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第54話 卒業式

私が戦死した父の敵を討つために地球連邦軍横須賀士官学校に入校したのが去年の4月だった。


思い返せばこの約1年10ヶ月の間、いろいろな出来事があった。その時々には無我夢中で、只々目の前の事に対処する事で手一杯だったように思える。


そして迎えた卒業式。お互いに支え合った班やクラスの仲間、お世話になった教官と助教、励ましてくれた母と妹、祖父母と美奈子叔母さん、「がいえすぶるぐ」のマスター・ケンプさん、台南飯店の大将と女将さん、そして野村大尉。本当に皆さんにはお世話になりました、有難う御座います、感謝感謝です。これからも宜しくお願いします。



卒業式と言っても、小中高のそれと違って思い出に残るような、卒業生が一人一人立ち上がって台詞を読んだり、定番の卒業ソングを歌ったりといった感動演出は殆ど無い。歌は歌うものの、地球連邦の国家、日本連合の国家(勿論"君が代"だよ)、横須賀士官学校の校歌くらいだ。



卒業式は進み、各クラスの学生隊長がクラスを代表して辞令を学校長から受け取り(卒業式は"辞令交付式"というのが正式名称だったりする)、日本連合政府、地球連邦政府、地球連邦軍からの来賓による訓示・挨拶と続き、最後に、いよいよ卒業式における唯一の感動演出である帽子投げに取りかかる訳である。


卒業式はスケジュール通りに進行。進行役である教官から着席している卒業生に対し、退場と再集合時間についてのアナウンスが入った。1組の学生隊長である北條君が指揮を執るため立ち上がり、卒業生の立ち号令をかける。


「総員、立て!」


私達は北條隊長の号令で一斉に立ち上がり、直立不動、気をつけの姿勢をとった。


「本日をもって我々は横須賀士官学校を卒業する。しかし、卒業は終わりではない。これから本当のスタートだ。我々は本学で学び、修め、鍛えた事に誇りを持って地球社会のために戦おう。そして、我々は卒業しても同期生だ。我々が同期生であり、かけがえのない仲間である事は未来永劫変わる事はない!それを絶対忘れるな!解散!!」


うおおおおー!!


北條隊長の解散号令と共に私達は大声で叫び、手に持っていた制帽を天井高く放り投げた。


沢山の制帽が高く投げられ、そして重力に従って次々と降って来る。私達はそれを振り返り、見る事なく退出口に向かって走り出した。



お読みいただきまして、有難う御座います。

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