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第66話 いざ出航、の前に

艦隊乗組員の充足率も満ちて、資機材も揃い、漸く第309護衛艦隊も出航可能な状態となった。それから間も無く、訓練のためだけど、モスクワ海基地から出航の運びとなった。


そして、訓練宙域での訓練後、第309護衛艦隊の初任務はトロヤ群の資源採掘小惑星帯へ向かう輸送船団の船団護衛に決まった。


現在の戦況は、火星では何故か突然に停戦を申し入れてきたアムロイ軍と地球圏から出撃した火星奪還艦隊との間で暫く対峙した状態が続いたものの、その後は停戦協定が締結されている。これに依って地球圏と木星圏との間における敵対勢力が消滅し、航路の安全がある程度安全になりつつあった。


地球連邦軍は木星などの資源地帯からの資源調達を強化し、それによる戦力拡充と木星圏への戦力結集を図っている。それは地球連邦軍がアムロイの根拠地となった土星を奪い返す前兆だと、誰もがそう考える動きだった。火星を奪還して次は土星、そして侵略者の異星人を打ち負かし、この戦争はもうすぐ終わるんだと世論は楽勝ムードが醸し出され、戦争の早期終結が求められていた。


しかし、と私は思ったのだ。そう上手い事いくのだろうか?と。我等の母艦である空母太鳳の航空隊の人員配置を例にとって自らの疑問について考えてみる。


地球連邦軍では、言語や文化の違いによる軋轢を避けるため、艦隊勤務などは出来るだけ同じ言語や文化を有する民族や集団で纏める不文律がある。それは言語や文化の違いによるトラブルを避けるためであった。


そのため艦長を始めとする軍艦の乗組員は、例えば日系の艦ならば原則的には日系人で構成されるのだ。だから、本来ならば空母太鳳という日系の軍艦にエルザ隊長やラビィが配属される事は、自ら志願するとか特殊な事情でもない限り有り非常に珍しい人事となる。


しかし、実際レッドライオン小隊には英連邦出身者が二名と、合衆国出身者が一名が配属されていて、逆に日本人は私だけという編成になっている。まあ、パティは日系人だから微妙だけど。その他にも日系人以外の乗組員は多く、既に艦隊勤務において乗組員は同エスニックグループで纏めるという原則が有名無実化していると言えよう。


地球連邦は開戦から戦時経済に移行し、簡易構造化された艦艇や輸送船(戦時標準船)の量産を開始している。私の所属する艦隊にしてもそうした艦が多く、そこへ招集した予備役将兵や短縮された教育期間が終了した新任士官や新兵を順次配属させていた。それでも兵員不足でなかなか出航出来なかったのだから、地球連邦軍は人的資源が不足しつつあるのだ。


この戦争、今後どのように推移して行くのか、私程度の士官にはわからないけど、今も、そしてこれからも、決して地球連邦軍は有利ではないと思うのだ。



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