目指せ頼れる兄ちゃん!
徹夜と寝起きで書いたので誤字脱字の可能性が大です。
どうかご容赦を。
「知らない天井だ………」
目が覚めたので、取り敢えずはお約束のネタをやっておく。まあ、このネタはクラックで散々やってたんだけどね。異世界っていう性質上、宿屋とかに泊まる事は多かったし。………偶に本気で言った事もあったけど。野宿してたら悪戯でクイーンの家のベットに転移させらた時は本気で言った。現実逃避する為に。
え、それでどうなったって?勿論、クイーンに色々された後、事情を説明してから犯人をぶちのめしましたよ。………クイーンが。いや、俺もやろうとしたんだけどさ、その前にそいつ首根っこ掴まれてクイーンに引きずられてったから。遠くで聞こえてきた悲鳴が怖くて動けなかったんだよね。その後、そいつずっと「虫怖い虫怖い」って呟いてたから詳しい事は聞いてない。つーか聞けないよ怖すぎて。
「えっと、朝食は下だっけ?」
昨日、案内された際に言われた事を思い出しながら部屋を出る。
「あ」
「え?」
そこで丁度クラリスとばったり鉢合わせた。多分、向こうも朝飯の為に起きたんだろう。
「はよ、クラリス」
「え、えっと、おはようございます。ヒバリさん」
クラリスに挨拶してみた所、多少つっかえながらも彼女は挨拶を返してきた。………うーん、やっぱりまだぎこちないな。
この様子だと、多分爺さんの言った通り緊張してるんだろう。別に俺、緊張される様な人間だとは思えないけどなあ。自覚はあるから、大した事無いとは言えないけどさ。
「にしても、朝早いのな」
取り敢えず、会話を繋げ様と適当に話題を振る事にした。
俺は日本での習慣や向こうの経験があるから問題無いけど、今の時間はかなり早い方だ。農民などの朝早い職業以外はまだ寝ててもおかしく無い。
「あ、学園がありますので………」
「あー、そう言えば爺さんもそんな事言ってたな」
何処の世界でも学生の朝が早いのは変わらないみたいだ。俺もこれに今度から混ざるのかと思うと妙な気分だな。
「なあ、学園ってどんな感じ?」
「どんな感じ、ですか?………そう、ですね。やはり学科によって異なりますけど、生徒の大半は向上心が高いですね。ある種の活気もありますので」
「ふーん………」
ルーデウス王から軽く聞いていたが、おれ達が通う学園はかなり有名だそうだ。元々ルーデウス王国自体が結構な大国であり、後進の育成には力を入れているらしい。それは近隣諸国からも一目置かれており、他国からの留学生も多いのだそうだ。その為、ルーデウス王国の学園の出身者というのは、ある種の社会的なステータスとなっているのだとか。
そんな話をしていると、俺とクラリスは朝食を食べる部屋へと到着した。………遠いよ。移動するのに分単位ってもう不便だろこれ。部屋も食堂みたいに広いしさ。ここ使うのって、爺さんとその身内と俺と後は招待客ぐらいだろ?絶対要らないだろこの広さ。
まあ、貴族には見栄的な奴も必要だろうから、しょうがなくなんだろうけど。多分、爺さんとライデンさんは不便に感じてんだろうな。あの二人って俺と同類な気配がするから。貴族の在り方とか結構文句言ってそう。………ってか、あの爺さんだったら屋敷の移動を面倒がって、ショートカット用の隠し通路的なの作ってそうだな。
「………少なくない?」
「え?そ、そうですか?」
メイドさんに運ばれてきた朝食を見て、ついそんな事を言ってしまった。………あ、別に俺のが少ないんじゃなくてクラリスのご飯ね。
「私、何時も朝は余り食べないんです」
「あー、なるほろ」
「「………」」
………会話が終わった。
いや、そりゃあ会ったばっかで親しい訳じゃないけどさ。何かこう、気まずいな。向こうは緊張してるし、俺は普通の女性とはあんまり交流なかったし。………クイーンみたいな奴だったら結構交流あったんだけどね。でも、あれは普通の範疇じゃ無いし。開口一番で束縛の魔法を詠唱する様な奴は普通の女性、てか普通の人間と言わない。
うーん、見た感じだと向こうも俺と同じ気持ちだと思うんだよなあ。多分、クラリス自身も普通に接しようとはしてるんだろう。つっかえながらも、ちゃんと答えてくれるし。………それがただの義務感だったら泣けてくるな。
「ごちそうさまです。………ではヒバリさん。私は学園がありますので」
飯を食い終わったクラリスがそう言って席を立った。
「あー、いってらっしゃい、でいいのかこれ?」
「そう、ですね。………いってきます」
一応、同じ屋敷で暮らす事になったから間違いでも無いんだろうけど、やっぱり殆ど知らない人間に「いってらっしゃい」と言うのは別の気まずさがあるな。返答に間があった事からクラリスも違和感を感じてたと思う。
出来ればこの気まずさはその内に解消してくれれば助かるな。やっぱり一緒に暮らしてるんだし、普通に接してもらいたい。………まあ、それ以上の関係になるのは御免だけど。成れるかどうかは兎も角。色々と面倒そうだし。親戚か兄妹ぐらいの関係がベストだ。
「目指すは頼れる兄貴だな」
クラリスとの関係の指針も出来たし、それを目標に頑張ろう。………何の決心してんだろ俺。
朝食を食った後、適当に時間を潰してから冒険者ギルドに向かった。ライデンさんから聞いた通りの道を進んで行き、待ち合わせ時間にはギルドの前についていた。
「あ、もう雲雀がいる」
「………また変な事起こらないよな?」
少ししてから二人が来た。翔吾は意外そうな顔をして、雄一は警戒して辺りを見回している。………こいつら俺を何だと思ってんだ。
「おいコラ雄一。向こうでちょっと話そうぜ?」
「そうだな。俺も昨日の事でお前と『お話』したかったから丁度良い」
「すっませんしたっ!!!」
不穏な言葉に全力で土下座する俺。周りの人から視線を感じるけど気にしない。プライド?羞恥心?何言ってんだよ命の方が大事だろ?
「………二人とも、恥ずかしいからやめて」
「いや、土下座は俺も予想外だった………」
「お前は昨日の行動を思い出せ。死の危険を土下座でやり過ごせるなら幾らでもするだろ普通」
変なプライドとか意地で命を捨てるのは馬鹿のする事だと思うんだよね俺。そりゃあ、誰かを守るとかそういうプライドだったら尊敬する。でも、自分を良く見せようとする見栄とかで死ぬのは頂け無い。私見で言わせて貰えば、人間は生き汚なくあってこそだ。最後まで生きる事を諦めなければ割と何とかなるのだから。根性論って言われるかもしれないけど、そういうのは実際は結構侮れない。………土壇場まで自分を信じて疑わない狂信者とかの厄介さを経験すれば分かると思う。
いやー、実際にあれは凄いよ?追い詰めたと思ったら、急に突拍子もない事やり出して状況がひっくり返った事が何度あった事か。俺、下手な主人公とかよりも悪役の方が根性あると思うもん。『馬鹿な、お前はあの時倒した筈だ!』みたいな作品とか見ると本当にそう思うし。どんだけしぶといんだよってね。
「もういいから早く行こうよ。………周りの視線も痛いし」
翔吾が恥ずかしいそうにしながらそう促してくる。言われてみれば、確かに結構注目されてた。少し騒ぎ過ぎたみたいだ。………けど翔吾よ。その視線の何割かはお前に向いてるのには気付いてるのかね。
「まあ、時間も勿体無いからそうするか」
「そうだな」
雄一の言う事も最もなので、俺達はギルドに入る事にした。
そして、俺達はギルドに登録して晴れて冒険者になった。
………え?何も無かったのかって?あったに決まってるじゃん。お約束で不良冒険者に絡まれたさ。雄一がボコボコにしたけどな!
雄一さ、見た目は知的メガネだけど結構ケンカっ早いんだよ。しかもレベリングの所為で実力がかなりヤバくなってるし。絡んできた奴等が睨まれただけで萎縮して、動けない所を腹パンで全員沈めていったんだよ。あいつ鬼かと思ったよ俺。
これは余談だけど、目を覚ました不良冒険者達が雄一に舎弟入りを申し出てた。その所為で俺達全員が『兄貴』って呼ばれる事になった。………何でクラリスじゃなくて不良の兄貴分になってんの俺?
ギルドに関しては、他の作品と大差無いので説明割愛してます。ランクとかはその内出てくるので、説明はその時に。




