第118話 目撃、隣の異星人①
パティとのビリヤード勝負に負けた私は、約束通りブラックチューリップ小隊の皆でアムロイ船パンテーン号から分散収容されて来たアムロイ人達を見に行く事となった。
だけど、見に行くにしても動物園のようにアムロイ人が檻に入っていて見学順路がある訳ではないだろうし、保安部の海兵隊員が警備しているだろうし。
私がそうした疑問を呈してみても
「まあ、まあ、ダメ元で行くだけ行ってみようよ」
と、お気楽なエリカに押し切られてしまい、結局、私達はランチが離発着する第2航空甲板の格納庫へと向かった。しかも、その途中で出会した史恵も話を聞いて
「何それ、面白いそう!」
と、見学ツアーに飛び込み参加する事となったのだ。
アムロイ人とは異星人とはいっても、怪物のようであったり、タコのようであったり、はたまた銀色の小人のようであったり、というものではない。
実は、かつてASCー1が発見された際に、その艦内から多数の乗組員の遺体が地球連邦軍によって回収されているのだ。その姿形は殆ど私達地球人類と変わるものではない。
アムロイ人も地球人類と同じく哺乳類型のヒューマノイドであり、その特徴はというと、体格は地球人類よりもやや細身てあり、顔は心持ちつり目気味、両耳は長くその上端は尖っている。これで美形ならばエルフな訳だけど、実際はどうかわからない。
かつてASCー1の艦内から回収された遺体を検死した結果、彼等の死因が中性子の照射によるものであったらしい。その生前の面影を色濃く残した遺体は、調査に当たった科学者達の中ではエルフ(日英)に例えるグループとバルカン星人に例える(米加)に分かれ、互いに譲らず口論になったとか、ならなかったとか。
そして、その遺体を元にして復元されたアムロイ人の画像が、私が今まで見てきた教科書や資料などに掲載されているのだけど、それが、まぁ、何というか精気も個性も見られない無表情なもの。例えるなら、図鑑にあるネアンデルタール人とか北京原人と言った感じだろうか。
一部のマニアがアムロイ人のフィギュアやイラストを作成しているけど、それらは多分にそういう趣味風(アムロイ人の少女がセーラー服やスク水を着ていたり、メイドだったり、しかも女子ばかり)に作られているので、あまり参考にはならない、と個人的に思っている。
私は今までの戦闘でアムロイ人を見たことは無いし、以前にアステロイドベルトで第869特殊任務群がアムロイ軍の小惑星基地を占領した時も見る事は無かった。じゃあ、七海は基地内で初陣を飾っているから生アムロイ人を見ているかもしれないね。
そう思うと今回は生きているアムロイ人を見る絶好の機会と言える訳で。まぁ見てみたくなくもないかなぁ、とか、折角だからもし可能ならば見てみようかなぁ、しょうがないよね?だって見に行く約束なんだし、などと私は小隊のみんなと第2航空甲板の格納庫へ向かいながら思っていた。
第2航空甲板の格納庫に着くと、既にパンテーン号からランチがもどっていて、艇内からアムロイ人達が下船しているところだった。流石にすぐ近くで見る事は叶わず、ランチの周囲には完全武装した海兵隊員達が警戒に当たっていて、安易に近付いていい雰囲気ではない。
「遠くからでも見られたからいいんじゃない?」
「う〜ん」
私が声を掛けると、エリカは不満げに唸った。すると史恵が「ちょっと待って」と言ってアムロイ人達の受け入れ作業を担当している主計科の男性士官の元に向かった。
(史の奴、一体何を企んでるの?)
そう私が史恵の行動を訝しんでいると、やがて史恵が何とも意外な提案を持って戻って来た。
「副長が人手が足りなくて、アムロイ人を間近で見ていいから作業を手伝って欲しいってさ。どうする?」
え、いいの?機密保持とかあるんじゃ…
「何それ、面白そう!」
「生アムロイを直近で見れるじゃん」
「ねぇ、やろうよ、サク?」
エリカさん、真樹さん、パティさん、そんな期待を込めた眼差しで人を見るんじゃありません。
「彼を知りて己を知れば百戦して危うからずって言うじゃない?それに副長が手伝ってって言ってるんだから」
ぐぬぬ、流石台湾商人の娘だけはある。孫子まで引用して妙に説得力がある。史恵、恐ろしい娘!
「わかったよ。じゃあ、副長の手伝いに行こう」
「「「「宜候!」」」」
そういう訳で、私は何かに流されるようにブラックチューリップ小隊のみんなに史恵を加えたメンバーを率い、アムロイ人の受け入れ作業の手伝いをする事になったのだった。
はぁ、私ってば、何やってんだろう。
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それでは次話「目撃、隣の異星人②」にご期待ください。
晴子「やっぱりスポーツマンの男の人ってステキですよね。バスケットはお好きですか?」
花道「大好きです。スポーツマンですから」
スラムダンク♯1より




