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フラグが建った

やっとまともに掲載出来そうです。

更新頑張って行こうと思います


2/7、色々と修正しました。

異世界から帰還して十日がたった。幾ら俺が酷い巻き込まれ体質であろうと、流石に異世界から帰還して十日でそんな大事件に遭遇する訳もなく、平和で穏やかな日々を過ごしていた。


とはいえ、だ。異世界で生活していた為に戸籍年齢と実年齢が10歳程違うので、これまでの事を色々と思い出しながらの生活を余儀なくされている。


今は学校の放課後で、先生に頼まれ事をされた翔吾を待っている。凄い暇だ。


と言う訳で、日本の時の自分について少し思い出そうと思う。


俺の名前は桜木雲雀。戸籍年齢15歳(実年齢は25歳)現在一人暮らし。そこそこ有名な公立高校に通う一年生。容姿は平凡で、クラス内のヒエラルキーで言うところの二軍。体質の事は昔からの親友である二人しか知らない。


普通である。まあ分かってはいたが。


「平和だな〜」


「まだ十日しか経ってないのに何言ってんだ」


「しょうがないだろ、雄一。こんなにのんびり過ごしたのは久しぶりなんだ」


「お前、異世界では世捨て人やってた言ってなかったか?」


「世捨て人でも危険がなかった訳じゃないしな。そう考えると、やっぱ日本は平和だよ」


「そんなもんか?」


「そんなもんだ」


しがらみがないっていいなーと考えながら、雄一と取り留めのない会話をする。すると、雄一は会話の途中でふと何かを考え始めた。


「………」


「急に黙ってどったの?ハルヒ」


「ハルヒじゃねえよ。………いや、ちょっと気になった事があってさ」


「気になる事?」


「なあ雲雀。お前この十日間、何かあったか?」


「ん?いや、特にコレといったことは起こってないが」


「本当に?」


「ああ」


「何にも?」


くどい!


「そうだって言ってるだろ!そんなに念押しされるとなんか不安になってくるわ!」


「そうか……」


俺がそう答えると、また考え事を始めた雄一。一体何がそんなに気になっているのか聞いてみようとしたが、丁度良いタイミングで翔吾が戻ってきた。


「ごめん、待たせたね。……って、どうしたの雄一?なにか考え事?」


「いやな、翔吾。実はかくかくしかじかでさ」


「……いや、現実にかくかくしかじかって言われてもわからないから。ちゃんと説明してよ」


とりあえず、今までの会話の流れを翔吾に説明する。


「……とまあそういう訳で、なんでか雄一が考え込んじゃったんだよ」


「ふーん、なるほどね。で、何を考えてるの?雄一」


未だに思考の海に潜っている雄一に、翔吾が話し掛ける。


「ん?ああ、翔吾戻ってたのか」


「………気付いてなかったの?今さっき戻ったところ。で、何考えてるの?」


「いや、雲雀が戻ってきてから何も起きなくて平和でいいなって言ってたんだが、そこがちょっと引っかかって」


「ん?なんか変なこと言ったか、俺?」


「変っていうかなさ、お前が戻って何日経ってるか考えたらな………」


言葉を濁す雄一に俺は首を傾げるが、どうやら翔吾にはそれで十分だったらしい。


「………えっと、つまりそういうこと?」


「どういうことだ?」


「えーとさ、雲雀は十日前に異世界から戻ってきたでしょ。で、今日までのんびり過ごしたきたんだよね?」


「まあな、久しぶりに何事もない平和な日々だったけど、それがどうした?」


本当にのんびりと過ごしたからな。いつもはもっと騒がしいことが起こるけど、今回は特に何もなかったからな。


………ん?いつもはもっと騒がしい?


「そういうことか!?」


「気付いた?」


「つまりアレだろ?俺に十日も何事も起きないのが違和感を感じるってことだろ?」


遠回しに俺が普通に過ごしるのが異常って言いたいんだろ?


「俺が引っかかっていたのはそういうことだ。この厄介事ほいほいが珍しく何も誘き寄せてないんだ」


「……お前の言いた事は分かるが、人を害虫駆除のアイテムと一緒にするなと言いたい」


「似たようなもんだろ」


「おいコラ」


別に好きで誘き寄せてる訳じゃねーよ。


「兎も角だ。俺にはコレが嵐の前の静けさに思えてならない」


話題を戻した雄一は、真剣な表情で俺と翔吾を見回した。


「……そうか」


だからこそ、俺も真面目に返させて貰おう。


「……雄一よ、お前の言いたいことはわかった」


「ああ」


「……ならば、俺の言いたいことはわかるか?」


「………ああ」


「そうか。でも、あえて言わせてくれ」


「ああ」


許可も出たので大きく深呼吸してから、せーので一言。


「なんでわざわざフラグを建てる!!」


「しょうがないだろ!気付いちまったんだから!」


「しょうがなくねえよ!気付いても言うなよ!言わなければまだなんとかなったかもしれないのに、コレ完全に建っただろ!」


建ったフラグは回収させる。これは世界の掟なんだぞ!


「アハハ………まあまあ二人とも、ちょっと落ち着いて」


俺たちが不毛な言い争いをしていると、翔吾が苦笑しながら割って入ってくる。


こういう所でいつもストッパー役になる翔吾は、俺たちの第二の母親なのだ。


「建っちゃったフラグはもうしょうがないとして、遅くなるから早く帰ろうよ」


「……はあ、わかったよ。翔吾ママ」


「……そうだな、帰ろうか。お母さん」


「……僕は二人のお母さんじゃないし、いきなりボケるのやめてくれる?」

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