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第136話 トオルハンマー防衛戦②

更新遅れて大変申し訳ありません。このご時世、最前線で働いており、現在多忙となっております。遅れ気味となりますが、頑張って更新を続けますので、今後とも宜しくお願いします。

それから間も無くの事、土星からアムロイ軍の大規模な戦力移動が確認された。


その頃には木星駐留艦隊がSTH群が展開する宙域に到着しつつありと、そんなタイミングでの出来事だった。


となれば、木星駐留艦隊の到着までSTH群の護衛部隊がやらなければならない事といえば、出来る出来ないは別として、それまでの間STH群を守り抜かなければならないって事。だから、こんな命令まで発せられる。


「「「死守⁈」」」


「しろってさ」


ブラックチューリップ小隊のみんなに聞き返され、私も思わず肩を竦めた。



敵艦隊の攻勢を前にして、STH群防衛司令部の作戦参謀から中小隊長を対象としたブリーフィングが行われた。そこでこの言葉が発せられたのだった。


勿論、正式な命令書に記されているのはそう理解されるであろう文章であり、直接なそんな文言は記されてはいないはずだ。要はSTH群防衛司令部による、或いは作戦参謀個人による、非公式な見解なのだろう。



「でも、あれね。古今東西を問わず、追い詰められた軍隊という物はどこも死守なんて言葉を使うものなのね」


「だね。まさかこの23世紀の世の中でこの言葉を聞くとは思わなかったよ」


エリカと真樹はどこか他人事のような感じでそう言った。



土星奪還作戦は正式な発令は無いものの、事実上既に開始されているといってよく、この「土星奪還作戦」という呼称も皆が何となくそう言っているだけであって、勿論正式な作戦名ではない。


地球連邦軍はアムロイ軍の地球圏侵攻を凌ぎ、火星を占拠したアムロイ軍別働隊を降伏させつ火星を奪還した。


そして、多大な犠牲を払いつつも敵による通商破壊を抑え込む事が出来た現在、土星に拠るアムロイ軍を降して土星を奪還すべく、地球連邦軍はその総力をここ土星周辺宙域に結集させている。その動きを総じて土星奪還作戦と呼んでいるのだ。


そして、その土星奪還作戦における要の一つがSTH群だと言われている。ならば、STH群防衛司令部が「死守」なんて言葉までつかってSTH群を守り抜こうと必死になっているのも頷ける。


「でもさ、死守しろとか言われているのに、何でみんなそんなに余裕そうなの?」


私がブリーフィングから戻って小隊のみんなに作戦内容と共に大型モニター越しのSTH群防衛司令部の作戦参謀(真面目そうな、The 参謀といった感じの日系人大佐)から言われたその言葉を伝えても、みんなの反応は「ふーん、ほう、へぇ」といったいった感じだった。


私は結構身が引き締まる思いだったのに。何か、私の伝え方が良くなかったのかな?


「いや、だって軍隊ってさぁ、そういう所じゃない?」


それは、まぁ、真樹の言う通りなんだけど…


「それに、何かイケる気がするんだよね」


「エリカの言う方、何かいやらしいけど、私も大丈夫な気がする」


エリカとパティもそんな事を言う。


「だから、何で?」


もう訳わからない。死んでも守れって言われているのに。


「だって、ウチらにはサクがいるじゃん」


へ?真樹、何を言って、


「そう!何たって私達には不敗の小隊長、朝倉咲耶が付いているからね!」


「エリカ、どういう事?」


「サク、私はレッドライオン小隊の頃から一緒だけど、サクはあの船団護衛戦を戦い抜いて来たでしょ?」


「それはパティも一緒だよ」


「それはそう。だけど、あの木星宙域での戦いでサクがXFAーv3で参戦しなかったら私はきっと死んでいたし、レッドライオン小隊どころか第309護衛艦隊も、いいえ、輸送船団だって全滅していたよ。それにサクがブラックチューリップ小隊で小隊長になってからだって私はサクの元で戦って何の不安も感じなかった」


次いで真樹が口を開く。


「私とエリカも、士官学校でサクが班長になって山岳訓練で羆に襲われた時だって、ブラックチューリップ小隊で周りに味方なんていない敵の海の中でだって、私達はサクの元で戦って勝ち続けた」


いや、羆はひとみが追い払ったんだけど…


「だから、どんな戦いだってサクの元、ブラックチューリップ小隊は常勝だよ!」


「「「おーっ!」」」


「…」




「って事があったんですよ、大尉」


ここは愛機XFAーv3のコックピットの中。今、私は迫り来るアムロイ艦隊を迎撃すべく、空母海鳳をブラックチューリップ小隊を率いて出撃したばかりだ。


出撃前に小隊のみんなとあんな遣り取りをしたせいか、こんな時でも割と気持ちに余裕を持てている。だからか、私は英霊の野村悠里大尉に先程の遣り取りを話したのだった。


「ほう、お前さんも立派になったもんだな。皮肉なんかじゃねえぞ?部下に不安を抱かれず、この人となら大丈夫と思われるなんざ指揮官の誉ってもんだ」


「そう、ですかね?」


「おおよ、自信を持って自己と部下達を誇っていいぜ?」


「はい、大尉!」



STH群防衛戦。その正念場が始まろうとしていた。


いつも『朝倉家の戦争』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話「トオルハンマー防衛戦②」にご期待ください。



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