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明日の予定はどうしようか?

うーん、学園いけるかなこれ?

「ここがヒバリ君の部屋だ。好きにしてくれて構わない」


話し合いの後、俺はライデンさんに部屋へと案内されていた。


「………広くないすか?」


案内された部屋は何と言うか、めっちゃ広かった。目算で数十畳はあると思う。………この部屋だけで日本の家の敷地よりデカイんじゃね?


「そうでも無いさ。君は新たな家族みたいなものだからね。家族の部屋が使用人達よりも小さい訳にはいかないだろう?」


「まあ、そりゃそうですけど…………」


ライデンさん達の好意が理由の殆どを占めてるとは思うけど、それでもやはり後見人としての義務も少しはあるのだろう。………とは言え、こうも広いと落ち着かないんだよなぁ。


一応、クラックでは屋敷と呼んで差し支えないぐらいの自宅は複数持っていたけど、一つは魔物の素材やらガラクタやらで、一種のゴミ屋敷になってて生活空間が極端に少なかったからなあ。………もう一つの屋敷の方はもっと酷かったけどね。例に違わず、何時ものメンバーの悪戯で下手な迷宮とかよりもずっと危険になってたから。いや、本当にエグイんだぜ?ドアを開けて一歩踏み出すと地雷的な魔法陣が仕掛けてあったり、何故か風呂が毒の沼状態になってたりしてたから。しかも、玄関を開ける度にトラップの配置が変わる仕組みだった所為で対策なんて取れはしないからお手上げだったんだよ。


その所為で野宿とかよくしてた俺からすれば、取り敢えず屋根と壁があれば問題無いんだ。それがこんなデカイ部屋を与えられたら、遠慮するってもんですよ。………本音だと散らかしそうってだけだけど。


「まあ、気後れするかもしれないがそこは我慢してくれ。それに、此処はもう君の部屋だ。散らかそうが問題無い。メイドもいるしな」


「………よく分かりましたね」


「私………いや、俺も似た様な性格だからな。同類の人間は何と無く分かるんだよ」


どうやら、ライデンさんも片付けられない人らしい。まあ、あの爺さんが親なら仕方ない気もするけど。


口調を変えたのはやはり家族として接する為だろう。ライデンさん自身が、自身の境界線を取っ払ったんだと思う。だったら俺もそれに倣って、口調を崩すのが筋だろう。


「あー、やっぱあの爺さんの影響で?」


「そういう事だ。………恐らく、ヒバリ君にも迷惑かけると思う」


「そこはまあ、おいおい考えてきますよ。下手な厄介事を持ってきたら痛い目みてもらうつもりなんで」


「………その時は俺も呼んでくれ」


「了解」


ライデンさんのお許しも出た事だし、やる時は徹底的にやってやろうと思う。やっぱり、そういう罰は無難に女体化だろうか?うーん、でも幼児化も捨てがたいしなあ。………いや、だったらもう幼女に変えようかな。うん、この案でいこう。


「さて、親父から聞いた話だと、二日後に君の友人と一緒に学園に行ってもらう事になっている。取り敢えず、そこで学園の説明とかをやって、その二日後に編入という流れになっているそうだ」


「じゃあ、四日後に俺は学園に?」


「そういう事になるな。………それでだが、その前の三日間はどう過ごすんだ?」


ふうむ、予定か。確かにどう過ごすかね?暇ではあるんだが、特にやる事も無い。また翔吾達のレベリングでもするかね?………いや、その前に手持ちを稼ぐ手段を確保しておいた方が良いか?幾ら後見人でも、おんぶに抱っこはマズイか。


「そうっすね。取り敢えず、ギルドの方に友人達と登録しに行こうと思います」


「ギルド?それはまたどうして?」


「やっぱり自力で稼ぐ手段は確保して起きたいので。それに俺は兎も角、友人達は身体を動かさせないと鈍るので。………もしかして、学園の在学中は登録とか出来ません?」


「いや、それは問題無いが。生徒にはギルドに登録している者も多い。特に、学園には冒険者科というのも存在している。そこを専攻している生徒は、登録していなくても仮登録という扱いになってた筈だ」


ライデンさんの話を聞く限り、どうやら大丈夫みたいだ。生徒は余計な事をしてないで勉強してろ的な規則の学園という可能性もあると思っていたが、杞憂だったみたいだな。


「だったらその予定でいこうと思います」


「分かった。なら明日あたりに馬車を出させよう。ヒバリ君の友人達には、俺から連絡を取っておく」


「あ、それは大丈夫っす。ギルドは場所を教えてもらえば歩いて行きますし、連絡手段もあるので」


「馬車の件は分かったが、連絡手段?」


「ええ。これっすね」


首を傾げるライデンさんに、首に掛けているペンダントを見せる。このペンダントは以前にフィアに渡した指輪と同質の魔法が込められている。………まあ、こっちの方がテレビ電話的な映像を付ける事が出来る分高性能なんだけど。女性のプレゼントよりも良い物を友人に渡すな的なツッコミはしないで欲しい。


「簡単に言うと連絡用の魔道具です。友人達には王城で別れる前に同じ物を渡しておいたんす」


「それはまた、便利な代物を持っているな」


「ええ。丁度良い感じで便利ですよ」


下手に高性能だと逆に不便だからな。このペンダントの上位互換の奴なんて、映像を写した画面を起点に空間を繋げたり出来るからな。………それを使ってのドッキリが一時期流行ったりしたりした。空間を繋げてカラーボール的な奴を投げ込んだり、画面越しから石化の魔法を掛けたりとか。発案者は俺。最終的に全員に袋叩きにされた挙句、身動き取れなくされてクイーンの所に送られた。


何をされたのか詳しい記憶は無いんだよな。医療魔法を主に扱ってた奴曰く、心を守る為に敢えて記憶に蓋をしてるんだって。薄っすらと覚えてるのは、爪の間に何か光る物を向けられてた事だけだ。………似た様なのが拷問であった気がするするんだよなぁ。いや、考えるのはやめとこう。俺の精神衛生上の為にも。


「まあ、分かった。だったら俺も部屋に戻るよ。何かあったらメイドに言ってくれ。このベルを鳴らすとやってくる。まあ、流石に夜遅くだと時間が掛かるから、それは分かってくれ」


「了解っす」


ライデンさんはそう言って部屋を出ていった。


さて、それじゃあ二人に連絡取るか。


「コール」


起動の言葉を口にすると、ザーザーとノイズが走る音がペンダントから響く。


「こちらスネ○プ、応答しろ。ハリー○ポッター、ロン○ウィーズリー」


「「混ぜるな!!」」


うん、ちゃんと起動しているな。そして二人とも元気な様だ。別れて大して経ってないけど。


「お前は唐突にネタに走るな!そして混ぜるんじゃない!」


「せめて片方だけにしなさい!色々な意味でダメだからそれ!」


「ほいほい。………でだが、中継にしたいんだけど今大丈夫か?」


「僕は大丈夫。今は部屋にいるから。雄一は?」


砂嵐が映っていた翔吾の方の画面が開き、イスに座った翔吾の姿が映し出された。


「ちょっと待ってくれ。………悪いが、ちょっと席を外してくれないか?」


「えー、何故ですか?もっと一緒に居たいですよー」


「………」


「………」


雄一の方の画面から聞こえてくる声に、俺と翔吾は無言で目配せをする。そして互いにニヤリと笑って、からかいのネタが入った事を確認した。


今聞こえてきたのは少女の声だ。まだ砂嵐が映っている為詳しくは分からないが、雄一の近くには少女が居るらしい。そして、その少女はもっと一緒に居たいと言った。これはもう決まりだろう。


「………悪い、遅くなった………と言いたい所だが、お前等その笑顔を即刻ヤメろ」


画面に映った雄一の顔は、俺と翔吾の反応を予想したのか不機嫌であった。


「えー、だってねえ?雄一にも春がきたっぽいんだもん。それをお祝いしなくてどうするのさ!」


「今のはモルト家の娘さんだよ。ただ懐かれただけだ」


「何を言ってるんだい雄一?女の子に懐かれたって事はそのまま春に発展する可能性もあるでしょう?」


「そうそう。それにさっきの声。年齢からして十二歳ぐらいだろ?まさか雄一にロリコ「OK了解だ死ねヒバリ」………雄一さん?今のはかなりガチなトーンじゃなかった?ねえ、何で弓構えてるの?ってか、その弓見覚えあるんだけど。それって俺の持ってた『魔弓アルテミス』だよね?」


必中貫通の加護を宿した魔弓だよそれ?人に構えて良い代物じゃないんだよ?


「お前からパクったに決まってんだろ?」


「笑顔で言わないで!それ流石にダメな奴だから!此処だと防ぐに防げないから!」


弓を引き絞る雄一に全力で土下座する。プライド?ある訳ねーだろそんなんで命が救えるかい。幾ら自動蘇生の魔法を掛けてても死ぬのは痛いんだよ!


「ッチ。………まあ良い。それで、何の用だヒバリ」


取り敢えず死刑は免れたみたいなので、二人に本題を話す。………舌打ちはスルーだ。怖いから。


「………とまあ、そういう訳なんだがどーよ?」


「良いんじゃない?流石にご好意に甘えっぱなしは悪いと思うし」


「俺も賛成だな。生活資金の方は兎も角、自分で使う金ぐらいは自分で稼いだ方が良いだろう」


二人も俺の考えには賛成の様だ。


「んじゃ、明日にギルドで落ち合うか」


「了解。………ヒバリ、遅れんなよ?」


「分かった。………ヒバリ、迷子にならないでね?」


「お前等は俺をどう見てんだよ………」


「「お前だから言ってんだろ」」


「………」


声を揃えて言われては、流石に何も言えない。だって、二人が心配してんのは俺じゃなくて、俺に何かあった時に付随してくるトラブルの方なんだもん。前科がある以上、どんな言葉も言い訳にしか聞こえないって。


「それじゃあな」


「またね」


「………」


画面が消えても、俺はしばらくその場で動かなかった。


やっぱり二人が出た方がヒバリをネタに走らせれる。最近はツッコミ方に偏ってたからなぁ。

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