第95話 テストパイロット②
それにしても、この2人は本当に仲が良い。いつも一緒にいるような印象だ。2人は大学の先輩後輩の間柄(佐伯少佐が先輩ね)でもあるそうで、共に最高最強の戦闘機を作ろうと誓い合った、と以前雑談の中で熱く語っていた事があった。
2人とも人種は違えど(ベルナルド大尉は米国のドイツ系白人)細身の理系イケメンだ。そんな2人がいつも仲良く一緒にいて、何やら誓い合っているとか聞くと、エリカや史恵なら色々とそこから妄想しちゃってキャーキャー言いそう。
だけど、実際の2人はどうなんだろう?なんて事を考えていると、ジト目で佐伯少佐が私を見ている事に気付いた。
「なっ、何ですか?」
思い当たる節があるので、キョドリながらもすっとぼけて尋ねた。
「いや、何か失礼な事を考えている風だったものでね」
「失礼とは、具体的にはどのような?」
私は質問に対し決して答えられない質問で返すという超反則技で佐伯少佐の口を封じた。
佐伯少佐は一瞬たじろぎ、悔しそうな表情を見せたけど、
「質問に質問で返すのは感心しないな」
と、悔し紛れの負け惜しみを言った。ふっ、私の勝ちのようだ。
「XFA-v3が戦闘攻撃機として正式に採用される事になったんだ」
「そうなんですか、おめでとうございます」
「有難う。これも君が機体性能を最大限に引き出して大戦果を挙げてくれたお陰だ」
すると、ベルナルド大尉が今回のXFA-v3採用決定について、その裏舞台やら何やら熱く語ってくれた。長いので要点をまとめると、今回の採用では、XFA-v3はライバル関係にある研究所が開発した機体と接戦だったけど、先の戦闘の戦果と木星周辺宙域での飛行データが決定打となって正式採用に至ったどうも有難う、との事。
XFA-v3は確かにいい機体だと私も思う。だけど、あの戦果や私が操縦した飛行データは飽くまでも英霊である野村大尉が授けてくれた加護があっての事だから、正直私のお陰と言われると面映いし、内心忸怩たるものがある。それに、XFA-v3に乗ったパイロットが皆、加護がある私と同じようにXFA-v3を操縦出来るのかどうかも疑問が残る。
「それで、これはまだ正式には決まっていない事なのだが」
佐伯少佐は更に話を続ける。
「正式採用となったXFA-v3、まあ量産機は"X"は無くなってFA-v3となるが、FA-v3による部隊を幾つか発隊させるらしい」
「じゃあ、まさに"XFA-v3量産の暁には"が叶うのですね?」
私がそう言うとベルナルド大尉は「うむうむ」と満足気に頷いた。
「そこで私はその部隊のパイロットに君の事を強く推薦しておいた。君ほどこのXFA-v3の事を知り、上手く操縦出来るパイロットはいないだろうからね」
人はよほどの不満や困難が無い限りは現状維持を望むものらしい。かくいう私もその一人だ。私はレッドライオン小隊において、エルザ隊長やラビィにパティと共に戦ってきて現状に不満は無い。彼女達になら戦場で背中を預けて戦える。だから彼女達とずっと一緒にいたいと思っていたのだけど、私が軍人になった目的は父の敵を討つためだ。それは決して忘れもしないし、見失ってもいない。私の中の絶対であり、譲れないものだ。
「少佐、それはいつ頃わかる事なのですか?」
「詳しい事は私にもわからない。もう事は開発者の手から離れてしまっているからね。それで、どうかな、新設部隊については?」
うん。もう私の中では決まっている。今までより強力なFA-v3でアムロイと戦えるのならば、
「はい、もしお話を頂けたなら、是非お受けしたいと思います」
まあ、実際に蓋を開けてみたら朝倉のあの字も有りませんでした、なんてオチもありそうだけど。そんな時は頭でも掻いて誤魔化せばいっか?それとも可愛らしく"てへっ"の方がいいかな?
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それでは次話の「信頼」をお楽しみに
優しさから強さへモード・チェンジだ!




