹乱系の魔法、隠れる魔法だけが使用可能。攻撃は魔銃のみで、被弾したら転移魔法で退場する、というものだ。………いやー、今思い出しても滅茶苦茶だったなあの大会。魔導師の使う魔法って自由度が半端無いから、魔法の種類を限定してもかなり恐ろしい事になったからね。変身、幻覚、認識阻害に透過などと何でもござれ。凄い奴だと、一時的に自分が存在を消失させた奴とかいたし。俺の場合は、身体を気体に変化させて不意打ちしたり、大量の分身を作って翻弄させたりした。お陰様でサバゲー大会は三位だったりする。


如何に王侯貴族の警備と言えど、警備しているのは唯の人間。魔導師の中でも上位のハイド能力を持つ俺を見つける事は不可能だ。


「………儂はお主と敵対せんで良かったと心底思っとるよ………」


爺さんにその事を説明したら遠い目をしてそう呟いてた。警備を無視出来るのだから、要人暗殺なんて訳無いし、それどころか俺の場合は国ごと消せるからな。完全に敵対したらどっちが勝つかなんて明白だ。


敵対しない事に関しては俺も同感。だって俺、魔導師として色々な勢力を相手取ってきた所為か、どうにも敵相手に容赦するのが苦手なんだよね。なんだかんだで爺さん達は気に入ってるし、そんな事になんなくて良かったよ。


「まあ、そうゆう訳だから。明日は楽しみにしてるよー」


「………うん、もうお主の事で気にするのは止めたわい」


あら、爺さんが何か諦めの境地に達しちゃったみたい。何だかなあ、酷くないそれ?………しょうがない、爺さんに一言言っておくか。


「諦めないで」


「やかましいわ」


あらら。









「と、そんな会話をした訳ですよ」


「僕はギリス公爵に同情するよ」


翌日の夜、俺は部屋で翔吾とペンダントを通して会話をしていた。要するにチャットである。


「えー、そうか?あの人はあの人で滅茶苦茶だぞ?」


「僕の感じた限りだと、ギリス公爵は破天荒だけど滅茶苦茶ではないと思うよ?」


俺の言葉を聞いて、少し考えながらも翔吾は爺さんをそう評した。………あー、破天荒か。うん、確かにそっちの方がしっくりくるな。


「滅茶苦茶っていうのはヒバリみたいな奴の事を言うからね。少なくとも僕達の間では」


「………おい、どういう意味だそれ」


「自覚無いの?」


「いや、あるけど」


「じゃあ言わなくても分かるでしょ?」


ごもっともです。


「それにしてもパーティーかー。僕も出てくる料理は食べてみたいなぁ」


「いや、俺が出席する訳じゃないんだが」


「どうせ忍び込むんでしょ?」


おや、ばれてーら。まあ、長年一緒にいたから驚く事でもないけどね。


「なんだったら、ちょろまかした料理をそっちに送ろうか?」


「んー…………いや、今回は遠慮しとくよ」


「滅茶苦茶悩ましい気だったぞ今」


「うるさいよ」


ジト目で睨んでくる翔吾。男のジト目って誰得だよって言いたい所だけど、翔吾の場合は普通に可愛らしい。


「あれだね、ヒバリ何か良からぬ事考えてるでしょ?」


「いやー、男の癖にジト目が似合うなって」


「本当にうるさいよ」


そう言ってむくれる翔吾を見てると、何でこいつ女の子じゃないんだろって本当に思う。翔吾が女の子だったら思いっきりアプローチ掛けてるのに。………いや、嘘です。俺結構ヘタレなんでそんな事出来ません。


「また良いや。………あ、どんな料理だったかは教えてね。今度挑戦してみるから」


「何だ?自作する気か?」


「そうだよ。折角料理スキルなんてものがあるんだ。使わないと損でしょ?それに、スキルレベルも上げたいしね」


「了解。美味い飯を期待してるよ母さん」


「やかましい、誰が母さんだ」


そんな会話を最後に、俺と翔吾はチャットを終了させた。


さて翔吾からの要望もあった事だし、そろそろ忍び込みますか。


「魔法は………透明化で充分か」


自分の手持ちの中から丁度良い魔法を選び、その魔法をイメージして発動させる。


魔法を使う時は詠唱をする事が多い俺だが、毎回詠唱をするかというと実はそうでもない。大概の魔法ならば念じるだけで発動するし、単純な事なら魔力に命令するだけで実現する。まあ、この事は追い追い説明していこう。兎も角、基本的に詠唱をするのは、威力がヤバイ魔法、効果が特殊な魔法、イメージがしづらい魔法ぐらいなのだ。今回使った魔法である、【映らぬ筈の影法師】は透明化という単純な能力の為、詠唱はしなくても発動する。


「さて、ご馳走ご馳走」


そして俺は、透明のままパーティー会場へと向かって行った。

所用とは言え、まさか飛行機に乗る事になるとは………。

作者は飛行機がかなり苦手です。もし、次回の投稿がなかったら、その時私は………。


それじゃあ、ちょっくら行ってきます

(´c_,`)ノ))

また今度

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