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第72話 初陣②

戦闘は双方が対空ミサイルを発射し合うところから始まった。こちらが発射した対空ミサイルはAMM(ミサイル迎撃ミサイル)機能もあるため、私達に対して発射されたアムロイ軍機の対空ミサイルもたちどころに迎撃する。


遥か前方の宙域で双方の対空ミサイルが迎撃し合い、夥しい数の火球が生じ、忽ち左右の水平方向へと広がっていく。私達の小隊はその火球に向かって更に進むと、友軍の対空ミサイルを突破したアムロイ軍の対空ミサイルが容赦なく飛来する。


「陣形を崩すな。レッドライオン2、アンチミサイル弾で対応しろ。

「了解。」


エルザ隊長の命令でラビィの2番機がレッドライオン小隊の前方宙域にアンチミサイル弾を広範囲に展開させた。すると、レッドライオン小隊の周囲に幾つかの爆発が生じる。


『2番機により我が小隊に飛来したミサイルの迎撃に成功。コースクリアーです。』


ビクトルが索敵情報を告げる。


「了解、ビクトル。引き続きレーダー索敵を続行して。」

『了解しました。』


「間も無く敵編隊が第1警戒ラインを突破する。空戦となる。訓練通り隊で連携して当たれ。」


「「「了解」」」


『敵機確認、データ照合、ブラボー級戦闘攻撃機と認識。』


地球連邦軍が今までの戦闘や降伏した火星のアムロイ軍から入手した情報によれば、ブラボー級戦闘攻撃機は空母艦載機で対艦ミサイルを含む多数のミサイルを積載可能。ミサイル発射後は戦闘機として活動出来る多用途機であるそうだ。


敵機は私の愛機である六式艦上戦闘機よりもエンジン出力が高く、航続距離も長い。ただ、長所が有れば短所もある訳で、旋回能力は比較的低く小回りがあまり利かないため、空戦となればこちらに分があるそうだ。


よし、やる。やってやる。怖気付いている場合じゃない。私は今、この時のために横須賀士官学校に入り、今までに三年もの歳月を費やし、万難を排して軍人に、パイロットになったのだ。


レッドライオン小隊は直近の敵編隊(4機)との戦闘に突入した。小隊は隊長に続いて右下方に旋回して船団に向かう敵編隊に攻撃を仕掛ける。


私達は敵に対して先手を取れたようで、私はレーダー捕捉した敵機に対空ミサイルを発射した。右上方から攻撃を受けた敵編隊は散開し、その陣形を崩して二手に分かれた。左右に分かれた敵編隊はそのまま輸送船団が航行する宙域へと向かう。


「レッドライオンリーダーからレッドライオン3。1、2番機は右側の敵を追う。レッドライオン3は4番機と共に左側の敵機を殱滅しろ。」


「こちらレッドライオン3、了解。」

「レッドライオン4、受信了解。」


残念ながら私が敵機に放った対空ミサイルの第一撃は躱されてしまったようだった。私はそのまま隊長からの下命に従ってパティの4番機と共に左に旋回した敵機2機の背後に迫り、レーダー捕捉した敵機に対し操縦桿のパルスレーザー発射ボタンを連続して押した。


コックピット内の全方位モニターには自機の機首から前方部空間へと伸びる六条のパルスレーザーの光。次の瞬間にはパルスレーザーの光は敵機に吸い込まれるように命中して敵機は爆発四散した。


(えっ?うそ!)


『当機による敵機の撃墜を確認。』


一瞬の出来事に唖然としたけど、ビクトルの敵機撃墜報告で我に返った。


続いて旋回して私とパティに攻撃を仕掛けてきた敵機をすかさず捕捉、残り一発の対空ミサイルを発射した。それは咄嗟の事だったので、私は敵機の私達への攻撃を牽制出来ればと放った一発だった。しかし、ミサイルは旋回した敵機の真正面に命中し。被弾した敵機は忽ち爆発して木っ端微塵に四散した。


『更に当機による敵機1機の撃墜を確認。』


(やった、やったよ、お父さん!)


「おい、ここは戦場だぞ。気を抜いてんじゃねえ!」


私は敵機を2機も撃墜した嬉しさから心中で喝采してしまったら、忽ち野村大尉の怒声が響いた。


「すっ、済みません。」


「初陣で手柄を立てて嬉しい気持ちはわかるが、戦場では絶対に気を抜くな。4番機も危険に曝すぞ。」


そうだ、パティ。小隊が二手に分かれる場合、私が分隊長となり4番機を指揮する事になる。私はすっかり舞い上がってしまい、その事を一瞬失念してしまった。


「レッドライオン3からレッドライオン4、パティ聞こえる?」


私がパティを無線で呼び出すとすぐにパティから応答が入った。


「こちらレッドライオン4、サク、凄いね!2機撃墜おめでとう。やったね!」

「ありがとう、パティ。隊長達と合流しよう。」

「了解。」


本当にごめんね、パティ。


私とパティは再びエルザ隊長達と合流すべく、漆黒の戦場を突き進んだ。二人とも無事だといいけど…


お読み頂きまして、誠に有難う御座います。

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