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第130話 再び土星へ

第6独立挺進艦隊が難民となったアムロイ人達を木星の地球連邦軍木星駐留軍司令部へ引き渡してから約3ヶ月が経過した。


その間、私達艦隊乗組員は交替で入港したコロニーに上陸し、少々のトラブルはあったりしつつも英気を養った。そして、訓練に励み、整備を進め、ひたすら次の出撃に備えたのだった。


第6独立挺進艦隊は初任務であった土星周辺宙域での長距離偵察(アムロイの勢力圏での情報収集、通信・輸送妨害、破壊活動等)を成功させ、艦隊員は意気軒高にして士気高く、再びの土星周辺宙域での長距離偵察任務に就く事を今か今かと待ち侘びていた。


だけど、新任務の下命は無いまま虚しく時は過ぎ行く。その間も地球連邦軍の根拠地である木星やトロヤ群には次々と地球圏や火星からの艦隊や輸送船団が集結しつつあり、今や公然の秘密となっている土星奪還作戦の準備が進んでいるようではあった。



そして、遂に私達第6独立挺進艦隊に出撃命令が下った。のだけど…


「「「え?護衛任務?」」」


そうなのだ。私達に下された命令は長距離偵察ではなき護衛任務。


出航時は情報漏洩防止のため艦隊の任務や目的地は当然伏せられていた。そのため私が今回の任務について知ったのは艦隊が木星の泊地を出航してからだった。


しかも、任務の詳細は未だ明らかになってなく、何を護衛するのか、護衛は艦隊単独なのか他の艦隊との任務群となるのか、全く知らされていないのだ。



出航はしたものの、何をするのかわからないというのは実にモヤモヤするものだ。なので、私達ブラックチューリップ小隊は今回の不可解な任務について少しでも情報を得ようと、非番はラウンジでお茶しながら情報収集に取り組む事にした。まぁ、早い話、ひとみ達ブリッジ3人娘を捕まえて質問攻めにしたのだ。


「任務の詳細が伏せられているって事は、それだけ重要な任務って事なんじゃない?」


「そういう抽象的な答えを求めているんじゃないんだよ。ブリッジにいるんだから何か聞いてないの?」


ひとみの答えに不満な真樹が少し苛立ったように尋ねた。ひとみはしょうがないわねという感じで渋々と話し始める。


「私達だって詳しく聞いている訳じゃないけどね。艦長達の会話から漏れ聞いた内容からすると、土星の周辺宙域に地球圏から徹ハンマーを持ってくるみたい。飽くまで予想だけど、その護衛じゃないかしら?」


「「「「徹ハンマー?」」」」


徹ハンマーとは、防衛技術研究所の関徹技術大佐が地球圏防衛のため開発した大口径・強威力・長距離レーザー砲で、地球圏に侵攻して来る敵艦隊を数基の徹ハンマーによる十字砲火により殲滅しようという兵器だ。月面や地球軌道上の軍事基地、スペースコロニーから発射される高出力レーザービームを多数のリフレクター衛星で反射させ、敵が地球圏内のどこにいても死角無く攻撃出来るシュルツランツェというシステムと組み合わせて地球圏防衛システムと呼び、現在では木星にも配備されている。


つまり、新たに作るのか、地球圏や木星から曳航して来るのか知らないけど、地球連邦軍はこの徹ハンマーを使って土星に蟠踞するアムロイ軍を攻撃するつもりなのかもしれない。


重要な対象物を護衛するという事はわかったけど、世の中には向き不向きという事もある。


「でもウチらの持ち味は速度と打撃力でしょ?艦隊による拠点防御はウチらのアドバンテージを殺す事にならない?」


私もここぞと疑問をぶつけてみる。確かにFAーv3の設計運用思想には大出力のエンジンと重武装による拠点防御もあるけど、それは短時間で増援が来るという前提があってこそのもの。


「う〜ん、例えて言うなら騎兵を馬から降ろして陣地を守らせるようなもの?」


「その例だと日露戦争で日本陸軍が騎兵での成功例があるよ?」


パティの例えにエリカが真面目に答える。


「え〜、でもそれは機関銃があったからだって小説で読んだよ?」


「皆さん、博学ですねぇ」


なんか史恵とダーシャがほのぼのとした雰囲気を醸し出していますが。


まぁ、私達は軍人だからやれと言われたらやるしかないし、行けと言われたら行くしかない。だけど、艦隊の発隊時の目的とは違う任務を押し付けられてガチンスキーのおやじさん的にはどうなんだろうか?


そんな疑問を口にすると、脱線した話で盛り上がっていたみんなが一瞬静かになり、う〜んと考え込んだ。


「確かにそれはあるよね。あのいかにも一癖ありそうなおやじが命令だからといって唯々諾々と受け入れるかって話だよね」


酷い言い様だけどだけど、真樹がそう言うと、みんなが期待を込めて一斉にひとみの方へと視線を向ける。


「そんな目をされたって、私だって何でもは知らないわよ、知っている事だけ」


ひとみがどこかで聞いた事のあるセリフを言ってこのやりとりを締めると、この場もお開きとなった。


結局、答えはでないまま(当たり前か)我等が第6独立挺進艦隊は木星の引力と遠心力を利用したスイングバイで木星の引力圏を脱し、一路土星へ向けて加速したのでした。




いつも『朝倉家の戦争』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話にご期待ください。


ジャスティー・ウエキ・タイラー

「予定は未定であって決定ではない」


『無責任艦長タイラー』より


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