表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/123

帰りましょう

ついにヒロインとの絡みが!!

光の奔流が収まると、その場には何も残っていなかった。


神殿も。祭壇も。ガルマンも。蛇魔人も。雷霆が直撃した場所は一切合切が消滅し、底が全く見えない程深く巨大な穴のみが存在していた。


周辺の木々は、雷霆の余波によって吹き飛ばされ、樹海の中にぽっかりと空白地帯が出来上がっていた。


「お前、色んな意味で滅茶苦茶だ」


「え、何処が?」


雄一がこの光景を見て呟いた。


一体何処が滅茶苦茶なんだ?


「全部に決まってるだろ!なんだよあの魔法?いくら魔王相手でも確実にオーバーキルだろ!」


「あの程度でなんでオーバーキルなんだ?」


「お前それ素で言ってるのか?見ろよこの光景を!全部が消し飛んでんじゃねーか!穴なんて底が全く見えないぞ!そんな馬鹿げた威力の魔法をあの程度ってお前どうかしてるだろ!」


「いや、別にこの程度大した事ないと思うんだが」


実際、【裁きの雷霆】は俺の攻撃系の大魔法の中ではかなり被害が少ない方だ。


確かに雷霆が直撃した場所は巨大な穴になっている。


でも、それだけなのだ。


直撃したら巨大な穴が空く。つまり、直撃がしなかった場所は大した被害が出ない。精々、余波によって吹き飛ばされるぐらいだ。


貫通力・攻撃力といった面ではかなりの威力を誇るが、破壊力・殲滅力は大して無い。


【裁きの雷霆】は、一点集中型の魔法であり、広域範囲魔法では無いのだ。


「まあ、オーバーキルでもいいだろ別に。さて、魔王も倒したしルーデウスに戻るぞ」


「あ、あの!」


厄介事も終了したので帰ろうとしたら、少女が声を掛けてきた。


あー、そういえばいたっけ。忘れてたわ。


「危ない所を助けていただき、ありがとうございました。私は、リザイア王国第三王女、フィリア・マキ・リザイアと申します」


封印の鍵だった以上は予想していたが、やっぱり王女だったか。


新しいフラグ建っちゃったかな・・・?


やらかしたかなと考えていると、フィリア王女が更に続ける。


「失礼を承知でお聞きしますが、貴方達は一体何者なのですか?」


まあ、当然の質問だ。この世界では魔王は絶対的な強者とされている。そんな存在を簡単に倒す力を持っているのだ。興味があるのはしょうがない。


「フィリア王女、残念な「フィアと呼んで下さい」がら・・・はい?」


質問の答えを返そうとすると、フィリア王女に途中で遮られつい聞き返してしまった。


「出来ればフィアと呼んで下さい。親しい者は皆そう呼びます」


・・・どうやら愛称で呼んで欲しいらしい。


「フィリア王女、親しい「フィアです」・・・いえ、ですから流石に会ったばかりですので、愛称で呼ぶというのはちょっと・・・」


「・・・」


遠慮したら不機嫌そうな顔をするフィリア王女。


「あのですね、フィリア王女」


「・・・」


「いや、だからフィリア王女」


「フィアって呼んでくれないと返事しません」


むくれながらそう言ったフィリア王女。


・・・ちょっと可愛いと思ってしまった。


はっきり言って、フィリア王女はとてつも無い美少女だ。歳は14歳ぐらいだろう。輝く様な銀髪と、蒼の瞳をもつ少女。身長もあまり高くなく、その容姿と合わさって儚げな印象の美少女だ。


そんな少女に、少しむくれた表情と上目遣いで、愛称を呼ぶよう要求された。


無理です。断る事が出来ません。


「・・・えっと、じゃあフィア様」


「様は要りません。フィアです。畏る必要も無いです」


「呼び捨ては流石に・・・」


「むー!」


ヤバイ!どんどん理性が削られていく。


しかも、下心とかが無いようだから余計に質が悪い。ただ純粋に愛称で呼んで欲しいみたいなのだ。


「ふ、フィア」


結局、俺が折れました。


「はい!」


満面の笑みで返事をしてくるフィア。


滅茶苦茶可愛いです。はい。


そして、さっきから俺とフィアのやりとりを見て、雄一と翔吾が後ろで笑いをめっちゃ堪えている。イラっときた。


「さっきの質問なんだが、俺達はちょっと複雑な立場でな、悪いが答える事は出来無い」


「っ、そうですか」


フィアが俺の答えに残念そうな顔をする。


「だったら、名前を教えて下さい!」


名前か。雄一と翔吾に視線を向けると、ニヤニヤしながら頷かれた。殴りたい。


「わかった。俺は雲雀だ。あっちは雄一と翔吾」


「ヒバリ様に、ユウイチ様とショウゴ様ですね」


名前を噛み締める様に繰り返すフィアに、これからどうするか尋ねる。


「さて、フィア。一応聞いておく。俺達は戻るが、君はどうする?必要ならばリザイア王国に君を送り届けることも出来るが」


とは言っても答えなんて決まっているだろう。この場所は世界有数の危険地帯である。そんな場所で、恐らく戦う力を持たないフィアが生きていける様な環境では無い。


「えっと、ご迷惑じゃなければお願いします。御礼はいたしますので」


予想通り頷いた。


「了解。でも、別に御礼は要らない。大した手間でも無いし。悪いが、翔吾と雄一は先に帰ってくれ」


「二人になりたいのか?」


ニヤニヤしながら聞いてくる雄一。


「そろそろ黙れ。俺はともかく、お前達が居ないのは色々とマズイんだよ。二人は一般人って事になってんだぞ。だから、そろそろ戻った方が良い」


直に日も昇るだろう。


「そっか、了解。じゃあ、お願いね雲雀」


「んじゃ、やるぞ」


そして、二人を空間転移の魔法でルーデウス城に転移させた。


「っえ!?あ、あの、お、お二人共消えてしまいましたよ!?」


雄一と翔吾が消えた事に驚くフィア。


「少し落ち着け。転移させただけだ」


「転移ですか!?ヒバリ様は空間魔法も使えるのですか!?」


あれ、またやらかした?


「そんなに驚く事か?」


「当たり前じゃないですか!!既に失われた魔法ですよ!?」


完全にやらかしてた。


「そうなのか。まあいいけど俺はちょっと特殊だからな。空間魔法も使えるんだ」


嘘は言ってない。異世界の魔法使いは十分特殊だと思う。


「魔王をあんな簡単に倒せて、空間魔法まで使えるなんて、本当に何者ですか?」


「あははは・・・」


ジト目で聞いてくるフィアを、取り敢えず笑って誤魔化しておく。


「ともかく、フィアも転移で送り届けるつもりだから、本当に御礼は要らないよ」


「ですが・・・」


渋るフィアを無視して、手を握る。


「ひ、ヒバリ様!?」


「悪いな。行った事のない場所に転移する時はどうしても情報が必要でな。嫌かもしれないが我慢してくれ」


「・・・嫌な訳ないじゃないですか」


顔を赤くしながら小さく呟くフィア。


本人は聞こえて無いつもりだろうが、バッチリ聞こえてます。


「あー、んじゃ、転移するぞ」


取り敢えずスルーする事にして、リザイア王国へと転移した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ