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第125話 上陸

木星宙域には地球圏や火星から夥しい艦船が集結していた。


私達第6独立挺身艦隊も木星宙域に到着したものの、本来ならすぐには入港出来ないところなのだけど、旗艦ハールバールと空母海鳳は別。艦内に収容していた亡命アムロイ人達引き渡しのためタロスアルファコロニーへの入港が早々に許可された。


旗艦ハールバール、空母海鳳、パンテーン号の3隻はタロスアルファコロニー管制の誘導により同コロニーの宇宙港に入港した。艦が接舷すると、港のデッキには憲兵隊の保安中隊と検疫の為の宇宙港職員がアムロイ人達を待ち構えていた。 


そんな物々しい状態なので、ウーメリンちゃん達との別れは事前に済ませていたとはいえ、最後の最後に別れを惜しむような余裕は無かった。私とパティは海鳳から宇宙港へ渡されたタラップを渡って行く彼女達を離れた場所から見送る事しか出来なかった。


"ウーメリンちゃん、フッカちゃん、元気でね"


すると、私の思いが届いたものか、不意にウーメリンちゃんは立ち止まって振り向き、私とパティに気付くと大きく手を振ったのだ。


ウーメリンちゃんの表情は遠くてわからなかったけど、私とパティは彼女達に手を振り返し、去り行く彼女達が見えなくなるまで見送った。



艦内に収容していたアムロイ人達を木星駐留軍司令部に引き渡したからといって、じゃあ用が済んだらさっさと出航してね、とはならない。一度入港した大型艦はそう簡単に出航出来ないものなのだ。


何故ならば、その機会に艦体の点検や整備、食糧などの物質や弾薬等の補給、そして乗組員の休養などを済ませなければならないからだ。


とりわけ重要なのは乗組員の休養、即ち上陸だ。


ウーメリンちゃん達との別れは寂しく、悲しかったものの、それを上書きする魅力が上陸にはある。


そうした訳で、補給物資搬入で大忙しの主計科の皆さんや、未だ入港ないゴルム以下5隻の駆逐艦の皆さんには悪いのだけど、このチャンスを生かすべくハールバールと海鳳の乗組員達は3ヶ月振りの命の洗濯のため続々とタロスアルファコロニーへの上陸を敢行したのであった。


上陸は順番。乗組員のほぼ全員が上陸出来るものの、どうせなら早くに!と思うのが人情というもの。勿論、それは私だって同じ。だけど、そう都合よく初回上陸組に当たる事は無い。


航空隊は中隊単位で上陸する事になっているのだけど、それでも幸いな事に私達のプルメリア中隊はマーベル団長の籤運の強さがものを言って2日目の上陸を引き当てたのだった。


「どうよ?みんな?」


「団長、最高!」

「惚れ直しました!」

「一生ついて行きます」


ドヤ顔のマーベルには中隊のみんなから様々な賛辞が贈られたのは言うまでもない。勿論、私達ブラックチューリップ小隊からもね。



「朝倉さんは上陸したら何か予定あるの?」


上陸用に隊服から制服に着替え、艦内のラウンジでマーベル団長とブラックチューリップ小隊のみんなを待っている私に山中君がそう話しかけて来た。


山中君も士官学生の頃に比べて二度も同じ部隊になっているからか、以前に比べて随分と砕けた口調になってきている。


「うん、私の我儘なんだけど、みんなでまず空母赤城を観に行く事にしたんだ」


「赤城を?どうして、また?」


まぁ、そう思うよね。軍艦マニアでもない限り態々貴重な上陸時間を割いてまで他の軍艦を見に行くなんて普通しないから。


「私の両親は二人とも赤城乗組だったの。赤城で出会って結婚したから、見てみたくて」


空母赤城の話は、それはもう子供の頃から私と七海は何度となく聞かされている。その内容は赤城の事というよりも、母からはいかに父が素敵だったか、父からはいかに母がいかした美人であったか、そんな事ばかりだった。でも、だからこそ、そんなベストマッチな2人が出会って私と七海が生まれるきっかけとなった(ふね)を前々から見てみたかったんだ。


山中君は私の話を聞くと、う〜んと何やら感慨深げに考え込み、そして自分も一緒に行ってもいいだろうか?と訊いてきた。


「別にそれは構わないけど、いいの?山中君だって男連中とお姐さんのいる店とか行くんでしょ?」


「い、いや、そんな店なんか行かないよ。ウチの小隊員達もみんなそれぞれ出掛けるみたいだし。それに僕も第1航空艦隊の旗艦は見てみたかったんだ」


本当かなぁ?疑わしいところだけど。まぁ、私に別段彼を拒む理由は無い。


「おまたせ〜」


そうこうしているうちに、まず制服姿のエリカが、少し間を置いてパティと真樹がラウンジに現れた。


エリカとパティは私が山中君と一緒にいる事に一瞬怪訝な表情を浮かべただけだったけど、真樹は果敢に山中君を追求した。


「何でアンタがここにいる訳?」


真樹のいかにもな邪魔者扱いに一瞬傷付いた表情になった山中君。だけどすぐに表情を引き締めて反撃に出、ようとしたところで私が3人に事情を説明して、何とか了承してもらった。真樹は何か言いたげだったけど。


その後、何故かマーベル団長は木村君を連れて来たため、私達は総勢7人となり、まずは空母赤城の見学に出発したのだった。


いつも『朝倉家の戦争』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話をお楽しみに。



「広い銀河の果てまでも、悪を叩いて流れ星。行く手を阻むか宇宙の地獄。怒れ正義のダイケンゴー!」

         『宇宙魔神ダイケンゴー』より

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