第124話 ウーメリンちゃん達との別れ②
翌日、第6独立挺身艦隊は木星駐留軍の哨戒圏に入り、ウーメリンちゃん達との別れが間近に迫っていた。
空母海鳳では艦長主催によるささやかながらもお別れ会が食堂で催されていた。
アムロイ社会にも当然こうした文化・習慣があるという事で、海鳳艦長の狭間大佐が開催したのだという事だった。
海鳳の食堂で開かれたお別れ会は立食形式で、地球とアムロイ双方の料理がテーブルに並んだ。因みに、アムロイの料理はパンテーン号から海鳳に移乗したアムロイ人のご婦人方が腕を振るったものだそう。
アムロイの料理を見るのは私も勿論初めてだけど、地球のどこかの地方のエスニック料理にありそうで違和感を感じなかった。まぁ、考えてみれば、ウーメリンちゃん達も食堂で地球のお菓子や飲み物を普通に口にしていたから、アムロイ人達も地球の料理にそう違和感無いのかもしれない。
お別れ会の開催に先立って艦長が行うスピーチを、私達ブラックチューリップ小隊の4人とブリッジ3人娘のひとみ、史恵、ターシャはソフトドリンクを持ちながら聞いている。
「思えば我々地球人とアムロイ人は不幸な出会いでありました。現在も戦争は続いております。しかし、私達空母海鳳の乗組員とここにいるアムロイの皆さんが出会ってから2週間、たったの2週間で私達はこうして同じ卓を囲み、杯を共にしているのです。
戦争の行方がどうなるのか、わかりませんし、ここでは語りません。ですが、私は地球人とアムロイ人は分かり合える、そう信じるに至っています。私達がここで培ったこの友情がいつの日か二つの種族で共有出来る日が来る事を願って止みません。
それではお互いの健康とより良き未来を祈って乾杯をしたいと思います。乾杯!」
艦長の乾杯に唱和して食堂のあちらこちらから乗組員の「乾杯!」と、アムロイ人達の「パートラッシュ!」(乾杯の意味)の声が上がった。
お別れ会では時間の経過と共に互いに固まっていた地球人とアムロイ人それぞれのグループが次第にバラけていった。
私はウーメリンちゃん達と合流してアムロイの料理を口にしてみる。最初に食べたのはエリカと史恵で、流石世界の三大料理の国の血を引いているだけの事はある。
「あっさりしていて美味しいね」
「うん、これなんかさっぱりしてるし」
互いに感想を言い合うエリカと史恵。そうなのだ。アムロイの料理は基本あっさり、さっぱりでしつこくなく、淡いけどしっかりとした味わい。ひとみは「う〜ん、これがエルフ料理かぁ」と感慨深げだった。因みにひとみは剣と魔法の世界が舞台となる小説の愛読者だったりする。
「あのぅ」
不意に私はフッカちゃんに声をかけられた。フッカちゃんは一瞬の逡巡を見せると、意を決したように口を開いた。
「サクお姉さんには本当に助けて貰い、お世話になりました。サクお姉さんがいなかったら、私達こんなに地球の皆さんと親しくなれなかったかもしれません。私が倒れた時も受け止めてくれましたし、本当に有り難う御座いました」
突然なエルフ(っぽい)美少女からのそんな言葉に、私は感極まって涙腺崩壊、フッカちゃんを抱きしめて泣いてしまった。
そうするとフッカちゃんもウーメリンちゃんも、周りにいた地球、アムロイ問わずみんな号泣。
「私こそありがとう。あなた達と知り合わなかったらアムロイの人達はずっとずっと憎い敵のままだったよ。あなた達と知り合えて本当に良かった」
「「サクお姉さん!」」
ウーメリンちゃんも私に抱きついて来て、3人で抱き合って泣いた。
「え〜、いいなぁサクばっかり」
なんて声も聞こえて来たりもしたけど、私達は暫く抱き合い、その後離れると互いに少し気恥ずかしくなって「てへへ」と照れ笑いをした。
お別れ会は、その後1時間程してアムロイの代表者の締めの言葉で終了した。だけど、私達は解散する前にウーメリンちゃん達アムロイの子供達を中心にし、周りをブラックチューリップ小隊とマーベル団長、ブリッジ3人娘で囲んで集合写真を撮った。山中君と木村君も入りたそうにしていたけど、真樹が「女子限定だから」と言って追い払った。
その後すぐにパティが写真をプリントアウトしてウーメリンちゃん達に配り、再度フッカちゃんを泣かせてしまったのは、また別の話。
次の日、第6独立挺身艦隊は護衛するパンテーン号を伴って木星宙域はミネルヴァ宙域のコロニータロスアルファに入港し、亡命アムロイ人達とはそこでお別れとなった。私はウーメリンちゃん達が無事に火星のヤグモ支族に受け入れられるよう願って止まない。
だけど、彼女達と別れたこの瞬間から、この戦争に勝利するまでアムロイは敵であり(降伏したり亡命したりする人達は別として)、私の敵討ちは続くのだ。
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それでは次話「上陸」をお楽しみに。
「人生は長く、世界は果てしなく広い。肩の力を抜いていこう」
『妖怪アパートの幽雅な日常』より




