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第17話 悪意の正体

新年明けましておめでとうございます。今年も『朝倉家の戦争』をよろしくお願いします。

木村は意識を失った訳ではなかったようで、同班の班員に介助されて立ち上がった。私はヘッドギアを外して木村の方へ歩み寄り、そして言った。


「じゃあ、明日の朝一にクラス全員の前で謝罪して下さい。勿論、土下座でね。」


「クッ」


木村は不貞腐れたように呻く下を向いた。勝手なものだと、私は思った。自分を被害者だとでも思っているのだろうか?根拠の無い悪意に満ちた噂と渾名を広めておいて何なのだろうか。私は木村のその態度に今更ながら腹が立ってきて、言わずもがなの一言を言ってしまった。


「それとも、私に士官学校辞めろと言ったのだから、負けたあなたにも辞めて貰おうかな。」


「調子に乗るなよ、特待生。」


そう言ったのは、木村と同じ班の男子候補生だ。名前は確か、安藤だったか。


「決闘もしない、陰口しか叩けない卑怯者は見っともないから黙りなよ。」


安藤は忌々しそうに私を睨みつけている。もう一悶着起こりそうな気配に、西村助教が割って入った。


「決闘は朝倉の勝ちで終わったんだ。これ以上この問題を蒸し返す事は許さん。わかったな。北條、後は頼む、解散させてくれ。」


西村助教はそう言うと格技棟を出て行き、ギャラリーの候補生達もそれに釣られるようにゾロゾロと出て行った。


私の周りには同じ班のみんなや、同じクラスの花月副隊長始めとする女子候補生達が集まってくれていて、皆口々に「お疲れ」「咲耶凄いね」「メチャメチャ強いね」などと言って労ってくれた。


因みに、木村の周りには彼と同じ班の、先程急に私に噛み付いて来た安藤だけだった。


木村が北條隊長に促されて医務室に向かうため、格技棟から出て行こうとした時、真樹が木村を呼び止めた。


「ねえ、あんたさぁ、何であんな噂流したの?咲耶の入学に軍上層部の関与なんか常識で考えればある訳無いじゃん。」


真樹の問い掛けに木村は立ち止まり、振り向いて言った。


「俺の従兄弟もCー1コロニー防衛戦で戦死した。駆逐艦スワメルの副長だった。子供の頃から仲良くて、常に憧れの自慢の従兄弟だった。」


そう言うと、木村は私を睨みつける。


「何故だ?同じ戦闘で戦死して、何でお前の父親は英雄で、俺の従兄弟はそのようには言われない?そりゃあお前の父親は艦ごと体当たりして見事コロニーを守ったさ。でもな、俺の従兄弟だって戦ったんだよ。そこに違いなんて無いはずだろ?そう思ったら英雄の娘である朝倉の存在が憎かった。許せなかった。まあ、俺の被害妄想が暴走してしまったんだな。明日、正式に謝罪するが、申し訳なかったな。」


木村はそう言って私に深々と頭を下げた。


「私はね、入学に関して軍上層部の関与なんて無かったと思ってる。どうしてって、自己採点して殆ど正解していたから。でも関与があろうが無かろうが、そんな事は関係ない。軍人にならなければ父の敵討ちが出来ないから。そのためなら利用出来るものは何だって利用する。邪魔する者は誰だって許さないし排除する。それだけは憶えておいて。」


いくら謝ったからといって、私は木村の言い分に冷静じゃいられなくて、一気に捲し立てた。今はひとみと史恵が肩を抱いてくれている。


「そうか、わかったよ。本当に悪かった。」


木村は安藤に付き添われ、格技棟を後にした。


こうして俄かに湧いた私の特待生騒動は終わった。今度は決闘騒ぎの噂や、もしかしたら渾名も広まるかも知れないけど、人の噂も75日というから、少々の我慢だ。

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