第132話 アホートニク作戦②
今回実施されるのは「アホートニク1号作戦」。
この作戦では第6独立挺進艦隊は、その持てる全ての戦力を出す事になっている。即ち、先制攻撃において敵艦隊に全火力を叩きつけ、緒戦で大打撃を与えて壊滅させようという訳である。だから航空隊も直掩隊すら残さず、稼働全機が出撃する。
そして、作戦当日。
12:30 作戦開始。
空母海鳳から出現した第1、第2戦闘航空大隊は艦隊に先行して二手に別れて敵艦隊を待ち伏せする名も無き小惑星帯へと向った。
それは、戦闘航空大隊各機が対艦ミサイルポッドを4基増設し、ノーマルな状態よりもエンジンに負荷がかかって速度が落ちているからだ。
13:00
2個の戦闘航空大隊は予定されていた小惑星帯に到着。そして、戦闘航空大隊の各機は敵艦隊からその姿を隠すように、それぞれが小惑星の影に潜んで配置完了。更に灯火も消し、無線も封鎖する。
13:30
2個の戦闘航空大隊が戦闘配置完了から30分が経過した。コックピット内の全方位モニターは機体が小惑星の影に入っているため、暗闇ばかりで何も見えない。小惑星に擬態させた小型光学偵察機が敵艦隊を察知すると無線信号による合図が一回だけ入る事になっている。それによって攻撃開始となるのだけど、未だその信号は無い。
13:50
時間の経過が酷く長く感じる。何も見えず、何も聞こえず、たった一人何もしないで閉鎖空間で待ち続けるのは結構辛いものだ。この状態で待ち続ける事も戦いなのだと思う。この場合の敵は自分自身という事になる訳だけど。
14:00
戦闘配置完了から1時間が経過。みんなよく堪えていると思う。ここで誰かがこの状況に堪えられなくなって飛び出してしまえば、忽ち敵に察知されてアホートニク1号作戦は大失敗になってしまう。味方に損害が出てしまうばかりか、今まで身を隠して偵察、監視に徹して敵の出撃ルートをひたすら探った労力と時間が水の泡。今後の作戦にも影響が出てしまう。
だから今はそんな自分との戦いの最中でもあり、味方を、戦友を信じる戦いの真っ最中。
14:15
突如、コックピット内にビクトルの声が響く。
『光学偵察機からの信号を受信しました』
「!!」
その知らせにハッとする私。長かったけど、遂にその時が来た。
私は機体を小惑星に固定していたアンカーを解除。スラスターを吹かせて機体を小惑星から浮き上がらせる。周囲には私と同じような友軍機が見える。
「第1大隊長から大隊各機。大隊は直ちに出撃、敵艦隊へ攻撃を開始。全機、我に続け!」
大隊長からの出撃命令が下された。私は中隊長のマーベル団長に了解と打電し、麾下のブラックチューリップ小隊の皆に確認の意味も込めて更に下命する。
「ブラックチューリップリーダーから小隊各機。みんな聞いた?一気に叩くよ!」
「「「了解!」」」
私はXFAーv3のエンジン出力を全開にして機体を加速。そして、私の機体に追随するパティ、真樹、エリカの機体を確認し、彼女達の技量に安心感を抱いた。
"私は戦友に恵まれているなぁ"
そんな場違いな事を考えつつ、彼女達率いて敵艦隊へと最大戦速で向かった。
「ビクトル、敵艦隊の総数は?」
『光学偵察機からの光学情報と当機のレーダー反応から推測では旗艦と思われるD級巡洋艦1隻、E級巡洋艦2隻、B級駆逐艦20隻の総数23隻を確認しています』
私はビクトルに小隊各機のAIに敵艦隊の情報を共有させ、小隊のみんなに攻撃目標を伝えた。
「みんな、私達は旗艦のD級巡洋艦を狙うよ!」
「「「了解!」」」
対艦ミサイルの射程圏内に入った敵のD級巡洋艦。その艦影がモニターの中で徐々に大きくなっていく。私はモニターに映る敵艦を睨みつつ、対艦ミサイルの発射態勢を取った。
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それでは次話「アホートニク作戦③」にご期待ください。
大きく羽ばたけ 今日よりももっと遠く
小さな勇気から世界は動き出す
くじけず飛び立て たどりつきたい
キラキラひかりの差す未来へ
『ブレイブウィッチーズ』OP「アシタノツバサ」より




