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説教怖い

話しが進みそうで、進まない。

この話しは殆どギャグです。

ただいま正座中。


フィアの部屋の結界を解いて戻ってきた俺は、現在進行形で翔吾からめちゃくちゃ説教をくらってます。


掛けておいた回復魔法は、効果を遺憾無く発揮しており、疲労困憊していた様子が嘘みたいです。


つまり、説教はまだまだ続きます。


「いい、雲雀?いくら故意では無いとしてもね、女の子を閉じ込めるってのはどうかと思うな僕は。大体ね、雲雀は何時も何時も・・・」


魔王なんかよりも、翔吾の方がよほど怖いっす。


そして、二時間後。


「オイ、どういう状況だコレ?」


目を覚ました雄一が、引きつった表情で聞いてくる。


何があったかって?


そんなの、正座して泣きじゃくりながら謝っている俺と、仁王立ちしている翔吾を見て察してくれよ。


「・・・無理・・・」


ですよねー。


「・・・という事なんだ」


ざっと、これまでの事を説明する翔吾。


「アホだろ」


にべも無く切り捨てる雄一。


「いや、言い訳はさせてくれ!めっちゃ気まずかったんだよ!」


あの雰囲気はヤバイ。


なんか甘ったるさと、居た堪れなさとかが混ざりまくった、なんとも言えない雰囲気だったのだ。


「知らんわ。・・・翔吾、終わったら教えろ。もう一眠りする」


欠伸をしながらベットに戻る雄一。


待って、せめて翔吾を止めて!!


「さて、それじゃあ再開しようか?」


アアーーーーーー!!


**************


ドカン!


「グハっ!?」


謎の衝撃が身体を走り抜け、何事かと辺りを見回すと、そこには、鞘入りの剣を振り切った団長の姿があった。


「いきなりなんすか!?」


余りに理不尽な出来事に、抗議の声を上げる。


「なんすか!?じゃねえよ!!お前、さっきまで自分が何してたか自覚あんのか?」


そういえば、さっきまでの記憶が無い。


「ちょっと!どうしてくれるんですか!!記憶喪失になってんですけど!?」


「俺の所為じゃねーよ!!お前、さっきまで虚ろな目でぶつぶつ言ってて、まともな意識なんて無かったぞ」


「へ?」


団長の言葉に驚いて、周りで見ていた二人や勇者一行に目をやる。


「本当よ。アンタ、朝からずっと変だったの。シャルやセリアさんなんか、精神攻撃でも受けたのかって心配してたわよ」


精神攻撃って・・・。まあ、ある種の精神攻撃を受けたっちゃあ受けたが。


「あれ?朝って言ってたけど、今何時?つーか、此処何処?」


「おいおい、本当に大丈夫かよ?訓練場だよ此処は。時間は昼過ぎだ」


・・・・・・訓練場て。部屋で正座してた記憶しか無いんだが。時間もめっちゃ経ってるし。


「本当に何があったんだ?俺に出来る事なら手を貸すぞ?」


京介が心配そうに聞いてくるが、流石に、説教が怖くてああなったなんて言えない。


「大丈夫だ。問題ない」


「怖い、正座やだとか繰り返し呟いて、問題無いなんて言えるの?」


詩織さんがツッコミを入れてくる。


俺もそう思うけど、出来れば今はスルーして欲しい。


「・・・・・・ってか、団長。幾ら正気に戻す為でも、剣でぶっ叩くのはどうかと思んですが」


俺じゃ無かったら、最悪死んでると思う。


「どうせ大丈夫なんだから、関係ねえよ」


「オイこら、何でアンタが断言してんだ」


実際、問題無いが。


「いや、ユウイチが構わないって言ったからよ。だったら良いやってな」


「雄一!?」


まさかの、親友が裏切っていた。


「さて、んじゃ馬鹿も正気になったし、今日の予定を話すぞ」


「いや、ちょっと待てや!なにサラッと流そうとしてんだ!つーか、アンタもアンタだよ!じゃ、良いやじゃ無えよ!?せめて少しは躊躇しろ!」


「雲雀、ちょっと黙ろうか」


団長に文句を言うと、後ろから、翔吾が声を掛けてきた。さっきまでの恐怖を思い出し、身体を震えさせながら引き下がる。


「やっぱ、普段温厚な奴って、怒ると怖いんだな」


その光景を見て、雄一がしみじみと呟いていた。


「はあ、もう良いか?んで、今日の予定だが、ヒバリ達は、セリアに魔法を教わってくれ。キョウスケ達は、俺と一緒に基礎訓練だ」


「別々に訓練するんですか?」


予定を聞いた京介が、団長に尋ねる。


「悪いが、お前達とヒバリ達は戦闘能力が違う。ヒバリ達は既に、格闘戦だったら十分に戦える。だったら、お前達全員が使え無い魔法を教えた方が効率的だろ?」


「分かりました。じゃあ、俺達も魔法の訓練はするんですね?」


やっぱり、京介達も魔法は使ってみたいらしい。


「当たり前だ。唯の敵ならともかく、お前達は魔人クラスの敵と必ず戦うんだ。最低でも、身体強化の魔法を使え無いと話しならない」


「そうでも無かったけど」


実際、殆どワンパンで終わったし。


ぼそりと呟いた一言に、雄一が呆れながら言葉を返す。


「そりゃ、お前だからだよ。全員がお前みたいに人間辞めて無えんだよ」


「・・・・・・」


なんだろう?どんどん、俺の扱いが酷くなっている気がする。


「さて、んじゃ、セリアさんのとこ行くぞ」


俺の疑問の視線をスルーして、雄一と翔吾が歩き出した。


・・・・・・おーい、置いてかないでー。


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