第164 宇宙(そら)に黒花咲かせます
私の愛機XFAーv3は試作機であり実証試験機だった。
地球連邦軍が傘下にある幾つかの軍事研究機関や航空機メーカーに六式艦上戦闘機の出力火力不足を補う新型戦闘攻撃機の開発を依頼し、月にある国防技術研究所によってXFAーv3は開発された。
新型戦闘攻撃機のコンセプトは艦上戦闘機への火力支援、少数での機動戦闘による空間制圧、確保した空間拠点の防衛。
国防技術研究所では更に野心的に単機若しくは少数機で大型艦とも渡り合える戦闘力を試作機に盛り込んだ。戦闘機にしろ攻撃機にしろ対艦ミサイルを撃ち尽くしたらもう敵艦への有効な攻撃手段無くなってしまう。そこでXFAーv3の開発者達は対艦ミサイルを撃ち尽くした後も対艦攻撃を継続出来るようビーム兵器搭載を図ったのだった。
XFAーv3に搭載されたのは2門の大口径陽電子ビーム砲。これは巡洋艦の主砲に相当し、敵の大型艦であっても一撃で轟沈、は無理であってもかなりな打撃を与えられる代物だとXFAーv3の開発者の一人であるベルナルド大尉が言っていた。
だけど、やはり戦闘攻撃機に巡洋艦の主砲クラスの陽電子ビーム砲を搭載することは流石に無理があった。六式艦上戦闘機の2倍の出力を誇るXFAーv3のエンジンであってもそんな大口径の陽電子ビーム砲を撃つには十分な電力は供給出来ず、そして撃てたビームの破壊力は巡洋艦と同等であっても、有効射程距離は巡洋艦のの半分。しかも一度撃ったら暫くは電力の再充填が出来ず、すぐに2発目を発射する事は難しかった。
これは木星宙域でXFAーv3の実質的なテストパイロットを務めた私が実証した事なので間違いは無い。あれではこちらが有効射程距離に達するまでに敵の対空砲火によって撃墜されてしまうだろう。
そうした実験結果を踏まえXFAーv3が新型戦闘攻撃機として採用されると陽電子ビーム砲については不採用となり、量産型となったFAーv3に搭載される事は無かった。
でも今の私にはコレしかない。今この戦場で地球連邦軍に残された、敵の指揮艦を撃沈し得る武器はこれしかない。だから私はブラックチューリップ小隊の部下達にXFAーv3にだけ搭載されている2門の陽電子ビーム砲で敵の指揮艦を沈めると話した。
「サクそれ本気?よほど近付かなければむりだよ」
真樹の懸念はもっとも。私だって別の立場なら反対するよ。
「サクがやるって言うなら一緒に行くよ。サクを守って敵を近づけなければいいんだよね?」
「うん、そう。ありがとうパティ」
パティは一緒に来てくれそうだ。
「私だって一緒に行くよ。ブラックチューリップは死ぬも生きるも一緒だから!」
「真樹の言う通り。私も行くよサク。でも援護と防空は多い程成功率が高くなるでしょ?私にいい考えがあるんだ」
「真樹もエリカもありがとう。でもエリカのいい考えって?」
黒いチューリップは宇宙に咲く正義の花。咲くも散るも一緒。足掻いてもがいて最後に一花咲かせてやるから。
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それでは次話もお楽しみに!




