第86話 死闘①
迫り来る敵の大編隊。敵に数で劣る第1戦闘航空大隊が正面から当たってもただ押し潰されてしまうだけ。そのため第1戦闘航空大隊は二手に分かれて敵編隊の上下から一撃離脱の攻撃を行う事となった。この場合、護衛艦隊側がガラ空きになってしまうけど、私達の攻撃を抜けた敵機は艦隊の艦砲射撃が相手となるだろう。
私達レッドライオン小隊は、第1中隊の他隊と共に迫り来る敵編隊の上方で待機。
『右下方3時の方向に敵編隊を確認』
『第1中隊長より「攻撃開始、我ニ続ケ」の発光信号を確認』
ビクトルからの報告が上がると同時に上方待機組は第1中隊長機に続き、全機一斉に急降下を開始して対空ミサイルを発射した。
私が発射したミサイルは機体の両側から3発ずつの計6発。それらは友軍機は同じく発射したミサイルと共に敵編隊に上方から襲いかかり、幾つもの火球を作り出した。更に敵編隊の下方からもミサイルが襲いかかる。
第1戦闘航空大隊はすかさず上下からパルスレーザーを連射しながら敵編隊に突入。周囲は敵機だらけ、特に狙いを定める事なく2機の敵機を撃墜した。「こいつはいい、どっちを向いても敵ばかりだ」などと思う余裕は全く無い。
上方組はそのまま敵編隊の下方へ抜ける。レッドライオン小隊は誰一人失われる事無く健在だったけど、今の戦闘で一体大隊にどれくらいの戦力が残っているのか。一小隊員である私には皆目検討つかない。
第1戦闘航空大隊は戦場の後方で再結集し、更に迎撃に出ていた第2戦闘航空大隊も合流する。敵の大編隊はそのまま護衛艦隊へと迫り、艦隊による防空戦闘が開始された。
第1戦闘航空大隊による攻撃と護衛艦隊の防空戦闘によって敵編隊は少なからぬ戦力を消耗していたけど、それでも残存戦力も未だ私達よりも優勢だった。そして遂に敵編隊から対艦ミサイルが発射される。護衛艦隊の中でも最も外側に位置していた防空駆逐艦リバティは最新鋭の優れた防空システムを有していたけど、近距離から発射され対艦ミサイルの飽和攻撃を受けて轟沈した。
ピケットであるリバティを失った事により、護衛艦隊による輸送船団の防御陣形に穴が開いてしまった。生き残りの敵編隊は更に次々とその穴から防御陣形内に侵入し、結果として輸送船団にも撃沈される船が出てかなりの被害が出てしまった。第1大隊は直ちに輸送船団の救援に向かい、防御陣形内の敵機を護衛艦隊と連携して全滅させた。
これによって護衛艦隊の防御陣形外にあった敵編隊は撤退し、戦闘は一先ず終結した。第2大隊の損害はどれだけなのか、私にはわからない。私達第1大隊もかなりの犠牲が出ているのだ。この後の航空戦力の再編は必至であり、木星圏までの残りの行程を航空隊はこの戦力で凌いで行かなくてはならないだろう。その事を考えると実に暗澹たる気分となった。
今回の防衛戦は結果的に戦力の逐次投入となり、また、何故船団に直掩機を残さなかったのか等反省点が多々ある。そして、アムロイ軍が今まで以上の戦力で攻撃に臨むようになった事は重大な脅威となり、今後の戦争の趨勢すら左右させる要因となるかもしれない。
戦闘が終結し、私は輸送船団の周囲を警戒しながらそんな事を思い、これから戦局が変わって行くような気がしてならず、今回の戦闘で自分がエースどころか撃墜数が合計10機のダブルエースになっていた事すら気付かずにいた。
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それでは次話「死闘②」にご期待に下さい。
みんなに幸せ、フルフルチャージ!




