第73話 初陣③
「ビクトル、レッドライオンリーダーとレッドライオン2を探して。」
『了解。レッドライオンリーダー及びレッドライオン2を発見。当機の前方2時の方向約60km先にて敵機と交戦中。』
良かった。二人とも取り敢えず無事のようだった。でも、どうやら喜んでばかりもいられない状況みたい。
「レッドライオン3からレッドライオン4。隊長機と2番機を発見、敵機と交戦中の模様。これより援護に向かう。」
「レッドライオン4了解。サク、急ごう!」
「うん。」
私とパティはエルザ隊長とラビィの元へ駆けつけるべく、エンジンの出力を最大に上げた。コックピットの全方位モニターには今も戦闘で明滅する夥しい光球が映し出されている。依然として戦いは続いていた。
そして隊長機と2番機をモニター上でも確認。二人とも多数の敵機と交戦中、劣勢のようだ。
「パティ、そっちのミサイルの残弾は?私もう無いんだ。」
「私、左右に1発ずつ残ってるよ。」
「じゃあ、残弾全部を隊長達を追い回してる敵編隊にブチ込んでから殴り込むよ。」
「了解。」
パティは自機の対空ミサイルを発射。こちらの奇襲はどうやら成功したようで、ミサイルはレーダー捕捉した敵機に向かって一直線に進み、見事2機の敵機を同時に撃墜した。
「ヤッター!」
パティの歓喜あふれる絶叫が響く。むむ、なかなかやるではないか。
「パティ、お見事。それじゃあ吶喊!」
「行っけぇー!」
エルザ隊長達と交戦中だった3機の敵編隊は、突然後方からの攻撃で2機が撃墜され、更に私とパティの参戦によって劣勢となり戦場からの離脱を図った。だけど、それを許す我らがエルザ・ヘンダーソンではない。
「敵を逃すな!追撃しろ!」
「「「了解!」」」
私は隊長機に続き離脱を図る敵機を追撃。そしてレーダー捕捉した敵機にパルスレーザーを連射してその内の1機を撃墜。隊長とラビィも先程の報復とばかりにそれぞれ1機ずつ撃墜した。ビクトルからは小隊周囲に敵影無しとの状況報告があり、どうやら私達が交戦していた敵編隊は全滅したようだった。
その後、劣勢になったらしいアムロイ軍艦載機群は戦域から撤退し、大隊長命により再集結した第1戦闘航空大隊は掃討戦に移った。しかし、私達の六式艦戦ではエンジン出力に勝る敵編隊を逃す結果となり、戦闘は終了した。
私は母艦である空母太鳳に引き上げる自機の中で、自らの初陣を振り返った。それはそれは至らなかった事ばかり。周りが何も見えていなくて、視野狭窄に陥っていた事は否めなかったな。戦果に浮かれて僚機を忘れてしまったのは自分でも許せない失敗だ。
3機撃墜という戦果もビギナーズラックの類と考えるべきだろう。あまりいい気にはならないよう、自らを戒めなくてはならない。
「まぁ、4番機のお姐ちゃんを失念したのは要反省だが、初めてとしてはお前さん上出来だ。すぐに友軍の救援に向かったのは実に良かった。反省は反省として、戦果を誇るといいぜ。」
野村大尉はそう評価してくれた。うん、今日は素直に自分達の生還と戦果を祝おう。
それにしても、空戦はドキドキの連続だった。初めは余裕なんて全く無かったし。あんな状況で周りを見て、気を配って、指揮を取らなければならないのだから、前途はまだまだ多難だなぁ。
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