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第48話 ハッピーナイト ヨコハマ

レストラン内は少し暗めの落ち着いた照明。私達はウェイターに予約席へ案内された。そこは窓辺の席で、横浜港の夜景がとても綺麗。


席に着くと、ウェイターに飲み物の注文を求められる。叔母夫婦はシャンパンを、私と妹はジンジャーエールを頼んだ。私は20歳で、一応成人してるけど、制服姿で飲酒は外聞が悪いからね。


シャンパンとジンジャーエールがそれぞれのグラスに注がれる。そして、叔母が乾杯の音頭をとった。


「では、私達の再会と、出会いを祝して、」


いやいや、それだけじゃないでしょ。私はすかさず叔母の音頭を奪うように引き継ぐ。


「そして、お二人の御結婚を祝して、」


「ふふっ、ありがとう。それでは乾杯!」

「「「乾杯!」」」


私はグラスに口を付けてジンジャーエールを飲み干した。少し渇いた喉に冷えた甘い炭酸と生姜の辛みが心地良い。その後はコースの料理が運ばれ、私達は会話と料理を楽しんだ。


叔母の旦那さんとなった隆司さん(入婿となった)は叔母と同い年で、実は高校の同級生なのだそう。恥ずかしがって二人とも詳しくは教えてくれなかったけど、高校生の頃からお互い憎からず思っていたとの事。社会人になってから同窓会で再会。同じ飲食業界に身を置いている事もあって連絡を取り合うようになり、隆司さんからずっと好きだったと告白したのだそうだ。いやぁ、冬だというのに暑いなぁ。ウェイターさ〜ん、暖房少し下げて下さ〜い。


隆司さんは明るくて、とても誠実そうな人だ。話していても面白く、頭の良さが感じられ、なんとなく頼れて安心出来る人だ。少し体格がずんぐりとして大きく(身長は180cmくらい)、まさに熊さんのようで、少しだけお父さんに似ている。


叔母さんが少し席を離れた(理由は内緒)時、私は隆司さんの事をまじまじと見てしまった。妹も私と同じ事を考えいたのか、やはり無言で見つめていた。


じーっ、


いきなり私達二人に無言で見つめられて隆司さんは少し困惑気味。私は自分達が無遠慮で、失礼だったと反省。


「すみません。何かじっと見ちゃって。叔父さんが死んだ父に雰囲気が少し似ていたものですから。」


「ああ、そうなんだ。でも義父(おとう)さん、義母(おかあ)さんにも言われた事があるよ。」


隆司さんは微苦笑しながら応じてくれた。


「実は戦死された義兄(おにい)さんとは歳は離れていたけど、高校の柔道部の先輩後輩の間柄で何度かお会いした事があったんだ。その時も周りの先輩方から弟みたいだって言われてたんた。」


「へぇ、そうだったんですか。」


どうやらブラコン気味の美奈子叔母さん。やっぱり戦死した父に似た男性(ひと)を好きになってたのかな?


「美奈子叔母さんの事、よろしくお願いしますね。」


妹の七海がそう言って隆司さんにペコッと頭を下げた。


「大丈夫。僕に任せてくれ。」


隆司さんはそう言って自分の分厚い胸を右の拳でドンっと叩いて見せた。痛そう。


「あら、3人で何を盛り上がってたの?」


お花摘みを済ませた叔母が席に戻って来た。


「えーっと、美奈子叔母さんが素敵な人と結婚して良かったって話だよ。」


「咲耶ちゃん、本当?」


「ホントホント。これで私達も安心して戦場に出られるね。」


これは私の本音でもあるのだけど、ちょっとこの場には相応しく無い事を言ってしまったかもしれない。案の定、私がそう言うと叔母は少し顔をしかめる。


「二人とも、前に私とした約束忘れて無いわよね?」


「勿論憶えてるよ。ちゃんと約束は守るから安心して?」


「まあ、それならいいけど、軽い感じであんな事は言わないで。」


「うん、ごめんね叔母さん。」


その後、私は七海から無言で肘鉄砲を喰らい、叔母から「そんな事言う悪い口はこうしてやる!」と言われて上下の唇をアヒルのように摘まれ、まぁまぁと仲裁に入ってくれた隆司さんに助けられたのだった。

お読みいただきまして、誠に有難う御座います。ブクマ、評価、感想など頂けましたら励みになります。よろしくお願いします。

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