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第119話 目撃、隣の異星人②

アムロイ船パンテーン号には乗員を除き約300名の非戦闘員が乗船していた。そのうちの50名ずつを旗艦と空母海鳳に人質、いやいや、安全輸送の為に分散収容する事となっていた。


パンテーン号から空母海鳳の大型ランチに乗ってやって来たアムロイ人達、私達は副長の指示で海兵隊員と一緒に彼等を収容する部屋までエスコートする事になった。


間近で見たアムロイ人(アメディオ支族)は、本当にエルフのようで、男性も女性も、老いも若きもほっそりとした体型に整った容姿の人ばかりだった。


彼等の服装は?といえば、何も銀色の体にピタッとした無個性なツナギなどではない。男性はパンツにタートルネックのシャツ、そしてフードの付いたコートを着用。女性は男性よりも更にフィットしたパンツスタイル(人によってはその上からスカートの様なものをはいている)にやはりタートルネックのシャツ、その上に女性らしさの加味されたフードの付いたコートを着ていた。そして男女とも長さが踝の上まで来るブーツを履いていた。


まぁ、何というか、いろいろと考えていたよりも地味で普通だった。あの服を着て街中を歩いても何ら違和感も無く、周囲に溶け込んでしまうだろう。容姿は別として。


「うわぁ、エルフだよ、エルフ!」

「あんなにいっぱい!」

「エルフだよ、全員集合!」


「ねえ、気持ちはわかるけど、ちょっと黙ろ?特にエリカは」


まったくエリカは。全員集合って何なのよ。海兵隊員のお兄さん達も少し残念そうな視線を時折こちらに向けているし、小隊長としては本当恥ずかしい限り。


だけど、私達にエスコートされているアムロイ人達はこのような状況下だからか皆一様に無口であり、会話を交わすものはいない。傍目にも緊張し、疲労しているようにも見受けられ、また、彼等の表情には最悪の状況から助かった安堵感、先行きがわからない不安感が窺えた。


俯き、力無く歩くその姿は、暴虐無人な侵略者ではなく、迫害から逃げて来た紛れもない難民そのものだ。私には彼等を敵として、父の(かたき)として見る事は出来なかった。


と、突然、通路を歩いていた女子高生くらいに見えるアムロイ人の女の子が、私の目の前で意識を失って倒れかかってしまった。私は咄嗟にその女の子を受け止める事が出来、女の子の転倒を防ぐ事が出来たけど、突然の事だったので周囲(地球人もアムロイ人も)はちょっとした騒ぎになってしまった。


とはいっても、そこは皆軍人なので、何やら言い出すアムロイ人達を海兵隊員が抑え、救護班が呼ばれると、女の子は担架に乗せられて医務室に運ばれていった。


「サク、ナイスキャッチ!」


真樹にそう言われて頭をワシャワシャされた。髪が乱れるからやめて欲しい。


「はぁ、びっくりしたよ」


すると、ふいに左の裾をクイクイと誰かに引っ張られた。ん?と思って見てみると、中学1年生くらいのアムロイ人の女の子が私の左袖を掴んで私を見上げていた。


(何、この子、めっちゃ可愛い!)


何かを言いたげに私をじっと見上げるアムロイ人の女の子。地球人であれ、アムロイ人であれ、女の子は女の子。私が膝を屈めてその女の子の視線に合わせると、女の子は少し恥ずかしそうに何か言葉を発した。


「チョッオマニート」


彼女の発した言葉「チョッオマニート」。「チョッ」は日本語では「やあ」とか「どうも」とかに該当し、「オマニート」は「ありがとう」に該当する。つまり彼女は「どうもありがとう」と私に言ったのだった。


それはおそらく、私が意識を失って倒れかかった女の子をすかさず受け止めた事に対して彼女は感謝の言葉を口にしたのだと思う。


感謝の気持ちを言葉で伝えてられたのならば、相手が地球人だろうがアムロイ人だろうが返す言葉は一つ。


「ジタッケービ」


私は横須賀士官学校で習ったアムロイ語を思い出して「どういたしまして」と返した。


アムロイ人の女の子は地球人である私がアムロイ語で返事をした事に一瞬目を見張ったものの、直ぐに微笑み、そして私達はお互いに微笑み合った。


しかし、先を急ぐ通路上でずっとそうしていられる訳も無い。女の子もそれは理解しているようで、先に進んで待っていた両親(多分)の元へ小走りで去っていった。女の子は両親の元に辿り着くと、私に右手の手のひらを向けると指を握ったり開いたり、要はグーパーグーパーした。


私は一緒、ん?となったけど、多分バイバイって事なんじゃないかと思う。私は地球人なので彼女に右手を軽く振って返した。


でも、後で考えたら、こういうジャスチャーって地球でも民族や地域によって様々だ。お互いのジェスチャーについての無知が思わぬトラブルになったりもするから、用心しないといけなかったとちょっと反省。


「第1種接近遭遇が可愛い女の子と平和裏に出来て良かったね?」


「そうだね」


私は今の遣り取りが終わり、ほっとして気が抜けてしまっていた。なので話しかけて来たパティには間の抜けたような返事しか出来なかった。


余談だけど、木星までの航海中に催された双方の交流会で私はウーメリンちゃんというあの女の子と再会した。そして木星で別れる際にはお互い抱き合って別れを惜しむほど仲良くなっていたのは、また別のお話だったりする。



いつも『朝倉家の戦争』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話「ウーメリンちゃんの軌跡」をお楽しみに。


「見えるからさ。闇の中に白々と… お前自身が放つ、殺気の射線が‼︎」

         『ARMS』17巻より

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