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第24話 英霊②

「さて、こんな空間でも時間は貴重だ。そう悠長にはしていられないので本題に入ろう。お前さんの靖国神社での祈りは聞かせて貰った。戦死されたお父上の敵討ちをするんだってな?」

「はい、そうです。」


参拝した時の祈りは、一応英霊の皆さんの元に届いていたみたいだった。野村大尉は更に重ねて敵討ちについて確認する。


「本気だな?その気持ちに嘘や偽りは無いな?」

「もちろんです。そのために士官候補生になったのですから。」


そこに至るまでは様々な事があったし、その後にも色々あったけど、この決意は揺るぎない。


私がそう言うと、野村大尉はいきなり両手で私の両肩をガシッと掴み、突然の事に驚いている私に言った。


「偉い!」

「は、はあ?」

「俺はお前さんのその心意気を買った。戦死した父の敵を討つため、年頃の娘が戦場にその身を晒すなんてそうそう出来る事じゃねえ。」

「そっ、そうですか。有難う御座います。」


野村大尉は更にその勢いのまま続けた。


「そこでだ。俺達靖国英霊飛行士倶楽部では、ひとつお前さんの助太刀をしようじゃないか、という結論に至った。」

「靖国英霊飛行士倶楽部って、何ですか一体?」

「靖国英霊飛行士倶楽部とはな、靖国神社に祀られている生前飛行機乗りだった英霊達で作った、言ってみれば親睦会みたいなもんだ。そいつらがお前さんの祈りを聞いてな、可憐な乙女が飛行士になって父の敵を討ち、父の無念を晴らそうってんで、こりゃあ助けてやんなきゃってなった訳だよ。」


因みに、私はこの展開に少々考えが追いつけていない。


そして、野村大尉の話は続く。


「じゃあ、幾万柱もの英霊の中から誰がお前さんの助太刀に行くのかって話だが、この御時世だ。俺達英霊も日本を守り、この星を守る為なかなか忙しい。で、お前さんと波長が一番合う者がその任に当たる事となり、今、こうして俺がお前さんの前に居るって訳だ。」


う〜ん、それだと私と野村大尉の波長が合っているって事だけど、何となく複雑な気分だ。野村大尉は男だから少々がらっぱちでも様になって魅力でもあるけど、私は女子な訳で。


神々の世界の事は凡人たる私には良くわからない。だけど、


「それって、要するに野村大尉が私の敵討ちを助けてくれるって事ですか?」

「そういう事だ。だだし、俺の指導は厳しいから、それ相応の覚悟が必要だぞ?」


英霊である野村大尉が、どのように私を指導してくれるのだろうか?特別な加護やチートを与えてくれるって訳ではなさそうだけど、助けてくれるのなら、それはとても有り難い事だ。


(それに、立ってる物なら親でも使えって言うしね)


「おい、お前さん。何か失礼な事を考えてねえか?」

「す、すみません、じゃなくて、そんな事無いですよ?」


うわぁ、危なかった。流石神様だ、考えが読めるんだ。


「ふん、まあいい。で、お前さんはどうするよ?」


答えはもちろん一つだ。


「ふつつか者ですが、宜しくご指導お願いします。」

「うむ、宜しい。」


野村大尉は満足気に頷き、こうして私達は師弟となったのであった。



翌朝、眼が覚めるとそこは知らない天井、ではなく、ここ数日間泊めてもらっている横浜山手にある祖父母宅客間の天井が見える。顔を右に向けると妹が隣のベットでぐーすか眠っている。


昨夜の夢を思い出してみる。薄暗く白い霧が立ち込めた空間。昭和レトロな喫茶店。そして野村悠里大尉。靖国英霊飛行士倶楽部を代表して野村大尉が私の敵討ちを助けてくれるって。そんな夢だったなぁ、と思い返していると、左手が何かを握りしめている事に気づいた。何だろうかと左手を開いてみると、小さな御守りが一つ。靖国神社の御守りだった。


(あぁ、昨夜の夢は、夢だけど夢じゃなかった。お父さん、英霊の野村大尉が私の事を指導して助けてくれるって!)


嬉しさに涙が溢れる。


「お姉ちゃん、どうしたの?怖い夢でも見た?」


私の鼻をすする音で目を覚ましたらしい妹が、心配そうに私を見ていた。


「いや、全然。全然怖い夢なんかじゃないから。そうだ、ななも休み中に靖国神社へお参りに行って来なよ。きっといい事があるよ!」

「そうなの?」

「そうだよ!で、お参りする時は必ずお父さんの敵討ちしますって祈るんだよ。」

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