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第13話 特待生①

台南飯店を出た頃には14時を過ぎていて、私達はそのまま中華街を出た。山下公園に赴き、氷川丸をバックに写真を撮ったりした後、海軍カレーを食べるべく横須賀へと戻った。


横須賀のドブ板通りをぶらついた後、私達はひとみがリサーチ済みの洋食屋さんでエリカ待望の横須賀海軍カレーを堪能した。


そして、帰りのバスの車内。


「いゃあ、台南飯店最高だったねぇ。私、あの牛肉の麺にハマったね。」

「台湾料理も美味しかったし、念願の海軍カレーを食べられたし、今日は良かったなぁ。」


真樹とエリカが今日の感想を言い合っている。


「ねえ、咲は何か美味しかった?」


エリカが不意に私に振って来た。


「どれも美味しかったけど、私は杏仁豆腐がトロッとして、口の中で甘さがジワっと広がって、ホント最高だったよ。」


私が真樹の問いに自説を述べていると、


「おい、うるさいぞお前ら!休日だからといってはしゃいでるんじゃない。」


と、突然に後部座席の男子候補生に怒鳴られた。


私達も初めての外出で少々浮かれていたのかもしれない。実際、このメンバーで横浜に出掛けてとても楽しかったし。バスの乗客が士官候補生しかいなかった事もあって、ここに来てはしゃいでしまった、かもしれない。それを不快に思ったのならば仕方ない事で、うるさくしてごめんなさいと思う。しかし、シーンと静まり返ったバス車内で私達だけが喋っていた訳ではなく、乗り合わせた候補生達はガヤガヤと皆喋っていたのだ。それに物には言い方というものがあるだろう。上級生ならともかく、何で同じ一年生の男子候補生に、他の候補生が多く乗車しているバスの中で怒鳴られなくてはならないのだろうか。


そこで私は班長という立場である事から、車内でうるさくした事については謝罪した。


「うるさかったらごめんなさい。でも、怒鳴る必要はありましたか?」


すると、件の男子候補生(よく見ると同じクラスの木村という候補生だった)は、更に私に絡み出した。


「悪いと思っていても開き直るとは、流石特待生様はいい御身分でいらっしゃる。」


木村(こいつはムカつくので、もう候補生は付けない)は私を侮蔑するように嫌らしくニヤニヤとした笑みを浮かべて言った。彼と同じグループの数人の男子候補生達もそれに同調するように、やはりニヤニヤとしており、実に嫌な感じだ。


それにしても、特待生?誰の事を言っているのか、そんな制度が士官学校にあったっけ?


「なんなの、コイツら。気持ち悪い。こんなチンピラみたいな腐った連中が士官学校にいるとはね。咲、こんな奴等相手にしなくていいよ。」

「え?うん。」


私がその特待生という言葉について疑問に思っていると、真樹が相手にするなと私に促した。真樹の言葉に木村達はムッとした表情となり、特に木村が更に何かを言おうとしていたところ、バスか士官学校前のバス停に到着した。乗客の候補生達が降車を始め、木村はそのまま何も言わずにバスを降りた。


楽しかった1日の終わりにケチが付いて、実に嫌な気分だ。だけど、特待生って何の事だろう。

お読みくださり、誠にありがとうございます。年末年始も更新頑張ります。

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