エキシビション始まります!
ちょっと短めです。
ここで少し質問ですが、今まで通りのボリュームと更新頻度と、ボリュームを少し減らす代りに更新頻度が少し早まるの。どっちが良いですか?
いや、短くなっても更新頻度が上がる保証も無いですけども。
あ、Simeji凄いです。勧めてくれた人ありがとうございます。
純白の天使だった。
汚れ無き白の髪。そこから飛び出る、真っ白な猫の耳。淡雪の如く白い肌。腰から伸びる猫の尾も、耳と同じく真っ白で。
白では無いのは、瞳の色と纏う衣服のみ。
だがしかし、僅かに釣り上がったエメラルド色の瞳は、ただただ澄んでおり、下手をすれば白以上に清廉な印象を与えるだろう。
それは身体も同じ。衣服の上からでも分かる胸の膨らみ、華奢な腰周り、スラリと伸びるおみ足。その全てが美しく、それ以上に神々しい。
正しく天使。神の使徒たる白の化身。
そんな美少女が、突如として現れた。
『『『『えぇーーーッ!!??』』』』
当然の事ながら、大絶叫である。
「うるさいですよ」
いや、マジで。
下手なコンサートホールよりも多い観客数なのに、それが揃って大絶叫とか、耳がイカれてもおかしくない。
『イヤイヤイヤ! 叫ぶのも当然だからっ! こっちはイキナリ性別変えられてんのよ!?』
「良いじゃん別に。大して問題じゃないっしょ?」
『大問題よっ!!』
そうかね? 見た目は元から美少女だし、変わったというなら体型くらいなのに?
『体型が変わってんじゃないの! というか、性別が変わってんのよ! 今まで無かった胸の感触とか、絶賛戸惑い中だから!』
あー、男ならやっぱりやるよね。女体化した際の確認と称したお触り。
「πタッチを既に済ませているとは……。灰猫先輩は紳士階級のPでしたか」
『すっごい誤解される言い方しないでくれる!? いきなり胸が重くなって驚いてるの! 後、紳士階級のPって何!?』
「挨拶代わりに女の子の胸をタッチするジェントルですよ」
『それただのド変態だから!』
いや、大概は二次元相手だから問題無いだろ。変態が頭に付くのは否定しないけど。
『変態紳士なんて女性の敵でしょうが!』
「そういう灰猫先輩も、さっきサラリと一部の女子を敵に回していたような」
『………』
胸が重いって、普通に戦争起きるセリフよ?
『だってしょうがないじゃないっ! 胸が出来て初めて実感したけど、重りがついてるみたいなんだもん!』
『『『………』』』
………なんか、一部の人たちのヘイトが溜まってる気がする。
『男の子は有難がってるけど、実感するとなるとあんまり良い物じゃないわ。 服もキツイし、前は重いし。肩凝るって言うのも分かるわコレ』
「OK分かった。取り敢えず、火に油注ぐのヤメレ」
第何次かは知らんが、ヒンヌー戦争が起きるぞ。
『そんな事言われてもねぇ……。違和感はやっぱり消えないし。というか、これ元に戻るの?』
「え、戻すの?」
『別に女の子になりたい訳じゃないから!』
説得力無え。
「まあ、ご希望ならば戻しますけど。手っ取り早く説明する為にやっただけですし」
一種のデモンストレーションみたいなもんですよ。
『………因みに訊くけど、その方法は?』
「そりゃ勿論、もう一杯」
『キミ、この薬の価値知ってる!?』
「準伝説級の秘薬」
とはいえ、調子に乗って生産しまくったから、二十五メートルプールぐらいの量があるんだけど。………当時の俺は、性転換の薬をこんなに作って何がしたかったのだろう?
『勿体無いでしょうが!』
「じゃあ飲まないの?」
それ即ち、ずっと女として生きていく事になるのだが。
『……ちょっと考えさせて』
悩むんかい。
「女性願望有り?」
『いや、そういう訳じゃないけど……。女の子になっても、大して生活が変わらなそうだし、それなのに準伝説級の薬を使うのは……』
勿体無いと躊躇われるらしい。
「ただの薬なんだから、そこまで躊躇わなくても」
『いや、ただの薬では無いでしょ……。フルールさん、あの薬って幾らぐらいするの?』
『そうですね……恐らくですが、一瓶でも最低白金貨五枚はいきますよ』
灰猫先輩に尋ねられ、フルールさんはフェアリーチェンジの秘薬の相場を語る。
「ほら。ただの薬だってさ」
『白金貨が飛んでいく薬がただの薬な訳無いでしょうが!』
「セレブの俺からすれば〜、白金貨数枚なんて端金なんですよ〜」
『うわ腹立つ!!』
「「せい」」
「ぐふぉ!?」
何故か親友たちから殴られた。
「何故に!?」
「いや、普通にムカついた」
「ウザイ」
『ナイス二人とも!』
灰猫先輩が二人を褒め、それに賛同するかのように観客席からも盛大な拍手が。オイ。
「景品は全部自前で揃えたのに、そんなリアクションされるとは」
相応の出費はあるのに。
『いや、それを言われるとアレなんだけど……』
『というか、フェアリーチェンジの秘薬はヒバリ君の実費ですか……』
「それ以外にも一杯あるよ」
俺がこの企画に幾ら掛けたのかを想像したのか、フルールさんの顔が引き攣っていた。
「まあ、実費というよりは、材料から全て自分で用意した自作品ですが」
『……更にトンデモない台詞が飛び出してきまたね。準伝説級のアイテムとか、そう易々と用意出来る物じゃないんですけど』
「そこはまあ、コネやら実力やらで」
コネは嘘だけど。実際は全て自力。
「まあそんな訳なんで、薬の値段なんて気にする必要は無いですよ。場合によっては、伝説級のアイテムですら景品として飛び出るかもなんですから」
俺がそう言うと、観客席が大きくどよめいた。
『そんな一攫千金レベルの企画を、学園の行事でやらないでください……』
「え、欲しくないの?」
『欲しいですけど!』
じゃあやろうか。
「それじゃあルールを説明します。このエキシビションに参加する方は、ここにいるメンバーの内の誰か一人と戦って頂きます」
『なるほど。会長やヒバリ君、そして他のお二人の誰かに勝てば、豪華景品をゲット出来ると?』
「残念ながら違います」
『え、違うんですか?』
否定されると思わなかったのか、フルールさんは不思議そうな顔をする。
「ええ。勿論、勝てたらお望みの景品を与えます。……が、それだけだと面白くない。やはり、この手の企画で優先されるのは勝敗よりも見応えです」
『あー、それはまあ確かに』
「という訳で、戦っていない残り三人で、試合内容を評価させて頂きます」
『つまり、勝敗の有無は関係無し?』
「そういう事ですね。面白ければそれで良し。優先すべきは見応えですから」
綺麗に戦っても、つまらないなら評価は低く。卑怯な手を使っても、面白ければ評価は高い。
『評価基準を訊いても?』
「我々の独断と偏見」
『……おうおうおう。これまたぶっちゃけましたね。それだと、私情によって評価が変わるのでは?』
うん、変わるっちゃ変わるね。
『否定しないのですね……』
「とは言われましても、見応え優先なんで他に評価基準など無く」
『そう言われるとそうですけども……』
というか、こっちとしてはレアアイテムを無料で放出してるし、その辺りを口出しされる謂れはないと言うか。
「まあ、それだと不公平だー、なんて言われるでしょうし、代わりに参加者側に有利な条件を一つ」
『その条件とは?』
「次の参加者の決定権を与えます。ここにくじ引きがあるのですが、この箱の中には『〜な人』みたいな紙が入っているので、自分の知ってる人の中で、くじ引きの内容と合致する人を選んでください。あ、その人が拒否したら選び直しです」
流石に無理強いはしないよ?
『うわぁ……また私情の挟む余地が有りありなルール』
「友情を優先するも良し。気になる人と仲良くなる為に使うも良し。先輩やらに恩を売るも良しと、参加者にはメリットばかりですねー」
『まあ、リアルに一攫千金のチャンスを貰える訳ですしね。でも、それって一部のコミュニティが参加者を独占、なんて事態も有り得るのでは?』
「大いにあります」
というよりも、十中八九する奴が出る。
『それは問題なんじゃ……』
「そうでも無いですよ。こんな大勢の前で利益の独占なんて狙ったら、総スカンは確実ですし」
誰でも一攫千金のチャンスなのに、それを身内だけで使おうとしたらねぇ。
「終わるよ? 社会的に」
こう釘を刺しとけば、やりたくても出来なくなります。
それでもやる馬鹿がいたら、それは俺の責任ちゃうし。
『うわぁ………エゲツな』
『効果的な脅しだけど、性格悪いわね……』
「ハッハッハ。褒めるな褒めるな」
『『褒めてない褒めてない』』
うん、知ってた。
「ついでに説明しておきますと、景品獲得後の売買は御自由に。そこでトラブルが発生しようと、我々は一切関知しません。なお例外として、権力や立場を盾に、売れなどと無理強いしてきた相手がいた場合は、学生会のヒバリまでご相談ください。そんな事をする愚か者は、それが内部外部問わず誰であろうと、この俺が持つ全てのコネと実力をもって叩き潰す」
この企画は、俺を含めて多くの人が楽しめるように考えた企画だ。それなのに、それが原因で不幸になる人がいると言うのなら、その原因を全身全霊で排除しようじゃないか。
『………おおう。ヒバリ君の意外な頼もしさに、不覚にもときめいてしまった私がいます。これがギャップ萌えというのでしょうか?』
『普段からちゃんとしてればカッコイイのに』
嬉しい事を言ってくれるじゃないですか。
「お世話じゃなくても嬉しいですね」
『いえいえ。お世話じゃなく本……って、謙遜してないじゃないですか!』
『うん。やっぱりヒバリ君はヒバリ君だわ』
俺が俺じゃなければ何だと言うのか。
『まあ、こんな巫山戯た子だけど、デタラメなぐらい凄いのは事実なのよね。誰であろうと叩き潰すって言ったら、一国の王様が相手でも本気でやりかねないし』
『あー、それは見てて分かる気が。それに加えて、学園の行事如きに準伝説や伝説級のアイテムを用意する行動力、資金力、人脈ですか……』
人脈はハッタリだけどね。………あー、でもあながち間違いでも無いか。王族とかに知り合いいるし。
『敵対するのは馬鹿のする事よね』
『ですね。という訳で、今注意された行為はくれぐれもお控えください。怖いお兄さんが嬉々としてやってきますから』
注意事項の重大さを、二人は上手い具合いに伝えてくれた。
それに関しては感謝だが、それでも言わせろ。
誰が怖いお兄さんだ。
「……色々と言いたい事はありますが、時間も限られてますのでそろそろ始めましょう」
エキシビションの性質上、かなりの時間を貰っているが、それでも無駄にするのは勿体無い。後、観客席がかなりウズウズしてるっぽい。
「それでは、これよりエキシビションデスマッチを開始致します!」
『名前が凄く物騒になってますけど!?』
冗談です。
「最初の参加者だけは、特別に我々が決めさせて頂きます。という訳で、優勝したサルビス選手」
「え、俺?」
唐突に名前を呼ばれ、不思議そうな顔をするサルビス選手。
ほら、やっぱり大会優勝には特典がないとね?
「嫌なら構いませんが」
「あ、やりますやります!」
やっぱり一攫千金のチャンスは欲しいらしく、直ぐにサルビス選手は舞台へと上がってきた。
「という訳で、最初の参加者はサルビス選手です! 尚、今までの疲労に関しては、私が魔法で回復させますので悪しからず」
じゃないと不公平だしね。
「武器は訓練用の刃引きされた物と、他にも補助用の小道具を端に用意してありますので、そこからお選びください」
これも、装備の差を無くす為の処置だ。……まあ、それ以外にもネタ装備を幾つか仕込んでおいたけど。
それを選んで上手く使えば、良い景品をあげるつもりだ。
「それではサルビス選手。対戦相手を選んでください!」
さあ、エキシビションの、俺の武闘大会の始まりだ!
「じゃあ、学園最強の呼び名が高い会長さんで!」
俺ちゃうんかい。
オトコの娘が性転換。
戻るのにはスーパーレアなお薬が。
戻るか、売って現ナマ貰うか悩むよネ。
エキシビションのルール、変な部分があったら指摘頼みます。多分大丈夫だと思うけど。




