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これもまた一つの信頼である

コメントでの暖かい言葉に、不覚にも心が癒されたみづどりです。


えー、コメントでの事ですが、この場を借りて幾らか弁明を。


まずその1。 ヒロインが被ってる件ですが、これは最初の構想から大きく内容が変わったのが原因です。初期の段階では、クラリスは存在しなかったんですよねー。お陰で、妹キャラみたいなのが被りました。


その2。恋愛推しが多いとの件ですが、ヒロインたちの立ち位置を明確にする為に必要な事だと納得してください。クラリスは義妹、フィアは政治的な婚約者、みたいな感じです。


その3。フィアがウザい件。これはアレです。長い間放置されてたので、物語に合流させる為の理由がなくて仕方なくです。フィア自身は良い子です。そして今の話の展開上では、フィアにはフィアの役目があるので、敢えてあんな感じになってます。だから嫌いにならないで(涙)


その4。翔吾がヒバリの意思を無視してウザいとの件ですが、これには実は訳があります。詳しく後日。まあ、本人の趣味が多分に入っており、尚且つ理由もかなり歪んでる訳ですが。


その5。話が進まない。これはスイマセン。弁明のしようがないです。ゴメンナサイ。


えー、こんな感じで、前書きの場を借りての弁明タイムでした。


誤字脱字の可能性大です。

食堂の一席で、先程の出来事の詳細をクラリスは語る。


「えっと、何故ああなってしまったのかと言いますとーー」



面倒(神の意思)なので割愛。



「オイ」


「何ぞ?」


クラリスの話をザックリと割愛したところ、雄一が待ったを掛けてきた。額には青筋が浮かんでいる。


「あんな引きしといて一行で済ますな。舐めてんのか」


えー。だって普通に済ますと長くなるしー。


「ぶっちゃけ、ダルいんだよね」


「それでも他に何かあるだろ」


「……しょうがないなぁ」


文句の多い奴だ。



そして、クラリスの話しを聞き終えた俺はーー



「だから、一行で済ますなって言ってんだよ!てか、詳細どころか終わってんじゃねえか!」


いや、だってなぁ……。


「ザックリ纏めるとさ、フィアがクラリスに自己紹介する時に、俺の婚約者だって話したんだろ? その事はクラリスは初耳で、フィアにどういう事かと詰め寄った。フィアはフィアで、妹の筈のクラリスが予想外の食い付きを見せた事で、戸惑いやら猜疑心やらが生まれた。大体こんな感じだろ」


そう言ってクラリスに確認を取ると、俺たちのメタ的な会話に戸惑いながらも頷いた。


「……こう改めて聞くと、何をやってたんでしょうね私たち。睨み合いになる要素は殆ど無いのに」


「二人とも馬鹿だったんだよ」


「馬鹿ですか……」


にべもなく切り捨てると、フィアは微妙な顔で項垂れる。


「ったく。友達になれって言って、何で喧嘩になんのかねえ」


フィアもクラリスも、喧嘩っ早い性格という訳でも無いのだが。


「……あんなに必死になって詰め寄られたら、普通に驚きますし、訝しみます」


「ほへー。そんなに?」


気まずそうに理由を述べるフィア。それを聞き、クラリスの方を向くと、


「………はう…」


茹で蛸みたいになって俯いた。


どうやら、その時のクラリスはかなりの剣幕だったらしい。赤くなっている事から、本人も自覚はあるっぽい。


「うぅ……だって、お兄様が婚約なんて知らなかったんですもん……」


と、クラリス。


「知らないなんて思わないじゃないですか普通……」


と、フィア。


つまり、喧嘩は双方の無知が原因だったと。


「不幸な行き違いだったんだな」


「待てい」


俺が話を締めくくろうとすると、またもや雄一が待ったを掛けてきた。


「何だね?」


「何だね?じゃねえよ。ザックリ纏めんな。ツッコミどころがまだ満載なんだよ」


「と言うと?」


「その1。何でお前の婚約を義妹が知らない」


言われてみれば確かにそうだな。同じ家に住む家族であるクラリスが、どうして俺の婚約という重大な案件を知らなかったのだろう?


「俺も、爺さんたちから聞いてるかと思ってたしなぁ」


俺から改めて話す必要は無い。そう思ったからこそ、クラリスには何も言わなかった訳なのだが。


「……聞いた方が手っ取り早いか」


考えても無駄な事なので、本人に直接訊いてみる事にする。


幸いな事に、ここにいるメンバーは全員俺の事を知っている。なので、堂々と念話を使う事が出来るのだ。


『ハロー、ハロー? 聞こえるか三下?』


『どうわ!? 一体何事じゃ!?』


突然頭の中で話し掛けられた事により、何やら爺さんが驚いているが気にしない。


『もう一度訊く。聞こえるか三下?』


『……』


返事が無い。ただのしかば……ああ、返事の仕方が分からんのか。


『伝えようと意思の下で、頭の中で思い浮かべよ』


『……こうかの?』


『うむ。ではもう一度訊く。ハロー、ハロー? 聞こえるか三下?』


『……誰が三下じゃこの不思議生物!!』


めっちゃキレられた。


面白そうなので、ちょっとしらばっくれる事にする。


『ふむ? 勘違いではないのかね? 確かに私はそんなミステリアスなナイスガイだが、不思議生物なんて存在では無いぞ』


『こんな訳の分からん現象を起こせて、会話の中にサラリと罵声を混ぜてくるような人間は、お主以外に儂は知らん!』


俺はそんな風に認識をされていたのか。


『ついでに言っておくと、お主がミステリアスなナイスガイ? 戯けた事を抜かすなど阿呆め。身の程を知れヒバリ』


ぶん殴るぞクソジジイ。


『……まあいいや。仕置きは後でするとして』


『おい待て。何やら聞き捨てならない言葉が聞こえたが? と言うかお主、人の事は散々罵倒しといて、自分がやられたらキレるって、人としてどうなんじゃ?』


『そんでよ、ちょっと爺さんに訊きたい事があるんだが』


『無視かい』


都合の悪い事はスルーするのは当然の事。


『んで、その用件なんだがよ、俺の婚約話ってあったやん?』


『うむ。昨日、話したばかりの件じゃな』


『それをさ、どうもクラリスが知らんかったみたいで。それが原因で、お相手さんと睨み合いが発生しちゃったのよ』


『………』


爺さん沈黙。


『………マジかの?』


『マジなの』


念話を通して、やっちまったという爺さんの感情が伝わってくる。いや、あくまでそんな気がするだけなんだが。


『……やっちまったのぅ』


やっちまったらしい。


『フィリア王女の様子は?』


婚約者とは言え、フィリアは隣国の王女である。機嫌を損ねていないか、爺さんとしても気になるようだ。


『それは問題無い。喧嘩両成敗って事で二人とも反省しとる。てかさせた。本来なら、睨み合いになるような事でも無かった訳だし』


原因は情報不足によるすれ違いだが、それだけではあんな修羅場にはならない筈だ。恐らくだが、相手が俺に恋愛感情を抱いている事を、お互いに本能か何かで感じ取った、ってのが背景にあるのだろう。女の勘的な奴だな。


『そうか』


安心したような爺さんの声。


『それでも、すれ違いの原因となった理由はしっかり知っておきたいかな』


本音を言うとどうでも良いんだけど、雄一を筆頭とした一部の方々が納得しなさそうなんだよね。


『むう……そう言われると弱いな。出来れば、お主には話したくなかったのじゃが……』


俺には話し辛い理由らしい。


ふむ。思い当たらない訳ではないな。


『……クラリスが俺に惚れてるからか?』


『ぬう!? まさか気付いておった…いや、お主なら気付いていて当然か』


当たりらしい。


『お主の言った通りじゃ。自覚は無いようじゃが、クラリスはお主に惚れておる。その事を思うと、儂らとしても話すに話せなくてのぅ』


子を思う親心、孫を思う爺心が、クラリスに伝える事を躊躇させていたらしい。


『それで面倒事が起きてちゃ本末顛倒だろ』


面倒を先送りにした挙句、余計な問題を引き起こしちゃった訳だし。


『まさか、こんなに早くフィリア王女がクラリスと接触するとは思わなかったんじゃ。フィリア王女には、後日、儂らからも謝罪しておく』


爺さんはそう言うが、見通しが甘いと言わざるえない。いや、フィアを焚き付けた俺が言える事でも無いんだけどさ。


『それでも、爺さんらしくないな』


普通なら、こんな甘い判断をするような人でも無いのだが。


『儂らだって、こんな状況は初めてなのじゃ。為政者としてでは無く、家族として考えてしまったのじゃよ』


まあ、実の娘が義兄に惚れてる状況で、断る事も出来ない相手から縁談が来るなんて状況、そうそう無いわな。あってたまるか。


『取り敢えず、爺さんには【馬鹿】の冠詞を与えよう。良かったな。馬鹿爺さん』


『ぐぬぬぬ……っ! 腹立つ事この上ないが、今回は甘んじて受け入れよう』


『そうか。それじゃあ、俺はこれで。フィアを焚き付けた身としては、爺さんたちのフォローに期待する』


『おい待てヒバリ。今、何やら聞き捨てならなーー』


爺さんが最後に騒いでいたが、俺は気にせず念話を切った。


「終わったか?」


俺が念話を切ったのを感じとった雄一は、どうだったのかと意味の籠った視線を飛ばしてきた。


ここでふと考える。


クラリスは未だに惚れている自覚は無いようだ。そんな中、俺から伝えて良い物か。


「単に伝え忘れてただけらしい」


結局、理由は誤魔化す事にした。それと同時に、雄一と翔吾にはあまり詮索するなとアイコンタクトを飛ばしておく。


「お爺様……」


俺の誤魔化しにより、爺さんに対するクラリスの評価がだだ下がりとなったが、そこは必要経費的な感じで受け止めて貰おう。


「なるほどな。OK、疑問1は納得した。次に2つ目だがーー」


「あら? ヒバリ君じゃない。それにユウイチ君にショウゴ君も」


雄一が次の疑問を口にしようとしたところで、それを遮るように白い人影が現れた。


「あ、どもっす灰猫先輩」


我らがアイドル、灰猫先輩である。


「綺麗な人…」


灰猫先輩を始めて見るフィアは、そのあまりの美しさに見惚れていた。


「あら? 貴女は確か……ああ、留学生のフィリアさんね。初めまして。私はメルト・フィオーレです。学生会に所属しているの」


「あ、は、初めまして! フィリア・マキ・リザイアです!」


灰猫先輩の美貌に圧倒されていたフィアであったが、直ぐに正気に戻って慌てて自己紹介を返す。


「そんなに慌てなくて良いわよ。だから落ち着いて?」


灰猫先輩は苦笑しながら、フィアの事を宥めた。初対面の相手は大抵同じ反応をするらしく、対応は最早慣れた物である。


「にしても、よくフィアの事が分かりましたね」


「一応、この学園の全員の生徒の名前と顔は把握してるからね。それでよ」


「おお、流石は学生会役員」


「キミもでしょ」


「んな面倒な事したくないっすわ」


灰猫先輩はさらりと言っているが、この学園の生徒数は軽く千を超えている。全員の生徒の名前と顔を把握するなど、並大抵の事では無い。相変わらず、無駄に優秀な人である。


俺がそんな風に関心していると、灰猫先輩はコテンと首を傾げ、


「それにしても、中々珍しい組み合わせね。ヒバリ君たちは兎も角、そこに女の子が混じるなんて……ああ、クラリスさんはヒバリ君の妹だから、そこまで不自然では無いわね」


そんな事を言ってきた。


「ああ、実はーー」


簡単に説明しようとしたところで、またもやふと考える。


今までの出来事は、軽々しく口にしてはいけないのでは………なんていう事では無く、


「灰猫先輩は使えるのでは?」


「……何をする気か知らないけど、そういう事は口にしないように」


おっと、口に出ていたようだ。


「失敬失敬。ついポッキリ」


「何か折れたわよ?」


「ついポッカリ」


「穴空いたわね」


「ついムッチリ」


「なんかイヤらしい……」


「ついむゅっかり」


「むゆ……ねえ今どんな発音したの!?」


むゅっかりだよ。


「……駄目よメルト。うん駄目。ヒバリ君のペースに巻き込まれちゃイケないわ」


そう言って、灰猫先輩は大きく深呼吸。


どうやら仕切り直すようだ。


「それで、こんな珍しいメンバーでいっーー」


「あ、そうだ。灰猫先輩に話しておきたい事があったんだ」


「……ねえ? 人が折角流れを戻そうとしたのに、台詞を被せてくるのヤメて?」


額に青筋。表情は笑顔(但し目は笑っていない)。手は俺の米神に添えられ、皮膚に爪が食い込んでいた。


明らかに怒ってますねハイ。


「そんで、話したい事なんすけどーー」


「へえ? スルーするんだぁ」


「昨日ザックリとーー」


「その前に、ゴメンなさいは?」


「ゴメンナサイ」


話しが進まなそうなので、素直に謝る事にする。


「はぁ、全く……。それで、話って何かしら?」


「武闘大会の企画についてですね。原案の方を考えたんで、それの相談を」


内容を告げると、灰猫先輩は頬を引き攣らせた。


「え、本当に? 昨日の今日よ? まさか、一日で企画を考えたの!?」


「Yes」


俺の無駄に高い処理能力や魔法などを駆使すれば、企画の立案から製作までを一日で熟す事は可能なのだ。突然の婚約者騒動やらで慌ただしい一日であっても、それは変わらない。


「まあそんな訳なんで、相談に乗って欲しいんですよ。武闘大会まで日も無いし」


「それなら構わないけど……」


「そんじゃあ、話題が話題なんで、ちょっと向こう行きましょうか」


「待てい!」


灰猫先輩を連れて移動しようとしたら、またもや雄一に止められた。今回でコレ何回目だ?


「何よ?」


「何を一人で逃げようとしてんだお前は! まだ話し終わってねぇぞコラァ!」


雄一は俺の襟首を掴み、逃げないように猫掴みで持ち上げる。


「にゃあー」


「気持ち悪い」


さいで。


「お前マジ何なの? 事の発端の自覚あんの?」


「えー、そうは言っても、灰猫先輩との話って結構大事なんだけど」


武闘大会までの時間が無い事、運営に関する話なので人に聞かれたらマズイ事を説明する。


「……で、本音は?」


「話し合い、そろそろ飽きた」


「死に去らせテメエ」


「おうふっ」


フォークで頭刺しやがったコイツ。


「いやだってさぁ! もう色々と面倒になってきたんだもん」


「当事者が飽きんな。この状況をセッティングした奴の台詞じゃない。修羅場の原因はお前だろ。あらゆる意味での元凶が舐めた事を言ってんじゃねえ」


凄えな。改めてこう聞くと、全部俺が悪いみたいな気がしてくる。本当は七割ぐらいしか悪くないのに。


「けどさ、ぶっちゃけ俺ら何してんのって思うじゃん」


教室では状況が状況だったから首突っ込んだけど、その後の話し合いは当人同士の問題の筈だ。


てか、女の問題に男がしゃしゃり出ても、解決になんないじゃないかって思うのよね。いや、すっげえ今更なんだけどさ。


「喧嘩の仲裁はしたし、事情聴取と言う名の橋渡しは済んだ訳だし。こっから仲直りするかしないかは、二人だけの問題だと思うのね」


「……まあ、それはそうだが」


人に仲直りしなさいって言われて仲直りすんのは、やっぱり違うじゃん? ちゃんと当人たちが納得して仲直りしないと、意味無いじゃん?


「だからさ、俺たちはそろそろお暇するべきなんじゃないか?」


部外者は引っ込むべきかと、ね?


「……色々と理屈こねてるけど、結局は面倒で飽きたんだろ?」


「うん」


「死に去らせ」


「おうふっ」


今度はテーブルナイフで頭刺しやがった。


「そう言う訳だから、そろそろ離してくれ」


「ッチ」


俺の言い分を認めてくれたのか、雄一は襟首から手を離した。……何で舌打ちしたの?


舌打ちの理由を訊きたかったが、それは取り敢えず保留。それよりも、クラリスとフィアに言い含めておく事がある。


「それじゃあ、俺は私用で席を外す。多分、雄一と翔吾も外すと思う。ここから先は、二人だけになるだろう。だから、じっくり話し合いなさい。仲直りするも良し。このまま仲違いするも良し。もし仲違いしたままでも、俺たち外野が無理に二人を仲直りさせようとはしない。それが話し合いで出た結論なら、少なくとも俺は、どんな事であろうと口を出さない。だから、よく話し合いなさい」


ここから先の関係を決めるのは、二人自身だと。仲と言うのは、他人の意見で左右される物では無いのだと。二人にしっかりと言い聞かせる。


「分かった?」


「え、えっと、その……は、はい」


「えーと、あの…い、いえ! わ、分かりました!」


二人きりになると分かり、少しばかり落ち着きが無くなっていたが、それでも二人は頷いてくれた。


二人の返事に俺は満足し、灰猫先輩へと向き直る。


「お待たせしました。灰猫先輩」


「……えーと、色々と訊きたい事が、本当に色々と訊きたい事があるけど! 取り敢えず、大丈夫なの?」


「やけに念押ししてきますね」


これはアレだろうか? 俺たちの関係に興味を持たれてしまったのだろうか?


「大丈夫ですよ。気にしないください」


「いや、あの、ね? 流石に気にしないのは無理よ?」


チラチラと俺と雄一たちに視線を飛ばす灰猫先輩。どうやら本当に興味を持ってしまったらしい。


これは追求が面倒そうだと内心で苦笑しながら、俺は灰猫先輩の手を引いて移動した。









「………ねえ、ヒバリ君。本当に大丈夫なの?」


人気の無い場所へと移動している途中で、灰猫先輩は再び俺に尋ねてきた。


「何度も言いますけど、大丈夫です。ちゃんと二人には話しを通しました。だから、灰猫先輩は気にしないでください」


「だから、気にしないのは無理よ? 後、クラリスさんたちは、多分ビックリして話半分だと思うわよ?」


え? 話半分ってどゆこと?


「何かビックリする事ありましたっけ?」


俺が首を傾げると、灰猫先輩は信じられないとい言いたげな顔で、


「キミ、ずっと頭にナイフとフォーク刺さってるからね!?」


そう叫んだ。


「………(ポン)」


ああ、なるへそ。


「その、今理解したって顔は何!?」


「いや、どうりで二人とも挙動不審だった訳だと」


俺の言葉もアッサリと受け入れてくれたのは、それどころじゃ無かったからか。


「そりゃそうでしょうが! キミの身体が心配で、話なんてちゃんと聞ける状態じゃなかったのよ! 下手したら、いや、しなくても死ねるからね今のキミの状態は!!」


「あー、確かに結構グッサリ刺さってますもんね。具体的には、頭蓋骨貫通してるっぽい」


普通ならフォークやテーブルナイフ程度じゃ貫通しないんだけど、アイツ、ご丁寧に魔力纏わせてからなぁ。


「痛くないの!?」


「割と痛いです」


ナイフとフォークの先端が脳に触れてるのか、さっきから歩く度にピリピリするんだよね。


「何でそんな冷静なのヒバリ君!? キミ、自覚してるかどうか知らないけど、殺されかけてるからね!?」


「あはは。そんな大袈裟な。この程度なら日常茶飯事ですよ」


「日常茶飯事なの!?」


常人なら身体が千切れ飛ぶ威力のツッコミとか喰らってるし。


「信頼されてんすよ」


「……怖い。死ぬような怪我させられて、信頼なんて言葉が出てくるキミたちが怖い……」


そうは言われてもな。


「というか、コレ抜いて良いの!? 抜かない方が良いの!?」


「どっちでも良いですよ?」


「どっちでも良いの!?」


抜いたら血がドバァ出るだろうけど、直ぐに傷口は塞がるし。抜かなくても、痛いだけで別に死ぬ訳でもないし。


「あー、けどやっぱ抜かないでください。午後の授業の眠気覚ましにします」


この前、エクレ先生にガチ泣きされたからなぁ。流石にそろそろ自重しないと。


「………怖い。頭にナイフとか刺さってんのに、それを眠気覚ましに使おうとするキミが怖い………」


灰猫先輩はちょっと泣きそうになってた。

ヒバリ、実は超優しい。


尚、これらの行為は、ヒバリは絶対に死なないし気にしないと確信があっての行動です。


良い子はマネしないでね。

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