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第59話 只今パイロット修行中

横須賀士官学校を卒業してから月第18戦闘航空大隊に配属され、幸いな事に戦闘機操縦士養成課程の選抜試験と適性検査に合格し、そのまますぐに研修出向となった。


研修の最初の頃は座学の授業とシミュレーションばかりだったけど、それが終わると複座式の練習機に教官と乗組むマンツーマンによる操縦訓練が行われた。教官の篠井大尉はとてもハンサムでスマートな方だったけど、訓練には一切の妥協と容赦が無く、とても厳しい反復訓練が行われた。ただ、篠井大尉は厳しくても褒めるところは褒めてくれるので、私もダメ出しで凹むばかりではなかった。


練習機を使った操縦訓練は、常に緊張を強いられ、最近は私も心身共にバテバテになってしまい、課業終了後は食事や入浴などの身支度が終わるとベッドにダイブして一瞬で眠りに落ちる、そんな日々が暫く続いた。


しかし、私の場合は眠ったら眠ったで、今度はあの空間での英霊野村大尉による講義と訓練が始まるのであった。野村大尉の訓練は無論全てがイメージによるもので、技術的なものよりも感覚的で人機一体となった飛行というものを経験させてくれた。


やがて操縦訓練は複座式から単座式の練習機を用いた単独飛行訓練へ移行。まあ、この単独飛行の許可を受ける効果確認が難しかったのだけど。


単座式練習機での飛行に習熟すると、編隊の編成、敵役の教官機との近接戦闘や標的艦を用いての対艦戦闘、月面の標的を狙っての地上攻撃、といった具合で訓練内容も高度化し、戦技が叩き込まれていったのであった。


そういった訓練の中で、実質的に私には二人の教官がいるようなものだった。そのため、私は訓練生の中でも技術、座学共にトップの成績を維持して研修を終え、なんと本研修における優秀賞など頂いてしまった。


そうして、私は念願の戦闘機パイロットとなり、真樹、ひとみ、山中君、木村君と一緒に原隊に戻って月面での防空任務に就いたのだった。



原隊である月第18戦闘航空大隊に戻り一月程経ってから、私と同期生達は空母艦載機の操縦訓練への出向が命じられた。このため、私達は原隊のあるフンボルト海基地から、宇宙艦隊基地のあるチコ基地へと向かった。


因みに、横須賀士官学校を卒業し、月第18戦闘航空大隊に配属されてから、山中君からは休日などち食事のお誘いが度々あり、同期の誼で何度か夕食を共にしている。勿論、付き合ったりではなく、私には父の敵を討つという目的があるので、今のところは信頼できる仲間の一人という感じかな。


チコ基地では艦齢が古く、今は練習空母となっている空母イカルスにて訓練が行われた。しかし、この訓練は単に艦載機乗りを養成するだけではなく、空母機動部隊の運用全般についての訓練という位置付けであり、練習空母イカルスを旗艦とし、他駆逐艦2隻からなる練習艦隊が組まれていた。


この訓練に当たっては、私は既にパイロットとなっていて、原隊での飛行実績もある。それだけ先のパイロット養成課程時よりは心の余裕が持てたけど、やはり、新しい環境に身を置く中で、真樹とひとみが一緒にいるのは実に心強く感じられた。



チコ基地から出航した練習艦隊が予定訓練宙域に達すると、すぐに飛行甲板からの離発艦訓練が始められた。


「いいか、発艦といったところで地上基地からの発進とそう変わるもんじゃ無い。電磁カタパルトから射出されるのは同じだ。違いはカタパルトの長さだけだから、シミュレーション通りにやればいい。わかっかな?」


私は戦闘機のコックピットにて、空母イカルスの飛行甲板の電磁カタパルト上で待機中。イカルス管制室の西田教官が無線で射出前のアドバイスをくれた。空母の電磁カタパルトからの発艦はシミュレーションも十分にこなしている。特別緊張している自覚は無い。だけど、教官からのアドバイスで少し気分が落ち着いている自分がいる。


「こちらT001朝倉少尉。有難う御座います、教官。大丈夫です、行けます。」


私は西田教官に謝意と準備が整った旨を伝えた。すると、管制官から発艦許可が下りる。


「T001、発艦を許可する。射出5秒前。メカニックマンは退避急げ。4秒前、3、2、1、射出!」


その途端、全身に僅かなGがかかり、自機が一気に加速していくのがわかる。地上基地でのそれより短い電磁カタパルトが途切れると共に、私はエンジンの出力を全開にし、更に自機を加速させた。


既に空母イカルスは遥か後方だ。私は先行した教官機との合流宙域へと向かう。コックピット内の全方位モニターは漆黒の闇を映し、やがて自機のAIが教官機のガイドビーコンを受信した。


私は了解とAIに伝え、更に自機を前進させる。そして教官機をレーダーで確認、点滅するランプを視認して合流成功。後続機も続々と合流すると教官機を軸に編隊を組み、目標宙域で編隊ごと旋回し、イカルスに着艦する。


着艦は発艦よりも難しいものだと野村大尉も教えてくれた。


「なに、時代も場所も機体も変わったといっても、やる事はそう変わらん。着艦前までに十分速度を落として着陸するような要領だ。」


私は野村大尉のアドバイスに「わかりました」と応え、マニュアル通りに、アドバイス通りに自機の速度を減速させる。イカルスの着艦センサーを自機が感知して同調すると、機体は回収用のロボットアームに捉えられて着艦は完了した。


「上出来だぜ、お前さん。」

頭の中に野村大尉の声が聞こえた。


「上出来だ、朝倉少尉。」

ヘルメットの無線から西田教官の声が聞こえた。


「有難う御座います、教官。」

(有難う御座います、野村大尉)


私は私の二人の教官に感謝を伝えた。



初めての空母からの離発艦は自分でもなかなか上手く出来たと思う。この後は約一カ月に渡り、艦隊直掩、対艦ミサイルによる雷撃など、訓練は更に高度化しながら続いた。




お読みいただきまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ、評価、感想など宜しくお願いします。

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