第87話 死闘②
大学309護衛艦隊はアムロイ軍の第二次攻撃から輸送船団を守る事が出来た。しかし、駆逐艦リバティを失い、輸送船団にも被害が出てしまったため、士気は下がり気味。しかし、アムロイ軍から二回に渡って攻撃を受けつつも航続距離を稼げたので、もうひと頑張りで木星駐留艦隊の哨戒宙域に入り、その援護を受ける事が出来る。
アムロイ軍の大編隊と死闘を演じた第2戦闘航空大隊。二度目の攻撃を迎え撃つも、緒戦を戦力差で押し切られて戦線が崩壊、その後善戦しつつも大隊長も戦死され、5機を残して全滅した。私達第1戦闘航空大隊も10機が撃墜されて空母太鳳の航空戦力は半減し、残存戦力は1個戦闘航空大隊に再編された。
現在、私達レッドライオン小隊は輸送船団の警戒任務を終えて相番の小隊と交代し、空母太鳳へ帰投中。艦隊と輸送船団は間も無く木星駐留艦隊の哨戒宙域に入る。もう少し、もう少しだ。
「おい、お前さん。ここは油断していい場面じゃねえぞ。味方の援護が期待出来るこういう時こそが一番危ういんだ。俺が敵の宇宙人ならこのタイミングで仕掛けるな。」
野村大尉の声が響く。
「敵襲があるって事ですか?」
「その前提でいろって話だ。」
敵襲がある前提。確か古典の授業でも『徒然草』だったっけ?木登りも降りる寸前が一番危ないって話があったっけ。野村大尉の言う通り油断は禁物だ。
「こちらラッキードラゴンリーダー、敵艦隊接近。スペースシャーク小隊、レッドライオン小隊は船団直掩の任に当たれ。繰り返す、」
空母太鳳の管制官から指令が入った。スペースシャーク小隊とは私達と交代して船団警戒任務に就いた小隊だ。野村大尉が言った通りに敵の第三次攻撃が始まろうとしていた。
今度の敵戦力は巡洋艦を旗艦とし、多数の駆逐艦からなる戦隊であるようだった。スペースシャーク小隊とレッドライオン小隊が船団直掩任務に就く頃には既に艦隊戦が始まっていた。
輸送船団の直掩任務に就いている私には彼我の戦力差はわからない。私は自分達に付与された任務に就くしかない訳だけど、先の戦闘で防空駆逐艦リバティを失っている第309護衛艦隊の形勢が不利である事はどうしても否めないところ。おそらく艦隊司令部から木星駐留軍司令部へ救援要請がなされているはずだけど、駐留艦隊の来援は何時になる事か…
『マスター、上方0時の方向から飛来する高熱原体を確認。対艦ミサイルと推定』
ビクトルからも警報が上がる。
「レッドライオンリーダーから小隊各機。上方から飛来する対艦ミサイルを各個に撃破しろ」
エルザ隊長から緊迫した命令が入る。私はすぐに機首を上げてレーダーで敵対艦ミサイルを捕捉し、パルスレーザーを連射して3発のミサイルを撃破した。更に上方に対艦ミサイルを発射した敵艦載機群を発見。そのままなし崩し的に空戦になった。
今回の戦闘も襲撃して来た側の敵が主導権を握っている。対艦ミサイルを迎撃したためこちらの陣形は既に崩れており、最悪私達が数に勝る敵艦載機群に包囲されて各個撃破されてしまう可能性があった。しかも会敵が予想よりも早かったため、スペースシャーク小隊、レッドライオン小隊ともが小隊編隊を組めず、2機ずつのロッテすら組めない各々単機の状態で空戦に突入、乱戦となった。
乱戦になった場合、敵も同士討ちを避けるため、あまり積極的な戦闘にはならず、必ずしも数的優勢が有利とは限らない。これは第二次世界大戦の昔から変わらず、テキストには記載されてないけど、パイロット養成課程では教官から直々に教わる事だ。エリカが読んでいた、士官学校の資料室にあった二百年以上昔のエリア何とかいう漫画にも描いてあった。
しかし、敵の第二次攻撃、そして今回の第三次攻撃において敵は自軍の損害も顧みず只々数の力で押してくる、そんな感じがする。大軍に戦略無しとは言うけど、どうにも違和感が払拭出来ない。
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それでは、次話は「死闘③」一本って事でどっすか?ゲッゲーロ




