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第122話 ウーメリンちゃんの軌跡③

テムロイ軍の軍艦への移乗が決まった100名は、迎えに来たテムロイ軍の小型船に乗ってテムロイ軍の軍艦へと向かう事となった。


パンテーン号に接舷し、乗船して来たのは皆男性ばかりの士官が1名に部下の兵隊さんが5名。



初めて見る異星人であるテムロイ人は、頭があって、四肢があり、って当たり前か。彼等の外見は私達アムロイ人よりも体格がガッチリしていて、耳は私達の耳より小さくて丸味を帯びている。私達の頭髪は金色や銀色が多いけど、パンテーンに来たテムロイ人は皆一様にその頭髪は黒かった。


つまり、細かい部分を除けば私達アムロイ人と彼等テムロイ人はそんなに変わらないって事。


私は父に「アムロイ軍は自分達を助けてくれたのだから酷い扱いはしないはず」と言ったものの、無論そんな確信なんてある訳は無く。だけど、自分達と大して変わらない見た目のテムロイ人達を見て、正直ホッとしていた。


そんな事を考えていると、テムロイ軍の士官が持っている拡声機を使ってアムロイ語で私達の待遇について説明を始めた。ちょっと微妙なイントネーションだったけど。


「アムロイの皆さん、私達テムロイはあなた方を保護します。身体、生命、財産の安全を保障し、皆さんの尊厳を守ります。安心して下さい」


これを聞いた移乗組はお互いに顔を見合わせ、口々に「本当だろうか?」「信用出来るのか?」などとコソコソと話し始めたけど、

私から見ても彼等の表情は先程までの暗いものではなくなっていた。


私達はテムロイ軍の兵隊さんに促され、テムロイ軍の小型船に乗った。


船内はアムロイのものとは極端に変わりはしないけど、私から見ると少々変わったデザインだなぁ、という感じ。


皆が着席して安全帯を着装すると、少しして小型船は離舷して移乗予定のテムロイ軍の軍艦へと向かった。



私達が移乗したのは大きな空母で、格納庫は実に広々としていた。小型船から下船すると、持参した手荷物の検査や検疫、事前に送付した移乗者リストとの照合が始まり、それらが終わった者から順次に艦内の別部屋へ案内される。


最初、私達から少し距離を置いて武装した兵隊が警戒に当たっていて、検査などは10名くらいの軍人さんが行っていた。でも、人手不足感は否めず、列はなかなか前に進まない。


(テムロイ軍は効率悪いなぁ)


などと思っていると、5人の若い女性士官が作業に加わり、進行が早くなった。


フッカちゃん一家の検査が終わり、次いで私達一家も終わると、先程作業に加わった女性士官の一人が私達をエスコートしてくれた。その女性士官は肩まで伸ばした黒髪で、身長は165モーガンくらい。色白の可愛い感じの美人さんだった。


私達とその女性士官は、当たり前だけどお互いよそよそしく、顔も合わさないようにしていた。でも、私は意識されない程度にチラチラ見てしまっていたけど。


すると、私達の前を進んでいたフッカちゃんが突然意識を失って倒れかかってしまったのだ。私も両親も、フッカちゃんの両親も咄嗟に体が動かない。フッカちゃんがそのまま床に倒れてしまう!というその時、私達をエスコートしていた女性士官がすかさずフッカちゃんを抱き止めて事なきを得た。


「フッカ!」

「フッカちゃん!」


フッカちゃんは女性士官が受け止めたお陰で怪我は無かったよう。だけど、意識は戻らないし顔色も蒼白。


異常に気付いたテムロイの軍人さん達が来ると、パンテーン号からの移乗者達も騒然となった。だけど、すぐに救護班が来てフッカちゃんを担架に乗せると、彼女の両親を伴って医療施設(多分)に搬送して行った。


テムロイの軍人さん達はパンテーン号で言った通り、私達をちゃんと保護してくれるようだ。フッカちゃんが意識を失って倒れた時は驚いた。でも、彼女には悪いのだけど、あの出来事で私はテムロイ人は取り敢えず信用しても大丈夫と思えた。


となれば、私の年上の友人の恩人である件の女性士官に良識あるアムロイ人としてお礼を言わなければ。


私は搬送されて行くフッカちゃんを見送っている女性士官の左袖を軽く摘んで引っ張った。


ん?という感じで振り返る女性士官。彼女は私に気づくと、少し身を屈めて目線を合わせてくれた。私はちょっと恥ずかしかったけど、勇気を出してお礼を言ったんだ。


「どうもありがとう」


私がアムロイ語で言ったため、果たして彼女に私の気持ちが通じるのか不安だったけど、言葉は通じなくてもニュアンスは通じるはず!多分。


「どういたしまして」


だけど、何と彼女はアムロイ語で、優しい笑顔と共に応えてくれた。


さっきまで私達はお互いに顔を合わせないようにしていたけど、もう、今は違う。私は嬉しくなって彼女と二人で微笑み合った。


その時は先に進んでいた両親に呼ばれたため、すぐに行かなければならず、その後暫く彼女に会う機会は無かった。だけど、私はとてもいい経験が出来た事が嬉しく、もうテムロイの軍艦にいる事もあまり不安に思わなくなっていた。


実際、テムロイの軍人さん達の態度は悪いものじゃなく、艦内における私達私達の衣食住に関しては良くしてくれているのだろうなと感じられた。また、私達の意見も聞いてくれて、改善出来る部分は改善してくれた。


中でも、テムロイの軍人さん達が私達アムロイ人達との交流会を催してくれたお陰で双方の距離は更に近づいた。そこで私はあの時フッカちゃんを受け止めてくれた女性士官と再会する事が出来、私達は仲良くなって彼女の仲間達共々友達になったのだ。勿論、フッカちゃんもね。


私達の交流はテムロイの軍艦が目的地に到着した事で終わりを告げた。私達は手を取り合い、抱き合って別れを惜しみ、お互いが健やかなる事を願って別れた。



この戦争は確かに私達アムロイが仕掛けたものだ。だけど、テムロイの軍艦で過ごした2週間、私達アムロイとテムロイの人達は何の蟠りもなく一緒にいる事が出来た。


だから、私はアムロイとテムロイ、二つの種族は分かり合える、そう信じている。図々しいかもしれないけど、テムロイの人達には寛大なる心で私達アムロイがこの太陽系に居住する事を許して欲しい。


この戦争がどのように終わるのか、それは誰にもわからないけど、私はアムロイとテムロイ、二つの種族が手を取り合えるよう、生涯をその事のために尽くそうと、密かに心に誓っている。







いつも『朝倉家の戦争』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話「ウーメリンちゃんとの別れ」をお楽しみに。



スレッガー「どうもご婦人 のお尻につくっていうのは僕の趣味じゃないんでね...」


機動戦士ガンダム・めぐりあい宇宙(そら)より

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