第77話 遭遇戦③
私とパティは小惑星群を掻い潜り、追跡してくるアムロイ軍の要撃機からの攻撃をどうにか躱し続けた。私達を追跡して来た敵機は2機。そして敵機も私達を追って小惑星群に進入して来た。
敵機は小惑星群の中でも構わず私達に向けて大口径ビームを放ってくる。
「サク、あいつら平気で追いかけて来るよ!」
パティの悲鳴のような通信が届く。このまま逃げていても結局は同じで、どこまでも、いつまでも逃げ続ける事は出来ない。小惑星群の中なので敵機はミサイルが使えないのがこちらとしては不幸中の幸いだけど、あの大口径ビームは実に厄介だ。
(どうにかして仕留めないと。もう後が無い)
私は決断した。このままジリ貧で撃墜されるなら、この状況をひっくり返すべく一気に勝負に出ようと。
「パティ、聞こえる?このままじゃラチが開かないから反撃に出よう。」
「この状況で?何言ってるの?無理だよ。」
パティが正しい。普通はそう思う。でも、
「私に考えがあるの。お願いだから信じて。」
一瞬の沈黙。
「わかった。私達は一蓮托生、サクを信じるよ。続けて?」
有難うパティ。私はサクッとパティに作戦(?)内容を伝える。
「oh…」
こんな時に何だけど、パティから初めてアメリカ人っぽさを感じたよ。
私達は一旦エンジン出力を上げて敵機と距離を取り、小惑星の影に隠れた。そして、敵機の接近に合わせて私が小惑星の影から飛び出すと、すかさず敵機が食いつく。
私は自機を左右に振ったりして何らかの機体トラブルがある体を装う。そして私は敵機が放つ大口径ビームをどうにか躱し、更に私に止めを刺さんと急速に接近する敵機に背後が取られる瞬間、一気に機体を宙返りさせ、逆に敵機の背後を奪った。ビクトルが敵機を既にレーダー捕捉済み。私はパルスレーザーを連射した。
パルスレーザーによって機体後部のエンジン部分に損傷を受けた敵機は、失速してコントロールを失い、直近の小惑星に衝突して爆発した。小回りが利きドッグファイトに秀でた六式の特性を生かした結果だ。
しかし、この瞬間、私の背後はガラ空きとなっている。後方の敵機からは逃げようが無い。そして、今この瞬間にも残った敵機が私に狙いを定めているはずだ。
そして案の定、ビクトルが鳴らすレーダー捕捉の警告音がコックピット内に鳴り響く。
(パティさん、頼みますよ)
次の瞬間には死んでいるかもしれない。しかし、私はパティを、戦友を信じている。彼女ならやってくれるはずだから。
一秒、二秒、まだ生きてる。
と、コックピット内が全方位モニター後方からの爆発の光に包まれた。
『当機後方の敵機が友軍4番機により撃墜されました。』
「はぁ〜助かった。パティ、有難う。」
「いゃ〜こちらこそ有難う。ハラハラだったよ。」
私が考えた作戦は、私が機体トラブルを呈した囮となって敵機の注意を引きつけ、油断させた所を宙返りして背後を取って撃墜。そして背後がガラ空きとなった私を襲わんとする別の敵機を、小惑星の影に隠れていたパティがすかさず撃墜する、というものだった。運良く、タイミング良く全てが作戦通りに上手く行ったけど、無茶なものだった。もう二度とごめんだ。
「でも、なんとか上手くいったね?」
「うん。上手くいったけどさ、」
「けどさ?」
「ここ、どこ?」
そう、先程までの逃走劇と空戦で私達は完全に座標を見失ってしまい、現在位置がわからなくなってしまっていた。小惑星群から出て、恒星などの位置を観測すれば現在位置を割り出す事が出来るけど(AIのビクトルが)、まだ敵がいるかもしれない状況でそれは危険すぎる。
はぁ、一難去ってまた一難。ぶっちゃけあり得ないよねぇ、ホント。
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