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第98話 昇任、そして異動

第309護衛艦隊が加わった連合護衛艦隊は、木星圏からの輸送船団を守りつつ地球圏への帰路に着いた。複数の護衛艦隊により防御力が大きくなったためか、途中に何度かの威力偵察と思われる接触は有ったものの、アムロイ軍からの攻撃は無かった。クヌート宙域で更に同じような連合護衛艦隊が帰路に加わり、より大規模な護衛戦力となった。


火星軌道では、火星で地球連邦軍へ降伏して帰順したアムロイ艦隊が地球圏までの護衛に加わった。帰順したアムロイ軍はアムロイという種族を構成する複数の支族の一つであるという。ヤルマール支族というのだけど、そのヤルマール支族が何故アムロイから離反したのか?私レベルでは全くの謎。どんな事がきっかけで、どのような交渉が行われたのか、はこの戦争が終わって歴史の1ページにになったら明らかになるのだろう。


連合護衛艦隊は無事地球圏へ至って解散となった。連合護衛艦隊司令官からの"解散の辞"は特に名文という事もなかったけど、それなりに私には感慨深いものがあった。


第309護衛艦隊は母港である月のモスクワ海基地へ帰港、そして、そこで私達レッドライオン小隊を待っていたものとは。


「辞令、朝倉咲耶少尉。地球連邦軍中尉に任命し、第3独立戦闘航空団勤務、並びに小隊長に任命する」


艦長から辞令を受け取り、3歩後方へ下がって元の整列していた位置へ戻る。次はパティな番だ。


今、私達がいるのは空母太鳳の艦長室。第309護衛艦隊がモスクワ海基地に入港するや否や昇任と人事異動の辞令が出された。艦内は入港後のゴタゴタで大忙しの中、該当者は第1種制服で艦長室に集められ、すぐさま辞令交付式が行われた。


技研の佐伯少佐の推薦に効果があったのか、私はFA-v3で編成された新部隊へ中尉に昇任して、しかも小隊長として転属する事となった。その事についてついは、もう小隊のみんなとは話し合っていたので特に感慨は無い。昇任も、あるかな?とは思っていたから意外性はそれほど無かったけど、小隊長は思いの外だった。


確かにXFA-v3で実戦を経験したのは私だけだから、そうした経験と階級とで考えると不自然ではないのだけど。だけど、まだ自分自身が小隊長になるという覚悟が無かったというか、心の準備が出来てなかったというべきか。


エルザ隊長は大尉に昇任し、空母太鳳第1戦闘航空大隊第1中隊の中隊長に、ラビィは中尉に昇任して同じく第1中隊の第2小隊長となった。この人事は太鳳の航空戦力を立て直すというエルザ隊長の、そしてエルザ隊長を支えるというラビィの希望が叶ったものだ。


パティはやはり私と同じく中尉に昇任して新部隊への転属となった。私達の転属先である新部隊がどれだけの規模なのかわからないけど、もしかしたら、また、ラビィと同じ小隊だったりするかも、なんて思ったりもした。


辞令が出て、私とパティは明後日にはこのモスクワ海基地から出立しなければならなくなった。私達が赴任する新部隊、第3独立戦闘航空団は私が横須賀士官学校を卒業して最初に所属した第18戦闘航空団と同じく月のフンボルト海基地で発隊する事になっている。なので今日、明日中に異動の支度をして、明後日にはこの第309護衛艦隊を離任してフンボルト海基地へ向かわなければならず、兎に角、時間が無い。 


辞令交付の翌日。エルザ隊長とラビィは異動といっても空母太鳳に残るので手続きくらいしかないけど、私とパティはそれに加えて荷物をまとめて送り出したりしなければならず、とても忙しい。立つ鳥跡を濁さず、部屋とロッカーも掃除して、しかも夕方までには全てを終えなくてはならないのだ。何故って?勿論レッドライオン小隊のお別れ会をしなければならないから。異動前だから十分事故防止しなければならないけど、今夜は飲んで食べて、そして泣いてしまうかもしれないなぁ。





いつも『朝倉家の戦争』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話「それぞれの道」をお楽しみに。


-地球を自然の揺籠の中に戻し、人間は宇宙で自立しなければ地球は水の惑星ではなくなるのだー

クワトロ・バジーナ大尉 ダカール演説より抜粋

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