第49話 進路
年が明けて1月に入った。戦時のため地球連邦軍の士官学校は卒業が二ヶ月短縮され、卒業まで一ヶ月を切っている。
年末年始の休みが終わり、かねてから希望調査をしていた卒業後の配属先についていよいよ発表となる。私は戦闘機のパイロットになりたかったので航空隊への配属を希望していたのだけど、必ずしも希望が叶う訳ではないのが世の常なのだ。
勿論、希望が叶わなかったとしても、配属先の部隊から航空隊への転属を希望する事が出来る訳だけど、出来ればそうしたまわり道は避けたいのが本音な訳で。
「あーっ、神様仏様ーっ!私の配属先を航空隊にして下さーい!」
私は日曜日に班のみんなと初詣に行った走水神社の石段で思わず海に向かってそう叫んだ。
真樹「ちょ、いきなり何?恥ずかしいんだけど!」
ひとみ「咲、神社で"仏様"はやめなさい。」
史恵「おぉー!リアル日本人の"神様仏様"が聞けたよ。」
エリカ「どうせなら"キリスト様"も付けとけば?」
野村大尉:「神様なら俺が付いてんじゃねーかよ!」
卒業を間近に控え、いよいよ卒業後の配属先が伝達される。因みに班のみんなはどこに希望を出しているかと言うと、真樹とエリカは私と同じ航空隊。ひとみと史恵は艦隊勤務を希望している。
配属先の伝達はそれぞれのクラスの教場で行われる。士官候補生は着席して教官と助教が来るのを待ち、この間、教場内は咳一つ無く緊張感と静寂に支配されている。皆、何を考えているのだろう?
ガラッと、突如として教場のドアが開き、教官と助教が入室した。
私達士官候補生は学生隊長である北條隊長の号令により起立し、教壇に上がった教官に敬礼、教官の指示で着席。
「これより皆の配属先を伝達する。氏名を呼ばれたら返事をして起立、伝達されたら再度返事をして着席しろ。当然であるが、配属先についての変更等は一切受け付けない。」
教官から伝達に際しての説明がなされ、いよいよ伝達だ。順番は学生隊長の北條君から。その後は建制順となるから、私が2番目だったりする。
「士官候補生、北條 猛。」
「ハイ。」
「戦艦播磨乗組を命ず。」
「ハイ。」
おお、いきなりの戦艦乗組み。流石我が1組の学生隊長といったところかな。次は私だ。緊張する。
「士官候補生、朝倉 咲耶。」
「ハイ。」
あーっ、どこだろ、どこだろ。航空隊でお願いします。
「月第18航空戦闘大隊勤務を命ず。」
「ハイ。」
やった、やったよ!航空隊配属だ。勿論、すぐパイロットという訳ではないけど、兎に角、パイロットへの第一歩を踏み出せそうだ。
その後は再び席に着いた訳だけど、もう心は月のフンボルト海にある第18航空戦闘大隊に飛んでいた。
因みにパイロット志望の真樹とエリカは、何と私と同じ第18航空戦闘大隊に配属となり、私達は抱き合って喜んだものだった。ひとみは空母赤城、史恵は空母龍騎にそれぞれ乗組みとなった。
野村:「良かったな、希望が叶って。これで漸く俺の出番だな。ビシビシ指導するから覚悟しておけよ。」
私:「有難うございます、大尉。お手柔らかにお願いします。」
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