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エキシビションその3 試合の前フリ

お久しぶりの投稿です。


頼光やダヴィンチちゃんが仲間になったり、チートガウェインにぶっコロされたり、学校の試験にぶっコロされたりしてたマスターことみづどりです。


最近、活動報告を利用し始めたり、Twitterのアカウントを作った(作っただけで使ってない)りしてました。


時たま活動報告で執筆状況などを記載するので、気になる方は是非。


誤字脱字の可能性大です。

舞台の上に現れたのは、補習で一緒になった後輩のミカヅキであった。


「久しぶりだな先輩」


ミカヅキは涼しげな笑みを浮かべて、軽く手を降りながら、こちらへと近づいてきた。


なんというか、出会った当初からは考えられないぐらいの気安さである。それでも冷たくされるよりは全然マシなので、こちらもフランクに手を挙げて返答する。


「おー、まさかミカヅキが出てくるとは。凄い偶然やね」


いや本当。あの超適当な条件の中で顔見知りに当たるって、一体どんな確率なんだか。


ミカヅキも苦笑しながら、驚きだったと言葉を漏らす。


「全くだ。私としても、まさか名前が挙がるとは考えていなかったよ。ヘルマン先輩とは、本当に軽く顔を合わせた事があるぐらいだったからな」


それなのに選ばれたという事は、それだけヘルマンさんの印象に残ったという事なのだろう。そこには一体どんな心理があるのやら………単にミカヅキが印象的過ぎただけだな、絶対。


「……おい、何だその目は。言いたい事があるならはっきり言え」


何故かミカヅキがジト目で睨んできた。顔に出てたかな?


「べっつにー。誰もミカヅキが超個性的な人間だなんて思ってないよー」


「分かった。その挑発は後日買う事にしよう」


「え? 今じゃないの?」


俺を指名して、これから戦う事になると思ってたんだけど。


しかし予想に反して、ミカヅキが指差したのは意外な人物であった。


「私はそこのユウイチ先輩を指名する」


「あら?」


「おう?」


「俺?」


ミカヅキの予想外の指名に、俺たちは顔を見合わせる。


『え? ヒバリ君じゃないの?』


灰猫先輩も意外だったようで、素の不思議そうにしていた。


「そんなに意外な事でもないだろう。私は先輩の実力を知っているんだ。それで先輩に挑むなど、折角のチャンスを棒に振るようなものだぞ」


『あー』


「あー」


「あー」


ミカヅキの言葉に、先輩と親友たちは納得の声を上げる。


「更に言えば、先輩に挑んだ場合、碌な未来が想像出来ん。散々おちょくられた挙句、容赦なく叩きのめされそうで怖い」


『あー』


「あー」


「あー」


あー。


「「何でお前も納得してんだ」」


いや、何か普通に想像出来たから。思わず納得してしまった。


「でも、何で雄一? 有名なバカ……もとい会長とか、さっき戦ってた翔吾でも良くない? ミカヅキって雄一と面識無いよね?」


「ナチュラルにボクが馬鹿にされていたのだが」


バ会長の呟きはスルーする。


「で、何で?」


「何でと言われてもな。確かに私はユウイチ先輩と面識は無いが、そこまで不思議な事でも無いだろう?」


「というと?」


「ヒバリ先輩は論外として」


「言い方……」


酷くない?


「会長さんとショウゴ先輩は既に出た。なら答えは自ずと決まる。これは余興なのだろう?」


自然に気を回してくれるミカヅキさん、素敵過ぎる。


「いい子だミカヅキ。アメちゃんをあげよう」


「では、お返しに拳を与えようか?」


ごめんなさい。


俺が即座に降参すると、ミカヅキは大きなため息を吐いた。


「全く……。まあそんな訳だ。私としても、先輩お手製のアイテムという、破格のチャンスを貰ったからな。ならば余興を盛り上げるのに協力するのは当然の事」


挑戦者でありながら、企画に貢献しようという心意気。こっちとしては有難いけど、敢えて言わせて。


「イケメン過ぎだろ」


「……仮にも私は女子なのだが」


コイツは失敬。女子相手に、イケメンは褒め言葉にはならんか。


「デリカシーないよね。ヒバリって」


「コイツにそんな高尚なものが存在してる訳無いだろ」


『お母さんのお腹の中にでも忘れてきてそうですよね』


『というか、ヒバリ君ってお母さんいるの?』


おい最後。


「デリカシー云々は、故意に無くしてる部分もあるんで良いですけど」


「そこは無視すんなと言いたい」


何を今更と言いたい。


「それは置いといて、最後のだけは納得いかない」


人を何だと思ってんだ。


「先輩」


「ヒバリ」


「プラナリア」


『問題児』


『不思議生物』


「人以外の存在を混ぜんな雄一テメェ」


プラナリアってお前……。


『さて、ヒバリ君が傷付いたところで、そろそろ試合を始めましょうか』


「さてなの? さてで済ますの?」


泣いちゃうよ?


「泣けよ」


「コケッコー!」


「それは鳴く」


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」


「それは哭く」


「うわぁぁん!」


「それが泣く」


言葉って凄い。


『………あの、そろそろ寸劇止めて貰って良いですか?』


「あ、すみません。つい」


「そうっすよね。ずっと会話ばっかで、そろそろ描写も入れてきたいでしょうし」


「「ヤメロ!」」


ヤメロと親友たちに言われたので、代弁は止める事にする。


そして、雄一とミカヅキ以外は舞台から降りた訳だが。


「さて、二人はどっちが勝つと思う?」


今まで空気となっていたバ会長が、そんな事を訊いてきた。多分、存在を思い出して欲しいんだろう。


「……そんな同情的な目で見ないでくれないか? 純粋に気になったから訊いたのだか」


バ会長は俺の視線の意味に勘づいたらしく、とても微妙な顔を向けてきた。


まあ、それは兎も角。雄一とミカヅキ、どちらが勝つかだったか?


「そんなの決まってる。雄一だ」


「同じく」


「躊躇いもなく言い切ったね。彼女も相当な使い手みたいだが?」


流石に学園最強と称されるバ会長は、ミカヅキの実力を見抜いていた。


実際、ミカヅキの実力は高い。俺の見立てだが、格闘系のスキルをレベル7辺りで所持している筈。


補習の時は盾をメインにしていた為に目立たなかったが、純粋な近接戦闘の能力は灰猫先輩を上回り、バ会長にも匹敵するのではないだろうか?


「それなのに、二人は彼が勝つと断言するのかい?」


「うん」


「当然やね」


確かにミカヅキは強い。だがそれでも、雄一には敵わない。


「アイツの狙撃と格闘はピカイチだ。この二つの技術なら、バ会長やミカヅキは勿論、俺ですら雄一には及ばない。その手のセンスの次元が違うんだ」


これは翔吾にも言えるのだが、二人は真性の天才だ。大抵の事は人並み以上に熟し、少し熱中すれば凄まじい速度で、そして際限なく上達していく人種である。


そんなリアルチートと言える二人が、俺と関わり続けた事によって、何度も命の危機に襲われた。その度に死にものぐるいで足掻き、命を懸けて生きる為の技術を磨いたのである。


少し熱中するだけでも凄まじい成長力を誇るのだから、命懸けで磨いた技術はもう常識の埒外と言える。


「普段こそ人を蹴り飛ばしたり、刃物を突き刺してきたり、時たま人が頑丈だからって致死級の攻撃を仕掛けてくる二人だけど」


「……それが普段と言い切るか」


「いや、ドン引きしてるところ悪いですけど、それってつまり、普段からそういうレベルの攻撃をされるような事をコイツがやってるって事ですからね? そこは勘違いしないでくださいね?」


「自業自得という訳か」


それで納得すんのかい。それじゃあチョロイというよりただの馬鹿だぞ。……なら良いのか。


「兎も角、雄一もここにいる翔吾も、普通に学生やってるけれど、その実力は化物そのもの。幾らミカヅキが優秀でも、化物退治は荷が重い」


「誰が化物だ」


いやまあ、完全に化物以上の俺に言われたくないのは分かるけど。それでも事実だし。


翔吾や雄一が敵に回った場合、同じ化物か、化物退治の専門家である勇者や英雄とかが必要になるのは確かだ。


「少なくとも、学生じゃ無理ですね」


俺がそんな風にバ会長に説明すると、


「………では何故キミは、学生じゃ無理なレベルを学園行事で行ったんだ?」


企画そのものにツッコミを入れられた。


「いや、ほら。別に評価基準は勝敗じゃないし」


そこはしっかり説明したし。


「それでも、勝てたらアイテムの一つを自由に与えると言っていた筈だが?」


「そりゃ、勝てたら何でもあげますよ? 勝てたらですけど」


「詐欺だ………」


「詐欺だね」


人聞き悪いな。


「あのな、ちゃんと勝てるだってあるんだぞ? そりゃ、俺や翔吾と雄一には絶対無理だろうけど、バ会長がいるし」


「ボクも学園最強なのだが?」


そう言えばそうだっけ。


「まあけど、確率的にはやっぱりバ会長が一番勝ち易いし」


雄一と翔吾は最低でも魔人や英雄クラス。俺の場合は同格の魔導師を連れてこないと、勝つのはまず無理だ。


「求めるハードルが高過ぎる……。そんなの、一体どんな試合になると言うのだ」


「あんな試合じゃない?」


そう言って舞台を指さすと、そこでは涼しい顔で連打の嵐を放つ雄一と、真剣な表情で拳を捌くミカヅキが。


実は長々と話している内に、二人の試合は始まっていたのだ。


「全く……。これではどちらが本当の武闘大会か分かりはしないじゃないか」


んな事言われてもね。


「別に良いじゃん。エキシビションとは言え、これも武闘大会の一部なんだし。化物VS英雄の卵の試合、じっくり観戦しようじゃないか」


さっきまでの試合とは趣きが違うが、観客席も盛り上がっている。


ならば、存分に楽しもう。

前回書いた、三杯酢合金の詳細。


材料は

・高い魔力伝導率を誇るミスリル

・ダイヤモンドのような輝きと、凄まじい硬度を誇るアダマンタイト

・自然界の魔力を吸収し、それによって常に特殊な魔力力場を発生させるオリハルコン


この3つを混ぜると

・硬い筈のアダマンタイトに、銀の一種であるミスリルを混ぜた事で中途半端に柔くなった

・魔力の伝導率が高いミスリルだが、魔力を流しても魔力を吸収するオリハルコンの特性によって、魔力が消える

・特殊な魔力力馬を常時発生させるオリハルコンだが、高い魔力伝導率を誇るミスリルを混ぜた事によって、鉱石自体の持つ魔力回路に余分かつ無意味な回路が形成。そのせいで魔力力馬が発生しなくなった。


これが三杯酢合金の謎特性の設定です。尚、鉄と全く同じ性質を持つ理由は謎である。



とまあ、こんな感じです。ところどころ微妙な部分もあるでしょうが、そこは一発ネタという事でご容赦を。


次回は雄一のターン。翔吾の決闘の回と雄一バージョンと思ってください。

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